通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

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ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第11回: 柴原早苗先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「学びは工夫と謙虚さで」

         柴原早苗先生(英語通訳者養成コース)

 

 

大学時代の私は「いつか英語を使った仕事に就きたい」と考えていました。ただ、漠然としていたため卒業後は民間企業に就職し、会社と家の往復を続けていました。しかし次第にそれでは飽き足りなくなり、ISSの門を叩きました。


レベルチェックテストの結果、同時通訳科の一つ下のレベルに入りました。当時のクラスは平日夜週ニ回。毎回の単語テストに加え、逐次通訳の徹底的な訓練が行われ、密度の濃い授業でした。その頃は一学期ワンテーマのレッスンで、私が入学したときは医学の教材がメインでした。


一方の私は医学が大の苦手。「早くこの苦しい内容から脱したい」という思いが逆に動機づけとなり、一回で進級をめざそうと考えました。仕事と勉強の両立はチャレンジングでしたが、隙間時間を見つけながらせっせと取り組みました。その甲斐あって幸い同時通訳科に上がることができたのです。


ところがどうしても私はそのクラスに馴染めませんでした。今にして思えば、先生の「愛のムチ」を受け止めるだけの度量が私に備わっていなかったのです。私はただ萎縮するばかりで、やがて授業を休むようになり、そのままフェードアウトしました。一方、その頃は通訳者を本格的にめざしていましたので、「学校に通わないまま、いち早くデビューするにはどうすべきか」ばかりを考え、エージェントにせっせと履歴書を送り続け、初仕事へとこぎつけたのでした。


それから数年を経て私はBBCの放送通訳者としてロンドンに赴きます。同僚と結婚して子どもも授かりました。しかし勤務体制の変更を機に後先考えず帰国をしたのです。夫婦そろって失業、しかも第二子を妊娠中で途方に暮れる中、ご縁があってISSで講師をするようになりました。そして現在に至っています。

 

ISSで教鞭を執り始めてから数年が経ちますが、その間の英語学習環境は大幅に変わったと感じます。今ではスマートフォンの学習アプリも豊富ですので、その気になれば所や場所を問わず勉強できます。


「いつでもどこでも勉強できる」のは利点です。しかし裏を返せば「いつになってもどこにいても勉強しない」ということになりかねません。あまりにもおびただしい情報に学習者が振り回され、結局何もできないままになってしまうのです。


ISS受講生のみなさんは誰もが真面目であり、課題にも真摯に取り組んでいます。しかし他の日本人英語学習者同様、ついつい「正解」を求めがちのように私には見えてしまいます。通訳学習で模範訳を求めること自体、悪いことではありません。しかしモデル訳「だけ」にこだわってしまうと、そこから先への「工夫」が止まってしまうのです。自分の訳出に不安があるならば、講師に積極的に尋ねることも大切だと私は思います。通訳現場では不明点をおざなりにせず、積極的に聞くことも仕事の一部なのです。学校はその「聞き慣れる」トレーニング場という位置づけでも良いのではないでしょうか。


さて、緊張感あふれる授業を終えると「あ〜、今日もうまく訳せなかった」という思いに駆られがちです。かつての私もそうでした。自分の弱点を知り、次への改善につなげることは大切ですが、一方で自分を追い込み過ぎないことも大事です。オンとオフを切り替えることもこの仕事では求められますので、心の中で自分を褒め、自分にご褒美をあげることも学習継続のカギを握ります。


たとえば東京校であれば、授業終了後、USBに入った自分の音声をヘッドホンで聞きながら皇居の周りを一周することもできます。記憶の新しいうちに自分のパフォーマンスに耳を傾ければ復習になりますし、自然を愛でながらウォーキングをすれば体力作りになります。「大変で億劫な作業」を「楽しいこと」と抱き合わせるのも一案です。

 

通訳業は「お金を頂きながら学ばせていただける」という稀有な職業です。この仕事のおかげで私自身、知らなかった分野に巡り合い、人生が豊かになったと感じます。通訳者をめざす方に以下の7点が参考になれば幸いです。

 

(1) 教養: 通訳で必要なのは語学力以上に知識力です。日頃から新聞や本をたくさん読み、表現力と幅広い内容を吸収してください。


(2) 好奇心: 「知らないことを知りたい」と思う気持ちは原動力になります。難解な分野であれば子ども向け百科事典などにあたり、基礎から学んでいきましょう。


(3) 学び続ける心: 語学や通訳の勉強に「終わり」はありません。「母語以外のことばを知っている」というのはみなさんへ与えられた恩恵です。一生学び続けましょう。


(4) 工夫: 情報や学習法に惑わされない方がかえって勉強しやすくなります。目の前のすべてが学びに通じるのです。ご自分で勉強法や教材の工夫も試みてください。


(5) ご縁: 世の中はすべて人との関わりで成り立っています。ヤマト運輸の創業者・小倉昌男氏は「感じの良い人」であることの大切さを説いていました。仕事のご縁もその人の人間性にかかってきます。


(6) 謙虚さ: 仕事であれ勉強であれ、失敗はつきものです。大事なのはそこからどのような「教訓」を得るかです。謙虚さは自己成長に欠かせません。


(7) 体力: 食事や睡眠、運動に気をつけることが現場での良きパフォーマンスに反映されます。ご自分の体を労わることがお客様へのサービスにつながります。

「通訳の勉強をしよう!」と思い立ったときこそが飛躍のチャンスです。ISSの講師や教務スタッフはそんなみなさんを応援したいのです。ぜひ一人でも多くの方が通訳の世界を知り、学ぶ喜びを感じ、ご自分の力を世の中に還元してくださればと願っています。

 

<禁無断転載>

 

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<柴原早苗先生のプロフィール>
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に入門科レベルを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第10回: 佐久間公美子先生(英語翻訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「翻訳人生の始まりはISS」

         佐久間公美子先生(英語翻訳者養成コース)

 

 

私がフランス語の通訳・翻訳者としてISSで仕事を始めたのは20代の後半でした。世の中は高度成長期で浮かれていましたが、まだPCやITの時代ではなく、今から振り返ると、どんなに忙しくても人間の身の丈にあった時間が流れていたように思います。

 

そんな時代であっても、仕事のビギナーであった私にISSがどれほどの勉強をさせてくれたことでしょう!私が所属していたのは、ISSの大阪営業所(当時)でしたが、働く人たちは東京から来た人たちが殆どで、その人たちが持つ「首都の雰囲気」に圧倒されたものです。その後、私は東京に住むようになり、再び、ISSと仕事をするようになりました。このように、私の翻訳人生の始まりはISSだったのです。

