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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 98回 「自転車用語」を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

数年前にジョギングにはまり、毎日せっせと走ったことがあります。念願のハーフマラソンにも出場し、完走できたときは本当にうれしかったですね。あいにくその後関節を痛めてしまい、今は走りから遠ざかっているのですが、毎朝早く起きて近所を自転車で一周しています。暑い時期でも自転車なら風を感じることができますし、関節への負担もありません。自転車マイブームはしばらく続きそうです。

 

今月は自転車の用語を使ったフレーズをご紹介します。

 

 

1. take one’s foot off the pedal 力をゆるめる

 

Don’t be nervous.  You have worked really hard.  You can take your foot off the pedal. (緊張しないで。うんと努力してきたのだから。力をゆるめても良いのですよ。)

 

「くつろぐ、力をゆるめる」を英語ではtake one’s foot off the pedalと言います。「ペダルから足を離しても良い」ということが、くつろぐという意味になるのですね。状況を想像すると納得がいく表現です。

 

pedalはラテン語、イタリア語、フランス語を経て英語となった単語です。ラテン語のpesは「足、足部」のことです。ped-も同じく足を意味し、pedestrian(歩行者)、centipede(ムカデ。-pedeは「〜の足を持つ生物」)、pedicure(ペディキュア)などもおなじみです。

 

なお、日本語で「ペダル」は「ダル」を強く読みますが、英語のpedalpeに強勢があります。発音はその都度確認すると良さそうです。

 


2. get a handle on … 〜について理解する

 

I can’t get a handle on this manual. (このマニュアルが理解できません。)

 

understandの略式表現にget a handle on … があります。have a handle on … と言うことも可能です。handleは「ドアなどのとって」のことで、自転車ならhandlebar、車の「ハンドル」は英語でsteering wheelと言います。最近はPC用語に「ハンドルネーム」がありますが、これは和製英語です。英語の場合、nick namescreen nameと言います。ちなみに匿名で投稿する際には「ペンネーム」という語が使われますが、ラジオでは「ラジオネーム」と言うのですね。

 

ところでhandleを辞書で調べていたところ、handlebar mustacheという語に遭遇しました。これは両端が上に曲がった口ひげで、「カイゼルひげ」と言うのだそうです。

 


3. act as a brake on … 〜にブレーキをかける

 

I had to act as a brake on his plan. (私は彼の計画にブレーキをかけねばなりませんでした。)

 

「ブレーキ」の語源は中期オランダ語のbraekeです。名詞の「ブレーキ」だけでなく、「ブレーキをかける」という動詞としても使えます。「ジーニアス英和辞典」によると、brakeの同音語はbreakで、しかもbreakの変形から誕生した語であるとの説明がありました。

 

上記例文の場合、「抑制、牽制」という意味での「ブレーキ」です。一方、実際に車や自転車などの「ブレーキをかける」は英語でapply the brakesput the brakesput on the brakesなどと表現します。

 

なお、自動車後尾のブレーキライトはbrake lightです。アメリカ英語ではstop lightとも言います。

 


4. big wheel 大物

 

He became a big wheel in the PR company. (彼はそのPR会社で大物となりました。)

 

「大物、有力者」を口語ではbig wheelと言います。他にもbig wheelには「観覧車(Ferris wheel)」の意味があります。1970年代、アメリカではWheel of Fortuneというクイズ番組が大人気でした。そこにはまさにwheelである回転板が出てきます。wheel of fortune自体は「(運命の女神の)紡ぎ車」「回転車輪型ギャンブル装置」のことです。

 

運命の女神についてさらに調べてみたところ、「モイラ」というギリシャ神話に出てくる3人の女神に行きつきました。クロトが運命の糸を紡ぎ、ラケシスが割り当て、アトロポスがその糸を断つという話です。英語を学習していると聖書やギリシャ神話を語源とする表現がよく出てきます。子ども向けの絵本で構いませんので、ぜひ一度そうした「源」にあたることをお勧めします。

 

今回は自転車関連の表現を見てみました。ちなみに毎月8がつく8日、18日、28日は自転車安全日だそうです。8が二輪車に見えるからなのですね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 97回 「『海』関連の英語表現 」を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

先日とある洋雑誌を読んでいると、国別の祝日に関する記事がありました。日本は世界の中でも国民の祝日が多いことで知られます。私が子どもの頃は5月の連休が終わると夏休みまで休み無しでした。けれども1996年から7月に海の日が設けられたのですよね。6月一か月間を頑張れば7月には祝日があると励みに思ったものでした。

 

今月は「海」にちなんだ英語フレーズを見ていきましょう。

 

 

1. sea change 大変化

 

After reading the book, there was a sea change in Jim’s attitudes.(その本を読んだ後、ジムの態度には大変化が見られました。)

 

sea changeは「大変化」という意味です。a sea change in …という用法で使われます。もとはシェイクスピア「あらし」から生まれた表現です。通常は単数形で用います。

 

ちなみに辞書を引いてみると、seachangeという一語はオーストラリア英語でも独自の意味を持つことがわかります。語義は「Iターン田舎暮らし」のことで、「都会から海辺や田舎に引っ越して新生活を始めること」と「ジーニアス英和辞典第5版」には出ています。そうした人たちのことをseachangerとも言うそうです。

