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講師からの応援メッセージ:第10回 李潔先生(中国語通訳者養成コース)

 講師からの応援メッセージ第10回は、中国語通訳者養成コース李潔講師からです。



四年に一度のオリンピックが幕を開けました。地球の向こうで戦っている選手たちの姿を見て、このうだるような暑さの中で元気をもらった人は少なくないでしょう。

さて、この間の通訳の仕事の話。日中友好事業として100名中国の学生を招く大プロジェクト。日本到着後の歓迎会が終わり、やっと帰れると思ったところ、予定していなかった日程説明会の通訳を急に頼まれた。手元に配られた日程表を見る暇もなく、いきなり説明会がスタート。担当者の後を追って訳していく中で、突然「富士山登山後、ほうとう作り体験」との説明が耳に入った。「富士山登山後、ほうとう作り??」、「富士山と言えば、山梨か静岡、山梨と言えば、ああ〜、あのほうとうか。」とようやく理解ができた。いつかテレビで見たことがあり、山梨の郷土料理で、武田信玄に由来する説もあると言われていたようだ。中国の故郷の麺料理とよく似ているので、偶然スーパーで見つけ家で作ったりもしていた。100名の学生を目の前に、解釈を入れながら訳していた。「在登完富士山之后,请大家体验制作当地的一种面食,日语叫做hoto。」もしほうとうの意味を知らなかったら、危うく一瞬言葉を詰まらせるところだった。

通訳は膨大な語彙量と知識量が常に求められている。中国語の諺には「一口吃不成个胖子」というのがある。「一口食べるだけでは太りません」という意味だ。普段から常に蓄積していかなければならない。常に自分の中でアンテナを張る心がけが必要だ。テレビ、新聞、書籍等を利用して、身近で見たもの、聴いたもの、感じたものを日々蓄えておこう。今日覚えた言葉は将来いつかどこかで大きな力を発揮してくれるかもしれない

さて、もう一つ仕事中にあったこと。中日学生の交流会の中で、「中国の学校では文化祭はどんなイベントがあるの?」という日本側の質問に対し、北京から来た学生は熱心に様々なキャンパスイベントを紹介してくれた。その中に「校园歌星大赛」というのがあった。「キャンパス歌のスター大会?う〜ん、ピンとこない訳だな」と頭をフル回転させて良い訳を探そうとしたら、次の瞬間なぜかNHK日曜昼恒例番組「のど自慢」の画面が脳裏を過った。「そうだ、のど自慢だ!」とそう訳したら、日本の学生たちが一斉に「おお〜」と頷いた反応を見て、ちょっぴり痛快な気分だった。

通訳は橋である。対岸までうまくものを届けられるかは言うまでもなく重要なことだ。分かりやすさが最も肝心だといつも心がけている。聞く側の立場に立って考え、言葉の転換作業を行う。皆さんも訳す前に、まず「この訳、ちゃんと伝わるのか?」と自分に問うてみよう。

ロンドンオリンピックは初日から激しい戦いが続いている。四年に一度のスポーツの祭典を楽しむと同時に、スポーツ関連用語を学ぶ絶好のチャンスだと皆さんにアピールしたい。夏の夜に、オリンピック、ビール、お酒のつまみに辞書を手元に置けば、最高の組み合わせではないか!一箭双雕,何乐不为?


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仕事ルポ:李潔先生

講師インタビュー:李潔先生


| 応援メッセージ | 10:00 |
講師からの応援メッセージ:第9回 新庄まゆみ先生(中国語翻訳者養成コース)
講師からの応援メッセージ第9回は、中国語翻訳者養成コース新庄まゆみ講師からです。

翻訳者をめざすなら、回り道やで!


初めて入った貿易会社では、計算は間違うわ、船積みせんで船は出るわ、でついに「会社のために、辞めてくれへんか(つまり、給料ドロボーを養う余裕はない)」と言われる始末。ぷー太郎暮らしの後(その頃引きこもり、ニートということばはない)、死んだように静かな翻訳会社で校正ペン片手に(まだ手書きやった)コックリと舟をこぎ、次は利益追求と無縁なお役所で税金ドロボーをし(またドロボーやろか。毎日天国やったが、やりがい無し)、ついにどなたはんとも喋らなくても勤まる在宅翻訳という世界に足を踏み入れたのも自然の成り行きやった。オリジナルに沿って工夫しつつ、文章を書くことを含む翻訳という仕事は、書くことが好きな私にはこれ以上ない天職やと思ってるんや。