 

ISSインスティテュートで映像字幕を教え始めるようになったのは、PCが普及し、衛星放送サービスが始まった頃です。最初は、横浜校でクラスを担当しました。衛星チャンネルが始まり、映像コンテンツの字幕作成業務が増え、映像翻訳者の需要が一気に高まったために、早急に翻訳者を育てなければならなかったのです。

 

当時、横浜には映像翻訳を教える学校がISSインスティテュート以外になく、そのせいもあって優秀な生徒が集まり、全員で切磋琢磨してとても良い雰囲気で授業を進めることができました。彼らのうち何人かは、今も能力を維持するため、もしくは更に上を目指すためにクラスに在籍して訓練を続けておられます。また、映像翻訳会社に転職できた人、フリーの翻訳者になった人もいて、学校の中では小さなクラスですが、夢と希望を持った人が集まり、その夢や希望を実現させています。

 

翻訳者になるためには、英文を読む力、日本語を書く力、そこに映像字幕翻訳の場合は、映像を見て内容を理解する力とPC・字幕制作ソフトを使っての制作力が必要になりますが、その力を習得しただけではなかなかスタートできません。スターターとしての「チャンス」が必要です。運も左右します。その「チャンス」をものにするために、常に力を磨きながらしっかりアンテナを張っていることが重要です。でも、ひとりでアンテナを張るってどうするの?と言われそうですね。ぜひ、仲間作りをしたり、支えてくれる人を見つけたりして情報を受信するようにしてください。

 

今、学習中の皆さん。先は遠く、あなたからゴールはまだ見えないかもしれません。でも、ゴールまではもう半分以上近づいたと思ってください。学習を始めようと思うまでの道の長さを考えてみたことがありますか?今、目の前の課題に取り組むあなたは、気づかないうちに前に向かって歩いているのです。そのためにこそ、しっかり勉強してください。

 

知っている単語を使って、知っている構文を読んで、知っていることを書くことで「出来た!」になっていませんか?「学ぶ」とは、知らないことを学ぶということです。知らないことを学ぶというのは本当に楽しいことです。楽しいことのはずです。幼児が、「なぜ?」「どうして?」というのと同じです。学ぶことには、すぐに分かって身に付くものもありますが、何度も繰り返して練習するうちに感覚として身に付くものもあります。スポーツ選手の、あの気の遠くなるようなトレーニングを考えてください。理系であれ文系であれ、スポーツと同じ、頭も身体もトレーニングがとても大事だと、長い仕事生活の末に私は思うようになりました。

 

もうひとつ、強く感じるようになったことがあります。当たり前すぎて、つい、なおざりになりがちになっていることです。生徒さんで、英文でつまってしまう人、日本語化でつまってしまう人がいます。それは、皆さんがいつの間にか、基礎を無視して、自分の読みたいように読み、書きたいように書こうとするからです。すべての基本は基礎にあるのです。トレーニングを通して、もう一度初心に戻り、飽きることの無い興味と希望を持ち直してください。

 

これから学習を始めようと思っている皆さん。世の中はずいぶん変わりました。すべてにスピードと効率が求められるようになりました。

 

それだからこそ、学ぶときは、地に足をつけて、回り道をすることを厭わずにしっかり学んでください。本物の翻訳者になるために。

<禁無断転載>

 

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<佐久間公美子先生のプロフィール>
英日・仏日翻訳者として、映像字幕翻訳やナレーション原稿など映像関係の仕事を主に、いろいろな分野の翻訳に携わっている。アイ・エス・エス・インスティテュートでは、専門別翻訳科・映像字幕翻訳クラスを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第9回: 今野由紀子先生(英語翻訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「翻訳をライフワークに」

         今野由紀子先生(英語翻訳者養成コース)

 

 

翻訳は地味で難しい仕事ですが、この技能を身につければ、失業や定年などに左右されず、一生収入を得られる大変良い仕事です。私は若い頃、何か自分のライフワークを持ちたいと思い、書くことと英語が好きだったので、翻訳は自分にぴったりだと思い、翻訳の道を選びました。あまり深く考えずに怖いもの知らずの決断でしたが、30年以上この道を歩んできて、その選択は間違っていなかったと思っています。

 

とはいえ、最初の数年はまだインターネットもない時代ですから、一つの単語を調べるために図書館めぐりをするなど、ずい分苦労しました。授業でよく言うのですが、今勉強する人達は本当に恵まれています。ただ、人は自分がいかに恵まれているか、なかなか分からないものですね。

 

私は大学卒業後すぐ、母校で英語を3年間教えました。3年で辞めた理由はいろいろありますが、一つには、自分には英語を教える資格が本当にあるのだろうかという疑問を抱いたからです。勿論、教員免許は持っていたし、大学の英語科を卒業したので、世間で認められている資格はありましたが、英語の知識・技能について一歩踏み込んでみると、まだまだ未完成の域を出ていなかったのです。「人は本当に自分の身についていることしか人に教えられない」と私は思っており、こんな状態で人の前に立って教えていいのかと自問したわけです。

 

30年以上試行錯誤を繰り返しながら、曲がりなりにも翻訳で生計を立ててきて、一応これが私のライフワークだと言えるようになった今、今度は翻訳を人に教える立場に立たせていただいたのは有り難い限りです。不思議と、若い頃に感じたような疑問はありません。むしろ、30年間の苦労を通して少しずつ分かってきたこと、どうしたら原文を正確に理解し、読者に分かりやすい表現で翻訳できるか、翻訳者が陥りやすい習癖やミスは何か、それを防ぐ方法は何かなど、自分が悪戦苦闘してきた課題をはじめ、翻訳の難しさとともに楽しさを受講生の皆さんに何とかして伝えたいという熱き思いに駆られています。ISS で7年教えてきて、最近は英語と日本語のそれぞれの言語が持つ美しさ、まったく異なる二つの言語の世界を行き来する面白さを伝えたいと切に望んでいます。

 

ISS で私は良い受講生に恵まれ、毎回の授業をおそらく誰よりも私自身が楽しんでいますが、「教えることは、とりもなおさず学ぶことだ」と実感して、誰よりも私自身がたくさん学んでいます。翻訳を教えるようになって、時折自分の翻訳の質が向上してきたと感じることもあります。授業でいつも言っていることを実行しなくてはと、自分を戒めることになるからです。