 

昔オーストラリアを旅行した際、書店でオーストラリア英語専門のオックスフォード英英辞典を見かけました。オックスフォードからはカナダ、ニュージーランド、アメリカ版の英英辞典が出ています。いつかじっくりと読んでみたいです。

 


2. all at sea 途方に暮れて

 

I am all at sea with the new rules.(新しいルールに途方に暮れています。)

 

「途方に暮れて」を英語ではall at seaと表現します。allの代わりにtotallycompletelyなどを使うことも可能です。

 

この表現が生まれたのは18世紀ごろで、イギリスの法律家ウィリアム・ブラックストーン(William Blackstone)「イギリス法釈義(Commentaries on the Laws of England)」で用いています。また、イギリス出身の探検家セルース(Frederick C. Selous)がその探検記でも記しているようです。

 

なお、at seaは「航海中で、海上で」という意味で、Worse things happen at sea(もっと悪いことが海上では起こるのだから)という表現があります。これは落ち込んでいる人を励ます際に使うフレーズです。

 

 

3. a sea of … たくさんの〜

 

Although I had to face a sea of trouble, I managed to overcome all of them.たくさんの困難に直面したものの、何とかすべて切り抜けることができました。)

 

a sea of troubleは「たくさんの困難」という意味です。a sea of … は「多くの、たくさんの」ということで、他にもa sea of blood(血の海)、a sea of flame(火の海)、a sea of faces(顔また顔)などの用法があります。同じ「多さ」でも「非常に多い」というニュアンスがあります。

 

ところで日本語の「おびただしい」は漢字で「夥しい」と書きますが、「夥」の「果」と「多」から成り立つことからもわかるように、「木の実のように多い」という意味から来ています。漢字を分析するのも楽しいですよね。

 


4. oceans of … 莫大な〜

 

The president seems to have oceans of money from his business.(社長はビジネスを通じて莫大なお金を持っているようです。)

 

先の例文同様、こちらも量の多さを表す表現です。oceans of … あるいはan ocean of … という使い方が可能ですが、いずれも略式表現です。要はlots of … ということですよね。oceans of moneyoceans of trouble(多くの困難)、an ocean of time(莫大な時間)などの表現もあります。

 

大洋州やオセアニアを英語ではOceaniaと書きますが、これはoceanから生まれた単語です。ocean自体はギリシャ神話Oceanus(オーケアノス)という大洋の神から来ています。ギリシャやローマ神話なども英語を学ぶ上でぜひ読みたいところです。

 

以上、今月は海にちなんだ英語をお届けしました。みなさま、ぜひ楽しいMarine Day(海の日)をお過ごしくださいね!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 96回 「鳥」の語を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

先日興味深い本を読みました。おかべたかし・文、やまでたかし・写真の「似ていることば」(東京書籍、2014年)です。この本には写真つきで似ている単語が紹介されており、それぞれの違いが説明文となっています。たとえばフクロウとミミズク、あるいはイモリとヤモリ、特徴と特長など、日本語には似ている語がたくさんあるのですよね。とても参考になり、眺めていて楽しい一冊でした。

 

ちなみに「トリ」にも色々な表記があります。「酉」は十二支に出てくるトリですし、「鳥」は鳥類の総称、鶏はニワトリで食材の表記でおなじみです。こうした変化を注目してみると、あらためてことばの奥深さを感じます。

 

今回は「鳥」のフレーズを4つご紹介しましょう。

 

 

1. pigeon 責任

 

It’s not my pigeon.  Somebody else should take full responsibility in this matter. (それは私の責任ではありません。誰かがすべての責任をその件に関して負うべきです。)

 

pigeonは「ハト」のことですが、one’s pigeonは「責任、本務」という意味になります。pigeon自体はひな鳥の鳴き声の擬音語から生まれた単語です。ちなみに「ハト愛好家」はpigeon-fancierと言うのだそうです。ロンドンのトラファルガー広場にはおびただしい数のハトがいますが、せっせとエサをやる人がいましたっけ。懐かしく思い出します。

 

 

2. keep an eagle eye on … 〜を注視する

 

We had better keep an eagle eye on the market movement. (私たちは市場の動きを注視せねばなりませんね。)

 

eagleは「ワシ」のことで、eagle eyeは「厳しい監視、鋭い眼力(の人)」という意味です。「観察眼の鋭い」はeagle-eyedという形容詞になります。ワシの特徴を表した表現です。ちなみにhave eyes like a hawkは「目ざとい、何も見逃さない」です。こちらはhawk(タカ)を用いています。

 

1969年に月着陸を達成したのはアポロ11号。月着陸船の名称は「イーグル号」でした。eagleはアメリカの国家の象徴としても使われ、1933年までは10ドル金貨として「イーグル金貨」もありました。なお、ゴルフ用語の「イーグル」も同じくeagleです。

 


3. as the crow flies 直線距離で行けば

 

The towns are about 2km apart as the crow flies. (町と町の間は直線距離で行けばおよそ2キロメートル離れています。)

