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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 133回 「appleを用いた英語表現」

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳現場では、いつも様々な表現に遭遇しています。面白いなと思ったものは迷わず手元のノートに書き、あとで辞書で引くようにすることが私自身の勉強法です。ニュースには口語表現もたくさん出てくるため、書き言葉ではなかなか知りえないフレーズに出会えるのもこの仕事の醍醐味です。先日耳にしたのはa bad appleという表現。そこで今回はappleを使ったものをご紹介していきます。

 

 

1 a bad apple 悪影響を与える者

 

There could be a bad apple in the organization, but the majority are good people. (組織の中に悪影響を与える者はいるかもしれませんが、大半は善人ですよ。)

 

a bad appleは「周囲に悪影響を与える者」という意味です。badの代わりにrottenも用いられます。日本語でもそうした悪影響を与える人のことを「癌」と言いますよね。

 

appleという語が初めてお目見えしたのは12世紀以前だそうで、古英語から来ているとジーニアス大英和辞典には書かれています。果物の中でもappleは最も典型的なものです。それゆえか、appleを使った英語表現が多いのもうなずけます。

 

 

the apple of discord 争いの原因

 

The responsibility issue still remains the apple of discord. (責任問題が争いの原因となり続けています。)

 

「争いの原因」を英語ではthe apple of discordと言います。文字通り訳せば「不和のリンゴ」です。この大元はギリシャ神話に出てくるトロイ戦争。戦争の原因となったのが黄金のリンゴです。結婚式に招かれなかった女神がそのことを恨み、別の女神たちの間に争いを起こします。そのときに投げ入れたのが黄金のリンゴでした。このリンゴが「不和のリンゴ」となったのですね。

 

なお、discorddis-は「不」、cordの元はheartのことです。ちなみに超音速旅客機のコンコルドはConcorde。こちらはフランス語ですが、英語のconcord(調和、一致)から来ています。コンコルドはパリ近郊で事故を起こしたのを機に、2003年に退役しました。かつてイギリスに暮らしていたころ、我が家の上空を大爆音で飛ぶ姿を見たことを思い出します。

 

 

3 the apple of one’s eye (とてもかわいがっている人)

 

My daughter is the apple of my eye.  I just want to give all my love to her. (娘は私にとって本当にかわいい存在です。とにかくすべての愛を娘に与えたい。)

 

the apple of one’s eyeは「とても大切にしているもの、かわいがっている人」という意味です。主に自分の子どもや恋人などについて使います。用法としては常にbe動詞の後にthe apple of one’s eyeが来ます。

 

私自身、振り返ってみると自分の幼少期は両親に大いに可愛がられて育ちました。けれども自分が子育てをしている頃は仕事が超多忙なライフステージ。今にして思うと、仕事よりももっと子どもたちに愛情を注げば良かったと反省しきりです・・・。

 

 

4 apples and oranges 互いに全く異なる人(物)

 

They are just so different.  They are like apples and oranges.(彼らはとにかく違うんだ。互いに全く異なる人たちだから。)

 

apples and orangesは「互いに全く異なる人(物)」という意味です。主にアメリカで使われる口語表現です。日本語であれば「水と油のような仲」という感じでしょう。本来比べようがないものを無理やり比べるという様子を表しています。

 

ところでorangeの語源は何とサンスクリット語だそうです。naranga(オレンジの木)ということばから来ています。ちなみにオレンジの花言葉は「貞節、愛らしさ、純潔」、一方、オレンジの木は「気前良さ」というニュアンスがあるのだそうです。

 

以上、今回はappleを使った英語表現をご紹介しました。

 

さて、緊急事態宣言も解除され、少しずつ街に活気が戻ってきましたね。私は自粛期間中のささやかな楽しみが早朝ウォーキングでした。季節はちょうど春。美しい花があちこちに咲き誇り、コロナの不安から私の心を慰めてくれました。花の名前に詳しくなかった私はスマートフォンを片手に花を写し、あとでネットで調べるということを続けてみました。どの花にも花言葉があり、非常に興味深く読むことが私にとっての日課となりました。日本語と英語では花言葉が異なるのも印象的でしたね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:05 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 132回 「地学関連の用語」を用いた英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

高校2年生のとき、当時私が通っていた学校では理系科目を選ぶことができました。私は物理も化学も生物も苦手。もともと文系マインドを自認していたこともあり、選択肢がなく困っていました。そのときに出会ったのが「地学」です。「岩石や地層の話などであれば、難しい計算式もなさそう。」そう思い、選択しました。先生にも恵まれ、楽しい1年間でした。今でも地層や岩の話が好きで、写真集などにも注目しています。

 

今月は地学関連の用語を使った英語フレーズを見てみましょう。

 

 

1 cave in 降参する

 

After a long negotiation, he finally caved in. (長時間の交渉の末、彼はとうとう降参しました。)

 

caveは元々「洞窟」の意味ですが、動詞としても使えます。「洞窟を掘る、穴を掘る」です。一方、話し言葉では「降参する、へたばる」と言った意味もあります。上記の用法は日常会話で聞かれる表現です。