 

この所、受講生について少し気がかりなことがあります。最近の若い人は(年寄りじみたこの言い方は自粛すべきと分かっていながらつい使ってしまいます)、打たれ弱いという点です。ちょっと注意するとすぐ身を引いて防衛体制になり、心を閉じてしまう人がいます。私などはガンガン打たれてもへこたれない部類に入る方で、それだからこそここまでやって来られたと自負するのですが、最近は少子化もあって、大事に大事に育てられてきた人が多いせいでしょうか。間違ったり注意されたりすることをひどく恐れる傾向があるようです。むしろ自分の間違いや弱点に早く気づき、自分で気づかなければ気づかせてもらい、早く改めて弱点を克服することが向上への早道です。

 

いつも言っていることですが、翻訳をマスターするために必要なものは、英語の語学力と日本語の表現力は当然のことながら、最後にものを言うのは、集中力と最後まであきらめない粘り強さです。集中力は、だれでも好きなことには集中しますから、翻訳が好きでないと難しいかもしれませんね。粘り強さとは、分からないことを分かるまで徹底的に調べる、これぞふさわしいと思う訳語を見つけるまであきらめないということです。悩み抜いて、訳が決まったときの喜びは格別です。また、自分に依頼された仕事をやり終えたときの達成感。これもまた翻訳の醍醐味ですね。ぜひ皆さんに味わってもらいたいと思います。

 

<禁無断転載>

 

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<今野由紀子先生のプロフィール>
上智大学外国語学部英語学科卒業後、桜蔭学園で英語教諭を3年務める。翻訳歴はフリーランスとしてJICA 関連レポート、通信会社のシステム関連書類等の翻訳に携わった後、貿易商社で社内翻訳者として勤務し、通信文や製品マニュアル等の翻訳を行う。その後15年間、某大使館で様々な分野の英日翻訳を担当。アイ・エス・エス・インスティテュートでは総合翻訳科・基礎科1&2 レベルを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第8回: 顧蘭亭先生(中国語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「語言結縁」

         顧蘭亭先生(中国語通訳者養成コース)

 

 

花が咲いては散り、季節が幾度も移り変わっていきます。それに合わせるように、多くの後輩を迎えては送りました。新たなスタートを切った皆さんの初々しさや、夢を実現しようと努力する前向きな姿勢に、入学したての自分と重なることも度々。そうです、私も本校の卒業生の1人です。今は中国語を教えながら自分の勉強も続け、通訳や翻訳、音声ナレーションなど自分の好きな仕事をしております。

 

学校の場所も設備も変わりましたが、自分が勉強していた時のことは昨日のことのようによく覚えています。元々大学での専攻が日本語で、語学関係の仕事もしていましたので、入学試験を受けようと決めた時は自信満々でした。しかしいざ受けて見ると、通訳する内容のみならず、基礎知識に関する内容も盛り込まれていたので、来日したばかりの自分には難しいものでした。通訳者になるには、通訳技術の勉強はもちろんですが、幅広い知識を増やすことも必要不可欠であると、気づくひとつのきっかけになりました。通訳本科(現通訳科2)で1年間勉強しましたが、クラスメートの皆さんはそれぞれ職業の違う優秀な方々で、とてもいい刺激をうけました。また授業後の食事会は、皆さんとの情報交換や日本の風習などを理解するいい機会でもありました。本科最終回の授業の同時通訳実践演習も大変印象に残っています。当時は商社の方に講演をしていただき、それを受講生の私たちが同時通訳をする演習でした。演習後は、講師で会議通訳者でもある永田小絵先生と李秀娥先生に個別のいい所と改善すべき点をご指摘いただき、とても充実感のある実践訓練でした。その後すぐに李先生に声を掛けられ、会議の同時通訳の仕事を頂きました。同通の初仕事でしたが、先生と一緒だったこともあり、学校で実践訓練を受けていたことも心強かったと思います。

 

毎年大勢の方々が学校で勉強しています。私にとっては後輩になりますが、後輩には、まず、普段の生活で言葉を意識することをお薦めしています。通訳も翻訳も言葉を使う仕事ですから、プロとして、言葉に対しては敏感に反応しなければいけないと思います。通訳訓練を受けている時だけではなく、生活の中でも常に「その言葉を通訳する時、自分が使えるか」という意識を持って臨めば、ご自身の進歩も実感できるようになると思います。もうひとつは、自分に自信を持って欲しいということです。その自信を裏付けるための勉強、訓練の積み重ねをお薦めします。「チャンスは準備ができている人のためにある」(機会総是留給有準備的人)とはよく言われますが、自分の目標実現のためにしっかりと備えておきましょう。

 

これまでの仕事を通して、職業の違う方々と出会い、違う業種の方々との交流も経験しました。時には仕事に対する皆さんの凛とした姿勢が印象深く残り、自分の頑張る糧にもなりました。これも全部言葉によって結ばれたご縁だと思います。これからもこの縁を大事にしていきたいです。

<禁無断転載>

 

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<顧蘭亭先生のプロフィール>
中国・北京第二外国語大学日本語科卒業、お茶の水女子大学大学院修士課程修了。アイ・エス・エス・インスティテュートで通訳訓練を受ける。通訳・翻訳者。「JETプログラム日本語講座・通訳/翻訳コース」(アルク)、「どうも!日本語講座です」(NHK出版)など通訳、翻訳歴多数。共著に「起きてから寝るまで中国語表現700」などがある。アイ・エス・エス・インスティテュートでは、基礎科1レベルを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第7回: 鋲眸智子先生(英語翻訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「当たって砕けて。そして破片を拾いあつめて。」

         鋲眸智子先生(英語翻訳者養成コース)

 


「訳文に迷いがありますね」――ISSインスティテュートの翻訳者養成コース本科に通い始めて数か月、担当講師のこの一言が一筋の光となって暗中模索していた私を導いてくれました。今にして思えば、この頃の私はいつも“おっかなびっくり”訳していたと思います。こうは訳してみたけど、本当にこれで良いのか……。そんなふうに悩みながら訳していたので、あっちにふらふら、こっちにふらふら、さ迷い歩く訳文になっていたのでしょう。こうした自信のなさをズバリ指摘されたわけです。

 