せやけど、40すぎて二人目が生まれると、今度は子どもに時間ドロボーされ(バチがあたった)、授乳しながらパソコンに向かい、離乳食は手抜きのチン!高齢ママは、公園デビューもかったるく、思わず「負けへんでー」と叫ぶ日々。そのうち仕事も減り、翻訳のことはほかしといて、半ば開き直って始めたのが川柳の通信講座やった。


与えられた課題で川柳を詠む課題吟では、課題から適度な距離を保つ。語句は重複せん!こと。たった17文字で勝負する世界なんや。最初に浮かんだアイデアに固執して己の作品におぼれてはあかん、なんやらとゆう説明を読むうち、アレ、これや、なんか翻訳のヒントだらけや!頭をガーンと殴られた。さらに他人の川柳の添削、ぎょうさんの川柳のなかからピカっと光る作品を選び出す「選句」なんやら、日本語力アップに役立つ内容満載(NHK学園通信講座さん、ホンマにおおきに、謝謝)。


怠け者が他に逃げてみたものの、翻訳と川柳の接点の多さにがく然とし、アカン、これやはもう逃げられん、と観念した。


翻訳者をめざす受講生のぎょーさんはおなごなんや。仕事、結婚、出産、介護なんやら、人生いろいろ。悩んで時には回り道するのもええじゃないか。巡り巡ってどないな事も、ムダはない。人生80年(100年かもしれへん)。あ、それで、私が翻訳者になりよったかどうかは、不明。「半世紀生きて利口になってへん」おそまつでした。こんな「講師」は超えなあかん。


この頃方言コスプレとゆうのが流行っておるとゆうので、東京出身の田舎者のワシも、やってみた。さてここで質問。「方言」ってゆう表現を使うと、なんや東京がエラいみたいやから、この頃は違う言い方をするんやて。なんてゆうんやろか?


答えは次回の応援ブログに。(あっ、これは連載やない。どないしょう……。)             

 (正解は→お国ことば、例:岸和田ことば。)


                                     「関西ことば翻訳:by浪速の橋下です」

| 応援メッセージ | 12:39 |
講師からの応援メッセージ:第8回 椙田雅美先生(中国語翻訳者養成コース)
   講師からの応援メッセージ第8回は、中国語翻訳者養成コース椙田雅美講師からです。


プロ翻訳者になりたいという方に「なぜ翻訳者になりたいか」と理由を尋ねると「中国語を生かして働きたいが、時間に縛られた会社勤めや人づきあいは苦手だから」とか、中には「自宅で稼げて優雅に暮らせそうだから」という方もいます。しかし現実の翻訳業というものは、不規則かつ余裕のない仕事のために時間に縛られ、孤独な作業を主としながらも会社勤め以上に人づきあいに苦労します。しかも対価は低く、在宅翻訳だけで生活することは困難、優雅な生活とは対極にあります(キッパリ)。


それでも構いませんか?では続きをお読み下さい。


プロ翻訳者に求められていることは「訳文の用途にあった翻訳をする」ということです。翻訳を依頼してくる側には、必ず翻訳文の使用目的があり、訳者もその目的に沿った翻訳をする必要があります。日本或いは中国の慣習に合わせた読みやすい文章になるよう訳すこともあれば、あえて原文の逐語訳を行うこともあります。話し言葉の原文をビジネス文書の形式に整えながら訳すこともあれば、硬い文章を広告のキャッチコピーへと訳すこともあります。「正確な訳」だけでは不十分で「使える訳」をしなくてはならないということです。


また、プロ翻訳者にとって最も大切なことは「納期を守ること」です。翻訳者が納期までに訳せないということは、通訳者が現場で黙って突っ立っているのと同じです。どんな訳文であっても納期までに納品できなければ紙くずならぬ「データくず」となってしまうのです。


当然のことだと思われるかも知れませんが、現実には、依頼された仕事について「調べたけれどわかりませんでした」とか「急用が出来ました」などの理由で、納期を守らない人が相当数います。これは翻訳者として失格です。厳しいエージェントなら二度と仕事を依頼してくることはないでしょう。プロを目指すなら、まず自分の翻訳の能力を正確に把握した上で、何を、どれだけ、どの程度のスピードで訳せるか冷静に判断し、ひとたび仕事を受けたら何が何でも納期を厳守することです。出来るかどうか不安な仕事を受けるべきではありません。外国語の上達には、物怖じせず話してみる、訳してみるという度胸が必要ですが、プロが「技量不足は度胸で補えばいい」という甘い算段で仕事を受けるのはトラブルのもとです。自信を持って取り組める仕事を受け、自分が納得できる訳文を納品する。つまりは着実な成果を上げて、信頼を積み重ねていくことが、翻訳者としてのスキルを高めることだと思います。