 

caveはラテン語のcava(へこんだ)から来ています。cavernも同じく「洞穴」という意味。ビートルズがリバプールのナイトクラブで出演してデビューするきっかけとなった店名はCavern(カバーン)です。

 

 

new terrain 新たな分野

 

By reading the book, I have come to know the new terrain. (その本を読む事で、私は新たな分野を知ることができました。)

 

terrainは「地形」を指しますが、「範囲、分野」という語義もあります。元はフランス語で「土地、地面」という意味。そのさらに源までさかのぼると、ラテン語のterra(地球)にまでたどり着きます。

 

ところで前菜などに出てくる「テリーヌ」、みなさんは召し上がったことはありますか?冷やして食べるお料理ですので、これからの暑い季節はさらに味わえますよね。このテリーヌも元はterraが語源です。

 

 

3 Rocks ahead! 危ない!

 

Rocks ahead! Look both ways.  危ない!左右ちゃんと見て。

 

小さな子どもが道路に飛び出しそうになった際、注意をしている・・・そんな光景が思い浮かぶのが上記の例文です。Rocks ahead!は「危ない!危険だ!」という意味。rockは「岩」のことですが、海事用語でRocks ahead!と言った場合、「座礁するぞ!」という意味になります。

 

rockを辞書で引いてみると、「岩礁、収容所としての小島、いしずえ」など、色々な意味があります。ちなみに「じゃんけん」は英語でpaper, rock and scissorsです。rockは大きさの大小にかかわらず、遊び道具としての「石」を意味する時にも使われます。

 

 

4 stratum of society 社会層

 

The government had to introduce a policy which would be acceptable to every stratum of society. (政府はすべての社会層に受け入れられるような政策を導入せねばなりませんでした。)

 

stratumはもともとラテン語から来た単語で、「薄い、薄く広がっているもの」という意味です。地学用語では「岩層、地層」を指しますが、社会学の世界では「階級、階層」という意味です。a stratum of societyは「社会層」です。

 

なお、ラテン語の単語の場合、複数形は-aと語尾が変化します。たとえばdata / datumなどがありますよね。stratumも複数形はstrataです。ただし、「社会層」自体はstratum of societyで変化はありません。

 

 

いかがでしたか?今月は地学に関連した英語表現をご紹介しました。ところで冒頭でお話した地層の本ですが、子ども向けの図鑑などを改めて眺めてみると、本当に美しい地層や岩石、化石などがカラー写真で掲載されています。勉強で疲れた際にはこうした素晴らしい写真を見てみると、大いに癒されます。今はネットでも画像検索できますので、ぜひみなさんも地球の自然の素晴らしさを堪能なさってくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 131回 「ゴールド」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

日本は世界の中でも有数の「祝日大国」です。2020年の日本の祝日数は18日なのに対し、イギリスやアメリカなどはいずれも10日弱といったところ。これだけお休みの多い日本ですが、まだまだ労働時間は長く、有休取得率も少ないと言われています。働き方改革は今後も続きそうです。

 

そのような中、日本でもゴールデン・ウィークを迎えつつあります。そこで今回は「ゴールド」にまつわる英語表現を見てみましょう。

 

1 have a heart of gold 思いやりがある、優しい心を有する

 

She has a heart of gold.  She gave a lot of donation to her college.  (彼女は心優しい人ですよ。自分の大学に多額の寄付をしたのですから。)

 

「優しい心を有している」を英語でhave a heart of goldと言います。「金の心」が「優しい」という意味になっているのですね。一方、「勇猛な心の人」は英語でa heart of oakです。「冷酷な心の人」はa heart of stoneと言います。

 

ちなみに1979年にイギリスのヒットチャートで第1位を記録したのが、Blondieの”Heart of Glass”という曲でした。邦題もそのまま「ハート・オブ・グラス」です。heart of glass自体は「ガラスのハート」、つまり、傷つきやすい心を指します。日本でも某自動車のCMで使われた一曲です。興味のある方はこちらをどうぞ:

 

 

the golden rule 黄金律

 

The golden rule in improving your English is to practise every day. (英語上達の黄金律は、毎日練習することです。)

 

the golden ruleは日本語でもそのまま直訳通り「黄金律」と言います。元は聖書からの文章です。イエス・キリストの山上の説教の中の一節で、マタイによる福音書7章12節から来ています。英語を学ぶ上でぜひとも触れておきたいのが、「聖書」「ギリシャ神話」と「シェイクスピア」です。絵本でもダイジェスト版でも構いませんので、ぜひ一度ざっくりとでも良いので触れておくことをお勧めします。

 

 

3 be sitting on a goldmine (それとは気づかずに)貴重な物を所有する

 

He didn’t realize that he was sitting on a goldmine.  (彼は自分が貴重な物を所有していたことに気づきませんでした。)

