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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 116回 “Bohemian Rhapsody”歌詞内に出てくる単語を用いた英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年のゴールデン・グローブ賞では、ロックバンドのクイーンを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が作品賞と主演男優賞を受賞しました。クイーンは1970年代から80年代にかけて数々のヒット曲を世に生み出しています。「ボヘミアン・ラプソディ」や「キラー・クイーン」「伝説のチャンピオン」などは時代を経た今でも人々に愛されており、一度は耳にしたこともある方もいらっしゃるでしょう。今回の映画の大ヒットにより、世代を超えてクイーンのファンが増えつつあります。かく言う私はまさにクイーン世代。映画の制作発表がなされたときは、あのフレディ・マーキュリーを俳優さんが演じるのには無理があるのではと懐疑的でした。ところがいざ鑑賞してみるとすっかりハマり、すでに劇場に足を運ぶこと3回です。多くの方々に観ていただきたい作品です。

 

そこで今回は「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞に出てくる英語をヒントに、4つのフレーズをご紹介します。

 

 

1 the devil to pay(厄介なこと)

 

If I do not keep the promise with them, there will be the devil to pay.  (もし彼らとの約束を守らないと、厄介なことになるだろう。)

 

「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞では”Beelzebub has a devil put aside for me”という部分で出てきますよね。「悪魔」を英語でdevilと言い、上記の例文the devil to payは「厄介なこと」という意味です。なお、「悪魔」はキリスト教、ユダヤ教、イスラム教いずれにおいても最強とされる悪魔です。「ジーニアス英和辞典」によれば、悪魔は「ヤギの頭に角・尾・長い耳・割れたひづめ・コウモリの翼に女の腕と胸をもった姿で表される」とのことです。

 

devilを使った表現としては他にSpeak of the devil(噂をすれば影)、The devil looks after his own(憎まれっ子世にはばかる)などがあります。

 


2 be quick on the trigger (反応が早い)

 

During the press conference, she was quick on the trigger and she made a brilliant response.  (記者会見の際、彼女は反応が早く、素晴らしい答えを述べていました。)

 

triggerはクイーンの曲の中で”pulled my trigger”として出てきました。trigger自体は「引き金」のことです。be quick on the triggerは「引き金を引くのが早い、反応が早い、抜け目のない」という意味になります。ちなみに「ひどく攻撃的な」を英語ではtrigger-happyと言います。「利き手の人差し指」はtrigger-fingerです。

 


3 out of sympathy (同意しない、共感しない)

 

Maybe you like it, but I am out of sympathy with the plan. (あなたは好きなのかもしれないけれど、私はその計画には同意しないなあ。)

 

sympathyは歌詞の冒頭の方で”I need no sympathy”として出てきました。sympathy自体は「同情、思いやり、支持」といった意味を持ちます。symは「共に」、pathは「苦しむ」ということです。

 

英語圏では訃報を受けると日本のような弔電やお香典袋などの代わりとしてカードを先方へ送ります。文具店には様々なメッセージが書かれたカードが売られており、お悔やみのカードには”With Sympathy”と記されています。気になる方は画像検索で調べてみてください。

 


4 like the wind(非常に素早く)

 

Since he was late for work, he grabbed the bread and ran like the wind. (仕事に遅れそうだったため、彼はパンをつかんで疾走して行きました。)

 

like the windは「非常に素早く」ということですが、上記の例文では直前にranがありますので、「疾走した」と訳してあります。クイーンの曲でwindが出てくるのは、一番最後。”Any way the wind blows” の歌詞の後に有名な銅鑼の音が鳴りますよね。

 

ところで私が子ども時代を過ごしたイギリスでは、当時、同級生たちがこぞって”The Wind in the Willows”というケネス・グレアムの作品を読んでいました。私はE.H.シェパードの挿絵が大好きでしたね。邦題は「たのしい川べ」、訳は石井桃子さんです。

 

今月はクイーンの曲に出てくる英単語をきっかけに英語フレーズをご紹介しました。このようにして自分のお気に入りの歌詞に出てくる単語をあれこれ調べてみると、意外な表現に出会うことができます。

 

ところでアメリカでは2月24日(現地時間)にアカデミー賞が発表されます。映画「ボヘミアン・ラプソディ」の行方が早くも気になるところです!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 14:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 115回 飲料が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳をしていると、実に多様な表現が出てきます。通訳をしていて一番難儀するのが句動詞や熟語です。いっそのこと難しい英単語を一つ出してもらった方が文脈から想像しやすいこともあります。逆に簡単な単語を使ったフレーズほど、推測できないのですね。今回ご紹介する「飲料」を用いた英語表現も同様です。なじみある飲み物が英語でどのように使われているのか、早速見てみましょう。

 

 

1 be another cup of tea (話が別である)

 

Enjoying music is one thing, playing music is another cup of tea.  (音楽を楽しむことと、音楽を奏でることは別の話です。)

be another cup of teaは「話が別である」という意味です。cup of teaは「一杯のお茶」ということですが、実は他にも「好みのもの、得意なこと」という意味もあるのです。

 