そうは言っても、実際の翻訳の仕事では、訳し始めてみないと難易度や所用時間がわからない場合が多々あります。休日返上で一日中パソコンにへばりついても遅々として進まず「火烧屁股(お尻に火がつく)」の先に「通宵(徹夜)」が見えてくると「やれやれ、何でこの仕事を選んだのだろう」と思うのですが、そこで改めて「なぜ翻訳者になりたいか」です。


私の場合は、原文を読んだ人が感じることを、訳文で読む人にも同じように感じてもらえる翻訳をしたいからです。どんな内容の原文であっても真摯に向き合い、責任を持って訳すことで中国の実像が伝わり、中立・対等の立場から中国とつきあえる日本人が増えるよう願っています。


プロ翻訳者を目指す方は、まず自分が何のために訳したいのか、どんな翻訳をしたいのかを明確にして下さい。目標が明確であれば、おのずと翻訳に対する姿勢も定まり、道は拓けてくると思います。

| 応援メッセージ | 13:04 |
講師からの応援メッセージ:第7回 望月暢子先生(中国語翻訳者養成コース)

 講師からの応援メッセージ第7回は、中国語翻訳者養成コース望月暢子講師からです。

 

 

新学期が始まって1カ月。みなさん、だいぶ慣れてきましたか?

翻訳は時間がかかるでしょう? 忙しいと、課題をこなすのも大変! 毎回、とにかく日本語(中国語)にして早く出さねば〜、と焦りがちですね。今回は、そんなあなたに、速く楽しく訳文の完成度を上げるコツをご紹介します。

やり方はとっても簡単。自分が読者に成り切って、自分という読者のために訳すのです。

その時に、この翻訳は誰が、どういう立場で、何のために使うのだろう? どういう効果を期待して読むのだろう? 内容についてどのぐらい知識を持っているのだろう? 等々、できるだけ具体的に読者像を設定します。そのためにはあらかじめ原文を読み込んでおく必要がありますが、それは通勤電車の中でもできますね。

さて、そうして想定した最初の読者たる自分は、実はけっこうレベルが高い。翻訳をやってみようという方は例外なく読むことが大好きで、優れた読み手です。その自分に向けて訳文を書く。すると、「文の後半のここが君には大事な情報だから、並列じゃなくてちょっと強調してあげようね」とか、「反対方向から言ったほうがわかりやすい?」とか自分がより満足できるように自然と工夫するようになります。少なくとも、「ちょっと変な文だけど、原文にそう書いてあるからいいか」ということは無くなります。…愛があれば

万人に向けて話すより特定の誰かに向けて話したほうが、同じ内容でも心に届きますよね。

読者を設定すると、ただ漫然と訳すよりも、何が言いたいのか焦点が絞れ、文章全体の流れも際立つようになります。読者として読む楽しさも加わります。

時間も頭も使う翻訳は、正直、負担もかなりかかります。でも、苦労すればするほど、確実にうまくなります。理解し表現するという二重の楽しさもやればやるほど味わい深くなります。そして、翻訳をしている時間、勉強をしている時間は、仕事のためでも家族のためでもない、自分のためだけに使う時間です。それはとても貴重なこと。その時間がより実りあるものになりますよう、私も気を引き締めて努めたいと思います。キリッ。みなさんも最後の課題提出まで、がんばって下さいね!

| 応援メッセージ | 10:05 |
講師からの応援メッセージ:第6回 馬小紅先生(中国語翻訳者養成コース)

講師からの応援メッセージ第6回は、中国語翻訳者養成コース馬小紅講師からです。


通过“中国語翻訳者養成コース本科1”日中翻译课程的教学实践,作为一名教师,也作为一名书面翻译工作者,我深深感到要想翻译出好文章,在将一篇拿到手的日语原文“转换”成中文的时候,至关重要的一个是对日语原文的理解,另一个是对日语汉字与中文汉字的认识。 

进入“中国語翻訳者養成コース本科1”的同学经常会问一个问题,就是“怎样才能提高中文翻译水平?” 

