通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 130回 筋肉・筋トレにちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳者に必要なのは語彙力、文法力、プレゼン力など数限りなくあります。一方、私が個人的に重視しているのは「体力」です。脳みそを酷使するため、スタミナがないと息切れしてしまうのですね。よって、日頃から週に何度かジムに出かけては筋トレや燃焼系のレッスンに参加しています。心地よい汗をかけますしストレス解消にもつながります。子どもの頃は体育の成績が限りなく悪かったのですが、人というのはいつでもチャンスが与えられているのだと思います。今では運動が私にとって欠かせません。

 

今回は筋肉や筋トレにちなんだ用語を用いたフレーズのご紹介です。

 

1 financial muscle 資金力

 

The candidate had a financial muscle to place ads on local TV stations. (その候補者は資金力があったため、地元テレビ局に広告を打ち出すことができました。)

 

muscleは「筋肉」のことですが、financial muscleと言った場合、「資金力」という意味になります。他にもpolitical muscle(政治力)、military muscle(軍事力)といった応用表現もあります。

 

muscleはもともとラテン語で、mus-(ハツカネズミ)から来ています。筋肉の盛り上がる様子がネズミの形や動きに似ているからだそうです。面白いですよね。ところでみなさんは既知の単語をあえて辞書で調べ直すことはありますか?私は実は辞書の引き直しがとても好きで、時間がある時など、誰もが知っている基本単語をあえて引くようにしています。「ジーニアス英和辞典」には解説も豊富にあり、muscleの項では「同音mussel」とありました。musselとは「ムラサキガイ」のこと。こちらも小ネズミに似ていることから生まれた単語だそうです。

 

 

muscular 迫力のある

 

We saw a muscular documentary about the environmental issue. (私たちは環境問題に関する迫力あるドキュメンタリーを観ました。)

 

「力強い、迫力のある」を英語でmuscularと言います。muscleの形容詞muscularを用います。他にも「力強い文体」はa muscular style、「断固たる対応」はa muscular responseです。

 

なお、医学用語の「筋組織、筋肉構成」はmuscular system、「筋肉痛」はmuscular painです。こちらは他にもmyalgiaと言います。これはmyo-(筋肉の)と-algia(〜痛)が組み合わさったものです。

 

ところでこの項を書く上で紙辞書でmuscularを引いたところ、すぐ上の語義はMuscovyという語で「モスクワ大公国」のこと。「モスクワ市民」はMuscoviteです。

 

 

have a good grip on … (〜をよく理解している)

 

She had a good grip on legal matters so she was promoted. (彼女は法律問題についてよく理解していたため、昇格しました。)

 

「〜をよく理解している」は英語でhave a good grip on … と言います。grip自体は「つかむこと、握ること」「握力」を意味します。テニスラケットの握る部分も「グリップ」と言いますよね。

 

gripは動詞にすると「握る」という意味になりますが、graspとは微妙にニュアンスが違います。graspよりもgripの方が強い意味です。英語を学ぶ際、類語の違いを押さえておくとボキャブラリー力の向上につながります。

 

 

4 hover うろつく

 

The children were so hungry that they hovered around the table.  (子どもたちはあまりにも空腹だったため、テーブルの周りをうろついていました。)

 

「付きまとう、うろつく」を英語でhoverと言います。辞書でhoverを引くとたいていの場合、最初に出てくる語義は「(ヘリコプターや鳥などが)上空を舞う」を掲載しています。ヘリコプターが上空でとどまることはhoveringです。

 

一方、筋トレ用語で「ホバー」と言った場合、体幹トレーニングでよく使われるフォームを指します。別名「プランク」とも言うのですが、具体的にはうつぶせ状態になり、ひじを90度に曲げて上半身だけ浮かせるというものです。気になる方は「ホバー」で画像検索してみてくださいね。

 

