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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 <バックナンバー>

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

 

 

 

 

 

スクールブログで人気の連載コラム『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』。
おかげさまで2009年の連載開始から10年が経ち、連載も120回を迎えました。

皆さまが再読しやすいように、Indexを作成しましたので、再読の際にご活用ください。

 

毎月1回、初旬に新しいコラムをご紹介していますので、これからもどうぞお楽しみください!

 

 

 丸第1回: がんばってください!
 丸第2回: 訃報が届いたら?

 丸第3回:やんわりと断る

 丸第4回:自分の家族を褒める

 丸第5回:「とりあえず」を英語で言うと?

 丸第6回:頼み方あれこれ

 丸第7回:食事の好みを尋ねる

 丸第8回:詳しく説明してもらうには?

 丸第9回:意外とよく出る口語表現

 丸第10回:数字の読み方あれこれ

 

 丸第11回:「仕事」の表現いろいろ

 丸第12回:体の部位などを使った英語表現

 丸第13回:食事関連の言葉を使った英語表現

 丸第14回:食品単語を形容詞化した英語表現

 丸第15回:DIY関連語を用いた英語表現

 丸第16回:まっすぐなモノに関連した英語表現

 丸第17回:部屋にあるものを使った英語表現

 丸第18回:度量衡単位を使った英語表現

 丸第19回:入れ物に関連する英語表現

 丸第20回:スイーツ関連の英語表現

 

 丸第21回「体の部位+ing」表現

 丸第22回「帽子関連の英語表現」の英語表現

 丸第23回「枠にちなんだ」英語表現

 丸第24回「水にちなんだ」英語表現

 丸第25回「空に関連のある」英語表現

 丸第26回「乳製品関連」の英語表現

 丸第27回「武器用語」を使った英語表現

 丸第28回「氷関連」の英語表現

 丸第29回:「天候を表す」英語表現

 丸第30回:「鳥の種類が出てくる」英語表現

 

 丸第31回:「前後をハイフンで結んだ」英語表現

 丸第32回:「bootを使った」英語表現

 丸第33回:「家庭雑貨を使った」英語表現

 丸第34回:「飲み物を使った」英語表現

 丸第35回:「果物に関連した」英語表現

 丸第36回:「光る」「磨く」を使った英語表現

 丸第37回:「旗」を使った英語表現

 丸第38回:「帽子関連」の英語表現

 丸第39回:「文房具」を使った表現

 丸第40回: 土に関連した表現

 

 丸第41回: 火に関連した表現

 丸第42回: redを使った表現

 丸第43回: steamを使った表現

 丸第44回: breadを使った表現

 丸第45回: up toを使った句動詞

 丸第46回: waterを使った表現

 丸第47回: cardを使った表現

 丸第48回: 「流れ」に関連した表現

 丸第49回: ハトにちなんだ表現

 丸第50回: お腹関連の表現

 

 丸第51回: 乗り物を使った表現

 丸第52回: lineを使った表現

 丸第53回: 齧歯目が出てくる表現

 丸第54回: 人名を用いた表現

 丸第55回: 重複する単語

 丸第56回: 立つ、座る、横たわる、しゃがむ

 丸第57回: 色が意味するニュアンス

 丸第58回: 気象関連の言葉を使った英語表現

 丸第59回: 旗に関連した英語表現

 丸第60回: 「折る・曲げる」

 

 丸第61回: 「針」に関連した表現

 丸第62回: ラテン語由来の表現

 丸第63回: 方角を使った表現

 丸第64回: 秋の味覚を用いた表現

 丸第65回: 音楽用語を用いたフレーズ

 丸第66回: 光に関連する英語表現

 丸第67回: 羊に関連する英語表現

 丸第68回: 雪に関連する英語表現

 丸第69回: 単位に関連する英語表現

 丸第70回: 動物に関連する英語表現

 

 丸第71回: 料理に関連する英語表現

 丸第72回: 繰り返しの英語表現

 丸第73回: 機械関連用語を使ったフレーズ

 丸第74回: スイーツ関連の表現

 丸第75回: 昆虫関連の表現

 丸第76回: 繊維関連の表現

 丸第77回: 体の一部を使った表現

 丸第78回: 生きものが出てくるフレーズ

 丸第79回: 職業が出てくるフレーズ

 丸第80回: 宗教用語を用いた表現

 

 丸第81回: スポーツ関連の用語を用いた表現

 丸第82回: 布にちなんだ表現

 丸第83回: 水回り関連のフレーズ

 丸第84回: 花の名前を用いた英語表現

 丸第85回: 高さ関連の語を用いた英語表現

 丸第86回: スポーツ用語を使った英語フレーズ

 丸第87回: 記述記号を使った英語フレーズ

 丸第88回: ひもや糸に関連した英語表現

 丸第89回: 建築用語を用いた英語表現

 丸第90回:「粉を使った食材」の英語表現

 

 丸第91回:「髪」関連用語を使った英語表現

 丸第92回:「風邪」関連の単語を用いた英語表現

 丸第93回:「スプレッド」関連の単語を用いたフレーズ

 丸第94回:「食用肉」の語を用いたフレーズ

 丸第95回:「郵便関連」の語を用いたフレーズ

 丸第96回:「鳥」の語を用いたフレーズ

 丸第97回:「『海』関連の英語表現 」を用いたフレーズ

 丸第98回:「自転車用語」を用いたフレーズ

 丸第99回:「石」に関連する用語を使った英語表現

 丸第100回: 民話などを語源とする英語表現

 