 

as the crow fliescrowは「カラス」です。カラスは目標物に向かって直線で飛ぶことからこの表現が生まれました。crowも擬音語から生まれた単語です。

 

crowを用いたフレーズには上記の他にeat crow(余儀なく誤りを認める)やStone the crows!(まさか!)というものもあります。「カラス」の類語にはraven(ワタリガラス)もあるのですが、こちらは不吉の兆しとされています。

 

ところでロンドンにはRavenscourt Parkという公園があります。こちらの由来を調べたところ、18世紀にこの土地を購入した人物の家紋にravenが描かれていたのだそうです。日本の家紋はシンプルなものが多いですが、イギリスの家紋(coat of arms)には植物や動物などがよく描かれています。

 


4. a night owl 夜型

 

I am a night owl.  I can really concentrate on my studies! (私は夜型なんですよ。勉強に本当に集中できるんです!)

 

a night owlは「夜型」のことです。ちなみに「私は朝型だ」はI am a morning personと言います。こちらの方がシンプルですよね。owlは夜に活動することから、上記の表現が生まれました。

 

ところで「ミミズク」は同じフクロウ科でも頭側に耳のように見える長い耳羽を持っています。英語でミミズクはhorned owlです。一方、漢字で書くと「ミミズク」は「木菟」で、「菟」はウサギのことだそうです。

 

いかがでしたか?春から夏にかけても色々な鳥が見られますよね。朝のウォーキングが楽しくなりそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 95回 「郵便関連」の語を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

かつてバブル全盛期だったころは誰も農業や土いじりなどに関心を抱いていませんでした。しかしバブル崩壊後はガーデニングや田植え、野菜作りなどがはやるようになりました。昨今のコミュニケーションも同様で、メールやLINEが全盛期である一方、手書きのお礼状や手紙が注目されています。書店には手紙の書き方本も並んでいますよね。物事の流行は行きつ戻りつです。

 

今月は郵便関連の語を使ったフレーズを見ていきましょう。

 

 

1. part and parcel of … 〜の重要部分

 

Smartphones have become part and parcel of our daily lives. (スマートフォンは私たちの日常生活の重要な一部となりました。)

 

parcelは「郵便小包」のことで、主にイギリスで使われます。アメリカ英語の場合はpackageと言います。「小包を作る」はdo up a parcelです。part and parcel of … は「〜の重要部分、骨子」ということで、例文ではスマホが我々の生活の一部に今やなっている様子を表しています。

 

parcelは「小さな(cel)部分(par)」から成り立つ単語です。かつてイギリスに暮らしていたころ、街中でミートパイなどを売るお店をよく見かけました。パイなどの一包みもparcelと言います。“curried chicken pie parcels”などといった表記を思い出します。

 


2. get one’s stamp of approval お墨付きを得る

 

Before I published the book about the chairman’s biography, I got his stamp of approval. (私は会長の伝記を出版する前に、本人からはお墨付きをいただきました。)

 

stampは「切手」の他に「スタンプ、印、はんこ」の意味を持ちます。動詞の場合は「踏みつける」ですが、「切手」も元はこの動詞から派生したのですね。上記例文はget one’s seal of approval と言い換えることもできます。

 

ところでなぜ日本語では「お墨付き」と言うのでしょうか?調べたところ、戦国時代から江戸時代にかけて大名や将軍などが自ら花押を書いた文書が「お墨付き」なのだそうです。それが転じて「当局者の承認」という意味になりました。

 


3. keep one posted 定期的に最新情報を伝える

 

So you took the exam?  Do keep me posted. (試験を受けたんだって?ぜひ最新情報を教えてね。)

 

postは「ポストに入れる」などの意味の他に略式表現として「新情報を知らせる」という語義があります。post自体は「替え馬の置いてある宿場」がもとの意味で、それが「駅伝馬車」「郵便」と転じていった単語です。

 

そういえば「郵便配達人」は英語でpostmanあるいはpostwomanと言いますが、最近は配慮的観点からpostal carrierと言うそうです。ちなみに数か月前に東京で雪が降った際、AFN(米軍放送)ではDJが「snowpersonを子どもたちが作っていた」と言っていましたっけ。そう、snowmanではなく、snowpersonと言う時代なのですね。

 


4. back-of-the-envelope calculation 概算

 

The figures are not exact.  It’s back-of-the-envelope calculation. (数値は正確ではありません。概算ですよ。)

 

back-of-the-envelope calculationはまさに封筒の裏にざっと書いて計算する様子を表すことから生まれた表現です。envelope自体は名詞の「封筒」ですが、envelopという動詞は「包む、覆う」という意味です。アクセントはveを強く読みます。スペルが異なるのも要注意です。

 

ちなみに日本語では「ざっくり計算する」と言いますが、「ざっくり」を国語辞典で引くと「ざっくりと開いた傷口」「ざっくりとキャベツを切る」などの用例が出ています。「大まか」という意味は俗語的な使い方だそうです。正式には「ざっと」や「大まかに」と言う方が良さそうです。

 