 

goldmineは「金鉱、金山」のことですが、転じて「儲かる仕事、金づる」「宝の山、知識などの宝庫」といった意味があります。be sitting on a goldmineは「自分では気づかないものの、実はとても貴重な物を持っている」という状況を表す表現です。なお、スペルはgold mineおよびgoldmineどちらも有りです。

 

ところで「鉱山」自体は英語でmineと言いますが、これは古フランス語のmine(鉱山)からそのまま入ってきています。a mine of … は「〜の宝庫」という意味です。一方、mineには「機雷、地雷」という意味もあります。イギリスのダイアナ妃は生前の1997年にアフリカ・アンゴラの地雷地帯を訪れました。その中を歩く写真が世界のマスコミに取り上げられ、地雷除去への関心が一気に高まったことを覚えておられる方もいらっしゃることでしょう。

 

 

4 as good as gold 子どもが行儀よくおりこうさんにしている

 

Our children were as good as gold.  We were so impressed! (うちの子どもたちは実によくおりこうさんにしていました。とても感心しましたね!)

 

子どもが行儀良くしていることを英語でas good as goldと言います。他にも「とても良い」「金と同じぐらい価値がある」という語義もあります。「行儀が良い」という意味が使われるようになったのは、17世紀ごろだそうです。

 

as good as … というフレーズがあるならば、as bad as …はどうでしょうか?気になったので調べたところ、Three moves are as bad as fireという文章が辞書にありました。これは「引っ越しを三度もすれば、火事に遭ったようなもの」という意味です。要は何度も引っ越しをしていると貧乏になってしまうということなのですね。日本語でも「引っ越し貧乏」という言葉があるので、想像はつきます。

 

今回は「ゴールド」をキーワードに4つの例文を見てみました。皆様にとりまして有意義なゴールデン・ウィークとなりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:28 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 130回 筋肉・筋トレにちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳者に必要なのは語彙力、文法力、プレゼン力など数限りなくあります。一方、私が個人的に重視しているのは「体力」です。脳みそを酷使するため、スタミナがないと息切れしてしまうのですね。よって、日頃から週に何度かジムに出かけては筋トレや燃焼系のレッスンに参加しています。心地よい汗をかけますしストレス解消にもつながります。子どもの頃は体育の成績が限りなく悪かったのですが、人というのはいつでもチャンスが与えられているのだと思います。今では運動が私にとって欠かせません。

 

今回は筋肉や筋トレにちなんだ用語を用いたフレーズのご紹介です。

 

1 financial muscle 資金力

 

The candidate had a financial muscle to place ads on local TV stations. (その候補者は資金力があったため、地元テレビ局に広告を打ち出すことができました。)

 

muscleは「筋肉」のことですが、financial muscleと言った場合、「資金力」という意味になります。他にもpolitical muscle(政治力)、military muscle(軍事力)といった応用表現もあります。

 

muscleはもともとラテン語で、mus-(ハツカネズミ)から来ています。筋肉の盛り上がる様子がネズミの形や動きに似ているからだそうです。面白いですよね。ところでみなさんは既知の単語をあえて辞書で調べ直すことはありますか?私は実は辞書の引き直しがとても好きで、時間がある時など、誰もが知っている基本単語をあえて引くようにしています。「ジーニアス英和辞典」には解説も豊富にあり、muscleの項では「同音mussel」とありました。musselとは「ムラサキガイ」のこと。こちらも小ネズミに似ていることから生まれた単語だそうです。

 

 

muscular 迫力のある

 

We saw a muscular documentary about the environmental issue. (私たちは環境問題に関する迫力あるドキュメンタリーを観ました。)

 

「力強い、迫力のある」を英語でmuscularと言います。muscleの形容詞muscularを用います。他にも「力強い文体」はa muscular style、「断固たる対応」はa muscular responseです。

 

なお、医学用語の「筋組織、筋肉構成」はmuscular system、「筋肉痛」はmuscular painです。こちらは他にもmyalgiaと言います。これはmyo-(筋肉の)と-algia(〜痛)が組み合わさったものです。

 

ところでこの項を書く上で紙辞書でmuscularを引いたところ、すぐ上の語義はMuscovyという語で「モスクワ大公国」のこと。「モスクワ市民」はMuscoviteです。

 

 

have a good grip on … (〜をよく理解している)

 

She had a good grip on legal matters so she was promoted. (彼女は法律問題についてよく理解していたため、昇格しました。)

 

「〜をよく理解している」は英語でhave a good grip on … と言います。grip自体は「つかむこと、握ること」「握力」を意味します。テニスラケットの握る部分も「グリップ」と言いますよね。

 

gripは動詞にすると「握る」という意味になりますが、graspとは微妙にニュアンスが違います。graspよりもgripの方が強い意味です。英語を学ぶ際、類語の違いを押さえておくとボキャブラリー力の向上につながります。

 

 

4 hover うろつく

 

The children were so hungry that they hovered around the table.  (子どもたちはあまりにも空腹だったため、テーブルの周りをうろついていました。)