英語でteaと言った場合、紅茶を指すことが多く、「緑茶」はgreen teaと言います。最近では「抹茶」が海外でも流行しており、そのままmatchaと表示されているようです。また、イギリスやオーストラリアではteaが「夕方に食べる軽食」を指すこともあります。かつてイギリスに暮らしていたころ、スーパーでteacakeなるものを見かけましたが、いくつかの種類があるようでした。と言いますのも、チョココーティングしたマシュマロのお菓子もteacakeで、手のひらサイズのスコーンのようなものもteacakeとして売られていたのです。ご関心のある方はteacakeで画像検索をどうぞ。

 


2 juice (政治的影響力)

 

The president chose him because he had the juice to convince senators. (大統領が彼を選んだのは、彼が上院議員たちを説得する政治的影響力があったからです。)

 

juiceは「果汁100パーセントのジュース」という意味の他に「政治的影響力、エネルギー」という意味があります。また、「電力源、ガソリン」などもjuiceです。名詞だけでなく、動詞としても使えます。juice a lemonは「レモンを絞る」、juice upは「燃料を補給する」「活性化する」です。

 

ところでjuiceに似た発音にdeuceがあります。こちらはテニスの「デュース」です。古フランス語のdeusから来ており、ラテン語のduos、つまり「2」が大元にあります。デュースの語源はいくつかあるようですが、フランス語で「二人とも同じ点数の状態」を指すことから来たようです。

 


3 in deep water (非常に困って)

 

After losing my credit card, I was in deep water.  (クレジットカードを失くした後、私は非常に困りました。)

 

in deep waterは文字通り訳せば「深い水の中にある」ということですが、熟語としては「非常に困って」という意味になります。他にもinto deep waterget into deep waterdeep watersなどの表記があります。

 

ところで私が子ども時代に過ごしたイギリスでは、当時”Watership Down”という小説が大流行していました。リチャード・アダムズが書いた作品で、日本では「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」という邦題が付いています。ピーターラビット同様、ウサギが主人公の作品です。

 


4 be in the soup (困った状況に陥る)

 

She was in the soup because she broke her mother’s favorite vase. (彼女は母親お気に入りの花瓶を割ってしまい、困った状況に陥りました。)

 

「困った状況に陥る、困難に直面する」を英語でbe in the soupと言います。soupは「スープ」のことですが、「窮地」という意味もあります。なお、soupは動詞としても使われ、「人を困らせる、悲しませる」という様子を表します。「困らせる」にはannoy(繰り返し困らせる)、harass(嫌がらせをする)など、色々とありますよね。

 

ところで最近は海外でも和食が人気です。「味噌汁」はmiso soup、「だし」はdashi、「うま味」もそのままumamiです。以前観たイギリスのドキュメンタリー番組に「機内食を改善する」というものがありました。イギリスの一流シェフが和食のumamiを活用すると述べていたのが印象的でした。

 

いかがでしたか?普段何気なく見ているおなじみの英単語も、こうしてフレーズになることで元の語義とは異なる意味を持つようになります。私自身、通訳現場では毎回このようにして新しい表現との出会いを繰り返しています。その都度、辞書で調べ、自分の学習ノートに書き出すという地道な作業を行います。ノートにフレーズがどんどん貯まると自己達成感もアップするのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 114回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

「どのようにすれば語彙力をアップさせられますか?」

指導をしていると、このような質問を受けることがあります。世の中には単語集もたくさん販売されています。書店に行くだけで迷ってしまいますよね。私もずいぶん購入しては三日坊主ということを繰り返してきました。

 

最近は「気になる表現を耳にしたら、すぐにメモをして調べて訳を書いておく」という行為にとどめています。「書いたら終わり、忘れてもよし」とするのです。人間は忘れる生き物ですので、無理するとモチベーションが下がってしまいますよね。緩〜いルールですが、だからこそこの方法が私には合っているようです。今回ご紹介するのは「動物が出てくるフレーズ」。放送通訳現場で上記の方法でメモした表現たちです。

 

 

break one’s duck (初勝利を上げる)

 

It was Karen’s first match so she wanted to break her duck. (カレンにとって初めての試合だったため、初勝利を上げたいと思っていました。)

 

break one’s duckは「初勝利を上げる、先制点を上げる」という意味で、スポーツニュースによく出てくる表現です。他にも「最初の足掛かりを得る」という意味があります。これは元々イギリス英語で、duckはクリケット用語です。クリケットの世界では「得点ゼロ」という意味なのですね。他にもbreak one’s tournament duckという表現があり、こちらは「やっと大きな大会でゴールを決める」という意味になります。

 

duckは「カモ、アヒル」のことですが、語源は古英語のduce、つまりdiver(水にもぐるもの)から来ています。duckは「おしゃべり、あざむき」の象徴でもあります。動物にはそれぞれ象徴するものがあり、辞書で調べてみると色々と出てきます。

 


grinning sheepishly (バツが悪そうな笑いをしながら)

 

Grinning sheepishly, Tom admitted that he ate all the chocolates.  (バツが悪そうな笑いをしながら、トムはチョコをすべて食べたことを認めました。)