从基础科升到本科1后,在翻译文章时,可能关于中文的一些基本问题还存在问题。像  

 1.文法问题:主语、谓语、宾语、定语、状语、补语在文章中的位置 
 2.词汇量:词义、词性 
 3.动词(谓语)和宾语(名词)的固定搭配

这些问题的确令每个同学烦恼,而且这些问题也并不仅仅限于初级和中级班的同学。解决这些问题的方法在于长期不断的记忆和积累,要花费长功夫。 

除了中文的基本问题之外,往往被大家忽略的或者说不甚重视的是对日语原文的理解。对于日籍同学来说,对日语的理解好似不成问题,其实不然。通过翻译课程,可能很多同学和我一样都感到在很多时候,由于对原文的理解不深刻,或者不确切,没有抓住原文作者的真意,所以翻译出来的东西也就不贴切,或者词不达意。对日语原文的理解包括对表层意思和深层意思的理解。要想将深层意思也表达清楚,就要了解文章的出处、写作背景等。 

除此之外,还有一个比较重要的问题,就是很多同学在对日语汉字与中文汉字之间是有区别的认识方面存在问题。在将原文翻译成中文时,原文中出现的日语汉字大多不能拿来就用,很多日语汉字的意思在表达复杂内容时与中文汉字意思稍有不同。而大家之所以不能准确应用的原因就在于对“稍有不同”方面的理解和认识上尚存在缺欠。 

进入“中国語翻訳者養成コース本科1”的同学在加强中文基础学习的同时,只要加强对以上两个问题的认识和理解,在坚持不断的努力下,就会提高翻译水平而有所成就。 

相信来ISS学习的同学都是喜爱语言的,感受到语言的奥妙和趣味的。大家通过他国言语,可以发现言语之外不同的和相同的感受、不同的和相同的世界。可以说翻译学习也是开阔眼界的一种方法。



| 応援メッセージ | 13:24 |
講師からの応援メッセージ:第5回 包紅征先生(中国語通訳者養成コース)

講師からの応援メッセージ第5回は、中国語通訳者養成コース包紅征講師からです。


通訳の分野として法廷通訳があります。法廷通訳では、通訳者は審理に影響を与えないようにあくまでも黒子的立場で通訳に徹することが大切です。しかし、包先生が担当したある案件では、日本語と中国語の成り立ちの違いから通訳者が黒子以上の役割を求められることがありました。以下の事例が、通訳者を目指される皆さんにとって、通訳者に求められる役割とは何かを考えるひとつの契機になると幸いです。


否認事件の法廷審理だった。

被告人が一貫して否認したため審理は長引いた。関係者など次々と証人として法廷に呼ばれ、証言を求められた。
審理を重ねるごとに検察官と被告人の攻防戦は繰り広げられている。公判検事はパフォーマンスが実にうまい。弁護人の質問や被告人の受け答えを聞いている間、肝心なところになると必ず「またそんなくだらないこと」と言わんばかりに大袈裟にため息をついたり、皮肉たっぷりに薄笑いを浮かべたりして、徹底的に相手に揺さぶりをかける。
一方、一見真面目そうな被告人だが、事件に関する供述は少し腑に落ちないところも確かにある。
とはいえ、被告人が真犯人かどうかを追究することは私の仕事ではない。詮索は一切不要なものである。あくまでも中立の立場で、誠実な通訳に徹底することだ。

ところが、興味深いことに中国と日本の言語習慣や文化背景の違いは、時には法廷で浮き彫りされる。
ある時、日本人の証人がこんなことを証言した。
「イトコの所有物です。」 
実にわかりやすい文章ではないか。
しかし、これが中国語に訳せないのだ。これを正確に訳出するには少し大袈裟かもしれないけれど、簡単な家系図がほしいわけである。
イトコはイトコでも、中国の場合、父方と母方のどっちの血縁関係か、イトコその当人は男か女か、証人より年上か年下か、全部明らかにしないと訳出不能なのである。従って、ここで通訳を一時中断して証人に事情を説明し詳細を尋ねる段取りになる。
逆の場合、中国人が「是我表弟」と言ったらどうだろうか。
たったの四文字でも情報はぎっしり詰め込まれている。これを正確に訳すならば、「私の母親の兄弟か姉妹の息子で、私より年下のイトコである」というところだろうか。

