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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 136回 「体の一部を使った英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

人間の体というのは不思議ですよね。私たちが眠っているときでも休むことなく動いてくれます。CNNの放送通訳では医学関連の話題がよくお目見えしますが、正直なところ、「肝臓」「細胞」「遺伝子」などと言われても私自身、普段意識することなく生活しているのです。もっと自分の体を労わりたいと改めて感じています。

 

今月は体の一部を使った英語表現です。

 

 

1 have one’s finger on the pulse 最新の情報に通じている

 

If you want to know the latest market trend, ask Rick.  He has his finger on the pulse. (最新の市場トレンドならリックに聞くと良いよ。彼は最新の情報に通じているから。)

 

「最新の情報に通じている」は英語でhave one’s finger on the pulseと言います。keep one’s finger on the pulseも同じ意味です。文字通り訳すと「脈に指を置く」ですよね。この表現の語源は「脈に指をあてることで自分の心拍がわかる」ことから来ています。

 

なお、pulseの語源はラテン語のpulsum(鼓動している)で、impulse(衝動)、propeller(プロペラ)も同じ語源です。ちなみに電子辞書の例文検索機能はみなさんお使いですか?これは単語を入力すると、複数の辞書の例文機能が一気に表示されるというものです。試しにimpulsiveを入れたところ、his impulsive decision(彼の軽率な決定)、an impulsive act of generosity(思わずしてしまった気前良い行為)、a rash impulsive marriage(軽率で衝動的な結婚)など、なかなか多岐にわたる例文が出てきておもしろかったです。

 


knee-jerk reaction お決まりの反応

 

If you want to be sincere, then it’s better not to show a knee-jerk reaction to others’ comments. (もし誠実になりたいならば、他の人のコメントについてお決まりの反応をしない方が良いよ。)

 

「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)」を英語でknee-jerkと言います。膝を叩くと足が上がる、あの反応です。knee-jerk自体には医学的な意味のほかに「反射的な、思慮に欠ける、お決まりの」といった軽蔑的な口語表現上の意味もあります。上記の例文は「お決まりの」という語義で用いられていますよね。

 

一方、jerk自体は「ガクンと動く」という意味です。ビーフジャーキー(beef jerky) のjerkも同じスペルですが、jerky自体は先住民のことばcharquiが変化したものとされています。

 


3 shoulder to shoulder 協力して

 

He stood shoulder to shoulder with her throughout her difficult period.  (彼女が困難な状況にいる間、彼は彼女に協力していました。)

 

「協力して」は英語でshoulder to shoulderと言います。shoulderは「肩」ですので、「肩を触れ合って」が原義です。ちなみに「肩を並べて歩く」はwalk shoulder to shoulder with each otherと言います。

 

なお、「肩がこる」は英語でhave stiff shouldersと言います。一方、「肩をすくめる」はshrug one’s shouldersです。両肩を表す場合は複数形のshouldersを用います。

 


4 dip one’s toe in the water 新しいことに挑戦する

 

She is now praising her daughter as she has been dipping her toe in the water. (彼女は娘のことを今は褒めています。なぜなら娘が新しいことに挑戦しているからです。)

 

dip one’s toe in the waterは「新しいことに挑戦する」という意味です。たとえばお風呂の温度を確認しながら、そっとつま先から入ることがありますよね。あの状況です。なおtoeそのものは「足の指」という意味で、「足の親指」はbig toeです。「小指」はlittle toeと言います。

 

ところで日本語には冷水、常温水、温水、熱湯などといった語がありますよね。実はこれらの語における法律的な温度の定義はありません。ただ、厚生労働省が定める「日本薬局方」によると、「冷水=10度以下」「常温=15〜25度」だそうです。一方、「ぬるま湯」などは人それぞれの感じ方がありますよね。英語はすべてwaterであり、hotcoldなどの形容詞をwaterの前に付けるだけです。文化の違いを感じます。


以上、今月は体の一部を用いた英語フレーズをご紹介しました。ちなみに私は単語・表現力アップの一環として、何か気になる語(それも基本単語!)を思いつくと、「何かおもしろい語義はないかしら?」と思いながら辞書を引いています。今回このコラムのきっかけとなった語はkneeでした!ぜひみなさんも楽しみながら学んでくださいね。

 

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 135回 「工具の用語を用いた英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

先日、ハンガーラックを買いました。トリセツを見ると、何とかひとりでも組み立てられそうです。部品をひとつずつ、トリセツに書かれているように分類していざトライ。家族は皆それぞれ忙しそうでしたので、助けは仰げず。でも何とか無事、完成しました。出来上がったときというのは嬉しいものですよね。結局このラックはハンマーなども必要とせず、手作業だけで完成したのでした。達成感大!