 

「バツが悪そうな笑いをしながら」は英語でgrinning sheepishlyと言います。他にもa sheepish smile(おどおどした笑み)という表現があります。sheepishは「羊のような」という意味ですが、それが転じて「非常に内気な、おどおどした」という語義を有するようになりました。sheepを辞書で引くと、「単純・誠実などの象徴」と出ています。羊は従順であるたけ、こうしたニュアンスを伴うようになったのですね。

 

なお、羊自体はsheepですが、「雄羊」はram、「雌羊」はewe、「子羊および子羊の肉」はlamb、「羊の肉」はmuttonです。

 


as greedy as a wolf (狼のように非常に貪欲な)

 

Don’t act like thatPeople would think that you are as greedy as a wolf. (そんな風に行動しないで。狼のように非常に貪欲だって人々は思うよ。)

 

as greedy as a wolfは「狼のように非常に貪欲な」という意味です。wolfには「残忍な人、貪欲な人」という語義もあるのですね。人名にもWolfがありますので、その名前を聞くたびにこのニュアンスを思い浮かべてしまわないのかしら、とつい私など気になってしまいます。

 

ちなみに「狼の群れ」はa pack of wolvesと言います。「魚の群れ」はa school of fishです。同じ「群れ」でも異なる表現であるのが興味深いですよね。

 

 

horse (苦労して動かす)

 

Four men had to horse the piano up the stairs. (4人の男性が上の階にピアノを苦労して運び上げました。)

 

horseは「苦労して動かす」という意味です。ここでは上の階の話が出ていますので、「運び上げる」と訳してあります。horseは「馬」ですが、「馬に乗せる」「背負って運ぶ」という意味もあるのですね。ちなみに上記の「羊」同様、「馬」にもいろいろな呼び名があります。たとえばmareは「雄馬」、coltは「雄の子馬」、stallionは「種馬」といった具合です。馬の「いななき」はwhinny、「馬の荒い鼻息」はsnortと言います。ちなみにスポーツニュースでequestrianと出てきたら、これは「馬術の」という意味になります。

 

今月は動物に関する英語表現を見てみました。名詞としてだけでなく、動詞で用いられていたり、熟語になっていたりと奥が深いですよね。皆さんもぜひ多様な表現に注目しながら、これからも楽しく英語学習を続けて行ってください。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 113回 顔のパーツを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳現場ではブースに一人で入るため、パートナー通訳者からのサポートはありません。聞き取れなくてもその単語を知らなくても、何とか声を出し続けるのが仕事です。なぜなら10秒以上の沈黙は放送事故とみなされるからです。毎回、未知の表現が出てきても何とか文脈から想像しながら訳すことを私自身、心がけています。そして、聞き取れなかった単語は後で動画で確認し、メモするようにしています。

今回ご紹介するのは、主に放送通訳現場で出会った表現。いずれも体のパーツが出てきます。


tongue-in-cheek (ふざけた)

 

Be serious when you do the interview.  Don’t make any tongue-in-cheek comment. (インタビューをやる時は真面目に。ふざけたコメントしてはいけないよ。)

 

英語で「ふざけた」はtongue-in-cheekと言います。複数の辞書を引くと、初出は1933年とありますので、比較的新しい表現です。一説によれば、語源は「笑いを押し殺すために舌をかんだ」という表情から生まれたとされています。

 

なお、tongueは「舌、べろ」で、牛肉などの「タン」でもおなじみですよね。体の機能以外にも、「話す能力、言語」という意味もあります。また、編み上げ靴の「べろ」、「ブローチの針」もtongueです。なお、mother tongueは近年、「母国語」ではなく、「母語」と訳されています。これは国を持たないものの母語が存在するという、人道的な配慮からです。

 

 

seal one’s lips (秘密を守る)

 

Since it’s a new information, shall I seal my lips? (新しい情報なので、秘密を守りましょうか?)

 

seal one’s lipsは「秘密を守る」ということです。まさに「唇」をのり付けるという言葉がその状況を物語っていますよね。ここでは上唇・下唇があるので、lipsと複数形になっています。ちなみに「誰にも言わないよ」はMy lips are sealedです。

 

ところで英語で「口パク」をlip syncと言います。これはlip synchronizationの略です。日本語の「口パク」は「口だけパクパク動かすこと」を表わしています。

 


fight tooth and nail (必死になる)

 

Since she is going to take an exam, she is fighting tooth and nail. (試験を受けるため、彼女は必死になっています。)

 

fight tooth and nailは「必死になる、あらゆる手を尽くす」という意味です。nailの代わりにclawを使うこともあります。語源は動物界の習性から来ています。動物同士、闘う時というのは 文字通り歯や爪を使いますよね。歴史的に見ても、かなり昔からあるフレーズだそうです。

 

ところで学習者向け英和辞典には図も豊富に掲載されています。私が愛用する「ジーニアス英和辞典(第5版)」でtoothを引くと、口の中の歯の図が出ています。日本語の「奥歯」はmolar、「親知らず」はwisdom tooth、「前歯」はincisorです。

 