翻訳を仕事にしようと思い立ち、翻訳コースに通い始めた頃の私はとても不安でした。ちゃんと仕事ができるのか、商品になる訳文を書き上げることができるのか。しかもクラスメートは優秀な方ばかり……自信もなくすというものです。そんなときに頂いた貴重なアドバイスが「迷いをなくせ、自信を持て」でした。それからは、自分の解釈に不安を感じても無難な表現で終わらせず、「この解釈に自信を持て!」と言い聞かせながら、一歩踏み込んで訳すようになりました。もちろん、その結果として的外れな珍訳になることもありましたが、講師からフィードバックをもらって大いに反省し、次に進みました。

 

文(訳文)には、書き手(翻訳者)の心情が表れます。「これで間違ってないかな?」と迷いながら訳せば、恐る恐る綱渡りしているような訳文になるし、原文の本筋を掴んで上手く気持ちをシンクロさせることができれば、勢いがあってリズムの良い訳文になるでしょう。「この原文、意味わかんない!」とイライラしているときには(←何故か和文英訳しているときによく思います…反省)、愛想のないトゲトゲとした訳文にもなり得ます。翻訳を勉強する中でこうしたことを学んだ私は、自信と愛情(?)を持って原文に取り組むことを心掛けるようになりました。

 

同時に、「自信を持て」という講師の言葉に支えられ、それまで不安で先延ばししていた翻訳の仕事探しも積極的に始めました。ちょうどそのときISSから舞い込んだOJT募集のお知らせ。早速応募してみることにしました。結果、翻訳者としては不合格でしたが、スタイルチェックのアシスタントとしてプロジェクトに参加させてもらえることになりました。


さらにOJTが終わる頃、チェッカーとして登録しないかとお誘いを頂きました。チェックは、プロの翻訳者の方の訳文を原文と照らし合わせ、訳漏れやミスを直す仕事です。「翻訳もまだまだなのに、チェックなんて……」と初めは思いましたが、OJTで指導してくださっていた方から「勉強になるから」と勧められ、トライアルを受けました。結果、なんとか合格。実際始めてみると思っていた以上に勉強になる仕事でした。一語一語、日本語と英語を照らし合わせていくので、「あ、こんな訳し方ができるのか!」「この表現さすが!!」とたくさん学ぶことができるのです(もちろん感心しているだけでは仕事になりませんが)。ISSの方から丁寧なフィードバックを頂けたことも有難かったです。学校もグループ企業の翻訳事業部門も、本当に辛抱強く私を育ててくれました。

 

その後しばらくしてトライアルを受け直し、翻訳者としても登録しました。以後、ときどきフィードバックも頂きながら、翻訳者・チェッカーとして何とか毎日を凌いでいます。一つ一つの仕事を丁寧に。そして気持ちを込めて。

 

翻訳者としてはまだまだ駆け出しの私が偉そうなことは言えませんが、以上の経験から、今後翻訳の勉強を始めようとしている(あるいは既に始めている)皆さんに一言だけお伝えしたいことがあります。


自信を持って、初めの一歩を踏み出してください。学習の途中は不安になりやすいものですが、その不安を呑み込んで、前進し続けて下さい。なにごとも、できるかどうかはやってみないと分かりません。だから当たって砕ければいいのです。そのかわり、砕け落ちた破片はちゃんと自分で拾いましょう。失敗したら、反省して自分の糧とする。その先にきっと成功が待っています。自分の夢を叶えるため、授業はもちろん、あらゆる機会を活用しましょう。翻訳学校も講師も自分のために使い倒してください。皆さんが目標を達成できるよう、心から応援しています。

<禁無断転載>

 

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<鋲眸智子先生のプロフィール>
一橋大学法学部卒(国際関係学専攻)。政府系機関でアジア、アフリカなどの開発援助に従事。その後アイ・エス・エス・インスティテュート英語翻訳者養成コースを修了し、フリーランス翻訳者となる。主に、国際協力分野や学術論文、歴史関連、アパレルなどの英日/日英翻訳を手掛ける。アイ・エス・エス・インスティテュートでは、2016年までビジネス英訳科、総合翻訳科・本科レベルを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第6回: 川瀬三千代先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「通訳訓練に挑戦するあなたへ贈る3つのキーワード」

         川瀬三千代先生(英語通訳者養成コース)

 

 

ISSグループ創業50年・・・私はちょうどその半分を共に生きてきたのだと、改めて気づきました。生徒としては、土曜本科(現プロ通訳養成科3)と同時通訳科で、中休みも入れて足掛け3年半お世話になりました。2年目頃からは講師の仕事もさせていただき、四半世紀が過ぎました。思い出話は尽きませんが、今回はこれから厳しい道をあえて選択したあなたに、はなむけの言葉として3つのキーワードをお贈りします。

 

きっとあなたの頭には今、「努力」をいう言葉が浮かんでいることでしょう。もちろんです。でも、「努力」はすべての大前提なので、今回のキーワードには含みません。いうなれば、努力を「見える化」するためのヒント、となりましょうか。

 

キーワードその1:「時間を作る」・・・私が生徒だった頃は、ちょうど子育て真最中だったので、勉強時間の確保が大きな問題でした。当時の写真を見ると、寝不足で顔がむくんでいます。でも、それがなんでしょう。数年後にはちゃんと元に戻りました。すでにフリーで通訳の仕事もしておりましたので毎日が時間との戦いでしたが、時間が確保できた時に実行する勉強メニューをあらかじめ考えて過ごしていたと記憶しています。15分ある!よし、シャドウイングしよう。30分取れる、よし、単語定着を頑張ろう!しめしめテキはお昼寝だ!1時間復習ができるぞ・・・今でいうゲーム感覚で、徹底的に「時間のニッチ」を活用していましたね。もちろん真夜中の静かな数時間は大変貴重でした。基本的に生活と仕事と子育てに必要な時間以外はすべて、勉強に充てました。当然ながら、当時の流行の歌もテレビドラマも映画も、何も知りませんし、いわゆるママ友は1人もできませんでした。以前からの友人・知人にも不義理をしました。でも、それがなんでしょう。昔からの親友は、今でも親友です。講師の仕事をする中で「先生、やる気はあっても時間がないんです」という言葉を何度聞いたことか。でもそれは、本当の「やる気」ではありません。時間を作る覚悟がないなら、通訳訓練はストレスになるだけです。あなたの時間はどこに作れますか?