以上、今月は郵便関連のフレーズをご紹介しました。なお、1979(昭和54)年、当時の郵政省が7月23日を「ふみの日」に制定しています。「国際文通週間」は10月9日を含む一週間です。この時期になると郵便局では記念切手が登場します。私は子どもの頃、切手を熱心に集めていましたので、毎年必ずチェックしています。皆さんもこうした記念行事に合わせてたまには手紙を書いてみてはいかがでしょうか。受け取った方はきっと喜んでくださると思いますよ。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 94回 「食用肉」の語を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

先日のこと。近所のスーパーでラム肉を見つけました。日本ではあまり見かけませんよね。以前暮らしていたイギリスではラムや鹿肉(venison)、ホロホロチョウ(guinea fowl)などが店頭に並んでいました。一方、魚の種類は日本の方がたくさんあります。食文化の違いです。

 

そこで今回は「食用肉」の語を用いた英語表現をご紹介しましょう。

 

 

1. beef up 強化する

 

In order to prevent any cyberattack, we need to beef up our computer security. (サイバー攻撃を防ぐため、コンピュータのセキュリティを強化する必要があります。)

 

「強化する」は英語でbeef upと言います。beefは「牛肉」としてなじみのある単語ですが、beef upという句動詞になると「(組織や法律などを)強化する、増強する」という意味になります。ちなみにbeef自体を動詞として使うこともでき、略式表現としてbeef about (ぶつぶつ文句を言う)という用法があります。

 

「ジーニアス英和辞典」にはWhere’s the beef?というフレーズもあります。主にアメリカで使われるくだけたフレーズで、「真意は何?」です。「ハンバーガーのバンズだけ大きく、肉が少ししか入っていない」という状況から生まれた表現です。

 


2. be pigged off 不愉快になる

 

I had a terrible experience and I was thoroughly pigged off. (ひどい経験をして、本当に不愉快になりましたよ。)

 

be pigged offは「不愉快になる」という表現で、主にイギリスで使われます。pigを辞書で引くと、pigの持つニュアンスとして「不浄・大食漢などを連想させる」と出ています。動詞としての使い方もあり、その場合、「がつがつ食べる」という意味です。たとえばpig out on pizzaなら「ピザをがつがつ食べる」となります。

 

肉食文化でもあるためか、「ブタ」でも色々な単語が英語にはあります。hogは「去勢された食肉用の大きい雄ブタ」、boarは「去勢しない雄ブタ」、sowは「pigより大きい雌ブタ」です。ちなみにroast pigは「焼き豚」で、丸焼きのものを指しますが、roast porkは肉の一部を焼いたものです。

 

日本では同一の魚でも成長過程により呼称が違いますよね。いわゆる「出世魚」です。たとえば「ブリ」の場合、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリとなります。ワカシの段階ではまだ体長は15センチほどですが、ブリになると90センチ以上になるのです。

 


3. chicken out 尻込みしてやめる

 

He was afraid of the roller coaster so he chickened out at the last minute. (彼はジェットコースターが怖かったため、最後の最後で尻込みしてやめました。)

 

chickenは「ニワトリ」という意味のほかに、「臆病者」という意味もあります。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では、マイケル・J・フォックス演じる主人公のマーティが「チキン(腰抜け)」と呼ばれてカッとなるシーンが何度か出てきますよね。chickenを動詞として使うのは今回ご紹介するchicken outぐらいですが、chickenを形容詞の「臆病な」という意味でも用いることがあります。

 

ちなみにDon’t count your chickens before they are hatched.は「かえる前にひなを数えるな」ということわざです。日本語の「とらぬタヌキの皮算用」と同じです。どちらも動物が出てきているのが興味深いですよね。

 


4. rabbit on 無駄話をする、重要でない話題を延々としゃべる

 

The girl was really talkative and she rabbited on about her day at school. (その女の子はとてもおしゃべりで、学校での一日を延々としゃべっていましたね。)

 

rabbit onは「延々としゃべる」というニュアンスを持ちます。「聞いている方には興味もなく、つまらない。早く終わらないかなあ」という状況をイメージできますよね。

 

rabbitは「家ウサギ」のことで、「野ウサギ」は英語でhareと言います。「不思議の国のアリス」に出てくるウサギはMarch Hareと言い、日本語では「三月ウサギ」と なっています。ということは、Peter Rabbitは「家ウサギ」という設定なのでしょう。先日オランダの画家、ディック・ブルーナさんが亡くなりましたが、ブルーナさんが描いたMiffyは、イギリスのショップサイトによれば“a cute white rabbit”だそうです。

 

ところでJR東日本の宇都宮線・快速列車は「ラビット」という愛称で知られています。うーん、なぜ「ラビット」なのでしょう?気になったので調べたところ、インターネット上では「rapid(速い)」や「ウサギのように主要駅を結ぶ」などの掛詞から来ているとの説がいくつかありました。気になるところです。

 

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 93回 「スプレッド」関連の単語を用いたフレーズ
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先日テレビのグルメ番組を見ていたところ、パン店が紹介されていました。パンは本来海外から伝わったものですが、日本独自の発展を遂げてきましたよね。カレーパンや焼きそばパン、メロンパンなどは日本ならではの商品です。最近はメーカー側もご当地パンや期間限定パンなどを販売し、多くの人を魅了しています。かく言う私もパンが大好きで、自宅ではホームベーカリーを用いて様々なパンを焼いています。