こんな調子で延々と訳していると事情のわからない裁判官その他の関係者一同はたちまち不信と不安の渦に陥ってしまうだろう。やはりその背景をある程度前置きとして説明しなければならない。

黒子であるべき通訳者が自分の言葉を語りはじめる瞬間である。
審理の流れをかき乱すことのないように慎重に運ぶことが必要だ。通訳人は法廷の主役に回ってはいけない。いるのかいないのか気付かれないように、ひっそりとしていたいものだ。「あれ?そう言えばあの時通訳がいたっけ?」という風に思い出してくれる程度で十分である。



| 応援メッセージ | 15:56 |
講師からの応援メッセージ:第4回 平塚ゆかり先生(中国語通訳者養成コース)

皆様、こんにちは。
講師からの応援メッセージ第4回は、中国語通訳者養成コース平塚ゆかり講師からです。



初頭から使い古されたフレーズで恐縮ですが、グローバル化や日中間交流が進んだ今日、日中通訳者の活躍する場所も拡大の一途を辿っています。国際会議や放送通訳の需要増だけでなく、様々な業種のビジネスに従事する社内通訳や官公庁各機関での通訳、司法、医療などの通訳に従事するコミュニティ通訳、医療ツーリズム通訳、観光ガイドやエスコート通訳、メディア通訳など、内容、形態も多岐に渡っています。日中通訳市場が拡大しユーザーが増えることは通訳者にとって、また通訳者を目指す皆さんにとって一見喜ばしいことに見えるかもしれません。しかし、通訳ユーザーが増えたとしても「言語の転換をするのが通訳であり、2つの言葉ができれば誰でも通訳はできる」というような、ユーザーの誤った認識を是正しない限り、通訳者にとっても、またユーザーにとっても喜ばしい方向には進展しないのではないか、このような危惧を抱いているのは私だけではないと思います。

司法(法廷)通訳などのコミュニティ通訳者は「何も引かず、何も加えない」ことを原則としていますが、これは上記の誤った認識の元にユーザーである法曹界が設定した原則であり、実際の現場では通訳者が文化的仲介者としての役割を求められるケースが多く見られます。また、ビジネス、会議などの通訳現場でも、通訳者は瞬時に言語の表裏に存在する文化的差異を考慮し、時には仲介者としての役割を果たすことが近年の研究で報告されています。これは通訳者が自身の立ち位置や通訳の目的、コンテクストなどを考慮しながら訳出に臨んでいることを示しています。

かつて、ある日中通訳者の先輩は「君は私の息子のようなものだ」という日本人の言葉を「就像一家人一样」という中国語に訳した、と語っていましたが、これは「話者には故意に聞き手を怒らせる意図はない」と通訳者が瞬時に判断し、コンフリクトを回避するために、起点言語と目標言語の文化差を考慮して訳出した一例です。このように通訳とは単なる言語の転換だけではない、字面だけの理解では適切な訳出はできないケースが通訳現場には多々存在しているのです。ただ、通訳者は文化的差異を訳出に反映することは自身の裁量で行うことがありますが、言うまでもなく、話者の意図を覆すまでの訳出をする裁量は与えられていません。発話の「解釈」「転換」「再現」という通訳行為は通訳者自身という「フィルター」を通して行なわれるため、そこには完全なる客観性などないかもしれません。しかし同時に通訳者は、通訳者が越えてはならないラインを自身の中に設定しています。これがすなわち通訳規範と呼ばれるものです。規範があってこそ通訳者はその仕事を全うできるともいえるでしょう。

以上、問題提起の意味も込め、とりとめのないことを書いてしまいました。
通訳者を目指す皆さんも通訳は「解釈」から始まることを自覚した上で、「解釈」「転換」そして「再現」を的確に行うために、両言語のブラッシュアップはもちろんのこと、同時に異文化、自文化に対する理解、認識を深め、幅広い知識を日々吸収していかれることを願ってやみません。皆さんが通訳者として異文化コミュニケーションのフィールドに参入される日を心よりお待ち申し上げております。



| 応援メッセージ | 10:09 |
講師からの応援メッセージ:第3回 徳久圭先生(中国語通訳者養成コース)