 

ということで、今回はハンマーを始めとする「工具」を用いた英語フレーズをご紹介します。

 


1 be at it hammer and tongs 全力で取り組む

 

She loved going to the gym.  She went at it hammer and tongs. (彼女はジムに行くのが大好きでした。全力で取り組んでいましたね。)

 

hammerは「金槌、ハンマー」のこと、tongsは「トング、挟み道具」という意味です。tongではなく、複数形tongsで用います。「ジーニアス大英和辞典」によると、このフレーズの語源は「かじ屋の音がやかましいことから」なのだそうです。

 

なお、hammertongも動詞として使えます。hammerは「ドンドンたたく」、tongは「挟み道具でつかむ」という意味です。ちなみに2018年に大ヒットとなった映画「ボヘミアン・ラプソディ」ではクイーンの”Hammer to Fall”が出てきます。今、調べたところ、この曲は核戦争がテーマなのだそうです。

 


2  as hard as nails 情け容赦なしの

 

If you are going out with a person who is as hard as nails, then it’s better to break up.情け容赦ない人と付き合っているぐらいなら、別れた方が良いよ。)

 

「情け容赦なしの」は英語でas hard as nailsと言います。ここでのnailは「爪」ではなく、「クギ」という意味です。「クギのように固い」というのが文字通りの訳ですよね。一方、「爪」という意味でのnailを使ったフレーズも有ります。たとえばnail-bitingは「ハラハラドキドキする」という意味です。

 

「クギ」という意味でのnailを「ランダムハウス英和大辞典」で調べたところ、色々な種類のクギがイラストで出ていました。common nailbrad nailroofing nailscrew nailboat nailといった名前が並びます。興味がある方はぜひ調べてみてくださいね。

 


3 on the hook 窮地に陥って

 

My house is in a mess.  I’m on the hook! (うちは大混乱状態。私は窮地に陥っています!)

 

「フック、引っ掛けるための鉤(かぎ)」を英語でhookと言います。初出は12世紀以前だそうで、古英語のhocから来ています。be on the hookは「窮地に陥って、厄介なことに巻き込まれて」という慣用表現の他、魚が「針に引っ掛かって」という意味もあります。

 

ところでhookで思い出すことがあります。イギリスの小学校に通っていたときの事。その学校にはクロークがあり、コートや授業に必要のない荷物をひっかけるフックがありました。その日の朝、私は自分のコートの下にお弁当袋をひっかけていたのですが、何と、昼食時に取り出したところ、中に入っていたサンドイッチがすべてなくなっていたのです。うーん、よほどお腹を空かせた女子がいたのでしょうね。

 


4 a round peg in a square hole 場違いな、不向きな人

 

I don’t think this is my place to belong.  I feel like a round peg in a square hole. (ここは自分の居場所でないように思います。場違いに感じるのですよね。)

 

「場違いな」を英語でa round peg in a square holeと言います。「釘(くぎ)」は英語でpegですが、この表現を文字通り訳すと「四角い穴の中にある丸くぎ」となります。確かに想像してみれば場違いですよね。この表現はa square peg in a round holeとも言います。どちらが丸でどちらが四角なのかを入れ替えることができます。

 

pegを辞書で引くと沢山の意味が出てきます。たとえばa peg on which to hangは「話を持ち出すきっかけ、口実」、be on one’s pegsは「足がしっかりしている」という意味になります。馴染みのある簡単な単語ほど、実はたくさんの語義があるのですよね。辞書を引くたびに私など新たな発見を嬉しく思います。

 

いかがでしたか?今月は工具用語を使ったフレーズを見てみました。ちなみにイギリスで暮らしていたころ、多くの人たちが「趣味」に挙げていたのが「庭いじり」とDIYでした。ホームセンターへ行くとそれはそれは多くの商品が並んでおり、イギリス人のDIY好きを改めて感じたのでした。

 

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 134回 「チョコレートの商品名を用いた英語表現」

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳の仕事をしていると、ずっと座り仕事であるにもかかわらず、無性にお腹が空いてきます。そのような時にありがたいのが「チョコレート」。脳内が糖分不足になっているからなのでしょうね。かつて暮らしていたイギリスではチョコと言えばもっぱらチョコレートバーでしたが、日本は一口サイズのものや溶けないタイプのものなど多種多様ですよね。ついついコンビニをチェックしてしまいます。

 

そこで今月はチョコレートの商品名を使ったフレーズを見ていきます。

 

 

1 black magic 黒魔術、魔術、呪術

 

My daughter didn’t like the new picture book since it had a black magic theme. (娘は新しい絵本が気に入りませんでした。黒魔術がテーマだったからです。)

 

英語で「黒魔術、呪術」のことをblack magicと言います。悪魔や悪の魂と結びついた魔法を指しています。実はこの英語、イギリスではチョコレート名になっているのですね。現在の発売元はネスレで、イギリスのオリジナル商品です。調べたところ、発売は何と戦前の1933年!当時、チョコレートは高価なものでしたが、Black Magicは誰でも手軽に買えるようにとのコンセプトからデビューしたのだそうです。当時はRowntree社が製造していました。

 

幼少期にイギリスで暮らしていたころ、私もこれを食べたのですが、どちらかと言うと大人向けのダークな味であったと記憶しています。今でこそ私はどのようなチョコレート味も食べられるのですが、小学校時代はラズベリーやオレンジといった柑橘系のフレーバーは苦手でしたね。先ほどパッケージを画像検索したところ、昔のままの渋い黒ボックスでした。ちなみに「天使の助けを借りる善意の魔術」はwhite magicと言うそうです。