 

キーワードその2:「環境を作る」・・・15分時間ができた!シャドウイングだ!よいしょ。テープレコーダー(当時の機材です)を出して、カセットを選んで・・とやっている間に5分が過ぎてしまうことに気づきました。居間の隅に勉強コーナーを作り、筆記用具・開いたノート・機材(すでにカセット入り)その他必需品を並べ、「時間ができた!」と思ったときには間髪をいれず椅子にすっぽり身を収めることにしました。15分確保!すっぽり。ボタンをポンでシャドウイング。30分ある!すっぽり。カセットをちゃちゃっと交換して復習の続き。「やろう!」と思ってから10秒後には開始する環境を整えたことが、私には有効でした。あなたの環境はどこにありますか?

 

キーワードその3:「自分が自分のトレーナー」・・・バレリーナを目指すなら、毎日黙々とバーレッスンをするでしょう。ピアニストになりたいならハノンのような音階練習で毎日必ず指を動かすでしょう。通訳訓練においても「日課」をこなす必要があります。何を日課とするか、決めるのはあなたです。自分の中に客観的な「トレーナー」の目を持ちましょう。英語/日本語のインプット/アウトプット、リテンション訓練、授業のトピックレビュー、知識獲得も狙った新聞音読等々、材料には事欠きませんね。「このジャンルの知識、欠如していない?」「この前の授業で指摘されたミス、直せているかな?」「ちょっと乗らないなぁ。メニューがマンネリ化しているかも。新風を吹き込んでみるか」・・・あなたを励まし、時にはなだめて「日課」に向かわせてくれる冷静なトレーナーはどこに?そう、あなた自身の中にいます。

 

冒頭でも申し上げたように、あなたは厳しい道を選びました。時にはしんどく感じるでしょう。でも「できた!」と実感できる時もあります。いろいろな思いをしながら、それでも1本「芯」の通ったことを日々続ければ、人生は変わる。通訳訓練はその「芯」をあなたにくれるかもしれない。私の場合はそうでした。

 

通訳訓練は「伝える力」を総合的に鍛えるものです。しかしこれまで、多くの生徒さんは「伝えるツール」としての英語のコマンドを大幅に上げる必要がありました。上記の「日課」を実践した結果、思わぬところでその副次的効果を発見した生徒さんの声をご紹介しましょう。Aさん:「シャドウイングを毎日したら、800点台だったTOEICが一気に100点上がりました。」Bさん:「外資への転職に成功しました。英語面接の時、『主語は絶対に変えるな!』という先生の顔が浮かびました。」(その時浮かんだ私の顔は、きっと鬼の形相だったことでしょう。許します。)すでに通訳として活躍していたCさん:「先生、この前の仕事で、苦労した単語テストの経済用語がポンポン出てきました。あきれるほどの驚きでした。」

 

再度申し上げますが、楽な道ではありません。私にとってもそうでした。ある日など、準備万端整え、さあ授業に臨もうと思っていた矢先、家族の急な事情でやむなく欠席しなければならなかった時の無念さ。でも、やりきれない思いを抱えていた真夜中、突然ファックスが鳴り、「今日の授業では、こんなことをやったよ〜」と、クラスメートから詳細な授業内容が送られてきました。その時のファックスのカタカタ・・という音を私は忘れていません。またある日、無残な結果に終わった仕事から打ちひしがれて帰宅した後、不覚にも涙した私の背中を懸命にさすってくれた娘の小さな手のひらの感触を、私は忘れていない。形は違っても、あなたを支えてくれるものはきっとあると私は信じます。

 

実はキーワードは他にもたくさんあるのですが、それについてはご縁があったら又の機会に。願わくは数年後のあなたが、あなた自身のキーワードを発見していますように。健闘を祈ります。

<禁無断転載>

 

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<川瀬三千代先生のプロフィール>
アイ・エス・エス・インスティテュート同時通訳科修了。フリーランスの通訳者・翻訳者として、環境、土木関係、ビジネスミーティング、海外向けニュース編集通訳など、幅広い分野で活躍。アイ・エス・エス・インスティテュートでは当時主に基礎科レベルを担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第5回: 片山英明先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「教えることは学ぶこと」

         片山英明先生(英語通訳者養成コース)

 

 

卒業後、サラリーマンとして建設関係の会社に就職しました。国内の建設工事が主な仕事でしたが、入社して10年目ぐらいに会社が大きく方向を転換し、海外に進出することとなりました。当然のことですが、文書も英語で書かれたものが出回るようになり、海外への出張、また外国からのお客様の往来も増え、業務を遂行する上で英語が必須となりました。書類はある程度は読めたのですが、聴くこと、話すことが苦手で、月曜日に打ち合わせの予定があると聞くと憂鬱な週末を過ごした記憶があります。

 

そのうち慣れていけば何とかなるのではという感じもありましたが、英語へのプレッシャーは増すばかりでした。定年までまだしばらくありましたので、ここは心を入れ替えて自分の英語レベルを仕事をこなすために十分なレベルまで上げるしかないと決心。一念発起して英語の勉強をすることにしました。幸い仕事で使う資料もありましたし、話す機会もありましたので、環境には恵まれていたと思います。まず、身近な書類をじっくり眺めて、分からない単語を辞書で調べることから始めました。会社の中で行われていたネイティブの講師を雇っての英会話教室にも参加しました。また、仕事でご一緒した方を鎌倉などに案内したりして、できるだけ話す機会を作るようにも心がけました。

 

仕事の合間に時間を見つけ、とぎれとぎれではありましたが、何とか諦めずに勉強は続けていきました。しばらくすると、といっても何年もかかりましたが、なんとか普段の業務にはあまり不自由がないところまではたどり着きました。そうはいっても、まだ英語に対するプレッシャーは残っており、本格的に勉強したいと思っていたところ、通訳学校に通っている人からお話を聞く機会がありました。授業の内容を聞いてみると、「英語のレベルも高く、通訳訓練を行う授業でかなり刺激的ですよ」とのことでした。その時は通訳者になるという気持ちはありませんでしたが、どんなものか一度挑戦してみようということで入学したのが、ISSインスティテュート横浜校の英語通訳者養成コースでした。

 

入学してみますとこれが想像以上に刺激的でした。まずは単語。毎週のテストは大苦戦。さらに教材です。英語も日本語も内容は難しく、話題もいろいろな分野にわたっています。あまり馴染みがない話題はその背景知識を調べてみるところからのスタートでした。それより何よりびっくりしたのは、同じクラスの他の人です。英語そのものにはある程度自信はあったつもりですが、世の中にこんなによくできる人がいるものだと感心し、「果たして自分がここにいていいのだろうか?皆に迷惑かけているのでは?」とまで思ったことを覚えています。ただ、そうはいってもせっかく入学したのだから何とかついていきたいと思い、まずクラスの皆さんとお友達になるところから始めました。英語の実力には確かに違いはありますが、勉強している同じ仲間ということで、やがてクラスメートの皆さんと話し合えるようになりました。