 

「付きまとう、うろつく」を英語でhoverと言います。辞書でhoverを引くとたいていの場合、最初に出てくる語義は「(ヘリコプターや鳥などが)上空を舞う」を掲載しています。ヘリコプターが上空でとどまることはhoveringです。

 

一方、筋トレ用語で「ホバー」と言った場合、体幹トレーニングでよく使われるフォームを指します。別名「プランク」とも言うのですが、具体的にはうつぶせ状態になり、ひじを90度に曲げて上半身だけ浮かせるというものです。気になる方は「ホバー」で画像検索してみてくださいね。

 

いかがでしたか?新年度になり、体を動かしたくなったみなさん、ぜひ今回の筋トレ用語を機に体力アップを図ってみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 12:13 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 129回 「氷」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年2月の上旬に韓国でフィギュアスケートの四大陸選手権が行われました。羽生結弦選手の感動的な演技と総合優勝に多くの人が魅了されましたね。私はさほどフィギュアスケートに詳しくはないのですが、かつてイギリスでトービル&ディーンの「ボレロ」を観たことがあり、感激したことがありました。人々を惹きつける魅力があるのがスケートだと感じます。

 

今回は「氷」にちなんだ英語表現を見てみましょう。

 

 

1 break the ice 場の雰囲気をほぐす

 

The speaker broke the ice by making a joke. (その話者は冗談を言うことで場の雰囲気をほぐしました。)

 

「場を和ませる、場の雰囲気をほぐす」を英語でbreak the iceと言います。文字通り訳せば「氷を割る」ということですが、要は緊張状態にあるその場の空気を和ませることを意味します。icebreakerも「緊張を解きほぐすためのゲームや隠し芸」といった意味を有します。

 

ところでice(氷)という語の初出は12世紀以前だそうで、語源は古英語のis(氷)です。「アイスクリーム」は英語でice creamですが、ドイツ語もEisで似ていますよね。一方、フランス語はglace、イタリア語はgelatoですので少々異なります。

 

 

cut no ice 影響がない、無駄である

 

Although my son made his excuses, they cut no ice with me.(息子は言い訳をしたものの、私にとっては無駄でしたね。)

 

「無駄である、影響がない」を話し言葉でcut no ice と言います。後ろにwith …がつくことが多い表現です。上記の例文は、あれこれ言い訳している我が子を前にする親が、「たとえ言い訳をしてきても、それは無駄だ」と思う様子を表しています。

 

このフレーズがお目見えしたのは1800年代の後半とされていますので、どちらかというと新しい表現です。なお、和英辞典で「無駄な」を引くとuselessのほかにfutileという語も出てきます。私などついuselessばかり用いてしまうのですが、こうして新たな語もその都度調べ、使いこなせるようにしたいと感じます。

 

 

the tip of the iceberg 氷山の一角

 

That problem was just the tip of the iceberg.(その問題は氷山の一角に過ぎませんでした。)

 

「氷山の一角」は英語でも似たような表現となっており、the tip of the icebergと言います。tipとは「先端、先っぽ」という意味です。なお、icebergには他にも意味があり、「冷淡な人」やオーストラリアの口語表現で「冬期遊泳者・サーファー」という語義も有します。同じ英語でも地域によって独自の意味があるのが興味深いですよね。

 

ところで最近のニュースでは地球温暖化の話題が少なくありません。中でもよく出てくるのがicecap (氷冠)です。極地などの万年雪を指します。

 

 

4 put on ice 保留にして、棚上げにして

 

We should put that issue on ice until next week.(来週までのその課題については保留にしておきましょう。)

 

「棚上げにして、保留にして」を口語表現ではput on iceと言います。この表現が生まれたのは19世紀後半です。文字通り、保存のために氷を使って貯蔵したという様子から来たフレーズです。そこから転じて現在の意味になりました。ちなみにon iceの他の意味では「勝つ見込み十分な」「待機して」などがあります。

 

なお、ここ数年、アメリカの移民政策関連ニュースでよく出てくるのがすべて大文字のICEです。これはU.S. Immigration and Customs Enforcementの略で、日本語では「米移民関税捜査局」と訳されます。通訳の勉強をする際には、こうした固有名詞も勉強の「ついで」にチェックしておくと、いざという時に役立ちます。

 

今月は「氷」関連のフレーズを見てみました。ちなみに冒頭でフィギュアスケートについてお話しましたが、スケート関連の用語は独特ですよね。たとえば「サルコウジャンプ」は英語でSalchow jumpと言い、これはスウェーデンのサルコウ選手から来ています。一方、「ルッツ(Lutz jump)」はオーストリアのルッツ選手から、「アクセル(Axel jump)」はノルウェーのアクセル・パウルゼン選手が由来です。アクセルだけ下の名前からというのが興味深いですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:41 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 128回 「甘いもの」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