 

 

bounty 恵み深さ

 

We should treasure the bounty of Nature.  (私たちは自然の恵み深さを大切にすべきでしょう。)

 

bountyには様々な意味があります。「寛大、気前良さ、恵み深さ」という語義のほかに、「報奨金」という意味も辞書には出てきます。たとえば「報奨金を出す」であればoffer a bounty、と言います。語源はラテン語のbonitas(優しさ、親切心)から来ています。

 

一方、固有名詞のBounty はイギリスで売られているココナッツ入りチョコレートバーです。青と白の横長パッケージが特徴的で、コンビニで多様なチョコレートが並んでいてもすぐに識別できるほどです。日本ではココナッツ入りのチョコはあまり見かけないのですが、私はバウンティが大好きで、旅行に行くたびに必ず買い求めています。調べたところ、日本では輸入雑貨店などで入手できるとか。今度チェックしなければ!

 

 

3 picnic 愉快なこと 楽な仕事

 

My new job is quite demanding.  It’s no picnic.  (私の新しい仕事はなかなか大変です。楽な仕事ではありません。)

 

It’s no picnicは「楽な仕事ではない」という意味です。picnic自体は「ピクニック」という語義のほかに、「楽な仕事、愉快なこと」といった語義もあります。初出は18世紀初めですので、比較的新しい単語ですよね。語源はフランス語のpique-nique(ピクニック)から来ており、piqueは「食べ物をつつく」、niqueは「つまらぬ物」という意味です。

 

日本でも箱型の紙容器に入った同名の乳飲料がありますよね。一方のイギリスではピーナツ入りチョコレートバーとして知られています。発売元はCadbury社で、こちらは戦後の1958年にお目見えしました。ピーナツやレーズンがゴロゴロ入っています。かつてロンドンで仕事をしていたころ、無性に重量級のチョコが食べたくなり、本品を購入。裏面のカロリーを見たところ・・・、「見なかったこと」にしました!

 

 

4 fudge ごまかす

 

I felt guilty when I fudged on my age by two years. (2歳サバを読んだことに罪悪感を抱きましたね。)

 

「ごまかす」を英語でfudgeと言い、通常はfudge onという形で用いています。fudge自体は砂糖、バター、牛乳やチョコレートなどを混ぜて作る柔らかいキャンディーです。以前イギリスのBathの街へ出かけた際、ファッジ専門のお店に入りました。巨大なマシンの中で練り練り練りと攪拌が続いていたのが印象的でしたね。一方、ファッジのお味はというと・・・とにかく甘かったです。なお、FudgeというチョコレートバーはCadbury製のもので、1948年に発売が始まりました。現在はポーランドの工場で作られているそうです。

 

いかがでしたか?今回はチョコレート商品名でもある英単語を見てみました。この原稿を書き続けたら何やら空腹感が。無性にチョコが食べたくなってきました!

 

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 133回 「appleを用いた英語表現」

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳現場では、いつも様々な表現に遭遇しています。面白いなと思ったものは迷わず手元のノートに書き、あとで辞書で引くようにすることが私自身の勉強法です。ニュースには口語表現もたくさん出てくるため、書き言葉ではなかなか知りえないフレーズに出会えるのもこの仕事の醍醐味です。先日耳にしたのはa bad appleという表現。そこで今回はappleを使ったものをご紹介していきます。

 

 

1 a bad apple 悪影響を与える者

 

There could be a bad apple in the organization, but the majority are good people. (組織の中に悪影響を与える者はいるかもしれませんが、大半は善人ですよ。)

 

a bad appleは「周囲に悪影響を与える者」という意味です。badの代わりにrottenも用いられます。日本語でもそうした悪影響を与える人のことを「癌」と言いますよね。

 

appleという語が初めてお目見えしたのは12世紀以前だそうで、古英語から来ているとジーニアス大英和辞典には書かれています。果物の中でもappleは最も典型的なものです。それゆえか、appleを使った英語表現が多いのもうなずけます。

 

 

the apple of discord 争いの原因

 

The responsibility issue still remains the apple of discord. (責任問題が争いの原因となり続けています。)

 

「争いの原因」を英語ではthe apple of discordと言います。文字通り訳せば「不和のリンゴ」です。この大元はギリシャ神話に出てくるトロイ戦争。戦争の原因となったのが黄金のリンゴです。結婚式に招かれなかった女神がそのことを恨み、別の女神たちの間に争いを起こします。そのときに投げ入れたのが黄金のリンゴでした。このリンゴが「不和のリンゴ」となったのですね。

 

なお、discorddis-は「不」、cordの元はheartのことです。ちなみに超音速旅客機のコンコルドはConcorde。こちらはフランス語ですが、英語のconcord(調和、一致)から来ています。コンコルドはパリ近郊で事故を起こしたのを機に、2003年に退役しました。かつてイギリスに暮らしていたころ、我が家の上空を大爆音で飛ぶ姿を見たことを思い出します。

 

 

3 the apple of one’s eye (とてもかわいがっている人)

 

My daughter is the apple of my eye.  I just want to give all my love to her. (娘は私にとって本当にかわいい存在です。とにかくすべての愛を娘に与えたい。)