歯に関連してもう一つ。「歯ブラシ」は英語でtoothbrushです。複数形のteethbrushにはなりません。これはtoothを形容詞のように使い、単数形にするというルールがあるためです。同様にcarparkarmchairなどもあります。cars parkやarms chairとならないのはこのためです。


raise eyebrows (驚かせる)

 

The announcement raised eyebrows. People talked about it for some time.  (その発表は人々を驚かせました。人々はその後もしばらくそれについて話していました。)

 

eyebrowは「眉」のことです。raise eyebrowsは文字通り「眉を上げる」という意味もあります。なお、browは「ブラウ」という発音です。brow自体は「眉毛、額、表情」などいくつか語義を有します。

 

ちなみにeyebrowsを使った表現は他にもあります。up to the eyebrows(仕事が多忙である)、knit one’s eyebrows(しかめ面をする)などです。


いかがでしたか?顔のパーツも色々とあり、その特徴を使った英語表現があることに気づかされます。日本語でも「眉をひそめる」「鼻で笑う」などがありますよね。ぜひ皆さんも、気になる体のパーツを元に辞書を引いてみてください。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:42 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 112回 数字を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

高校時代の夏休みに松本清張の「ゼロの焦点」を読みました。私にとって初めての推理小説です。分厚い文庫本でしたが内容が面白く、後半から先は「あと少しで終わってしまう」と思えるほど、引き込まれました。長期休みに大作を読破できたことは、その後の自信となりました。

 

今回は「ゼロ」にちなみ「数字を使った英語表現」を見てみましょう。


zero in on … (〜に集中する)

 

They zeroed in on the president’s statement. (彼らは社長の声明に集中しました。)

 

zeroは「ゼロ」のことですが、動詞でも使えます。「メモリをゼロに合わせる」という意味です。zero in on … は句動詞で「〜に集中する」という意味になります。同様の意味でhome in on … というフレーズもあります。「集中する」以外にも「〜に銃などのねらいを定める」という語義も存在します。

 

「ゼロ」はzeroのほかにohnaughtなどと言います。電話番号で「03」を“oh three”と言うこともあるのですね。「0.6」をpoint sixとして「ゼロ」の部分を言わないこともあります。なお、テニスの試合で「0」はloveですよね。

なお、名詞のzeroには「つまらない人、影響力の無い人」という意味もあります。zero-toleranceは「ゼロ容認」、つまり「ささいな違反であっても罰則を適用する」ということです。

 


count to ten (心を落ち着ける)

 

I know you are frustrated, but just count to ten. (いらだっているのはわかるけれど、とにかく心を落ち着かせて。)

 

tenは数字の「10」ですが、count to tenで「心を落ち着ける」という意味になります。深呼吸して10を数えれば冷静になれますよね。tenはもともとラテン語のdecemから来ています。そこから派生したdeci-はメートル法で「10分の1」のこと。面積の単位deciare(デシアール)は「10分の1アール」のことです。一方、deca-は「10倍の」という意味です。「10メートル」はdecameterです。

 

ちなみにtake tenは「10分休み、一休み」のこと。I have three tens.は「私は10ドル紙幣を3枚持っている」という意味です。

 


in a million (めったにいない)

 

She is really nice.  She is one in a million.  (彼女は本当に良い人ですよ。彼女みたいな人はめったにいないですね。)

 

millionは「100万」のことですが、in a millionは「めったにいない」という意味です。もともとはラテン語のmille(1000)から来た単語です。距離を表すmileも同じ語源で、「1000歩」を表していました。

 

同様の表現にone in a thousandがありますが、one in a millionの方が強意となります。ちなみに1970年代にアメリカでは“The Six Million Dollar Man(600万ドルの男)”というテレビシリーズが大ヒットしました。

 


a hundred to one (ほとんど確実に)

 

It’s a hundred to one that he will pass the entrance exam. (彼が入試を突破するのはほとんど確実でしょう。)

 

「100」を表すhundredは「hund(100)の数(red)」が語源です。「ほとんど確実に」は他にもa ten to oneがありますが、hundredの方がニュアンスが強くなります。

 

なお、数字の読み方ではandを入れても入れなくても構いません。たとえば547はfive hundred forty-sevenfive hundred and forty-sevenも可能です。なお、時刻の夕方6時、すなわち18時は英語でeighteen hundredと読み、書き方も基本的には1800と記します。

 

ところでイギリスの小学校に通っていたときのこと。その学校は日本のような「校歌」がありませんでした。代わりに校歌のような位置づけで、とある賛美歌が行事ごとに歌われていたのです。その曲名が”Old Hundredth”でした。「詩篇第100編」に基づく賛美歌です。1953年のエリザベス女王戴冠式でも歌われています。その時の編曲者はレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ。あの「グリーンスリーヴス」の作曲家です。

 

今月は数字を含む英語表現をご紹介しました。ちなみに通訳者にとって数字の通訳はなかなか大変です。とにかく練習あるのみです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 111回 体の動作にちなんだ英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