 

悪戦苦闘しながらではありましたが、何とか諦めずに粘って続けていた時、突然「講師をやってみませんか」とのお話がありました。生徒として入学した時以上に刺激的なお話でした。他の先生からも「自分の勉強にもなりますよ、是非やってみなさい」と励まされ、受講生としての気持ちは十分分かっていましたし、また授業を通じて先生方からいろいろ教えていただいたことを、これからの人に伝えていきたいという気持ちもあり、引き受けさせていただきました。始めてみるとこれが本当に自分の勉強になりました。まずは資料の準備。教材の内容も納得いくまで調べることになります。また、受講生の皆さんとのやり取りで、こんな解釈もあるのか、こんな言い回しも考えられるのかと毎回新しい発見です。受講生の皆さんから刺激を受け、勉強させていただいている気持ちです。「教えることは学ぶこと」という言葉がありますが、文字どおりこの言葉を実践させていただいております。

 

教材の内容も馴染みがなく難しいものもあります。毎回の予習、復習も結構大変でしょう。でも、決して一人だけと思わないことです。皆同じ気持ちです。勉強してみようという気持ちで授業に参加しているのです。クラスメートと励まし合って粘ってみてください。

 

皆さんと教室でお会いできることを楽しみにしております。

<禁無断転載>

 

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<片山英明先生のプロフィール>
大学卒業後、30余年エンジニアとして海外の建設工事を行う会社に勤務。業務遂行に必要な英語力習得のためアイ・エス・エス・インスティテュート横浜校通訳科に在籍。その後、フリーランスの通訳として、主に技術、建設関係の分野で活躍。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に入門科レベルや通訳訓練を応用した英語力強化クラスを担当。

 

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丸片山英明先生が担当されるウィンターコースのご案内丸
 

 四葉のクローバー 短期コース2017ウィンター
 [英語]「はじめての通訳訓練」
 [横浜校] 2/5, 12, 19, 26(日)10:00〜12:00 (全4回)

 

  短期コース2017ウィンターは、入学金・レベルチェックテストは不要です。
  受講特典あり!クラスの詳細、お申込みはこちらから:
  http://www.issnet.co.jp/w17/english/interpretation/#ei_02

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第4回: 石黒弓美子先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「勉強は自分への投資」 〜言葉によって生かされてきた通訳人生〜

         石黒弓美子先生(英語通訳者養成コース)

 

 

「『言葉は神なり。よろずのものこれによりてなり、これによりてならざるものなし』とは、聖書の教え。一方日本語でも、『神』は、『示す偏』に『申す』と書く。いずれも言葉を意味するもの。言葉は人を生かしもするし、殺しもする。『ペンは剣よりも強し』の諺にもある通り。剣による傷はいずれは癒えても、言葉による心の傷は、剣による傷が癒えた後も、何年もの間、癒しがたい。だから言葉を大切に」というのが、母の教えでした。

 

ちょうど多感な頃でした。英語を勉強し始めて間もなくの頃、英語という言葉に対する興味から、「英語を使って人を活かす仕事に就く!」と心に決めました。そして望んだ仕事が通訳の仕事です。しかし、陳腐な台詞ですが、「人生は紆余曲折」。大学入試に失敗し、父の倒産でお先真っ暗という経験もしました。最初に習った通訳の先生には「他の就職先を紹介する」という形で見捨てられました。それでも、ずうずうしくも、一度も「通訳になるという夢」を捨てようと思ったこともなく、捨てなくてはならないかしらと疑ったこともありませんでした。むしろ、困難と挫折が留学の決意を固めさせてくれました。


「人より辛き言葉にてとがめられし時、天使来りて我を諭したもうと思うべし。悪しきいざないは甘き言葉より来たり、よき導きは苦き言葉より来る」という、受け売りでしょうが、母の勇気づけにより、見捨てた先生の厳しい「不合格宣言」も、「別の道もあるよ」というよき導きだと信じることができたのでした。


留学を果たしたのは24歳の時。アメリカの大学を卒業するのには、5年の歳月を費やしました。通訳の一年生になった時には、32歳になっていました。それでも「遅すぎた」と感じたことはありませんでした。「人生は長い」「勉強は自分への投資だ」という、これまた母の強い信念が私に乗り移って、背を押し続けていたからでした。


「捨てる神あれば、拾う神あり。」諺は、まさに言い古された言葉でありながら、だからこそ真理をついています。アメリカから帰国後、通訳の勉強を再開するにあたり、拾ってくれたのがISSでした。子持ちで、働くところもなく、お金もなかった時に、授業料半分の奨学金と勉強の機会を与えてくれたのでした。セカンドチャンスが与えられたのです。そこから本当の通訳のプロへの道が開かれたのでした。

 

今振り返ってみれば、母の口癖通り「悪いことは一つもない」だったのです。こうして見ると私のこれまでの人生は、ずっと、よき言葉によって導かれてきた半生でした。「英語という言葉を使って人を活かす仕事に就きたい」と切望しながら、母の叱咤激励の言葉の数々はもちろん、Never too late! Never give up! You are what you believe you are! などなど、私自身が言葉によって活かされてきたのでした。

 

通訳というのは、実に厳しく、つらい仕事です。一人前になるには、何年もかかります。プロになるにはかなりの金銭的な投資を伴う場合も少なくないでしょう。プロになったところで、緊張のあまり、肩こりや歯の痛みが伴うこともある苦しい勉強が終わるわけでもありません。むしろ、そこがスタートです。仕事を頂くたびに、山のような準備の勉強が待っています。その準備次第で、次の仕事が頂けるかどうかが決まります。一回一回が真剣勝負。限られた時間と能力を駆使して準備をします。私は、通訳の仕事は「準備8割、本番2割」と考えています。体力と気力と知力の勝負です。

 

通訳は人の言葉を、また別の人に伝える仲立ちをするコミュニケーターであり、よく「黒子」だと言われます。確かにある意味では黒子ですが、実は「黒子」であって「黒子でない」。通訳には通訳者の全人格がどうしても現れます。通訳はinterpretation、「通訳者の解釈」であり、通訳には、通訳者の人間理解力と洞察力、そして豊かな表現力が現れるからです。日本語通訳の美しさではこの人の右に出る人はいないと言われ、ISSで最初にご指導くださった先生のお一人、田中祥子さんは、特に人前に出て行う逐次通訳については、ごまかしがきかない、通訳者としてすべてを試される、まるで「丸裸で人前に出るような思いがする」と表現されています。