いかがでしたか?新年度になり、体を動かしたくなったみなさん、ぜひ今回の筋トレ用語を機に体力アップを図ってみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 12:13 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 129回 「氷」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年2月の上旬に韓国でフィギュアスケートの四大陸選手権が行われました。羽生結弦選手の感動的な演技と総合優勝に多くの人が魅了されましたね。私はさほどフィギュアスケートに詳しくはないのですが、かつてイギリスでトービル&ディーンの「ボレロ」を観たことがあり、感激したことがありました。人々を惹きつける魅力があるのがスケートだと感じます。

 

今回は「氷」にちなんだ英語表現を見てみましょう。

 

 

1 break the ice 場の雰囲気をほぐす

 

The speaker broke the ice by making a joke. (その話者は冗談を言うことで場の雰囲気をほぐしました。)

 

「場を和ませる、場の雰囲気をほぐす」を英語でbreak the iceと言います。文字通り訳せば「氷を割る」ということですが、要は緊張状態にあるその場の空気を和ませることを意味します。icebreakerも「緊張を解きほぐすためのゲームや隠し芸」といった意味を有します。

 

ところでice(氷)という語の初出は12世紀以前だそうで、語源は古英語のis(氷)です。「アイスクリーム」は英語でice creamですが、ドイツ語もEisで似ていますよね。一方、フランス語はglace、イタリア語はgelatoですので少々異なります。

 

 

cut no ice 影響がない、無駄である

 

Although my son made his excuses, they cut no ice with me.(息子は言い訳をしたものの、私にとっては無駄でしたね。)

 

「無駄である、影響がない」を話し言葉でcut no ice と言います。後ろにwith …がつくことが多い表現です。上記の例文は、あれこれ言い訳している我が子を前にする親が、「たとえ言い訳をしてきても、それは無駄だ」と思う様子を表しています。

 

このフレーズがお目見えしたのは1800年代の後半とされていますので、どちらかというと新しい表現です。なお、和英辞典で「無駄な」を引くとuselessのほかにfutileという語も出てきます。私などついuselessばかり用いてしまうのですが、こうして新たな語もその都度調べ、使いこなせるようにしたいと感じます。

 

 

the tip of the iceberg 氷山の一角

 

That problem was just the tip of the iceberg.(その問題は氷山の一角に過ぎませんでした。)

 

「氷山の一角」は英語でも似たような表現となっており、the tip of the icebergと言います。tipとは「先端、先っぽ」という意味です。なお、icebergには他にも意味があり、「冷淡な人」やオーストラリアの口語表現で「冬期遊泳者・サーファー」という語義も有します。同じ英語でも地域によって独自の意味があるのが興味深いですよね。

 

ところで最近のニュースでは地球温暖化の話題が少なくありません。中でもよく出てくるのがicecap (氷冠)です。極地などの万年雪を指します。

 

 

4 put on ice 保留にして、棚上げにして

 

We should put that issue on ice until next week.(来週までのその課題については保留にしておきましょう。)

 

「棚上げにして、保留にして」を口語表現ではput on iceと言います。この表現が生まれたのは19世紀後半です。文字通り、保存のために氷を使って貯蔵したという様子から来たフレーズです。そこから転じて現在の意味になりました。ちなみにon iceの他の意味では「勝つ見込み十分な」「待機して」などがあります。

 

なお、ここ数年、アメリカの移民政策関連ニュースでよく出てくるのがすべて大文字のICEです。これはU.S. Immigration and Customs Enforcementの略で、日本語では「米移民関税捜査局」と訳されます。通訳の勉強をする際には、こうした固有名詞も勉強の「ついで」にチェックしておくと、いざという時に役立ちます。

 

今月は「氷」関連のフレーズを見てみました。ちなみに冒頭でフィギュアスケートについてお話しましたが、スケート関連の用語は独特ですよね。たとえば「サルコウジャンプ」は英語でSalchow jumpと言い、これはスウェーデンのサルコウ選手から来ています。一方、「ルッツ(Lutz jump)」はオーストリアのルッツ選手から、「アクセル(Axel jump)」はノルウェーのアクセル・パウルゼン選手が由来です。アクセルだけ下の名前からというのが興味深いですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:41 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 128回 「甘いもの」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