東京オリンピックまであと2年となりました。大会ロゴマークが決まったり、ボランティアの募集が本格化したりと、人々の気持ちも五輪に向けて動き始めています。ちなみに「オリンピック」は名詞として使う場合、the Olympicsとなり、定冠詞のtheと複数形のsが付きます。Olympianは「オリンピック選手」の他に「超然とした人」を指します。

 

今回は「体の動作にちなんだ英語表現」をご紹介しましょう。


all walks of life (あらゆる職業の人々)

 

The party was a great success.  We had people from all walks of life. (パーティーは大成功でした。あらゆる職業の人々が来場しました。)

 

「様々な社会的地位の人々」を英語でall walks of lifeと言います。walkは「歩行」という意味の他に、「分野、社会的地位、職業」などの語義もあります。walk自体は基本単語ですが、実にたくさんの意味を有するのですね。他にも「遊歩道、野球のフォアボール、牧羊場」などがあります。また、シギの一団を指すこともあります。一方、an honest walkは「正直な暮らし方」という意味です。実に多様であることがわかります。

 

ところでダンスの種類にcakewalkがあります。「ケーキウォーク」は「気取ったようなステップのダンス」のことです。もとはアメリカの黒人の競技で、優勝者にはケーキが贈られたことから名づけられました。ドビュッシーのピアノ組曲「子供の領分」には「ゴリウォーグのケークウォーク(Golliwogg’s Cakewalk)」という曲が収められています。みなさんも一度は耳にしたことがあるはずの有名な旋律です。

 


a run on meat (肉のすごい売れ行き)

 

Thanks to the TV commercial, the butcher had a run on meat. (テレビコマーシャルのおかげで、その食肉店では肉がすごく売れました。)

 

肉の注文が殺到することを英語でa run on meatと言います。runは「走る」「走ること」以外にも「生産量、発行部数、大量需要、通貨の下落」など、多様な語義を持っているのです。have the run of … は「〜を自由に使える」、on the runは「逃走中の、急いで、多忙で」です。一方runnerはカナダ英語で「ランニングシューズ」を指します。

 

ところで今年の夏は世界各地で異常気象が見られます。7月下旬にはアメリカのカリフォルニア州で大規模な山火事がありました。ニュースではrun for one’s life(一目散に逃げる)という表現が出ていました。

 


every step of the way (ずっと、絶えず)

 

Don’t worry.  I will guide you every step of the way. (心配しないで。ずっと案内してあげるから。)

 

every step of the wayは「絶えず、ずっと」という意味です。stepの元の意味は「歩いていく」という意味で、stampと同じ語源です。また、「一歩の距離」という意味もあり、たとえばa short step from hereは「ここから少し行った所」です。

 

ところで以前、イギリスで道に迷い、人に尋ねました。その時、“It’s about 300 feet from here.”との答えが。1フィートが感覚的にわからず、一瞬戸惑ったことがあります。でも考えてみれば、人の一歩というのはだいたい同じはずですよね。インターネット上の単位変換サイトに入力すると、「91.44メートル」と出てきました。

 


a leap in the dark (向こう見ずな行動)

 

Are you sure you really want to quit your job?  It sounds like a leap in the dark. (本当に仕事を辞めるの?向こう見ずな行動に聞こえるけれども。)

 

leapは「跳躍、飛躍」という意味です。この表現は文字通り訳せば「暗闇の中の跳躍」。確かに、真っ暗な場所でピョーンと跳び上がるのは怖いですよね。ゆえに「向こう見ずな行動、暴挙」という意味で使われています。

 

アポロ11号の月面着陸の際、アームストロング船長が“one giant leap for mankind”(人類にとっては大きな飛躍である)と述べたのは有名です。1969年当時は宇宙がまだまだ遠い時代でした。日本でもテレビで同時中継され、多くの人々が感銘を受けています。

 

なお、leapでもう一つ。子どもの遊びの「馬跳び」は英語でleapfrogです。leapfrogは動詞で使うと「人や事業などに先んじる、優位に立つ」という意味になります。

 

今回はwalkrunleapstepの4つを使った表現を見てみました。暑さが一段落すれば、スポーツの秋がやってきます。私は夏の間敬遠していた早朝ウォーキングを再開する予定です!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 110回 固有名詞を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳の世界では固有名詞がたくさん出てきます。ただ、放送局によっては規制があるようです。なぜなら、特定の企業名を電波に乗せることは、その会社の広告になりかねないからです。私が聞いた話では、「セグウェイ」を「電動立ち乗り二輪車」と訳すのだとか。その都度、言い換えの訳語を頭に入れておく必要がありそうですね。

 

今月は「固有名詞を使った英語表現」を見てみましょう。

 

Teflon President (「テフロン大統領」、批判などで傷つかない大統領)

 

No matter how tough the reporter asked questions, our Teflon President did not change his facial expressions. (どれだけ記者が厳しい質問を投げかけようと、我が「テフロン大統領」は表情を変えませんでした。)

 