 丸第101回:「木」に関連する英語表現

 丸第102回: 内臓器官に関連した英語フレーズ

 丸第103回: イヌに関連した英語フレーズ

 丸第104回: 食材をandで結んだ英語フレーズ

 丸第105回: ゲーム関連の語を使った英語表現

 丸第106回: 乗り物関連の語を使った英語表現

 丸第107回: 鳥関連の語を使った英語表現

 丸第108回: 体の部位とハイフンを使った英語表現

 丸第109回: foodとmealを使った英語表現

 丸第110回: 固有名詞を使った英語表現

 

 丸第111回: 体の動作にちなんだ英語表現

 丸第112回: 数字を使った英語表現

 丸第113回: 顔のパーツを使った英語表現

 丸第114回: 動物が出てくる英語表現

 丸第115回: 飲料が出てくる英語表現

 丸第116回: “Bohemian Rhapsody”歌詞内に出てくる単語を用いた英語表現

 丸第117回: orでつないだ英語表現

 丸第118回: tall/short/big/smallを使った英語表現

 丸第119回: 月や季節を使った英語表現

 丸第120回: 韻を踏みandで結ばれた英語表現

 

 

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柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 13:30 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 120回 韻を踏みandで結ばれた英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳現場で私は聞こえてくる新しい単語や表現を出来る限りメモするようにしています。愛用するB5ノートにひたすら書き連ね、仕事の合間を縫って辞書を引きます。意味を書きつつ、時間に余裕があれば英英辞典で調べたり、電子辞書の例文検索を使ったりすることもあります。ポイントは「忘れても良い」と言い聞かせて楽しみながら学ぶことです。今回ご紹介する表現も、ニュースで遭遇したもの。韻を踏みながらandで結ばれたフレーズです。早速見てみましょう。

 


1 name and shame 名前を公表する

 

John has decided to name and shame the people who engaged in conspiracy. (ジョンは、共謀に加担した人たちの名前を公表することに決めました。)

 

name and shame は不正などをした人物の「名前を公表する」という意味で、nameは「名指しする」、shameは「恥ずかしく思わせる」ということです。両方の単語の-ameで韻を踏んでいるのがわかります。naming and shamingと言うこともあります。

 

ちなみに「恥」はshame以外にもembarrassment(戸惑いなどによる恥ずかしさ)や、dishonor(不名誉。shameより堅い語)、disgrace(面目失墜の不名誉)などがあります。

 


2 the be-all and the end-all (究極の目的)

 

It is important to study, but it is not the be-all and the end-all. (勉強することは大事ですが、究極の目的ではありません。)

 

「究極の目的、最重要事項」を英語でthe be-all and the end-allと言います。be-allは「最も重要なもの」、end-allは「究極の目的」です。この表現を生み出したのは、かのシェイクスピア。作品「マクベス」で使われました。1605年のことです。シェイクスピアは多くの英語表現を創作しており、今日でも沢山使われています。英語学習者がぜひ押さえておきたい作者の一人です。

 

「究極の目的」は他にもultimate purposesupreme goalultimate objectiveなどと言います。

 


3 done and dusted (無事終了する)

 

I thought the contract will be done and dusted by midday.  (お昼までに契約を無事終了するものと思っていました。)

 

done and dustedでは冒頭のdの文字が韻を踏んでいます。主にイギリスで使われる表現で、「無事終了する」という意味です。donedoの過去分詞形、dustedの原形dustは「埃を払う」です。

 

この表現がどのような由来なのか、インターネット上では今一つ見つかりませんでした。ある説では「昔は万年筆で書き物をしており、インクの乾きを早くするために上から埃をまいた」となっています。一方、「オックスフォード英語辞典での初出は20世紀とある。すでにボールペンの時代だ」ともありました。他にも「煙突掃除と関連があるのでは?」とも出ていましたね。語源が気になる表現です。

 


4 belt and braces (念には念を入れること)

 

In spite of belt and braces approach, our plan did not go well.  (念には念を入れたアプローチだったにもかかわらず、私たちの計画はうまくいきませんでした。)

 

「念には念を入れること、石橋を叩いて渡ること」を英語でbelt and bracesと言います。beltは「ベルト」、braceは「ズボン吊り」のことで、両方を共用することから「念には念を入れること」という意味になりました。ちなみに「ズボン吊り」を日本語で「サスペンダー」と言いますが、suspenderはアメリカ英語の「ズボン吊り」です。イギリス英語のsuspenderは「ストッキングのサスペンダー」を指します。

 

この表現はwear a belt and bracesのようにwearを付けることもできます。なお、日本語では「ベルトを『締める』」ですが、英語ではwearを使うのも興味深いですよね。

 

今回は韻を踏みながらandを使った英語表現を4つ見てみました。andは中学校で学ぶ基礎単語ですが、改めて辞書を引いてみると発音の規則が冒頭に出ており、勉強になります。ちなみに「&」マークは英語でampersand、「#」マークはpoundまたはhash、「*」はasterisk、「〜」はtilde、「※」はreference markです。知っているようで知らない記号の名称もこの際覚えてみましょう。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 119回 月や季節を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