お正月が終わるや店頭にはバレンタイン・チョコレートが並び始めました。イギリスでは、バレンタインというと「男性が女性にバラの花束を贈る」という位置づけです。在英中、地方を車で運転していると、道端の農場が「バラの花あります」との看板を掲げているのを見かけました。国によって異なるのが興味深いところです。

 

今月はバレンタインにちなみ、「甘いもの」をキーワードにした英語表現です。

 

 

1 sugar the pill 嫌なことをマシに見せる、不安にならないように安心させる

 

His mother tried to sugar the pill by telling her son that she would only be in hospital a few days. (母親は、ほんの数日入院するだけだからと言って息子を安心させました

 

「嫌なことをマシに見せる、不愉快な点を和らげる」は英語でsugar the pillと言います。sugarの代わりにsweetengildを使うこともあります。通常、薬というのは苦いものですが、丸薬には糖衣がかぶせられています。そうすることで飲みやすくしているのですね。そこから生まれた英語表現です。

 

ところで私は食材パッケージの裏面に書かれている原材料の欄をしげしげと眺めるのが好きです。最近は輸入食材も多く、表記も複数言語に渡ります。ヨーロッパからの輸入品には英・独・仏・伊・西を始め、ギリシャ語や北欧言語まで記載されていることもあります。読み比べると、似ている単語もあり、興味深いですね。たとえば「砂糖」はsucre(フランス語)、Zuker(ドイツ語)、zucchero(イタリア語)、Azucar(スペイン語)、socker(スウェーデン語)という具合です。

 

 

keep .. sweet 〜のご機嫌取りをする 

 

He had to exaggerate in order to keep his customer sweet. (彼はお客様のご機嫌取りをするために大げさに言わねばなりませんでした。)

 

「〜のご機嫌取りをする」は英語でkeep … sweetと言います。sweetと聞くと「甘い、親切な」などの語義が思い浮かびますが、実際に辞書で調べてみると実にたくさんの意味があることに気づかされます。上記の例文における用法は、どちらかというとくだけた表現です。

 

ところで日本ではお菓子やデザートのことを近年「スイーツ」と言っています。インターネットで調べたところ、この用法が広まったのは平成に入ってからでした。単なる甘いお菓子という意味ではなく、「ワクワクする特別なお菓子」というニュアンスを持つそうです。こうした用法は日本独自だとのこと。ちなみにイギリスではデザートをpuddingと呼んでいます。puddingは厳密には「火を通した甘いお菓子。食後に出すもの」です。

 


3 have a candied tongue 口先がうまい

 

Beware of a person who has a candied tongue because you might be fooled. 口先がうまい人には注意しなさい。だまされるかもしれないから。)

 

「口先がうまい」は英語でhave a candied tongueと言います。candyは「キャンディ」のことで、形容詞のcandiedには「砂糖漬けの」という意味の他に、「甘ったるい、へつらいの」という語義もあります。なお、「へつらいの」は他にもflatteringadulatoryと言います。

 

なお、日本語の「キャンディー」と言えば、「飴」を連想しますが、アメリカの場合、チョコレートも含まれます。一方、凍らせた「アイスキャンデー」は和製英語で、英語ではPopsicle(アメリカで販売されているもの。商標のためPは大文字)またはice lolly(主にイギリス英語)と言います。

 


4 the icing on the cake さらに良いこと、添え物

 

I won the lottery and to put the icing on the cake, my aunt gave me a plane ticket to the States! (宝くじに当たっただけでなく、さらに良いことに叔母がアメリカ行きの航空券をくれました!)

 

何ともうらやまし状況を表す例文ですが、the icing on the cakeは「添え物、さらに良いこと」という意味です。ケーキの上にアイシングを載せればさらに甘くなり、華やかになりますよね。そうした状況から生まれたフレーズです。the frosting on the cakeとも言います。

 

cakeを使った表現は他にも沢山あります。たとえばa piece of cakeは「たやすい仕事」、take the cakeは「1位を占める」です。シェイクスピアが作品の中で用いたMy cake is doughtは「計画は失敗した」という意味で、これは「練り粉のまま菓子になりそこねた」という状況から来ています。

 

以上、今月は「甘いもの」関連の表現をご紹介しました。Happy Valentine’s Day!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 127回 「始まり」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

新しい年が始まるとそれだけでワクワクしますよね。「目標は何にしよう?」「今年はどんな新しいことにチャレンジしようかな?」など、考えるだけで気分も前向きになります。新年というのは何かを始める上でもとても良いきっかけですよね。

 

今月は「始まり」をキーワードにした英語表現を見てみましょう。

 

 

1 charity begins at home 愛はまず身内から

 

Don’t be selfish in front of your family.  People say “Charity begins at home. (家族の前でわがままになってはいけないよ。「愛はまず身内から」と言うでしょ。)

 

Charity begins at homeは諺です。意味は「愛はまず身内から、慈愛は家庭に始まる」ということです。まずは身内を大切にしましょうというニュアンスが含まれています。ここで使われているbeginは「始まる」という意味でおなじみですよね。一方、charityはラテン語のcaritus (尊敬、愛情) から来た単語で、「慈善、施し」といった意味があります。

 

ところで本稿を執筆するにあたり、charityを電子辞書で引いたところ、興味深い語に出会いました。The Charitiesという表現です。これは西オーストラリア州政府が始めた宝くじのことだそうです!