テフロン(Teflon)は台所のフライパンなどでおなじみですよね。これは商標名で、正式名称はポリテトラフルオルエチレン(polytetrafluorethylene)です。この単語の中のteflに-on(合成物を表す添え字)が組み合わさり、Teflonという語が生まれました。傷に強い素材であることから、「打たれ強い」という意味があり、上記のようなTeflon Presidentという表現ができています。もとはレーガン大統領を指していました。

 

ところでイギリスで暮らしていたころ、インテリア雑誌のキッチン特集でよく見かけた単語があります。Agaという大型レンジ・オーブンです。ovenと言う代わりに、そのままAgaだけで通じる単語です。非常にどっしりした作りになっています。イギリス人の間ではAgaを持つことがステータス・シンボルなのだそうです。

 


iPod oblivion (携帯音楽プレーヤーに夢中である状態)

 

I think many people are now suffering from iPod oblivion.  I’ve nearly bumped into such person. (あまりにも多くの人たちが携帯音楽プレーヤーに夢中になっていると思うね。そんな人にぶつかりそうになったよ。)

 

iPodはおなじみの携帯音楽プレーヤー。oblivionとは「忘却、忘れていること」という意味です。携帯音楽プレーヤーを耳に入れたまま、周囲の状況が見えていないことをiPod oblivionと言います。最近はニュースでもよく取り上げられているようです。ちなみに私は放送通訳のシフト当日にGoogleのアメリカとイギリス版ニュースサイトを必ず確認しています。その検索画面でiPod oblivionを入力したところ、結構ヒットしましたね。それだけ海外でも問題になっていることがわかります。

 

ところでiPodのpodは「さや、繭」「燃料などを納める部分」という意味です。iPodの名付け親はフリーのコピーライター、Vinnie Chieco氏だそうです。

 


xerox (コピーする)

 

Could you please xerox this letter so that I can check it again? (もう一度チェックしたいので、この手紙をコピーしていただけますか?)

 

「コピーする」は英語でcopyphotocopyの他にxeroxという語があります。Xeroxというアメリカの事務機器メーカー名から来ています。発音は「ジーロックス」ですが、日本名は「ゼロックス」ですよね。もとはxerography(X線電子写真法)から生まれた単語です。xer-は「乾燥した、乾燥製法による」という意味なのです。

 

「コピー」と言えば、幼少期に暮らしていたイギリスで、友達同士で真似っ子遊びをよくしていましたね。英語で「真似る人」をcopycatと言います。どちらかというと、相手をはやし立てる際に使う単語です。catが使われているのが興味深いところです。

 


hoover (掃除機をかける)

 

I must hoover the living room since the guests will be arriving in an hour! (あと一時間でお客様が到着するから、リビングルームに掃除機をかけなければ!)

 

「掃除機をかける」を英語ではhooverと言います。主にイギリスで使われる口語表現です。もとはHoover社製のフーバー真空掃除機を指しています。フーバー社自体はアメリカのWilliam Hooverという実業家が興したものです。20世紀初めのことです。今でこそ白物家電の多くは日本メーカーですが、電気掃除機や冷蔵庫、トースターなどはいずれも海外で初めて誕生しているのですね。


今回は固有名詞を用いた英語フレーズを取り上げました。一つの商品が生まれるためには多くの人々の努力があります。そうして誕生した物が人々の暮らしを豊かにし、ことばとして日常生活の中に入ってきているのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:38 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 109回 foodとmealを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今から20年以上前、ロンドンを旅行していたときのこと。連日ヘビーな食べ物ばかりだったため、体に優しい食事をとりたいと思いました。そこで入ったのがコベントガーデンにあった自然食レストランです。当時は今ほどオーガニック専門店がなく、斬新に思えましたね。店名はFood For Thought。しかし開業1972年のそのお店も、残念ながら2015年6月に閉店してしまいました。世界中のベジタリアンを魅了し、オーガニックの先駆けだったお店です。

 

今月はfoodとmealを用いたフレーズを見ていきましょう。

 

food for thought (考えるべきこと、思考の材料)

 

The article provided us with food for thought. (その記事は私たちに思考の材料を提供してくれました。)

 

冒頭でご紹介した店名のFood For Thought。実は「思考の材料、考えるべきこと」という意味があります。別の言い回しでfood for meditationがあります。foodというのは「食べ物」だけでなく、「(思考の)材料」という意味も辞書には掲載されているのですね。ちなみに「心の糧」はfood for the mindまたはmental foodと言います。

 

そういえば中学生向けの英語テストで発音を問われる問題が出ますよね。典型的なのがfoodfootの発音の違いです。辞書でfoodを引くと「発音注意」と表記されています。なお、foodの原義は「食べ物」で、feedfosterと同じ語源だそうです。

 


keep food on the table (食いつないでいく)

 

He worked hard so that he can keep food on the table. (彼は食いつないでいくために一生懸命働きました。)

 

keep food on the tableは「カツカツの生活をする、食いつないでいく」という意味です。テーブルの上に食べ物を置いておく、すなわち食べ物を切らさないという光景が思い描けます。これは略式表現です。ちなみに「生活のために一生懸命働く」は英語でwork hard to pay the billsと言います。billは請求書のことです。

 