 

そこで今月はパンに塗る「スプレッド」系の単語に注目してみましょう。

 

 

1. jam tomorrow バラ色の未来

 

I’m sorry but I can’t settle for a promise of jam tomorrow. (ごめんなさいね。でもバラ色の未来のような約束をすることはできないのよ。)

 

jam tomorrowルイス・キャロル「鏡の国のアリス」に出てきた表現です。もとは“The rule is, jam tomorrow and jam yesterday – but never jam to-day.”と記されており、「いつも約束だけに終わる明日の楽しみ」という意味で用いられています。

 

ちなみに学習者向け英和辞典を引くとjamは果肉が入っているタイプで、「果肉なしジャム」はjellyと英語で言います。一方、confiture(コンフィチュール)はもともとフランス語で「ジャム」を意味します。compote(コンポート)はシロップなどで果物を煮たタイプ、confit(コンフィ)は長時間煮て付け込んだものだそうです。いずれも似たような感じですが、元の言語の違いや、調理法の微妙な差などにより、色々な表現があるようです。

 


2. honeyed お世辞の、(言葉が)甘い

 

Don’t be fooled by honeyed words.  Otherwise, you might end up buying an expensive product! 甘い言葉に騙されてはだめよ。さもないと高い商品を買わされるかもしれないから!)

 

honeyedは「(言葉が)甘い、お世辞の」という意味です。他にも「はちみつのように甘い、はちみつ色の」という文字通りの語義もあります。ちなみにイギリスのコッツウォルズ地方はhoney-coloured(はちみつ色)の石を使った家々が有名です。

 

ところでhoneycomb(ハチの巣)は「(反芻類の)第二胃」という意味もあるのだそうです。画像検索で調べてみると、確かにハチの巣状の形をしていることがわかります。専門用語で「第二胃」はreticulumと言います。retiはラテン語のrete (網状組織)のことです。

 


3. butter-fingered そそっかしい

 

I don’t know why I keep dropping things today.  I am so butter-fingered! (今日はどうしてこんなに物をよく落とすのかしら。ホントにそそっかしいわ!)

 

butter-fingeredは「そそっかしい、よく物を落とす、不器用な」という意味です。ちなみにイギリスのスポーツ、クリケットの世界では「よくポロリと落球する」という語義があります。この言葉が初めてお目見えしたのは今から数百年前のようですが、文字通り「指にバターが付いた状態」を想像すれば、物を落としてしまうのもわかりますよね。

 

なお、butterは名詞としても動詞としても使えます。I buttered my bread(私はパンにバターを塗った)という具合です。ちなみに「リンゴジャム」は英語でapple butterとも言います。興味深いですよね。

 


4. Hard cheese! それはお気の毒さま!

 

You couldn’t do well in the exam?  Hard cheese!  You should have studied harder, though. (試験でうまくいかなかったんですって?それはお気の毒さま!でももっと勉強すべきだったのよね。)

 

hard cheeseは「それはお気の毒さま」という意味で、どちらかと言うと、皮肉交じりに使う表現です。うわべだけの同情が表れているのがわかります。イギリスでよく使われるフレーズで、アメリカではStiff cheese!と言います。

 

ところで辞書でcheeseを引くと、green cheeseという単語がありました。こちらは「できたての未熟なチーズ」という意味です。日本語では未熟さを表す際「青」を使いますよね。たとえば「青二才」などがそうです。一方、英語で「未熟さ」は「緑」を用います。greenは他にも「活気のある若さ」や「嫉妬深さ」などを暗示します。色も言語によってニュアンスが異なることがわかります。

 

季節は間もなく春。おいしい食材が並ぶ時期です。食べ物関連の英語フレーズにもぜひ注目なさってくださいね。

 

 

柴原 早苗
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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 92回 「風邪」関連の単語を用いた英語表現
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2月は1年で一番寒い時期と言われます。特に今の季節、気になるのが体調です。「風邪は万病の元」ということばをよく耳にしますよね。ちなみに私はダウンすることが滅多にないものの、数年に1度は寝込むぐらいの体調不良に陥ることがあります。数年分の疲労がたまってしまうのかもしれません。日々の睡眠・栄養・運動が最善の予防策と考え、この冬を乗り切りたいと思います。

 

今回は「風邪」に関連した英語表現をご紹介しましょう。

 

 

1. be not to be sneezed at あなどれない

 

During the post war period, 1,000 yen was not a sum to be sneezed at. (戦後、1000円はあなどれない額でした。)

 

「あなどれない」は英語でbe not to be sneezed atと言います。主にイギリス英語ではこのように言いますが、アメリカではbe nothing to be sneezed atが使われ、いずれも口語表現です。「金額などがあなどれない」「申し出などが軽く考えられない」というニュアンスを伴います。

 

sneezeは「くしゃみ、くしゃみの音」のことです。また、Don’t make a big sound when you sneeze.(くしゃみの時は大きな音を立てないで)など、動詞としても使えます。一方、似たような単語でsnoozeがありますが、こちらは「居眠りする」「うたたね、居眠り」のことです。目覚まし時計で「スヌーズ機能」がありますよね。

 

ところで私が愛用する「ジーニアス英和辞典」(紙版)を眺めると、sneezeの説明にくしゃみ音について書かれていました。日本語では「ハクション」ですが、英語はa(h)choo, atchoo, atishoo, kerchooと言います。幼少期に海外にいたころ、この音が「ティシュー」と私には聞こえ、「くしゃみをしてティッシュがいるからなのかなあ」と思ったものでした!