子どもたちが小さかったころ、映画「となりのトトロ」を家族で観ました。今でも人気の作品ですよね。東京都三鷹市にはジブリ専門の美術館もあり、国内外から大勢が来館するそうです。その「トトロ」に出てくる主人公が二人の姉妹、「サツキ」と「メイ」です。どちらも「皐月=5月」「May=5月」ですよね。ちなみに英語の人名で月を冠したものとしてはAprilJune(いずれも女子)、August(男子)などがあります。

今月は月や季節を用いたフレーズを見てみましょう。

 


1 the May of my life 私の青春時代

 

Looking back, my college days were the May of my life. (振り返ってみると、大学時代が私の青春時代でしたね。)

 

Mayは「5月」だけでなく、「盛り、青春」という意味もあります。the May of my lifeは「私の青春時代」です。また、the Maysの場合はイギリス・ケンブリッジ大学の「5月試験」のことでもあります。さらに動詞として使うこともでき、小文字のmayと表記して「メーデーに参加する」という意味も有します。

 

Mayは元々ラテン語のMaiusで、これはMaiaという「春の女神」から来ています。増加や成長をもたらす女性という意味です。

 


2 an august presence (堂々たる存在の人)

 

The President tried to show the world that he is an august presence. (大統領は世界に対して、自分が堂々たる存在の人であることを示そうとしました。)

 

augustは月の場合August(8月)と大文字になり、アクセントもAuにかかります。一方、「威厳ある、堂々たる」という意味のaugustは小文字、強勢はguの上です。augustの語源はラテン語のaugustusvenerable(敬うべき、高徳の)という意味です。

 

Augustは最初の皇帝Augustus Caesar(アウグストゥス)から来ています。アウグストゥスはOctavianus(オクタビアヌス)という名前もあり、これは皇帝になる前の名前です。

 


3 in high summer (真夏に)

 

In high summer, the temperature can reach 40 degrees Centigrade. (真夏には気温が摂氏40度に達することもあります。)

 

「真夏に」は英語でhigh summerと言います。一方、「真冬」は英語でmidwinterです。考えてみれば夏と冬は「真」が付きますが、「真春・真秋」はありませんよね。

 

辞書でsummerを引くと、天文学的な解説が出ています。「ランダムハウス英和大辞典」によれば、「北半球では、夏至から秋分まで。南半球では冬至から春分まで」と解説されています。また、アメリカでは6月から8月を、イギリスでは5月中旬から8月中旬までがsummerと区分されるそうです。

 

summerには「最盛期、円熟期」の意味もあり、the summer of one’s lifeは「壮年期」です。

 


4 one’s autumn years (引退後の人生)

 

I’ll be retiring in June.  I am looking forward to my autumn years. (6月に定年です。引退後の人生が楽しみですね。)

 

one’s autumn yearsは定年退職後の人生を表します。autumn自体は「秋」の他に「成熟期、熟年」との語義があるのです。一方、「晩年」はwinterです。in the winter of old ageは「老境を迎えて」という意味になります。

 

ところで「秋」はイギリス英語でautumn、アメリカ英語ではfallですよね。これはautumn自体がラテン語を源としており、「収穫期」を表す単語から来ています。一方のfallはまさに葉っぱが落ちる(fall)から生まれた単語です。

 

なお、日本では「読書の秋」「スポーツの秋」など「〜の秋」という表現があります。ただ、これを英語にする場合は説明的な訳の方が理解しやすいでしょう。“autumn, the time for reading” あるいはthe time for sportsという具合です。

さらにもう一つ。漢字の「秋」の旧字は「穐」。古代の占いでは、秋に捕獲した亀の甲に火を近づけて占っていたのだそうです。


今回は月や季節名を用いた英語表現をご紹介しました。気持ちの良い季節、ぜひ皆さんも楽しく英語を学んでくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:01 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 118回 tall/short/big/smallを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

英語学習に関するセミナーを実施した際、質疑応答でよく受ける質問があります。それは「どれぐらいの量の勉強をしたらよいですか?」というものです。「ここまで学習すれば通訳者になれる」「これだけ学べば検定試験のスコアを伸ばせる」という先入観が、どうやら学習者の間にはあるようなのですね。確かに私自身、デビュー前もそのように思っていました。けれども、むしろ大変なのは現場に出てからです。毎日が受験勉強のような感じで集中してひたすら学び続けます。未知の分野であれば基本書から読み、わからない英単語があればその都度辞書を引きます。通訳業というのはその繰り返しなのですね。

 

今回ご紹介するフレーズは、いずれも中学校で学ぶ形容詞を用いたものです。私自身、放送通訳現場でこれらが出てきた際、いずれも意味が分からず訳語に詰まったという苦い経験があります。だからこそ頑張って学ぼうと逆に思えるのです。では早速見てみましょう。

 

1 tall order (無理難題)

 

It’s a tall order.  We can’t increase the sales in just a month. (それは無理難題です。たった1か月で売り上げを伸ばすことはできません。)

 

「難しい注文、無理難題」を英語でtall orderと言い、通常は不定冠詞のaを付けて使います。「tall(背が高い)+order(注文)」が文字通りの意味ですが、もともとtallには「大量の、大きなサイズの」との語義があります。tall order自体はアメリカで生まれた口語表現で、19世紀から使われているようです。

 

ちなみに私はこのようにフレーズに遭遇すると、反対語を使った表現はあるかと気になります。早速調べたところ、short order(アメリカ英語で「すぐできる料理」)なる語を辞書で見つけました!