ところでfoodを動詞にするとfeed(食べさせる)、blood(血)の動詞はbleed(出血する)です。他にもtooth(歯)とteethe(幼児の歯が生える)があります。赤ちゃんが加える輪型のおしゃぶりをteething ringと言います。

 


make a meal of … (大げさに言う)

 

She was only joking.  Don’t make a meal of it. (彼女にしてみれば冗談だったんだよ。そう大げさに言うなよ。)

 

make a meal of … はmake a meal out of… とも言います。いずれもイギリスの略式表現で「大げさに言う、大げさに取り組む、仕事を必要以上に時間をかける」といった意味があります。

ところでmealとは「時間になったら食べる食事」のことであり、朝食、昼食、夕食などを指します。一方、イギリスの学校給食はschool dinnerと言い、「学校給食係の女性」をイギリスではdinner ladyと言います。90年代後半には”Dinnerladies”というコメディドラマがBBCで放映され、大ヒットしました。

 


have a square meal (ちゃんとした食事をとる)

 

I was very busy so I haven’t had a square meal yesterday. (あまりにも忙しかったので昨日はちゃんとした食事をとれませんでした。)

 

「ちゃんとした食事をとる」は英語でhave a square mealと言います。have a good square mealと言うこともできます。square mealは「内容的にも量的にも充実した食事」という意味ですが、もともとは船員用語から来たとされています。船の中で船員たちに食事を提供する際、四角いプレートで出していたからなのだそうです。

 

ところでプレートでもう一つ。最近はカフェが大流行していますよね。そこで使われる仕切り付きのプレートは「ランチプレート」と言います。仕切り付きの四角いプレートは英語でsquare divided plateです。

 

いかがでしたか?今月はfoodmealを使った表現をご紹介しました。食事といえばイギリスに暮らしていた2001年、息子が通園していた保育園の連絡帳を見て驚いたことがあるのです。と言いますのも、”Today’s lunch: Spaghetti on toast”と書かれていたのですね。「ダブル炭水化物」にびっくりしてしまったのでした!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:01 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 108回 体の部位とハイフンを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

春先からストレッチ系のスタジオプログラムに出ています。あまりにも自分の体が硬いため、何とかしようと思い立ったからです。ヨガやピラティスなどを日常生活に取り込むことでストレッチ効果も出ています。おかげで夜もぐっすり眠れるようになりました。やはり体はきちんとメンテナンスすることが一番ですね。

 

さて、今月は体の部位とハイフンを使った英語フレーズのご紹介です。


head-scratching (困惑するような)

 

He made some head-scratching comments so we were totally puzzled.  (彼は困惑するようなコメントをしたため、私たちは完全に途方にくれましたね。)

 

headは「頭」、scratchは「掻く」、つまり「頭を掻くような」という意味からhead-scratchingという表現が生まれました。ちなみにscratchには「引っ掻く」の他に「計画をやめにする」「何とか成し遂げる」などの意味もあります。アメリカ政治では「候補者名を名簿から消す」という状況も表します。

ところでドラマやアニメなどの「照れるシーン」で頭を掻く光景が描かれていますよね。でも実際の日常生活において同じニュアンスで頭を掻く人をあまり見ないような気がします。ボディランゲージも時代の流れなのでしょうか。興味深いところです。

 


soul-searching 内省

 

She had to do a lot of soul-searching to analyse her defeat. (敗北を分析するために、彼女はたくさん内省せねばなりませんでした。)

 

soul-searchingは「内省」です。「魂を探す」という意味からできた表現です。「内省」の他にも「自己省察、反省」などの語義があります。なお、soulは肉体に対する「魂、霊」のことで、spiritよりも宗教的なニュアンスが濃くなります。死後も存在するという意味合いでsoulが用いられます。また、「精神、心」という意味もあり、たとえばWalking is good for the soul.は「ウォーキングは精神に良い」ということです。

2016年の大統領選で敗れたヒラリー・クリントン候補も、敗北後のインタビューで「たくさんのsoul-searchingをした」と答えています。

 


hand-wringing (絶望的な)

 

We are seeing a lot of hand-wringing articles about refugees fleeing their country. (祖国を逃れた難民たちの絶望的ともいえる記事をたくさん目にしています。)

 

hand-wringingwringは「ねじる、締める」という意味です。水などを切るために「絞る」という意味もあります。hand-wringingは苦しみや悲しみのあまりに「手をもみ絞る」という様子から生まれた表現です。辞書によってはhandwringingと一語で表すものもあります。また、人を表すhandwringerという名詞も辞書には出ています。

handは中学で学ぶ基本単語ですが、実に多くの意味がありますよね。「手」以外にも「手伝い、参加、勝負」などの語義もあれば、「婚約、誓約」もhandと言います。a safe pair of handsは「頼りになる人」、hand over fistは「どんどん、あっという間に」です。ぜひ皆さんも辞書でhandを引いてみてください。

 


foot-dragging (引き延ばし)

 

Because of administrative foot-dragging, the plan was delayed for a year. (事務的な引き延ばしのせいでその計画は1年遅れてしまいました。)

 

取り組みなどが遅くて引き延ばされてしまうことを英語でfoot-draggingと言います。dragは「足を引きずる」という意味ですが、他にも「わざとぐずぐずする」という語義もあります。そういえば国会審議などで票決を引き延ばす戦術に「牛歩戦術」というのがありますよね。のっそり歩く様子をfoot-draggingから連想してしまいました。ちなみに英語で牛歩戦術はfilibusteringと言います。

「ぐずぐずする」は英語で他にもprocrastinateという動詞があります。これはpro(前への意)という接頭辞にラテン語のcrastinus(明日に属するもの)という語がついたものです。英語のことわざにNever put off till tomorrow what you can do today(今日できることを明日に延ばすな)やTomorrow never comes(明日という日は決して来ない)があります。英語学習もしかり、ですよね!