 

 


start the ball rolling 始める

 

OK, since we are all here, let’s start the ball rolling.  (よし、みんな揃ったところで始めよう。)

 

活動や会議などを「始める」は英語のフレーズでstart the ball rollingといいます。getsetstartの代わりに使っても構いません。「ボールを転がし始める」から転じた表現ですので、わかりやすいですよね。

 

ところでみなさんは日ごろの学習で英英辞典はお使いですか?オックスフォード新英英辞典でballを引くと”a solid or hollow spherical or egg-shaped object that is kicked, thrown, or hit in a game”とありました。「球形または卵型」としているあたり、さすがラグビー発祥国だなあと個人的に感じた次第です。

 

 


3 open doors チャンスを与える

 

Getting into the university has opened doors for him in life. (大学に入ったことにより、彼は人生においてチャンスを与えられました。)

 

「チャンスを与える」を英語でopen doorsと言います。「扉」をdoorsと複数形にしているのが興味深いですよね。ちなみに「扉を閉める」はclose the doorまたはshut the doorです。shutの方がcloseよりインフォーマルです。ほかにもdoorを使ったフレーズではopen-door policy(開放政策)、closed-door hearing(非公開喚問)などがあります。

 

なお、「チャンス、機会」は英語でchanceopportunityという語があります。chanceは「運よく偶然に起こる状況」であるのに対して、opportunityは「やるべきことができるようになる状況、好機」というニュアンスです。学習者向けの英和辞典にはこのような微妙な違いも解説されています。ぜひジーニアスやウィズダム、オーレックスといった学習者向け辞典も活用してみてください。

 

 


4 launch into … 熱心に話し始める

 

We were stuck in the shop for an hour.  The salesperson launched into a 60-minute sales talk!  (お店に1時間缶詰め状態になったよ。販売員が60分のセールストークを熱心に始めたので。)

 

launch into … は「熱心に話し始める」ということです。上記の英文では「お店に入ったところ、60分もつかまってしまった」という様子が表されています。launch自体は「始める、着手する」というほかにも宇宙用語で「ロケットを打ち上げる、ミサイルを発射する」といった語義があります。日本語でロケットの「発射装置」を「ランチャー」と言いますが、これはlauncherのことです。

 

ところで上記のlaunch into … のように「動詞+前置詞」からできたフレーズを「句動詞」と言います。launch outは「新しい仕事を始める」、launch forthは「長々と話をする」ということです。なお、日本語で「長々としゃべり続けること」を「長広舌(ちょうこうぜつ)」と言いますよね。これは「長舌」(口数が多いこと、舌が長いこと)と「広舌」(大きなことを無責任に言うこと)が組み合わさった語です。

 


今月は新しい年にちなんで「始まる」という言葉に関連した表現を見てみました。みなさんにとって2020年も幸せに満ちた一年となりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:11 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 126回 straightを使った英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

紅茶が好きで、カフェに出かけてもよく紅茶を注文しています。「ストレート、ミルク、レモン、いかがなさいますか?」と聞かれるとたいてい「ストレートで」と答えます。くたびれている時はミルクの甘みも好きなのですが、紅茶葉そのものを味わう上では何も足していない方が香りを楽しめるのですね。

 

紅茶やコーヒー用語として定着した日本語の「ストレート」。英語ではstraightと書きます。中学生の頃、「なぜ発音しないghが?」と思ったのも今では懐かしい思い出です。と言うわけで、今回はstraightを用いた英語表現を見てみましょう。

 

1 play it straight 真面目にやる

 

Don’t be shy.  Play it straight to make it convincing.  (恥ずかしがらないで。説得力を持たせるためにも真面目にやって。)

 

「真面目にやる」を英語でplay it straightと言います。「誠実に対応する」というニュアンスもあります。straightには線などが「まっすぐな、一直線の」という意味だけではなく、「言葉が回りくどくない、率直な」や「行動などが正直な」という語義もあります。

 

ところでplayitを使った表現は他にもあります。たとえばplay it by earは「暗譜で演奏する、即興演奏する」、play it safeは「安全第一でいく」、play it smartは「気を利かせる」です。一方、子どもの遊びで”Let’s play it.”と言った場合、これは「鬼ごっこしよう」という意味になります。

 

 

the straight and narrow path まっとうな生き方

 

Sam made up his mind to follow the straight and narrow path.  (サムはまっとうな生き方をしようと決めました。)

 

「まっとうな生き方」「堅気な生活」を英語でthe straight and narrow pathと言います。「まっすぐで狭い道」というのが面白いですよね。pathの代わりにwayを使うこともあります。

 