 


2 short-handed (人手不足の)

 

Since we are short-handed, I will ask my boss if we can hire another employee. (人手不足なので、もう一人人材を雇えるかどうか上司に聞いてみます。)

 

「人手が足りない」を英語でshort-handedと言います。語源は「手がほとんどない」から来ており、18世紀末に誕生した表現です。名詞はshort-handednessです。なお、アイスホッケーの世界では「数の面で劣勢な状況」を表します。

 

shorthandには「速記」という意味もありますよね。ではlonghandはあるのでしょうか?実はあります。「タイプ打ちや速記ではない普通の手書き」という意味です。「速記」は他にもstenographと言います。stenoは「狭い」という意味で、「狭めて書く」というのが語源です。

 


3 big mouth (おしゃべりな人)

 

When I was a child, my mum always told me not to be a big mouth. (子どもの頃、母にはおしゃべりな人になるなといつも言われていました)。

 

big mouthは物理的に人の口が大きい様子を指すほか、「おしゃべりな人」という意味もあります。分別なくベラベラしゃべる人のことを表す表現です。口の軽い人、ほら吹きなど、日本語にも色々とありますよね。複数形はbigmouthsです。「おしゃべりの」という形容詞はbig-mouthedです。

 

ちなみにsmallmouth bassは「コクチバス」という魚で、オオクチバス同様、日本では通称「ブラックバス」と呼ばれています。オオクチバスは上あごの後ろの端が目の端より後ろ、コクチバスは目の端より前にあります。

 


4 small fortune (かなりの金額、大金)

 

Actually, that dress cost me small fortune.  (実はあのドレス、結構高かったのよ。)

 

「大金、かなりの金額」を英語ではsmall fortuneと言います。「小さな富」と文字通りの意味がなぜ「大金」なのでしょうか?英語の世界ではこのようにあえて反語的な表現を用いることがあるのですね。

 

ところでfortuneには他にも興味深い表現があります。たとえばsoldier of fortune(冒険家)、wheel of fortune(ルーレット盤)、bonne fortune(男が自慢したくなるような女性からの贈り物)などです。一方、Fortune 500 はアメリカの経済誌Fortuneが毎年掲載する売り上げ規模上位500社のことです。

 


いかがでしたか?今月は簡単な形容詞を用いた表現を見てみました。私にとって未知の表現を集めることは、スタンプラリーのような感じです。みなさんも楽しみながら学び続けてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:58 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 117回 orでつないだ英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

単純な単語ほど、その成り立ちに私は興味を抱きます。たとえばandの由来。古期英語ですが、ドイツ語と同じ語源だそうです。ちなみにandを「&」マークで示しますが、この記号は「アンパサンド(ampersand)」と言います。元はラテン語のeとtがつながった文字です。もう一つ、orの由来を。こちらは中期英語でotherが語源だそうです。自分がよく知っている単語もあえて調べてみると、新たな発見がありますよね。

 

今月は2つの単語をorでつないだ英語表現を見ていきましょう。

 

1 do or die (死ぬ覚悟で)

 

We must do or die in the next presidential election. (私たちは次の大統領選挙で死ぬ覚悟でやらなければいけません。)

 

「必死の覚悟で、死ぬ覚悟で」を英語ではdo or dieと言います。dodiedを揃えることでリズミカルな表現になっています。なお、do-or-dieと間にハイフンを入れることで、形容詞としての使い方もあります。たとえば、a do-or-die expression(必死の表情)、a do-or-die battle(一か八かの戦い)という具合です。

 

ところで数年前にテレビドラマで「半沢直樹」が大ヒットしましたよね。そこで出てきた「倍返し」。英語ではpay … back doubleと言います。

 


2 black or white (白か黒か、はっきりしている)

 

The issue is not simple.  It isn’t black or white. (その問題は単純ではありません。白か黒かではないのです。)

 

「はっきりしている、明白である」を英語ではblack or whiteと言います。英語では黒が先に来ますが、日本語では「白か黒か」となり、白が先です。英語ではこのように日本語とは逆の順番になる表現があります。たとえば「新旧」はold and new、「貧富」はrich and poorという具合です。

 

なお、紅茶かコーヒーを提供された際、“Black or white?” と尋ねられることがあります。これは「ストレートかミルク入りか」ということです。ちなみに先日出かけたイギリスのカフェメニューにはflat whiteという商品がありました。これは「ミルク入りコーヒー」のこと。エスプレッソに泡立てたミルクを入れるタイプで、ラテやカプチーノと比べると泡が少ないコーヒーです。

 


3 feast or famine (多すぎるか少なすぎるか)

 

Our homework is usually feast or famine. (私たちの宿題はたいてい多すぎるか少なすぎるかです。)

 

feastは「ごちそう、祝宴」、famineは「飢饉、飢餓」のことです。feast or famineで「多すぎるか少なすぎるか」という意味になります。この表現もfeast-or-famineとハイフンで結び、形容詞にできます。この場合は「人生が波乱に富んだ、ビジネスなどの浮き沈みが激しい」という意味になります。

 