 


今月は体の部位の後にハイフンをつけたフレーズを取り上げました。体のパーツも文化によって意味合いが異なります。異文化コミュニケーションを学ぶ上でぜひ色々な言語における部位の解釈を調べてみてください。きっと発見があるはずです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 107回 鳥関連の語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

2月の半ばにイギリスへ出かけました。閑散期とばかり思いきや、ロンドンは旅行客や学生、ビジネスパーソンなどであふれかえっていましたね。しかも数年ぶりの大雪でした。宿泊先はミニキッチン付きの学生寮でしたので、スーパーで買い出しをして簡単な自炊もできました。スーパーの棚にはターキーやラム肉など珍しい食材があり、見ているだけで楽しかったです。

 

今月は七面鳥や鶏などの語を使った英語表現を見ていきましょう。

 


1. talk turkey (率直に話し合う)

 

The mother and her son talked turkey about mobile phone use.  (母親と息子は携帯電話の使用について率直に話し合いました。)

 

「率直に話し合う、ざっくばらんに話す」はtalk turkeyと言います。特にアメリカで使われる口語表現です。語源には諸説あるようですが、アメリカで先住民と白人が共に狩りをした際、白人側が先住民よりも多く取ろうとして抗議されたことから誕生したとされています。

 

なお、cold turkeyは「ぶっきらぼうな行動、よそよそしい人」という意味です。turkey一語でも「気取り屋、尊大な人」という語義があります。turkey(七面鳥)はアフリカのホロホロチョウがトルコ経由で輸入されたため、turkeyと呼ばれるようになりました。

 


2. the chickens come home to roost (当然の報いを受ける)

 

She is always talking about him behind his back.  Someday, the chickens will come home to roost. (彼女はいつも彼の陰口を言っている。いつか当然の報いを受けることになるでしょう。)

 

この表現が誕生したいきさつは、「ニワトリが夜に寝るため小屋へ戻ってくること」が挙げられます。American Heritage Dictionary of Idioms(電子版)によれば、このフレーズが最初にお目見えしたのは1809年で、ロバート・サウジー(Robert Southey)の作品”The Curse of Kehama”に記されているそうです。

 

なお、例文前半の「陰口を言う」は英語でtalk about someone behind one’s backです。ちなみに日本語では「陰口を叩く」とも言いますよね。新明解国語辞典(三省堂)によると、これは「相手が音を上げるまで、連続的に何か激しいことをする」という意味から「叩く」が使われるのだそうです。

 


3. go off half-cocked (早まって行動する)

 

We must plan thoroughly.  It is better than going off half-cocked. (計画を徹底的に立てなければ。早まって行動するよりはましだよ。)

 

機が熟さぬうちに行動することを英語でgo off half-cockedと言います。half-cockは銃を「安静段」(撃鉄を半分引いた状態で引き金自体は引けない状態)にしていることを意味します。go off half-cockedは「撃鉄を十分上げないうちに発射する」ということで、それが転じて「早まって行動する」という意味でも使われるようになりました。

 

cockは「おんどり」で、反対語はhen(めんどり)です。cockは他にも「水道栓、撃鉄、風見鶏」などの意味もあります。私は最初、この表現を活字で見たとき、half-cooked(生煮え)と読み違えてしまいました。coに見えたのですね。

 


4. as rare as hen’s teeth (極めて稀な)

 

These are as rare as hen’s teeth.  It’s a real bargain! (このようなものは極めて稀ですよ。掘り出し物です!)

 

「極めて稀な」を英語でas rare as hen’s teethと言います。「めんどりの歯」と言われても確かにピンときませんよね。このフレーズが誕生したのは19世紀中ごろで、歯を持たないめんどりが珍しいがゆえに使われるようになったようです。主にアメリカで用いられる表現です。rareの代わりにscarceも使えます。

 

ところで「鶏」の字の「奚(ケイ)」は「つなぐ」という意味です。家畜としてつないでおくためこの漢字になりました。一方、英語のhenはドイツ語のHenneと同じ語源で、ラテン語のcanere(歌う)が元にあります。ニワトリは卵を産むと必ず鳴くためだそうです。


今回は鳥関連のフレーズをご紹介しました。ところで冬の終わりに我が家の近くではしっぽの長い黒白の鳥をよく見かけました。調べたところ、ハクセキレイ(白鶺鴒)という鳥だそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |

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