 


2. cough up 渋々出す

 

At last, he coughed up the money he owed me.(ようやく彼は私から借りたお金を渋々出してくれました。)


cough upも略式表現です。「お金を渋々出す」「情報を渋々と吐き出す」という意味を持ちます。cough自体は「咳」「咳をする」ですよね。ジーニアス英和辞典coughの見出しには「発音注意」マークが付いています。throughthoughなど、一部が同じスペルでも発音が異なることがわかります。

 

ところでイギリスの小学校時代、私が咳をしていると友人がWould you like some cough drops?と尋ねてきました。cough dropsはのど飴のことだったのです。日本の学校ではアメなどの持ち込みが禁止されているそうですが、当時私が通った小学校は休み時間に家から持参したお菓子を食べて良いとされていました。チョコレートやポテトチップス、リンゴやバナナなど、皆それぞれ持ってきていましたね。

 


3. take pains with … 〜に気を遣う

 

She took pains with her appearance since it was her first time to go to an official party. (公的なパーティーに参加するのは初めてだったため、彼女は身なりに気を遣っていました。)

 

take pains with … は「〜に気を遣う、〜に精を出す」です。painは元々「刑罰」のことで、それが転じて「苦しみ」になりました。語源はpenaltyと同じです。ちなみにpainはけがや病気による一時的な苦しみや心の苦痛を指しますが、acheは継続的に体の一部に生じる鈍い痛みを意味します。

 

No pains, no gainsは「骨折りなくして利得なし」ということわざです。「苦は楽の種」とも言います。苦労を厭わず前進したいと思います。

 


4.send shivers down my spine ぞっとする

 

Thinking about that sends shivers down my spine. (そのことを考えるとぞっとする。)

 

「ぞっとする」の英語は直訳すると「脊柱に震えを送り込む」となります。状況を想像するとまさに最適な表現ですよね。shiverは寒さや恐怖、興奮などで震える様子を表します。1970年代にヒットしたクイーンBohemian Rhapsodyの歌詞にもsends shivers down my spineが出てきます。なお、「震え」は他にもshake, tremble, quake, quiverなどがあります。興味のある方はぜひ英英辞典で引き比べてみて下さい。

 


春の訪れまであとわずか。みなさんも風邪に負けず、これからも楽しく英語を学んでいきましょう!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 91回 「髪」関連用語を使った英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

バラエティ番組などで芸能界の方々の過去が映像で流れることがあります。バブルの頃の写真や動画を見てみると、今と髪型が大幅に異なることがわかりますよね。当時私自身もそうしたヘアスタイルにあこがれを抱いていたのですが、今の時代に見てみるとやはり「年代物」のように映ってしまいます。ということは、今大いにはやっている髪型など、30年後に見てみると同様に感じられるのでしょうね。むしろその頃には80年代ルックスがリバイバルとなっているかもしれません。

 

今月は「髪」関連用語を用いたフレーズを見ていきましょう。

 

 

1. a bad hair day 何をやってもうまくいかない日

 

I’m having a bad hair day.  Maybe tomorrow might be better! 何をやってもうまくいかない日だなあ。明日はもしかしたら良くなるかもね!)

 

a bad hair dayは「起床時の寝癖によりヘアスタイルがうまくいかない日」という意味です。これが転じて口語表現では比ゆ的に用いられ、「何をやってもうまくいかない日」という状況を表します。誰にとっても寝癖というのは始末に困りますよね。

 

さて、hairの付く単語で思いつくのが「白髪」。これは英語ではwhiteではなくgreyを用いてgrey hairと言います。ちなみにイギリス英語でKeep your hair on.と言うと「カッカするな」という意味になります。怒りモードになるとマンガでは髪の毛が逆立った感じで描かれますよね。「まあ、落ち着いて」というニュアンスが込められている表現です。

 


2. have a brush with … 〜と言い合いをする

 

I had a nasty brush with my boss today. (今日、上司と嫌な言い合いをしました。)

 

have a brush with … は「〜と言い合いをする」という意味です。brushはヘアブラシという意味のほかに、もめる様子も表します。なお、have a brush with the lawは「法に触れる」という意味です。

 

ところでa toothbrush moustacheという表現をご存知ですか?「歯ブラシのひげ」とは、「(歯ブラシのように)短く堅い口ひげ」のことです。歯ブラシと一言付くだけで、その堅さがイメージできますよね。なお、ヒゲにはmoustachebeardなど色々あります。学習者向け英和辞典の画像やインターネットの画像検索などでぜひ確認してみて下さい。

 


3.wig out 人を逆上させる

 