ところで「飢饉」と「飢餓」の違い、皆さんはご存知でしょうか?「飢饉」とは農作物のできが非常に悪く、食糧不足に陥る状態を指します。「饉」は「野菜や穀物のできが悪いこと」という意味です。一方、「飢餓」も同様の意味ですが、飢饉と比べて永続的な食糧不足を指すこともあります。


4 You can take it or leave it (気に入らなければやめて良い)

 

It’s up to you.  You can take it or leave it. (あなた次第ですよ。気に入らなければやめて構いません。)

 

take it or leave itは「取るか捨てるか」という意味です。ここではYou can take it or leave itという決まり文句になっており、「気に入らなければやめて良い」という状況を表しています。takeは「取る、受け入れる」ということです。

take or leaveというフレーズも同様の意味ですが、他にも「プラスマイナス」という語義があります。たとえばOne thousand yen, take or leave a few yenであれば「1000円、プラスマイナス数円」です。


今回はorを使ったフレーズをご紹介しました。ちなみにorore(鉱石、原石)、oar(オール、櫓)と同じ発音です。大文字のOROregon(オレゴン)州、インターネットのドメイン名でorは財団法人や国連などの法人組織を表します。

 

 

柴原 早苗
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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:05 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 116回 “Bohemian Rhapsody”歌詞内に出てくる単語を用いた英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年のゴールデン・グローブ賞では、ロックバンドのクイーンを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が作品賞と主演男優賞を受賞しました。クイーンは1970年代から80年代にかけて数々のヒット曲を世に生み出しています。「ボヘミアン・ラプソディ」や「キラー・クイーン」「伝説のチャンピオン」などは時代を経た今でも人々に愛されており、一度は耳にしたこともある方もいらっしゃるでしょう。今回の映画の大ヒットにより、世代を超えてクイーンのファンが増えつつあります。かく言う私はまさにクイーン世代。映画の制作発表がなされたときは、あのフレディ・マーキュリーを俳優さんが演じるのには無理があるのではと懐疑的でした。ところがいざ鑑賞してみるとすっかりハマり、すでに劇場に足を運ぶこと3回です。多くの方々に観ていただきたい作品です。

 

そこで今回は「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞に出てくる英語をヒントに、4つのフレーズをご紹介します。

 

 

1 the devil to pay(厄介なこと)

 

If I do not keep the promise with them, there will be the devil to pay.  (もし彼らとの約束を守らないと、厄介なことになるだろう。)

 

「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞では”Beelzebub has a devil put aside for me”という部分で出てきますよね。「悪魔」を英語でdevilと言い、上記の例文the devil to payは「厄介なこと」という意味です。なお、「悪魔」はキリスト教、ユダヤ教、イスラム教いずれにおいても最強とされる悪魔です。「ジーニアス英和辞典」によれば、悪魔は「ヤギの頭に角・尾・長い耳・割れたひづめ・コウモリの翼に女の腕と胸をもった姿で表される」とのことです。

 

devilを使った表現としては他にSpeak of the devil(噂をすれば影)、The devil looks after his own(憎まれっ子世にはばかる)などがあります。

 


2 be quick on the trigger (反応が早い)

 

During the press conference, she was quick on the trigger and she made a brilliant response.  (記者会見の際、彼女は反応が早く、素晴らしい答えを述べていました。)

 

triggerはクイーンの曲の中で”pulled my trigger”として出てきました。trigger自体は「引き金」のことです。be quick on the triggerは「引き金を引くのが早い、反応が早い、抜け目のない」という意味になります。ちなみに「ひどく攻撃的な」を英語ではtrigger-happyと言います。「利き手の人差し指」はtrigger-fingerです。

 


3 out of sympathy (同意しない、共感しない)

 

Maybe you like it, but I am out of sympathy with the plan. (あなたは好きなのかもしれないけれど、私はその計画には同意しないなあ。)

 

sympathyは歌詞の冒頭の方で”I need no sympathy”として出てきました。sympathy自体は「同情、思いやり、支持」といった意味を持ちます。symは「共に」、pathは「苦しむ」ということです。

 

英語圏では訃報を受けると日本のような弔電やお香典袋などの代わりとしてカードを先方へ送ります。文具店には様々なメッセージが書かれたカードが売られており、お悔やみのカードには”With Sympathy”と記されています。気になる方は画像検索で調べてみてください。

 


4 like the wind(非常に素早く)

 

Since he was late for work, he grabbed the bread and ran like the wind. (仕事に遅れそうだったため、彼はパンをつかんで疾走して行きました。)

 

like the windは「非常に素早く」ということですが、上記の例文では直前にranがありますので、「疾走した」と訳してあります。クイーンの曲でwindが出てくるのは、一番最後。”Any way the wind blows” の歌詞の後に有名な銅鑼の音が鳴りますよね。

 

ところで私が子ども時代を過ごしたイギリスでは、当時、同級生たちがこぞって”The Wind in the Willows”というケネス・グレアムの作品を読んでいました。私はE.H.シェパードの挿絵が大好きでしたね。邦題は「たのしい川べ」、訳は石井桃子さんです。

 

今月はクイーンの曲に出てくる英単語をきっかけに英語フレーズをご紹介しました。このようにして自分のお気に入りの歌詞に出てくる単語をあれこれ調べてみると、意外な表現に出会うことができます。

 