 

the apple of one’s eyeは「とても大切にしているもの、かわいがっている人」という意味です。主に自分の子どもや恋人などについて使います。用法としては常にbe動詞の後にthe apple of one’s eyeが来ます。

 

私自身、振り返ってみると自分の幼少期は両親に大いに可愛がられて育ちました。けれども自分が子育てをしている頃は仕事が超多忙なライフステージ。今にして思うと、仕事よりももっと子どもたちに愛情を注げば良かったと反省しきりです・・・。

 

 

4 apples and oranges 互いに全く異なる人(物)

 

They are just so different.  They are like apples and oranges.(彼らはとにかく違うんだ。互いに全く異なる人たちだから。)

 

apples and orangesは「互いに全く異なる人(物)」という意味です。主にアメリカで使われる口語表現です。日本語であれば「水と油のような仲」という感じでしょう。本来比べようがないものを無理やり比べるという様子を表しています。

 

ところでorangeの語源は何とサンスクリット語だそうです。naranga(オレンジの木)ということばから来ています。ちなみにオレンジの花言葉は「貞節、愛らしさ、純潔」、一方、オレンジの木は「気前良さ」というニュアンスがあるのだそうです。

 

以上、今回はappleを使った英語表現をご紹介しました。

 

さて、緊急事態宣言も解除され、少しずつ街に活気が戻ってきましたね。私は自粛期間中のささやかな楽しみが早朝ウォーキングでした。季節はちょうど春。美しい花があちこちに咲き誇り、コロナの不安から私の心を慰めてくれました。花の名前に詳しくなかった私はスマートフォンを片手に花を写し、あとでネットで調べるということを続けてみました。どの花にも花言葉があり、非常に興味深く読むことが私にとっての日課となりました。日本語と英語では花言葉が異なるのも印象的でしたね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:05 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 132回 「地学関連の用語」を用いた英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

高校2年生のとき、当時私が通っていた学校では理系科目を選ぶことができました。私は物理も化学も生物も苦手。もともと文系マインドを自認していたこともあり、選択肢がなく困っていました。そのときに出会ったのが「地学」です。「岩石や地層の話などであれば、難しい計算式もなさそう。」そう思い、選択しました。先生にも恵まれ、楽しい1年間でした。今でも地層や岩の話が好きで、写真集などにも注目しています。

 

今月は地学関連の用語を使った英語フレーズを見てみましょう。

 

 

1 cave in 降参する

 

After a long negotiation, he finally caved in. (長時間の交渉の末、彼はとうとう降参しました。)

 

caveは元々「洞窟」の意味ですが、動詞としても使えます。「洞窟を掘る、穴を掘る」です。一方、話し言葉では「降参する、へたばる」と言った意味もあります。上記の用法は日常会話で聞かれる表現です。

 

caveはラテン語のcava(へこんだ)から来ています。cavernも同じく「洞穴」という意味。ビートルズがリバプールのナイトクラブで出演してデビューするきっかけとなった店名はCavern(カバーン)です。

 

 

new terrain 新たな分野

 

By reading the book, I have come to know the new terrain. (その本を読む事で、私は新たな分野を知ることができました。)

 

terrainは「地形」を指しますが、「範囲、分野」という語義もあります。元はフランス語で「土地、地面」という意味。そのさらに源までさかのぼると、ラテン語のterra(地球)にまでたどり着きます。

 

ところで前菜などに出てくる「テリーヌ」、みなさんは召し上がったことはありますか?冷やして食べるお料理ですので、これからの暑い季節はさらに味わえますよね。このテリーヌも元はterraが語源です。

 

 

3 Rocks ahead! 危ない!

 

Rocks ahead! Look both ways.  危ない!左右ちゃんと見て。

 

小さな子どもが道路に飛び出しそうになった際、注意をしている・・・そんな光景が思い浮かぶのが上記の例文です。Rocks ahead!は「危ない!危険だ!」という意味。rockは「岩」のことですが、海事用語でRocks ahead!と言った場合、「座礁するぞ!」という意味になります。

 

rockを辞書で引いてみると、「岩礁、収容所としての小島、いしずえ」など、色々な意味があります。ちなみに「じゃんけん」は英語でpaper, rock and scissorsです。rockは大きさの大小にかかわらず、遊び道具としての「石」を意味する時にも使われます。

 

 

4 stratum of society 社会層

 

The government had to introduce a policy which would be acceptable to every stratum of society. (政府はすべての社会層に受け入れられるような政策を導入せねばなりませんでした。)

 

stratumはもともとラテン語から来た単語で、「薄い、薄く広がっているもの」という意味です。地学用語では「岩層、地層」を指しますが、社会学の世界では「階級、階層」という意味です。a stratum of societyは「社会層」です。

 

なお、ラテン語の単語の場合、複数形は-aと語尾が変化します。たとえばdata / datumなどがありますよね。stratumも複数形はstrataです。ただし、「社会層」自体はstratum of societyで変化はありません。

 

 