しかし、同時に通訳という仕事は、準備が活きた時には、この上もなく楽しく、やりがいのある仕事です。知的刺激の大きい仕事です。学びの多い仕事です。息の長い仕事で、それまでの人生のあらゆる経験が活きる仕事です。人生経験がプラスに働く仕事なのです。つまり、若い人はもちろん、人生経験を積んだ人にとっても、挑戦し甲斐のある仕事だと思うのです。

 

こうしたことが言えるのは、通訳という職業に就いてから30数年を経た今だからですが、今この道を進みつつある方々に、また、これからこの道を歩もうという方々に、大いなるエールを送ります。

<禁無断転載>

 

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<石黒弓美子先生のプロフィール>
英語会議通訳・NHK放送通訳者。東京外国語大学他で非常勤講師。NHKG-Media国際研修室講師。近共著:「英語スピーキングクリニック」「最強の英語リスニング実践ドリル」(研究社)など。
1974-1975年、USC南カリフォルニア大学・英語音声学特別コース修了。
1980年、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校・言語学科卒業。
1982年、アイ・エス・エス・インスティテュート同時通訳科修了。
1985年-2000年、アイ・エス・エス・インスティテュート通訳科・同時通訳科レベル担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第3回: 曽根和子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「壁を超えよう!」

         曽根和子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

 

私が最初にISSで学んだのは、もう30年以上前、高校の英語教師をしている時でした。英語が好きで、英語の教師になりましたが、英語教育以外の雑務に日々追われ、自分の職業選択はこれで本当に良かったのだろうか、と疑問に思っている頃でした。

 

ある日、「転職したいな、取りあえず求人広告でも見ようかな」とジャパン・タイムズを買いましたが、求人広告欄に行きつく前に、目にしたのがISS通訳コースの紹介でした。

 

通訳というのは、語学を使う専門職だし、私は教師をしていて人と接するのにも慣れている。「そうだ、通訳こそが、私のめざすべきキャリアなのだ!」などと浅はかに思いこみ、早速、ISSの入学試験を受け「基礎科2(現プロ通訳養成科1)」クラスに通い始めました。

 

しかし、「通訳になろう」などという私の大それた夢は、初回の授業で完全に叩きのめされました。私はそれまでに、別の語学学校で、英会話や英検のクラスを受講したことがありましたが、通訳のクラスは全然違う体験でした。もちろん英語力の問題もありましたが、人の話を理解し、分析し、別の言語で表現することは、英会話とは全然違うことなのだと思い知らされました。英語の読解力や文法には自信がありましたが、そんなレベルの話ではありませんでした。

 

授業は厳しく、毎回単語テストもあって、予習、復習は大変でした。また、授業以外にも、単語力のアップや背景知識の強化のための日々の勉強が必要でした。それでも、担当の先生には厳しく、かつ温かいご指導をいただきましたし、クラスメートの皆さんとは、授業前に勉強会をしたり授業後に反省会をしたりして、互いに切磋琢磨して努力しました。当時のクラスメートの方々とは今でも親交があり、通訳クラスに通っていて本当に良かったと思っています。

 

その後、私はオーストラリアの大学院に留学し、英日通訳・翻訳の修士号を取得して、帰国後に通訳者となりましたが、大学院の留学中に、ISSで学んでいたことが本当に役に立ちました。私が留学した大学院の英日通訳・翻訳の修士課程は、通訳と翻訳の能力を向上させることが目的のコースで、留学中は、大学院、下宿、図書館の3地点を結ぶ移動しかしなかったと言っても過言ではないぐらいハードな勉強をこなさなければなりませんでしたが、私はISSで厳しい授業にも慣れており、通訳の基礎的なスキルや勉強方法などを学んでいましたので、基礎に裏打ちされた、極めて効果的な学習ができました。留学中は、日本でISSに通っていて本当に良かったと思ったことが何度もありました。

 

帰国後もISSには、日本の市場で通訳者として稼働するにあたっての相談にのっていただいたり、実際に通訳のお仕事をご紹介いただいたりと、大変お世話になりました。また、留学前にISSに通学していたご縁もあって、講師を務めさせていただくことにもなり、現在に至っています。

 

かつては受講生として、また現在は通訳クラスの担当講師として、ISSと長期にわたり良い関係を築いてこられたことを、私は大変嬉しく思っています。

 

ISSの通訳クラスは、単に英語力を伸ばすクラスではなく、「英語と日本語を駆使する通訳者」としてのスキルを習得するクラスです。ですから、英会話のクラスや英語の資格試験用のクラスと異なり、英語の運用力だけでなく、日本語の運用力も向上させ、コミュニケーションのスペシャリストに必要な資質を伸ばすことが求められています。当然、授業は厳しく、日々の自主学習も大変です。しかし、それを乗り越えたところには、必ず、自分の新しい可能性が広がっています。

 

ISSで学んでいた頃、私が痛感したのは、英語のスペシャリストになるには、こういう授業を乗り越えて、実力をつけていかなければならないのだということでした。英語教師として、それなりの自信を持っていた私でしたが、ISSを受講している時は、目の前に高い壁ができたような思いで、何度も挫折感を味わい、打ちひしがれました。しかし、私はその一方で、こういう授業を乗り越えていけば、そこに英語のスペシャリストとしての新たなキャリアが開かれるだろうという希望も抱いていました。

 

「壁というのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている。」

 

これはイチロー選手の言葉です。

 

皆さんには、ぜひ、自分の目の前の壁を超え、新たな可能性を見出していただきたいと思います。

<禁無断転載>

 

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<曽根和子先生のプロフィール>
慶応義塾大学文学部卒業。神奈川県の英語教諭を経て、オーストラリア・クィーンズランド大学大学院にて英日通訳・翻訳の修士号を取得。帰国後フリーランスの通訳者となり、現在、NHK衛星放送の放送通訳、会議通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に上級クラスの指導に当たるとともに、複数の大学でも通訳・翻訳の講座を担当。

 

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 丸曽根和子先生が担当される ウィンターコースのご案内丸
 

  四葉のクローバー 短期コース2017ウィンター
     [英語] 「横浜校限定 社内通訳 〜逐次通訳編〜

       [横浜校A]  2/5, 12, 19, 26(日)14:30-16:30(全4回)