ところでアメリカでは2月24日(現地時間)にアカデミー賞が発表されます。映画「ボヘミアン・ラプソディ」の行方が早くも気になるところです!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 14:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 115回 飲料が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳をしていると、実に多様な表現が出てきます。通訳をしていて一番難儀するのが句動詞や熟語です。いっそのこと難しい英単語を一つ出してもらった方が文脈から想像しやすいこともあります。逆に簡単な単語を使ったフレーズほど、推測できないのですね。今回ご紹介する「飲料」を用いた英語表現も同様です。なじみある飲み物が英語でどのように使われているのか、早速見てみましょう。

 

 

1 be another cup of tea (話が別である)

 

Enjoying music is one thing, playing music is another cup of tea.  (音楽を楽しむことと、音楽を奏でることは別の話です。)

be another cup of teaは「話が別である」という意味です。cup of teaは「一杯のお茶」ということですが、実は他にも「好みのもの、得意なこと」という意味もあるのです。

 

英語でteaと言った場合、紅茶を指すことが多く、「緑茶」はgreen teaと言います。最近では「抹茶」が海外でも流行しており、そのままmatchaと表示されているようです。また、イギリスやオーストラリアではteaが「夕方に食べる軽食」を指すこともあります。かつてイギリスに暮らしていたころ、スーパーでteacakeなるものを見かけましたが、いくつかの種類があるようでした。と言いますのも、チョココーティングしたマシュマロのお菓子もteacakeで、手のひらサイズのスコーンのようなものもteacakeとして売られていたのです。ご関心のある方はteacakeで画像検索をどうぞ。

 


2 juice (政治的影響力)

 

The president chose him because he had the juice to convince senators. (大統領が彼を選んだのは、彼が上院議員たちを説得する政治的影響力があったからです。)

 

juiceは「果汁100パーセントのジュース」という意味の他に「政治的影響力、エネルギー」という意味があります。また、「電力源、ガソリン」などもjuiceです。名詞だけでなく、動詞としても使えます。juice a lemonは「レモンを絞る」、juice upは「燃料を補給する」「活性化する」です。

 

ところでjuiceに似た発音にdeuceがあります。こちらはテニスの「デュース」です。古フランス語のdeusから来ており、ラテン語のduos、つまり「2」が大元にあります。デュースの語源はいくつかあるようですが、フランス語で「二人とも同じ点数の状態」を指すことから来たようです。

 


3 in deep water (非常に困って)

 

After losing my credit card, I was in deep water.  (クレジットカードを失くした後、私は非常に困りました。)

 

in deep waterは文字通り訳せば「深い水の中にある」ということですが、熟語としては「非常に困って」という意味になります。他にもinto deep waterget into deep waterdeep watersなどの表記があります。

 

ところで私が子ども時代に過ごしたイギリスでは、当時”Watership Down”という小説が大流行していました。リチャード・アダムズが書いた作品で、日本では「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」という邦題が付いています。ピーターラビット同様、ウサギが主人公の作品です。

 


4 be in the soup (困った状況に陥る)

 

She was in the soup because she broke her mother’s favorite vase. (彼女は母親お気に入りの花瓶を割ってしまい、困った状況に陥りました。)

 

「困った状況に陥る、困難に直面する」を英語でbe in the soupと言います。soupは「スープ」のことですが、「窮地」という意味もあります。なお、soupは動詞としても使われ、「人を困らせる、悲しませる」という様子を表します。「困らせる」にはannoy(繰り返し困らせる)、harass(嫌がらせをする)など、色々とありますよね。

 

ところで最近は海外でも和食が人気です。「味噌汁」はmiso soup、「だし」はdashi、「うま味」もそのままumamiです。以前観たイギリスのドキュメンタリー番組に「機内食を改善する」というものがありました。イギリスの一流シェフが和食のumamiを活用すると述べていたのが印象的でした。

 

いかがでしたか?普段何気なく見ているおなじみの英単語も、こうしてフレーズになることで元の語義とは異なる意味を持つようになります。私自身、通訳現場では毎回このようにして新しい表現との出会いを繰り返しています。その都度、辞書で調べ、自分の学習ノートに書き出すという地道な作業を行います。ノートにフレーズがどんどん貯まると自己達成感もアップするのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 114回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

「どのようにすれば語彙力をアップさせられますか?」

指導をしていると、このような質問を受けることがあります。世の中には単語集もたくさん販売されています。書店に行くだけで迷ってしまいますよね。私もずいぶん購入しては三日坊主ということを繰り返してきました。

 

最近は「気になる表現を耳にしたら、すぐにメモをして調べて訳を書いておく」という行為にとどめています。「書いたら終わり、忘れてもよし」とするのです。人間は忘れる生き物ですので、無理するとモチベーションが下がってしまいますよね。緩〜いルールですが、だからこそこの方法が私には合っているようです。今回ご紹介するのは「動物が出てくるフレーズ」。放送通訳現場で上記の方法でメモした表現たちです。

 

 

break one’s duck (初勝利を上げる)

 

It was Karen’s first match so she wanted to break her duck. (カレンにとって初めての試合だったため、初勝利を上げたいと思っていました。)

 

break one’s duckは「初勝利を上げる、先制点を上げる」という意味で、スポーツニュースによく出てくる表現です。他にも「最初の足掛かりを得る」という意味があります。これは元々イギリス英語で、duckはクリケット用語です。クリケットの世界では「得点ゼロ」という意味なのですね。他にもbreak one’s tournament duckという表現があり、こちらは「やっと大きな大会でゴールを決める」という意味になります。