いかがでしたか?今月は地学に関連した英語表現をご紹介しました。ところで冒頭でお話した地層の本ですが、子ども向けの図鑑などを改めて眺めてみると、本当に美しい地層や岩石、化石などがカラー写真で掲載されています。勉強で疲れた際にはこうした素晴らしい写真を見てみると、大いに癒されます。今はネットでも画像検索できますので、ぜひみなさんも地球の自然の素晴らしさを堪能なさってくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 131回 「ゴールド」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

日本は世界の中でも有数の「祝日大国」です。2020年の日本の祝日数は18日なのに対し、イギリスやアメリカなどはいずれも10日弱といったところ。これだけお休みの多い日本ですが、まだまだ労働時間は長く、有休取得率も少ないと言われています。働き方改革は今後も続きそうです。

 

そのような中、日本でもゴールデン・ウィークを迎えつつあります。そこで今回は「ゴールド」にまつわる英語表現を見てみましょう。

 

1 have a heart of gold 思いやりがある、優しい心を有する

 

She has a heart of gold.  She gave a lot of donation to her college.  (彼女は心優しい人ですよ。自分の大学に多額の寄付をしたのですから。)

 

「優しい心を有している」を英語でhave a heart of goldと言います。「金の心」が「優しい」という意味になっているのですね。一方、「勇猛な心の人」は英語でa heart of oakです。「冷酷な心の人」はa heart of stoneと言います。

 

ちなみに1979年にイギリスのヒットチャートで第1位を記録したのが、Blondieの”Heart of Glass”という曲でした。邦題もそのまま「ハート・オブ・グラス」です。heart of glass自体は「ガラスのハート」、つまり、傷つきやすい心を指します。日本でも某自動車のCMで使われた一曲です。興味のある方はこちらをどうぞ:

 

 

the golden rule 黄金律

 

The golden rule in improving your English is to practise every day. (英語上達の黄金律は、毎日練習することです。)

 

the golden ruleは日本語でもそのまま直訳通り「黄金律」と言います。元は聖書からの文章です。イエス・キリストの山上の説教の中の一節で、マタイによる福音書7章12節から来ています。英語を学ぶ上でぜひとも触れておきたいのが、「聖書」「ギリシャ神話」と「シェイクスピア」です。絵本でもダイジェスト版でも構いませんので、ぜひ一度ざっくりとでも良いので触れておくことをお勧めします。

 

 

3 be sitting on a goldmine (それとは気づかずに)貴重な物を所有する

 

He didn’t realize that he was sitting on a goldmine.  (彼は自分が貴重な物を所有していたことに気づきませんでした。)

 

goldmineは「金鉱、金山」のことですが、転じて「儲かる仕事、金づる」「宝の山、知識などの宝庫」といった意味があります。be sitting on a goldmineは「自分では気づかないものの、実はとても貴重な物を持っている」という状況を表す表現です。なお、スペルはgold mineおよびgoldmineどちらも有りです。

 

ところで「鉱山」自体は英語でmineと言いますが、これは古フランス語のmine(鉱山)からそのまま入ってきています。a mine of … は「〜の宝庫」という意味です。一方、mineには「機雷、地雷」という意味もあります。イギリスのダイアナ妃は生前の1997年にアフリカ・アンゴラの地雷地帯を訪れました。その中を歩く写真が世界のマスコミに取り上げられ、地雷除去への関心が一気に高まったことを覚えておられる方もいらっしゃることでしょう。

 

 

4 as good as gold 子どもが行儀よくおりこうさんにしている

 

Our children were as good as gold.  We were so impressed! (うちの子どもたちは実によくおりこうさんにしていました。とても感心しましたね!)

 

子どもが行儀良くしていることを英語でas good as goldと言います。他にも「とても良い」「金と同じぐらい価値がある」という語義もあります。「行儀が良い」という意味が使われるようになったのは、17世紀ごろだそうです。

 

as good as … というフレーズがあるならば、as bad as …はどうでしょうか?気になったので調べたところ、Three moves are as bad as fireという文章が辞書にありました。これは「引っ越しを三度もすれば、火事に遭ったようなもの」という意味です。要は何度も引っ越しをしていると貧乏になってしまうということなのですね。日本語でも「引っ越し貧乏」という言葉があるので、想像はつきます。

 

今回は「ゴールド」をキーワードに4つの例文を見てみました。皆様にとりまして有意義なゴールデン・ウィークとなりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:28 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 130回 筋肉・筋トレにちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳者に必要なのは語彙力、文法力、プレゼン力など数限りなくあります。一方、私が個人的に重視しているのは「体力」です。脳みそを酷使するため、スタミナがないと息切れしてしまうのですね。よって、日頃から週に何度かジムに出かけては筋トレや燃焼系のレッスンに参加しています。心地よい汗をかけますしストレス解消にもつながります。子どもの頃は体育の成績が限りなく悪かったのですが、人というのはいつでもチャンスが与えられているのだと思います。今では運動が私にとって欠かせません。

 

今回は筋肉や筋トレにちなんだ用語を用いたフレーズのご紹介です。

 

1 financial muscle 資金力

 

The candidate had a financial muscle to place ads on local TV stations. (その候補者は資金力があったため、地元テレビ局に広告を打ち出すことができました。)