皆様、こんにちは。
新年第一弾の記事は講師からの「応援メッセージ」です。
第3回は、中国語通訳者養成コース徳久圭講師からです。



のっけから恐縮ですが、みなさんはツイッターやフェイスブックをお使いですか? Google+はどうでしょう? ブログを書いたことは? 中国語の通訳や翻訳を学んでいる方なら、新浪微博や人人網や豆瓣などにアカウントをお持ちですか? ひとつもないという方は、今日からでも結構ですので何か始めてみてください。なにせ、これらネット上のサービスは基本的にみんな「タダ」ですから。


実は私も、こうしたサービスを使い始める前はかなり懐疑的でした。その時々の気分をネットに向かってつぶやいてどうするんだとか、実名をネットに晒すなんてこわいとか、私的な日記を大々的に公開するなんて倒錯じゃないかとか。でも実際に使い始めてみると、それまでの自分には想像もできなかった世界が広がりました。ブログやツイッターなどを通じて、お仕事をいただいたこともあります。


いや、仕事を得るためだけにこうしたサービスを使おうと言っているわけじゃありません。世の中の新しい動きについていくことが大切だと思うからです。通訳や翻訳の仕事はつまるところ、その多くが最先端の話題の仲立ちをすることです。二つの言語をそれぞれに使っている人々が、まだ定見や共通認識のない新しい問題について話し合いたい。だから通訳者を雇う。あるいは、最先端の話題なのでまだ自分たちの言葉に訳された資料や文献がない。だから翻訳者を雇う。そういう役割を期待されているのが通訳者や翻訳者だと思うのです。


実際に仕事をしてみればわかることですが、通訳や翻訳の現場では、ネイティブスピーカーに聞いてもわからない語句や概念が山のように出てきます。そこでは辞書もあまり役に立ちません。となれば、日頃から母語と外国語の話題にアンテナを張り、いかに広く浅く(できれば深く)不断に最先端の知識を更新しているかなかんずくネットをどう使いこなすかが鍵になります。一般のビジネスマンだってネット上のサービスをあれこれと研究し、使いこなして、世の中の動きについて行っているのです。ましてや通訳者や翻訳者を目指す人は、それ以上に貪欲になる必要があります。


もうひとつ。みなさんはパソコンの他にiPodやiPad、スマートフォンなどをお使いですか。こうしたデバイスを何となく敬遠してきた方も、できれば購入して使ってみることをおすすめします。世の中で話題になり、広く歓迎されている物にはそれなりの理由があります。けっしてバカにはできません。しかも私たちの後からは、こうした機器や上記のようなネット上のサービスを我々以上に、まるで呼吸するかのように自由に使いこなす「デジタルネイティブ」世代が次々に登場し、現場に参入してくるのですから。


学生時代、恩師からいただいた言葉に「ゴムの伸びきったような人間になるな」というのがありました。社会に出てもずっと学び続けて行きなさい、伸びきったゴムのように弾力性や伸縮性を失い、新しいことを吸収できないような人間になってはいけないと。かく言う私も、ネットやパソコンや携帯端末が本当に人間を豊かにし幸せにするのかについては、正直、疑問に思う部分もあります。それでも通訳や翻訳の仕事に関わろうとする以上は、なかば義務として新しい動きについて行くべきだと思うのです。どうでしょう。みなさんのゴムは……伸びきっていませんよね?

徳久圭講師のtwitterのアカウントはこちら↓
@QianChong

 

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| 応援メッセージ | 11:00 |
講師からの応援メッセージ:第2回 本島玲子先生(中国語翻訳者養成コース)

皆様、こんにちは。
講師からの応援メッセージ第2回は、中国語翻訳者養成コース本島玲子講師からです。




私が中国語と出会ったのは大学の外国語の授業でした。国文学専攻だったのですが、中国語の授業に出てからは「もっと中国語を勉強したい」と思い始め、大学卒業後は、仕事をしながら中国語の学校に通って勉強を続けていました。そして、ますます中国語の面白さにのめり込んでしまい、少しずつ「いつか中国語で仕事がしてみたい」と思うようになりました。そこで通訳や翻訳の勉強できる学校を探し始めたのですが、私の場合、ちょうど一番勉強したいと思った時期が子育てと重なってしまったため、子育てをしながら時間を捻出し勉強していました。


その後、何年か経って勉強してきたことが少しずつ仕事に結びつくようになりましたが、仕事をするようになって改めて感じたのが「日本語力の大切さ」でした。もちろん語学力は大切です。私もそれまで中国語の勉強に没頭してきましたが、それと同じくらい日本語を磨いていかなければならないということを実感させられることが多く、それ以来、中国語はもちろんですが、日本語の感覚を磨く努力もしてきました。