 

duckは「カモ、アヒル」のことですが、語源は古英語のduce、つまりdiver(水にもぐるもの)から来ています。duckは「おしゃべり、あざむき」の象徴でもあります。動物にはそれぞれ象徴するものがあり、辞書で調べてみると色々と出てきます。

 


grinning sheepishly (バツが悪そうな笑いをしながら)

 

Grinning sheepishly, Tom admitted that he ate all the chocolates.  (バツが悪そうな笑いをしながら、トムはチョコをすべて食べたことを認めました。)

 

「バツが悪そうな笑いをしながら」は英語でgrinning sheepishlyと言います。他にもa sheepish smile(おどおどした笑み)という表現があります。sheepishは「羊のような」という意味ですが、それが転じて「非常に内気な、おどおどした」という語義を有するようになりました。sheepを辞書で引くと、「単純・誠実などの象徴」と出ています。羊は従順であるたけ、こうしたニュアンスを伴うようになったのですね。

 

なお、羊自体はsheepですが、「雄羊」はram、「雌羊」はewe、「子羊および子羊の肉」はlamb、「羊の肉」はmuttonです。

 


as greedy as a wolf (狼のように非常に貪欲な)

 

Don’t act like thatPeople would think that you are as greedy as a wolf. (そんな風に行動しないで。狼のように非常に貪欲だって人々は思うよ。)

 

as greedy as a wolfは「狼のように非常に貪欲な」という意味です。wolfには「残忍な人、貪欲な人」という語義もあるのですね。人名にもWolfがありますので、その名前を聞くたびにこのニュアンスを思い浮かべてしまわないのかしら、とつい私など気になってしまいます。

 

ちなみに「狼の群れ」はa pack of wolvesと言います。「魚の群れ」はa school of fishです。同じ「群れ」でも異なる表現であるのが興味深いですよね。

 

 

horse (苦労して動かす)

 

Four men had to horse the piano up the stairs. (4人の男性が上の階にピアノを苦労して運び上げました。)

 

horseは「苦労して動かす」という意味です。ここでは上の階の話が出ていますので、「運び上げる」と訳してあります。horseは「馬」ですが、「馬に乗せる」「背負って運ぶ」という意味もあるのですね。ちなみに上記の「羊」同様、「馬」にもいろいろな呼び名があります。たとえばmareは「雄馬」、coltは「雄の子馬」、stallionは「種馬」といった具合です。馬の「いななき」はwhinny、「馬の荒い鼻息」はsnortと言います。ちなみにスポーツニュースでequestrianと出てきたら、これは「馬術の」という意味になります。

 

今月は動物に関する英語表現を見てみました。名詞としてだけでなく、動詞で用いられていたり、熟語になっていたりと奥が深いですよね。皆さんもぜひ多様な表現に注目しながら、これからも楽しく英語学習を続けて行ってください。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 113回 顔のパーツを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳現場ではブースに一人で入るため、パートナー通訳者からのサポートはありません。聞き取れなくてもその単語を知らなくても、何とか声を出し続けるのが仕事です。なぜなら10秒以上の沈黙は放送事故とみなされるからです。毎回、未知の表現が出てきても何とか文脈から想像しながら訳すことを私自身、心がけています。そして、聞き取れなかった単語は後で動画で確認し、メモするようにしています。

今回ご紹介するのは、主に放送通訳現場で出会った表現。いずれも体のパーツが出てきます。


tongue-in-cheek (ふざけた)

 

Be serious when you do the interview.  Don’t make any tongue-in-cheek comment. (インタビューをやる時は真面目に。ふざけたコメントしてはいけないよ。)

 

英語で「ふざけた」はtongue-in-cheekと言います。複数の辞書を引くと、初出は1933年とありますので、比較的新しい表現です。一説によれば、語源は「笑いを押し殺すために舌をかんだ」という表情から生まれたとされています。

 

なお、tongueは「舌、べろ」で、牛肉などの「タン」でもおなじみですよね。体の機能以外にも、「話す能力、言語」という意味もあります。また、編み上げ靴の「べろ」、「ブローチの針」もtongueです。なお、mother tongueは近年、「母国語」ではなく、「母語」と訳されています。これは国を持たないものの母語が存在するという、人道的な配慮からです。

 

 

seal one’s lips (秘密を守る)

 

Since it’s a new information, shall I seal my lips? (新しい情報なので、秘密を守りましょうか?)

 

seal one’s lipsは「秘密を守る」ということです。まさに「唇」をのり付けるという言葉がその状況を物語っていますよね。ここでは上唇・下唇があるので、lipsと複数形になっています。ちなみに「誰にも言わないよ」はMy lips are sealedです。

 

ところで英語で「口パク」をlip syncと言います。これはlip synchronizationの略です。日本語の「口パク」は「口だけパクパク動かすこと」を表わしています。

 


fight tooth and nail (必死になる)

 

Since she is going to take an exam, she is fighting tooth and nail. (試験を受けるため、彼女は必死になっています。)

 

fight tooth and nailは「必死になる、あらゆる手を尽くす」という意味です。nailの代わりにclawを使うこともあります。語源は動物界の習性から来ています。動物同士、闘う時というのは 文字通り歯や爪を使いますよね。歴史的に見ても、かなり昔からあるフレーズだそうです。