 

muscleは「筋肉」のことですが、financial muscleと言った場合、「資金力」という意味になります。他にもpolitical muscle(政治力)、military muscle(軍事力)といった応用表現もあります。

 

muscleはもともとラテン語で、mus-(ハツカネズミ)から来ています。筋肉の盛り上がる様子がネズミの形や動きに似ているからだそうです。面白いですよね。ところでみなさんは既知の単語をあえて辞書で調べ直すことはありますか?私は実は辞書の引き直しがとても好きで、時間がある時など、誰もが知っている基本単語をあえて引くようにしています。「ジーニアス英和辞典」には解説も豊富にあり、muscleの項では「同音mussel」とありました。musselとは「ムラサキガイ」のこと。こちらも小ネズミに似ていることから生まれた単語だそうです。

 

 

muscular 迫力のある

 

We saw a muscular documentary about the environmental issue. (私たちは環境問題に関する迫力あるドキュメンタリーを観ました。)

 

「力強い、迫力のある」を英語でmuscularと言います。muscleの形容詞muscularを用います。他にも「力強い文体」はa muscular style、「断固たる対応」はa muscular responseです。

 

なお、医学用語の「筋組織、筋肉構成」はmuscular system、「筋肉痛」はmuscular painです。こちらは他にもmyalgiaと言います。これはmyo-(筋肉の)と-algia(〜痛)が組み合わさったものです。

 

ところでこの項を書く上で紙辞書でmuscularを引いたところ、すぐ上の語義はMuscovyという語で「モスクワ大公国」のこと。「モスクワ市民」はMuscoviteです。

 

 

have a good grip on … (〜をよく理解している)

 

She had a good grip on legal matters so she was promoted. (彼女は法律問題についてよく理解していたため、昇格しました。)

 

「〜をよく理解している」は英語でhave a good grip on … と言います。grip自体は「つかむこと、握ること」「握力」を意味します。テニスラケットの握る部分も「グリップ」と言いますよね。

 

gripは動詞にすると「握る」という意味になりますが、graspとは微妙にニュアンスが違います。graspよりもgripの方が強い意味です。英語を学ぶ際、類語の違いを押さえておくとボキャブラリー力の向上につながります。

 

 

4 hover うろつく

 

The children were so hungry that they hovered around the table.  (子どもたちはあまりにも空腹だったため、テーブルの周りをうろついていました。)

 

「付きまとう、うろつく」を英語でhoverと言います。辞書でhoverを引くとたいていの場合、最初に出てくる語義は「(ヘリコプターや鳥などが)上空を舞う」を掲載しています。ヘリコプターが上空でとどまることはhoveringです。

 

一方、筋トレ用語で「ホバー」と言った場合、体幹トレーニングでよく使われるフォームを指します。別名「プランク」とも言うのですが、具体的にはうつぶせ状態になり、ひじを90度に曲げて上半身だけ浮かせるというものです。気になる方は「ホバー」で画像検索してみてくださいね。

 

いかがでしたか?新年度になり、体を動かしたくなったみなさん、ぜひ今回の筋トレ用語を機に体力アップを図ってみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 12:13 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 129回 「氷」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年2月の上旬に韓国でフィギュアスケートの四大陸選手権が行われました。羽生結弦選手の感動的な演技と総合優勝に多くの人が魅了されましたね。私はさほどフィギュアスケートに詳しくはないのですが、かつてイギリスでトービル&ディーンの「ボレロ」を観たことがあり、感激したことがありました。人々を惹きつける魅力があるのがスケートだと感じます。

 

今回は「氷」にちなんだ英語表現を見てみましょう。

 

 

1 break the ice 場の雰囲気をほぐす

 

The speaker broke the ice by making a joke. (その話者は冗談を言うことで場の雰囲気をほぐしました。)

 

「場を和ませる、場の雰囲気をほぐす」を英語でbreak the iceと言います。文字通り訳せば「氷を割る」ということですが、要は緊張状態にあるその場の空気を和ませることを意味します。icebreakerも「緊張を解きほぐすためのゲームや隠し芸」といった意味を有します。

 

ところでice(氷)という語の初出は12世紀以前だそうで、語源は古英語のis(氷)です。「アイスクリーム」は英語でice creamですが、ドイツ語もEisで似ていますよね。一方、フランス語はglace、イタリア語はgelatoですので少々異なります。

 

 

cut no ice 影響がない、無駄である

 

Although my son made his excuses, they cut no ice with me.(息子は言い訳をしたものの、私にとっては無駄でしたね。)

 

「無駄である、影響がない」を話し言葉でcut no ice と言います。後ろにwith …がつくことが多い表現です。上記の例文は、あれこれ言い訳している我が子を前にする親が、「たとえ言い訳をしてきても、それは無駄だ」と思う様子を表しています。

 

このフレーズがお目見えしたのは1800年代の後半とされていますので、どちらかというと新しい表現です。なお、和英辞典で「無駄な」を引くとuselessのほかにfutileという語も出てきます。私などついuselessばかり用いてしまうのですが、こうして新たな語もその都度調べ、使いこなせるようにしたいと感じます。