どうやって日本語の感覚を磨けばいいのか、最初はかなり焦りもあり苦労しました。が、しばらくすると、日本にいて日本語の中で生活していればその材料はどこにでも探すことができるということに気づいたんです。普通だとそのまま通り過ぎてしまうようなことでも、言葉のアンテナを張り巡らしていれば、けっこう色々なところで日本語について考えさせられることは多いのです。
私の場合、子育て真っ最中で自分の思い通りに時間が使えず、限られた時間の中で勉強の材料や方法を工夫しなければならないという切羽詰まった状況だったので、かえってそれが功を奏したのかもしれません。もちろん文学作品などを読むことで得たものもたくさんあります。
日本語の感覚を磨けば磨くほど微妙なニュアンスに敏感になりますし、日本語に敏感になってくると、中国語の感覚に対してもその相乗効果が生まれ、しだいに日本語にも中国語にも言葉のニュアンスを大切に向き合うようになっていきました


「第二言語は母語を超えることはできない」とよく言われますが、私自身、この言葉をものすごく実感しています。やはり母語を鍛えるということはとても重要なことで、母語のレベルを引き上げていかないと外国語のレベルも限界が見えてきてしまう気がします。
 現在目標に向かって一生懸命勉強している皆さんも、これまで以上にぜひ母語に目を向けてみてください。外国語に対する努力はもちろんですが、「母語を磨く」「母語を鍛える」ということも意識し、更に目標に向かっていってほしいと思います。

 

 

| 応援メッセージ | 09:00 |
講師からの応援メッセージ:第1回 秦燕先生(中国語翻訳者養成コース)

皆様、こんにちは!
今月から毎月1回更新でISSインスティテュート講師から受講生の皆様への応援メッセージを掲載します。第1回は中国語翻訳者養成コース秦燕講師からのメッセージです。




秦燕翻译的里程
在大学学习的4 年日语是我翻译生活中最为坚实的基础。在这里不但学习外语,同时相应地学习和阅读本国的文学作品。
学好一门外语,除了语汇、语法,还有一点绝对不可忽视的就是语言的表现力。而这个表现力就来自于你自身的、母语的表现能力。
如果你具备了这三点,再加上你坚强的意志、持之以恒的耐力,那么你就可以开始翻译了。试试也许你可以翻译出一本名作,一鸣惊人呢。

翻译过程中的几点注意事项
翻译的魅力是无穷的。比如同样一篇文章,初学者的译文作品,和中级的、高级的相差甚远。其不同的玩味,主要表现在以下几个方面∶

1、对原作的内容上的理解。这里包括你对原作者的了解、对作品背景的观察和理解。换言之,原作者的身世背景或其世界观往往反映在其作品当中,如果你没有作品中的生活经验,那么你可以借助对作者的了解去体会原作的意境,从而使自己的翻译语言更接近原作的味道。

2、语汇的拿捏。同样一个词、在不同的背景下可以译出多种意境的词。比如说,将中文的人称代词“我”译成日语时、可以根据场合、时代背景、性别、年龄、职业、上下关系以及地区方言等等,译成「僕」、「ぼく」、「おれ」、「おら」、「おいら」、「わし」、「我が輩」、「あたし」、「あたい」、「あちき」、「わらわ」、「それがし」、「みども」,还有根据原文的来龙去脉,就使用「我」。

3、对原文的错误理解、母语的使用错误。达到完全理解原文的水平,对外国人来说是十分困难的。但是最基本的你一定得弄清楚。人物、时间、地点、场合以及所处的状况、人物内心世界的错综复杂和对白时的氛围。这些搞清楚了、那么就要斟酌对应的外语――语感上、词义上、用法上、背景上是否用词贴切,正确与否。

翻译的乐趣
翻译是在这个世界上为数不多的最有趣的、最会让你为之一动的工作之一。因为你借助翻译作品让自己的智慧、思考力、洞察力、记忆力、想像力以及你所有的能源都展现得淋漓尽致。另外,你的文字作品也会给读者留下精神上的、思想上的、文化上的享受。为己为民,何乐而不为呢。
实践是最好的学习方法,让我们快快拿起笔来,跟我一起翻译吧。

基础班讲师 秦燕



| 応援メッセージ | 10:16 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
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