 

ところで学習者向け英和辞典には図も豊富に掲載されています。私が愛用する「ジーニアス英和辞典(第5版)」でtoothを引くと、口の中の歯の図が出ています。日本語の「奥歯」はmolar、「親知らず」はwisdom tooth、「前歯」はincisorです。

 

歯に関連してもう一つ。「歯ブラシ」は英語でtoothbrushです。複数形のteethbrushにはなりません。これはtoothを形容詞のように使い、単数形にするというルールがあるためです。同様にcarparkarmchairなどもあります。cars parkやarms chairとならないのはこのためです。


raise eyebrows (驚かせる)

 

The announcement raised eyebrows. People talked about it for some time.  (その発表は人々を驚かせました。人々はその後もしばらくそれについて話していました。)

 

eyebrowは「眉」のことです。raise eyebrowsは文字通り「眉を上げる」という意味もあります。なお、browは「ブラウ」という発音です。brow自体は「眉毛、額、表情」などいくつか語義を有します。

 

ちなみにeyebrowsを使った表現は他にもあります。up to the eyebrows(仕事が多忙である)、knit one’s eyebrows(しかめ面をする)などです。


いかがでしたか?顔のパーツも色々とあり、その特徴を使った英語表現があることに気づかされます。日本語でも「眉をひそめる」「鼻で笑う」などがありますよね。ぜひ皆さんも、気になる体のパーツを元に辞書を引いてみてください。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:42 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 112回 数字を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

高校時代の夏休みに松本清張の「ゼロの焦点」を読みました。私にとって初めての推理小説です。分厚い文庫本でしたが内容が面白く、後半から先は「あと少しで終わってしまう」と思えるほど、引き込まれました。長期休みに大作を読破できたことは、その後の自信となりました。

 

今回は「ゼロ」にちなみ「数字を使った英語表現」を見てみましょう。


zero in on … (〜に集中する)

 

They zeroed in on the president’s statement. (彼らは社長の声明に集中しました。)

 

zeroは「ゼロ」のことですが、動詞でも使えます。「メモリをゼロに合わせる」という意味です。zero in on … は句動詞で「〜に集中する」という意味になります。同様の意味でhome in on … というフレーズもあります。「集中する」以外にも「〜に銃などのねらいを定める」という語義も存在します。

 

「ゼロ」はzeroのほかにohnaughtなどと言います。電話番号で「03」を“oh three”と言うこともあるのですね。「0.6」をpoint sixとして「ゼロ」の部分を言わないこともあります。なお、テニスの試合で「0」はloveですよね。

なお、名詞のzeroには「つまらない人、影響力の無い人」という意味もあります。zero-toleranceは「ゼロ容認」、つまり「ささいな違反であっても罰則を適用する」ということです。

 


count to ten (心を落ち着ける)

 

I know you are frustrated, but just count to ten. (いらだっているのはわかるけれど、とにかく心を落ち着かせて。)

 

tenは数字の「10」ですが、count to tenで「心を落ち着ける」という意味になります。深呼吸して10を数えれば冷静になれますよね。tenはもともとラテン語のdecemから来ています。そこから派生したdeci-はメートル法で「10分の1」のこと。面積の単位deciare(デシアール)は「10分の1アール」のことです。一方、deca-は「10倍の」という意味です。「10メートル」はdecameterです。

 

ちなみにtake tenは「10分休み、一休み」のこと。I have three tens.は「私は10ドル紙幣を3枚持っている」という意味です。

 


in a million (めったにいない)

 

She is really nice.  She is one in a million.  (彼女は本当に良い人ですよ。彼女みたいな人はめったにいないですね。)

 

millionは「100万」のことですが、in a millionは「めったにいない」という意味です。もともとはラテン語のmille(1000)から来た単語です。距離を表すmileも同じ語源で、「1000歩」を表していました。

 

同様の表現にone in a thousandがありますが、one in a millionの方が強意となります。ちなみに1970年代にアメリカでは“The Six Million Dollar Man(600万ドルの男)”というテレビシリーズが大ヒットしました。

 


a hundred to one (ほとんど確実に)

 

It’s a hundred to one that he will pass the entrance exam. (彼が入試を突破するのはほとんど確実でしょう。)

 

「100」を表すhundredは「hund(100)の数(red)」が語源です。「ほとんど確実に」は他にもa ten to oneがありますが、hundredの方がニュアンスが強くなります。

 

なお、数字の読み方ではandを入れても入れなくても構いません。たとえば547はfive hundred forty-sevenfive hundred and forty-sevenも可能です。なお、時刻の夕方6時、すなわち18時は英語でeighteen hundredと読み、書き方も基本的には1800と記します。

 

ところでイギリスの小学校に通っていたときのこと。その学校は日本のような「校歌」がありませんでした。代わりに校歌のような位置づけで、とある賛美歌が行事ごとに歌われていたのです。その曲名が”Old Hundredth”でした。「詩篇第100編」に基づく賛美歌です。1953年のエリザベス女王戴冠式でも歌われています。その時の編曲者はレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ。あの「グリーンスリーヴス」の作曲家です。

 

今月は数字を含む英語表現をご紹介しました。ちなみに通訳者にとって数字の通訳はなかなか大変です。とにかく練習あるのみです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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