 

 

the tip of the iceberg 氷山の一角

 

That problem was just the tip of the iceberg.(その問題は氷山の一角に過ぎませんでした。)

 

「氷山の一角」は英語でも似たような表現となっており、the tip of the icebergと言います。tipとは「先端、先っぽ」という意味です。なお、icebergには他にも意味があり、「冷淡な人」やオーストラリアの口語表現で「冬期遊泳者・サーファー」という語義も有します。同じ英語でも地域によって独自の意味があるのが興味深いですよね。

 

ところで最近のニュースでは地球温暖化の話題が少なくありません。中でもよく出てくるのがicecap (氷冠)です。極地などの万年雪を指します。

 

 

4 put on ice 保留にして、棚上げにして

 

We should put that issue on ice until next week.(来週までのその課題については保留にしておきましょう。)

 

「棚上げにして、保留にして」を口語表現ではput on iceと言います。この表現が生まれたのは19世紀後半です。文字通り、保存のために氷を使って貯蔵したという様子から来たフレーズです。そこから転じて現在の意味になりました。ちなみにon iceの他の意味では「勝つ見込み十分な」「待機して」などがあります。

 

なお、ここ数年、アメリカの移民政策関連ニュースでよく出てくるのがすべて大文字のICEです。これはU.S. Immigration and Customs Enforcementの略で、日本語では「米移民関税捜査局」と訳されます。通訳の勉強をする際には、こうした固有名詞も勉強の「ついで」にチェックしておくと、いざという時に役立ちます。

 

今月は「氷」関連のフレーズを見てみました。ちなみに冒頭でフィギュアスケートについてお話しましたが、スケート関連の用語は独特ですよね。たとえば「サルコウジャンプ」は英語でSalchow jumpと言い、これはスウェーデンのサルコウ選手から来ています。一方、「ルッツ(Lutz jump)」はオーストリアのルッツ選手から、「アクセル(Axel jump)」はノルウェーのアクセル・パウルゼン選手が由来です。アクセルだけ下の名前からというのが興味深いですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:41 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 128回 「甘いもの」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

お正月が終わるや店頭にはバレンタイン・チョコレートが並び始めました。イギリスでは、バレンタインというと「男性が女性にバラの花束を贈る」という位置づけです。在英中、地方を車で運転していると、道端の農場が「バラの花あります」との看板を掲げているのを見かけました。国によって異なるのが興味深いところです。

 

今月はバレンタインにちなみ、「甘いもの」をキーワードにした英語表現です。

 

 

1 sugar the pill 嫌なことをマシに見せる、不安にならないように安心させる

 

His mother tried to sugar the pill by telling her son that she would only be in hospital a few days. (母親は、ほんの数日入院するだけだからと言って息子を安心させました

 

「嫌なことをマシに見せる、不愉快な点を和らげる」は英語でsugar the pillと言います。sugarの代わりにsweetengildを使うこともあります。通常、薬というのは苦いものですが、丸薬には糖衣がかぶせられています。そうすることで飲みやすくしているのですね。そこから生まれた英語表現です。

 

ところで私は食材パッケージの裏面に書かれている原材料の欄をしげしげと眺めるのが好きです。最近は輸入食材も多く、表記も複数言語に渡ります。ヨーロッパからの輸入品には英・独・仏・伊・西を始め、ギリシャ語や北欧言語まで記載されていることもあります。読み比べると、似ている単語もあり、興味深いですね。たとえば「砂糖」はsucre(フランス語)、Zuker(ドイツ語)、zucchero(イタリア語)、Azucar(スペイン語)、socker(スウェーデン語)という具合です。

 

 

keep .. sweet 〜のご機嫌取りをする 

 

He had to exaggerate in order to keep his customer sweet. (彼はお客様のご機嫌取りをするために大げさに言わねばなりませんでした。)

 

「〜のご機嫌取りをする」は英語でkeep … sweetと言います。sweetと聞くと「甘い、親切な」などの語義が思い浮かびますが、実際に辞書で調べてみると実にたくさんの意味があることに気づかされます。上記の例文における用法は、どちらかというとくだけた表現です。

 

ところで日本ではお菓子やデザートのことを近年「スイーツ」と言っています。インターネットで調べたところ、この用法が広まったのは平成に入ってからでした。単なる甘いお菓子という意味ではなく、「ワクワクする特別なお菓子」というニュアンスを持つそうです。こうした用法は日本独自だとのこと。ちなみにイギリスではデザートをpuddingと呼んでいます。puddingは厳密には「火を通した甘いお菓子。食後に出すもの」です。

 


3 have a candied tongue 口先がうまい

 

Beware of a person who has a candied tongue because you might be fooled. 口先がうまい人には注意しなさい。だまされるかもしれないから。)

 

「口先がうまい」は英語でhave a candied tongueと言います。candyは「キャンディ」のことで、形容詞のcandiedには「砂糖漬けの」という意味の他に、「甘ったるい、へつらいの」という語義もあります。なお、「へつらいの」は他にもflatteringadulatoryと言います。

 

なお、日本語の「キャンディー」と言えば、「飴」を連想しますが、アメリカの場合、チョコレートも含まれます。一方、凍らせた「アイスキャンデー」は和製英語で、英語ではPopsicle(アメリカで販売されているもの。商標のためPは大文字)またはice lolly(主にイギリス英語)と言います。

 


4 the icing on the cake さらに良いこと、添え物

 

I won the lottery and to put the icing on the cake, my aunt gave me a plane ticket to the States! (宝くじに当たっただけでなく、さらに良いことに叔母がアメリカ行きの航空券をくれました!)