I didn’t mean to wig him out.  I was only joking. (彼を逆上させるつもりはなかったんだ。単なる冗談だったんだよ。)

 

wig outは「人を逆上させる」という意味です。wigはカツラのことですが、wig自体、17世紀から18世紀に見られたperiwig(男性用の白い巻き毛カツラ)から来ています。そう、バッハやモーツァルトなどの肖像画に見られる、あのカツラです。

 

wig outは口語表現で「酔っぱらう」という意味もあります。また、「パーティーなどで楽しいひとときを過ごす」という語義もあり、いずれもくだけた場面で使われるフレーズです。

 


4. comb through 徹底的に探す

 

She had to comb through piles of papers to find the document. (彼女はその書類を見つけるため、書類の山を徹底的に探さねばなりませんでした。)

 

comb throughは「徹底的に探す」という意味です。もともとcomb自体はドイツ語から来た単語です。英語はラテン語やギリシャ語、ドイツ語やフランス語などと密接に関わり合っています。研究社の「リーダーズ英和辞典」には語源も載っていますので、辞書を引くたびにことばの源をたどるのも楽しい作業です。

 

ちなみにイギリスにはcombeの付く地名が少なくありません。こちらは「険しく深い谷」という意味で、発音はcomb同様「クーム」と言います。なお、「地下墓地」は英語でcatacombです。そういえばイギリスの教会には地下室(crypt)があり、そこがカフェやレストランになっています。ロンドンに住んでいたころ、そうしたカフェで私が気に入っていたのが、トラファルガー広場にあるSt Martin-in-the-FieldsCafé in the Cryptでした。留学時代、勉強に疲れると息抜きと称して(?)このカフェまで歩き、ラテとスコーンを味わうのが私にとっての楽しみでした。

 


以上、今月のキーワードは「髪」でした。ちなみに京都には頭と髪の「御髪(みかみ)神社」があるそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 90回 「粉を使った食材」の英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

流行というのはおもしろいですよね。スイーツの世界に限ってみてみると、近年ではポップコーンやグラノーラ、パンケーキやワッフルなどがはやっています。私は行列がニガテなので、話題のスイーツを食べたいと思いつつ、お店に並ぶ勇気がありません。下火になったころに出かけたいと考えています。

 

英語表現には食べ物を使ったフレーズがたくさんあります。以前このコラムでもスイーツ関連の表現をご紹介しました。今回のキーワードは「粉を使った食材」の英語フレーズです。早速見てみましょう。

 


1. take the biscuit あきれる

 

You say the dog smashed your computer?  That takes the biscuit!(犬がコンピュータを壊したって?まったくあきれるよ。)

 

take the biscuitは「あきれる」という意味で、口語でよく使われるフレーズです。biscuitを用いるのはイギリス、一方、アメリカではtake the cakeと言います。ちなみにtake the bunも同じ意味です。

 

研究社「リーダーズ英和辞典」には各見出し語に語源が出ています。biscuitはラテン語のbiscoctusという語から成り立っていると書かれています。coctuscoquo、つまりto cookという単語なのですね。一方、大修館書店「ジーニアス英和辞典」biscuitを引くと米語の意味として「(パサパサで甘みがなく楕円形の)薄焼きパン」とも出ていました。ちょっとした解説があるのも学習者向け英和辞典のありがたいところです。

 


2.dollars to donuts 十中八九・・・で、ほとんど確かに・・・で

 

It is dollars to donuts that he will win the title. (彼がタイトルを獲得するのは十中八九、確かでしょう。)

 

dollars to donuts(あるいはdoughnuts)はアメリカの口語表現です。ドルとドーナツのdの頭韻を踏んでいるのも特徴です。日本語の「十中八九」は数字ですので、こうした違いもおもしろいですよね。

 

doughnutは「タイヤ」「(車の)スピン」という意味もあり、do doughnutsは雪の積もった駐車場などで車をスピンさせる様子を表します。もう一つ、doughnutの語義で興味深かったのは「リーダーズ英和辞典」に出ていた動詞としての用法です。イギリスの国会で議員が演説者を盛り立てるためにテレビカメラに撮られている人を取り囲むことをdoughnutと言うそうです。

 


3.cast one’s bread upon the waters (報酬を当てにしないで善行をする)

 

She is always putting others first.  She casts her bread upon the waters. (彼女はいつも他人を第一に考えてくれます。報酬を当てにしないで善行をするのですよね。)

 

cast one’s bread upon the watersは旧約聖書「伝道の書」に出てきます。英語表現の多くが聖書を由来としていますので、英語学習に励むみなさんもぜひ一度、聖書を通読してみて下さい。もっとも、「長すぎて大変!」というのであれば子ども向け絵本やダイジェスト版などもあります。概要をざっくりつかむのでも構いません。聖書の世界から生まれた英語表現にぜひ意識を向けてみて下さい。

 

聖書に出てくるbreadは大事なキーワードです。the bread of life, fish and bread, give somebody a stone for breadなど英語のフレーズもたくさんあります。

 


4. tart oneself up (ごてごて飾り立てる)

 