ところで私は語彙力強化を図る上で、類語や反対語を常に意識するようにしています。よってnarrowが出てくれば「反対語はbroadwide」「類語はslimthin」という具合に考えるのです。すぐに頭に浮かべば良いのですが、そうでないときは電子辞書の英英辞典や類語辞典をこまめに引くようにしています。こうして表現をストックしておくと、日英通訳の時に特に役立ちます。

 

 

3 get straight A’s オールAをとる

 

Janet worked really hard.  She got straight A’s on her report card.  (ジャネットは本当によく頑張りました。通知表はオールAでした。)

 

英語圏では採点や成績付けの際、A、B、Cとアルファベットを使います。上記の表現は特にアメリカでよく使われるようです。考えてみれば私が小学生の頃は「オール5」というフレーズがありました。今は日本の学校も成績の付け方にバリエーションが出てきていますよね。

 

ところで私が小中学校時代を過ごしたイギリスの学校は、通知表が独特でした。ランク付けをするのではなく、科目ごとに先生の所見がびっしりと書かれているカードが配られたのです。多くの生徒を指導する中、一人一人にこうした感想を書く先生の労力は大変だったことでしょう。けれどもきめ細やかに見てくださったことに今でも感謝しています。

 

 

4 straight out 率直に

 

Do tell me straight out what you think about the issue.  (その問題についてどうぞ率直にお話しください。)

 

「率直に、正直に」を英語の口語表現ではstraight outと言います。一方、「単刀直入に(人)に尋ねる」であればask (someone) straight outとなります。一方、straight out of … となった場合は「〜からそのまま、〜をまねたような」という意味になります。たとえばstraight out of a movieであれば「まるで映画から出てきたような」ということです。少し紛らわしいですよね。

 

なお、straightという語は14世紀初頭に誕生したそうです。中英語のstrecchen(引き伸ばす)の過去分詞です。つまりstraightstretchは元の語源が一緒だったのですね。興味深いところです。

 

今月はstraightを用いた表現を4つご紹介しました。ちなみに冒頭でご紹介した「ストレートティー」ですが、これは和製英語です。英語で正しくはblack teaないしtea with no milk or sugartea without milk or sugarと言います。これからは寒い季節。皆さんも紅茶片手に英語学習を楽しんでくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 125回 数字を含む英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳現場で一番目立つのは「数字」。数字を間違えてしまうと大変なことになります。と言いますのは、お客様の多くが、たとえ英語が不得手でも数字だけはきちんと聞き取れるというケースが少なくないからです。数自体はもちろんのこと、円とドルなどの単位も正確に訳出せねばなりません。特にややこしいのがmillionbillionなどです。同時通訳をメモ無しでしていても、数字が出てきた際にはなるべくメモをとり、落ち着いて訳出するよう心掛けています(なかなか大変ではあるのですが)。

 

今月は数字が出てくる英語表現を見てみましょう。

 

1 two of a kind よく似ている

 

He and his elder brother are two of a kind. (彼は兄とよく似ています。)

 

「よく似ている」は英語でtwo of a kindと言います。twoの他にthreefourを使った表現もあり、four of a kindはトランプ用語の「フォーカード」です。

 

英語のtwoの語源は古英語のtwa(2の)という語で、twintwiceも同じ語源を持ちます。「2」を表す語は他にもdoubledualがありますよね。最近はニュースの中でbinaryという語もよく出てきます。たとえばmake a binary choiceは「どちらか一方を選ぶ」という意味です。binaryがあるのでtrinaryは?ハイ、あります。

 


up to the nines (完全に、最高に)

 

For our Halloween party, we dressed up to the nines. (ハロウィーンパーティーのために私たちは完全に着飾ってみました。)

 

話し言葉でup to the ninesと言った場合、「完全に、完璧に、最高に」という意味になります。主にイギリスではup to the nines、それ以外ではto the ninesと言います。語源は「99.999 …が限りなく100に近いこと」から来ています。

 

ところで日本の警察の電話番号は「110番」ですが、イギリスは「999」です。こちらにかけると消防署、救急車、警察すべてに通じます。発音はnine-nine-nineです。一方、アメリカの緊急電話番号は「911」、読み方はnine-one-oneです。考えてみれば、「110番」も「ひゃくじゅうばん」「いち・いち・ぜろばん」とは言わず、「ひゃくとおばん」ですよね。当たり前の数字も正しい読み方を押さえておく。通訳者にとっては必須です。

 


3 take (a) five (一息つく、息抜きする)

 

We’ve worked so hard.  Shall we take five? (ずいぶん頑張ったね。一息つこうか?)