 

何ともうらやまし状況を表す例文ですが、the icing on the cakeは「添え物、さらに良いこと」という意味です。ケーキの上にアイシングを載せればさらに甘くなり、華やかになりますよね。そうした状況から生まれたフレーズです。the frosting on the cakeとも言います。

 

cakeを使った表現は他にも沢山あります。たとえばa piece of cakeは「たやすい仕事」、take the cakeは「1位を占める」です。シェイクスピアが作品の中で用いたMy cake is doughtは「計画は失敗した」という意味で、これは「練り粉のまま菓子になりそこねた」という状況から来ています。

 

以上、今月は「甘いもの」関連の表現をご紹介しました。Happy Valentine’s Day!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 127回 「始まり」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

新しい年が始まるとそれだけでワクワクしますよね。「目標は何にしよう?」「今年はどんな新しいことにチャレンジしようかな?」など、考えるだけで気分も前向きになります。新年というのは何かを始める上でもとても良いきっかけですよね。

 

今月は「始まり」をキーワードにした英語表現を見てみましょう。

 

 

1 charity begins at home 愛はまず身内から

 

Don’t be selfish in front of your family.  People say “Charity begins at home. (家族の前でわがままになってはいけないよ。「愛はまず身内から」と言うでしょ。)

 

Charity begins at homeは諺です。意味は「愛はまず身内から、慈愛は家庭に始まる」ということです。まずは身内を大切にしましょうというニュアンスが含まれています。ここで使われているbeginは「始まる」という意味でおなじみですよね。一方、charityはラテン語のcaritus (尊敬、愛情) から来た単語で、「慈善、施し」といった意味があります。

 

ところで本稿を執筆するにあたり、charityを電子辞書で引いたところ、興味深い語に出会いました。The Charitiesという表現です。これは西オーストラリア州政府が始めた宝くじのことだそうです!

 

 


start the ball rolling 始める

 

OK, since we are all here, let’s start the ball rolling.  (よし、みんな揃ったところで始めよう。)

 

活動や会議などを「始める」は英語のフレーズでstart the ball rollingといいます。getsetstartの代わりに使っても構いません。「ボールを転がし始める」から転じた表現ですので、わかりやすいですよね。

 

ところでみなさんは日ごろの学習で英英辞典はお使いですか?オックスフォード新英英辞典でballを引くと”a solid or hollow spherical or egg-shaped object that is kicked, thrown, or hit in a game”とありました。「球形または卵型」としているあたり、さすがラグビー発祥国だなあと個人的に感じた次第です。

 

 


3 open doors チャンスを与える

 

Getting into the university has opened doors for him in life. (大学に入ったことにより、彼は人生においてチャンスを与えられました。)

 

「チャンスを与える」を英語でopen doorsと言います。「扉」をdoorsと複数形にしているのが興味深いですよね。ちなみに「扉を閉める」はclose the doorまたはshut the doorです。shutの方がcloseよりインフォーマルです。ほかにもdoorを使ったフレーズではopen-door policy(開放政策)、closed-door hearing(非公開喚問)などがあります。

 

なお、「チャンス、機会」は英語でchanceopportunityという語があります。chanceは「運よく偶然に起こる状況」であるのに対して、opportunityは「やるべきことができるようになる状況、好機」というニュアンスです。学習者向けの英和辞典にはこのような微妙な違いも解説されています。ぜひジーニアスやウィズダム、オーレックスといった学習者向け辞典も活用してみてください。

 

 


4 launch into … 熱心に話し始める

 

We were stuck in the shop for an hour.  The salesperson launched into a 60-minute sales talk!  (お店に1時間缶詰め状態になったよ。販売員が60分のセールストークを熱心に始めたので。)

 

launch into … は「熱心に話し始める」ということです。上記の英文では「お店に入ったところ、60分もつかまってしまった」という様子が表されています。launch自体は「始める、着手する」というほかにも宇宙用語で「ロケットを打ち上げる、ミサイルを発射する」といった語義があります。日本語でロケットの「発射装置」を「ランチャー」と言いますが、これはlauncherのことです。

 

ところで上記のlaunch into … のように「動詞+前置詞」からできたフレーズを「句動詞」と言います。launch outは「新しい仕事を始める」、launch forthは「長々と話をする」ということです。なお、日本語で「長々としゃべり続けること」を「長広舌(ちょうこうぜつ)」と言いますよね。これは「長舌」(口数が多いこと、舌が長いこと)と「広舌」(大きなことを無責任に言うこと)が組み合わさった語です。

 


今月は新しい年にちなんで「始まる」という言葉に関連した表現を見てみました。みなさんにとって2020年も幸せに満ちた一年となりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

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