Don’t tart yourself up because you are going for a job interview. (就職面接に行くのだから、ごてごて飾り立ててはだめですよ。)

 

tartはお菓子のタルトのことですが、動詞としての用法もあります。主にくだけた場面で使われており、意味は「ごてごて飾り立てる、けばけばしく着飾る」です。tart oneself upはget tarted upと表現することもできます。

 

なお、tartは形容詞としての意味もあります。こちらは「酸っぱい」という意味で、sourとほぼ同じです。たとえばa tart appleであれば「酸っぱいリンゴ」のことです。tartly(副詞)、tartness(名詞)という派生語もあります。


いかがでしたか?食べ物も文化の一種です。ことばにも密接に関わっていることがわかります。英語も多角的に学んでみると、みなさんの世界もグンと広がるはずです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 89回 建築用語を用いた英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

日本は世界の中でも有数の祝日大国と言われています。ハッピーマンデーの導入もあり、連休も増えましたよね。私は「記念日」に関心があり、毎朝目が覚めると今日は何の記念日かなと考えます。ちなみに11月11日は「公共建築の日」だそうです。国会議事堂が昭和11年11月に完成したこと、また、建築物が4本の柱からなっていることからこの日に制定されたそうです。

 

今月は建築関連用語を用いた英語フレーズを見ていきましょう。

 


1.burn one’s bridges 後戻りできない状況を作る

 

You should consider before you make a big decision.  You shouldn’t burn your bridges. (大きな決断をする前にじっくり考えた方が良いですよ。後戻りできない状況を作ってはならないのですから。)

 

burn one’s bridgesは「後戻りできない状況を作る」「これまでの関係を完全に絶つ」という意味で、略式表現として使われます。bridge自体には「橋」という意味がありますので、文字通り訳せば「自分の橋を燃やす」となり、そこから派生しました。

 

bridgeは中学で学ぶ基本単語で、原義は「梁、丸太」です。ドイツ語のBrückeも同じ語源から来ているそうです。なお、固有名詞としてbridgeを使う際には通例無冠詞となりますので、London BridgeManhattan Bridgeのように用いられます。一方、川(river)はthe Hudson Riverやthe River of Rhineのようにtheを付けます。

 

 

2.a pillar of strength 頼みの綱

 

When we were in a crisis, she was a pillar of strength. (私たちが危機に陥った際、彼女は頼みの綱でした。)

 

「頼みの綱」は英語でa pillar of strengthと言い、文字通り訳すと「強さの柱」です。類似表現にa pillar of supporta tower of strengthがあります。日本語では「綱」を使いますが、英語の場合「柱」や「塔」となるのが興味深いところですよね。ところで日本語では「柱」を「1本、2本」と数えますが、英語の場合、one pillartwo pillarsです。

 

pillarは「柱」以外にも「柱状のもの」「大黒柱」という意味があります。また、pillarboxは「円柱形の郵便ポスト」で、イギリスでよく見られる赤い郵便ポストを指します。ちなみにアメリカのmailboxは文字通り「箱」型になっていますので、こうした単語からもその形状を想像することができます。

 


3.proclaim O from the rooftops 〜を公にする、〜を声高に叫ぶ

 

I passed my entrance exam!  I want to proclaim that from the rooftops! (試験に合格した!そのことを声高に叫びたいです

 

proclaim O from the rooftopsは「〜を公にする」という意味で、proclaimのほかにshoutcrypublishなどが使えます。rooftopは「屋根」のことですが、ここではrooftopsと複数形なることにも注意しましょう。roofを使った表現にはほかにもgo through the roof(物価などが急高騰する)、hit the roof(ひどく腹を立てる)、under one’s roof(人の世話になって)などがあります。

 

roofの複数形はroofsですが、発音は「ルーヴス」とvの音になります。calf(子牛)の複数形はcalvesとスペルが変わりますし、proof(証拠)の複数形はそのままproofsとなり、発音もにごりません。こうした違いも調べてみるのも楽しいですよね。

 


4.go up the wall 腹を立てている

 

I shouldn’t be late or my mum will go up the wall. (ママが腹を立ててしまうから、遅刻してはいけないわ。)

 

go up the wallは「腹を立てている」という意味です。先ほどご紹介したhit the roofとほぼ同じ状況を指します。wallは「壁、塀、城壁、障壁」のことですが、「言葉の壁」「10秒の壁を破る」などの「壁」ではbarrierを使います。また、「ここだけの話」はwithin these four wallsです。あえてwallと具体的に表現するのですね。

 

ところで1979年にマイケル・ジャクソンが発表した5作目のアルバム・タイトルは“Off the Wall”。ジャケットカバーには壁の前でマイケルがポーズを取っている写真が掲げられています。まさにwall(壁)がそこにはあるわけですが、一方のoff the wallには「常軌を逸した、常識はずれの」というくだけた意味もあります。ちなみにマイケルの妹ジャネットは2016年10月に第一子の妊娠を発表しました。50歳でママになるということで話題になっています。


今月は建築関連のフレーズをご紹介しました。ちなみにインターネットの記念日関連サイトを調べたところ、「屋根の日」は8月8日、「橋の日」は8月4日だそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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