 

「一息つく」は英語でtake fiveと言います。fiveの前にaを入れても構いません。また、似たような表現にtake tenがあり、こちらも「一休み、10分休み」という意味です。

 

ところで私は学生時代にファーストフード店でアルバイトをしたことがあります。その際、お手洗いは「10番」でした。「ちょっとカウンターを外れてお手洗いに行ってきます」は「10番入りま〜す」と言っていましたね。

 


4 by (in) twos and threes (三々五々)

 

The guests arrived in twos and threes. (お客様は三々五々到着しました。)

 

by (in) twos and threesは「三々五々」という意味です。「同時に2,3人ずつ(2,3個ずつ)、少人数で」というニュアンスを表す表現です。ちなみによくよく考えてみたら、twoという数字自体が複数形になる、というのも不思議ですよね。

 

ではones and twosはあるのでしょうか?調べたところ、in ones and twos(ごく少数)というフレーズが見つかりました。英語学習の際、こうして発展的に疑問を抱き、調べてみることも楽しい作業です。

 

なお、上記は数字の2と3ですが日本語では「三々五々」で3と5です。これは中国の詩人・李白の詩から来ています。「三三五五映垂楊(さんさんごごすいようにえいず)」(三人五人がしだれ柳の影に見え隠れしている)が元にあります。

今月は数字を使った英語表現をご紹介しました。なお、「ゼロ」を発見したのはインド人と言われています。インドの小学生は掛け算の九九を19X19まで習うとか。私はイギリスの小学校時代に12X12まで学習しましたが、ついていくだけで必死でした。おそらくイギリスの場合、12進法がまだ当時は健在だったからでしょう。もっとも現在でもコインの2p(2ペンス)、20p、£2などがあります。旅行の際は大きなお財布が必要です。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 124回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

我が家の日めくりカレンダーには記念日が記されています。「耳の日」「七五三」「国際平和デー」など、国民の祝日以外にも様々な記念日や記念週間がありますよね。ちなみに9月20日から26日までは動物愛護週間。こちらは動物愛護管理法で定められています。これにちなんで各地では関連行事も行われます。

 

今月は動物に関する英語フレーズを見てみましょう。

 

1 beaver away せっせと取り組む、せっせと働く

 

Kate has been beavering away at her assignment for days. (ケイトは何日にもわたり、課題にせっせと取り組んでいます。)

 

物事にせっせと取り組む様子を英語でbeaver awayと言います。後ろには前置詞のatが続きます。主にイギリスでよく耳にする口語表現です。beaverは動物の「ビーバー」ですが、このように動詞として使うこともできるのですね。

 

ところでbeaverという動物は働き者で知られています。beaver自体には他にもいくつか語義がありますが、大文字のBeaverと言えばアメリカオレゴン州のこと。ニックネームがBeaver Stateなのです。一方、ボーイスカウトの最年少組の少年をBeaverとも言います。

 

そう言えば、某家電メーカーのエアコンが「ビーバー」でしたね。こちらは「働き者のエアコン」という意味が込められているそうです。

 


2 a whale of a … (素晴らしい)

 

The party was great! We had a whale of a good time. (パーティーは良かった!私たちは素晴らしいときを過ごしました。)

 

whaleは「クジラ」のことですが、その大きさから派生してa whale of a … という表現が生まれました。くだけた表現で「すごく大きな〜」「すばらしい〜」という意味です。

 

ところでクジラ観察のことを最近はカタカナで「ホエール・ウォッチング」と言いますよね。ただ、whale自体の発音はあえてカタカナにすれば「ウェール」「フウェール」となります。既知の英単語もぜひ今一度、発音チェックされることをお勧めします。

 


3 elephant city 巨大都市

 

Tokyo is an elephant city.  There are so many people! (東京は巨大都市ですよ。たくさんの人がいます!)

 

「巨大都市」を英語でelephant cityと言います。elephantは「ゾウ」だけでなく、「巨大なもの、巨大な人」という意味もあるのですね。ちなみにゾウの「鼻」はtrunkです。アメリカ共和党(Republican party)の象徴は「ゾウ」で、シンボルとして描かれています。大統領選挙のニュースもこれからますます入ってくることでしょう。画像をぜひチェックしてみてください。

 


4 duck かわす

 

The President ducked questions about his personal finances.  (大統領は自らの財務状況についての質問をかわしました。)

 

duckは「アヒル」のことですが、動詞では「ひょいと身をかわす、避ける」という意味があります。また、アヒルなどがちょっと水にもぐることもduckと言います。

 

ところでlame duckという表現はご存知ですか?これは選挙後に後任が就任するまでの間の大統領や議員などを指します。日本のメディアでも「レイムダック」とカタカナ表記しています。lameには「下手な、役に立たない」などの意味があり、要は任期満了直前になると、政治家自身、大きな政策実行などもせず、引退を待つばかりとなります。そうした状況を描いた表現です。


いかがでしたか?今回は動物が出てくる英語表現を4つご紹介しました。ところで英和辞典で色々な動物を調べてみると、それぞれの動物が抽象的にどういった意味を持つのかも説明されています。たとえば日本で「ウサギ」というと可愛いイメージですが、英和辞典には「臆病さを連想させる」とあります。一方、fox(狡猾な人)、dove(平和、温順の表象)、mouse(乱雑の象徴)など、調べただけでも色々と出てきました。

 

季節は秋真っ盛り。皆さんも楽しみながら英語学習を続けてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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