       [横浜校B]  3/11(土)10:30-15:30(休憩1時間)(1回)

 

  短期コース2017ウィンターは入学金・レベルチェックテストが不要です。
  受講特典あり!クラスの詳細、お申込みはこちらから:
  https://www.issnet.co.jp/courses/e_i_short.html#feature5

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第2回: 日野峰子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「未来の仲間たちへ」

         日野峰子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

 

会議通訳者には東京の、特に語学系が強い大学の卒業生が多いのですが、私はその中ではちょっと異質で北海道大学出身です。大学ではESSでアカデミック・ディベートに夢中になっていました。その頃、札幌近郊の空調メーカーで、施設の改築プロジェクトに2年間という長期間招聘されたデンマーク人の建築家のために、通訳・翻訳のアルバイトを探していることを知って応募、その後スイスから加湿器を輸入していたその会社のお手伝いを何年にも渡ってすることになります。

建築図面を翻訳したり打ち合わせの通訳をしたりしましたが、通訳訓練など受けたこともない私の通訳は、今思うと大変お粗末なものだったに違いありません。何もかも自己流でしたが、しょせん学生アルバイトですから、さほど期待値も高くなく皆さん優しかったのが幸いでした。


改築プロジェクトが終了した時、とても美しく仕上がった工場の一角で、この会社のお客様や関わった人たちを招いてお披露目のイベントが行われました。そこで建築家がプレゼンテーションをすることになったのです。それまではこぢんまりとしたミーティングでしか通訳をしたことはありません。数十人ものお客様の前であらたまったスピーチを訳すのは初めての経験です。大変緊張しましたが、終わった後の達成感は何物にも代えがたいものがありました。この経験がその後の私の進路を決めたのです。

 

卒業後はそのままフリーの通訳者となり札幌をベースに仕事をしながら、時々東京に短期の通訳講座を受けに出てきていましたが、結婚後、夫が東京に転勤になったのを機にきちんと通訳訓練を受けてみようと思いました。2校受験しましたが、もう一校の方は入学クラスを知らせるドライな通知をくれただけだったのに対し、ISSからは奨学生として受講料を割り引くので是非入学するようにと電話をもらったのです。どちらに入ろうか迷う必要がなくなりました。


レベルチェックテストでいきなり同時通訳科を受講することになり、最初はとっかかりがつかめずずいぶん苦労しましたが、何かを習得したと感じるたびに、より早くそこまで到達する方法はなかったのかと考えるようにもなりました。その時の経験から生み出したのが、現在のシステマティックな教授・訓練法です。効率的に通訳スキルを身に付ける最良の方法だと自負しています。

 

とはいえその方法でだれもが一足飛びに通訳者になれるわけではありません。通訳学校に入学された皆さんは、お金と時間を自分のために投資することを決めたわけですから、何が何でもその投資を回収するつもりで課題に取り組み授業についてきてください。まずは何度も練習して「これならばお客様に満足していただける」と思える質の訳出にたどり着いてください。ここで妥協をしたら進歩はありません。それができたら、今度はできるだけ少ない回数で、最終的には1度目からその品質で訳せるようになることを目指します。

 

ところで、こうして「通訳」「訳出」「訳す」といった言葉を私たち講師も当たり前のように使うからでしょうか、時折がちがちの直訳でとても不自然な通訳を耳にすることがあります。文字通り「訳す」ことばかりを考えていてはいつまでたっても質の高い通訳にはなりません。対象とする両言語の間に意味的に等価な表現を「探す」というアプローチを習得することが優れた通訳者になるための第一歩です。


そのためには両言語で十分に深く豊かな表現力が必要です。もともと自分のものになっていない表現が、ほかの言語から訳そうとしてみたら口をついて出てきた、などということが起こるわけはないのですから、通訳しようとする前に両方の言語能力をしっかりと磨いておくべきですし、その努力はどのレベルに到達しても終わることはないのです。


シャドウイングやリプロダクションなどの「訳さない」訓練はそのための効率的な方法ですが、これらも一度だけ行って課題をこなしたつもりになっていては時間の無駄でしかありません。暗記するのではなく繰り返しているうちに自然に覚えてしまったというくらいの境地を目指すと、自然と表現力を向上させることができます。伸び悩みを感じている人は「訳す」作業にばかり集中してこうした基礎訓練を怠っていることが多いものです。

 

さて、この学校の教務の皆さんの面倒見の良さは、私が入学した当時も今も変わりません。講師として教え始めていつの間にか四半世紀近くにもなることに先日気付いて愕然としましたが、私の厳しく辛辣なコメントを浴びた生徒さんを慰め励まし、継続を促してくれるスタッフの皆さんがいるからこそ、存分に私自身が考える高いスタンダードの授業を続けてくることができたと感じます。私は将来一緒に仕事ができる仲間を育てるために、これからも厳しくあり続けますが、ISSには温かい教務スタッフと、同じ志を持った多くの仲間がいることを忘れないでください。

<禁無断転載>

 

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<日野峰子先生のプロフィール>
北海道大学卒業後、すぐにフリーの通訳・翻訳者に。1988年から2年間、アイ・エス・エス・インスティテュート東京校同時通訳科に学び、卒業と同時に会議通訳デビュー。CAD/CAMシステムベンダーのユーザーカンファレンス、ライフサイエンス・セミナー、世界医師総会・理事会、半導体関連の技術会議などを定期的に手掛ける他、シーラカンスシンポジウムなど珍しい会議にも嬉々として取り組み、幅広い分野にわたる国際会議で同時通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは、主にプロ通訳養成科、同時通訳科などの上級レベルを担当。

 

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丸日野峰子先生が担当される ウィンターコースのご案内丸

 

 四葉のクローバー 短期コース2017ウィンター

 1日集中!上級通訳者への3ステップ 〜逐次通訳・サイトトランスレーション・同時通訳〜
 [東京校] 4/1(土)10:00〜16:00(休憩1時間)

 

【日野峰子先生が伝授】インターネットで学ぶ!“伸び悩み解消”基礎通訳訓練
 ※随時受講開始できます

 

【日野峰子先生が伝授】インターネットで学ぶ!通訳経験者のための“訳出品質が変わる”情報分析力向上講座
 ※随時受講開始できます

 

短期コース2017ウィンターは、入学金・レベルチェックテストは不要です。
受講特典あり!クラスの詳細、お申込みはこちらから:
https://www.issnet.co.jp/courses/e_i_short.html

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
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