お正月が終わるや店頭にはバレンタイン・チョコレートが並び始めました。イギリスでは、バレンタインというと「男性が女性にバラの花束を贈る」という位置づけです。在英中、地方を車で運転していると、道端の農場が「バラの花あります」との看板を掲げているのを見かけました。国によって異なるのが興味深いところです。

 

今月はバレンタインにちなみ、「甘いもの」をキーワードにした英語表現です。

 

 

1 sugar the pill 嫌なことをマシに見せる、不安にならないように安心させる

 

His mother tried to sugar the pill by telling her son that she would only be in hospital a few days. (母親は、ほんの数日入院するだけだからと言って息子を安心させました

 

「嫌なことをマシに見せる、不愉快な点を和らげる」は英語でsugar the pillと言います。sugarの代わりにsweetengildを使うこともあります。通常、薬というのは苦いものですが、丸薬には糖衣がかぶせられています。そうすることで飲みやすくしているのですね。そこから生まれた英語表現です。

 

ところで私は食材パッケージの裏面に書かれている原材料の欄をしげしげと眺めるのが好きです。最近は輸入食材も多く、表記も複数言語に渡ります。ヨーロッパからの輸入品には英・独・仏・伊・西を始め、ギリシャ語や北欧言語まで記載されていることもあります。読み比べると、似ている単語もあり、興味深いですね。たとえば「砂糖」はsucre(フランス語)、Zuker(ドイツ語)、zucchero(イタリア語)、Azucar(スペイン語)、socker(スウェーデン語)という具合です。

 

 

keep .. sweet 〜のご機嫌取りをする 

 

He had to exaggerate in order to keep his customer sweet. (彼はお客様のご機嫌取りをするために大げさに言わねばなりませんでした。)

 

「〜のご機嫌取りをする」は英語でkeep … sweetと言います。sweetと聞くと「甘い、親切な」などの語義が思い浮かびますが、実際に辞書で調べてみると実にたくさんの意味があることに気づかされます。上記の例文における用法は、どちらかというとくだけた表現です。

 

ところで日本ではお菓子やデザートのことを近年「スイーツ」と言っています。インターネットで調べたところ、この用法が広まったのは平成に入ってからでした。単なる甘いお菓子という意味ではなく、「ワクワクする特別なお菓子」というニュアンスを持つそうです。こうした用法は日本独自だとのこと。ちなみにイギリスではデザートをpuddingと呼んでいます。puddingは厳密には「火を通した甘いお菓子。食後に出すもの」です。

 


3 have a candied tongue 口先がうまい

 

Beware of a person who has a candied tongue because you might be fooled. 口先がうまい人には注意しなさい。だまされるかもしれないから。)

 

「口先がうまい」は英語でhave a candied tongueと言います。candyは「キャンディ」のことで、形容詞のcandiedには「砂糖漬けの」という意味の他に、「甘ったるい、へつらいの」という語義もあります。なお、「へつらいの」は他にもflatteringadulatoryと言います。

 

なお、日本語の「キャンディー」と言えば、「飴」を連想しますが、アメリカの場合、チョコレートも含まれます。一方、凍らせた「アイスキャンデー」は和製英語で、英語ではPopsicle(アメリカで販売されているもの。商標のためPは大文字)またはice lolly(主にイギリス英語)と言います。

 


4 the icing on the cake さらに良いこと、添え物

 

I won the lottery and to put the icing on the cake, my aunt gave me a plane ticket to the States! (宝くじに当たっただけでなく、さらに良いことに叔母がアメリカ行きの航空券をくれました!)

 

何ともうらやまし状況を表す例文ですが、the icing on the cakeは「添え物、さらに良いこと」という意味です。ケーキの上にアイシングを載せればさらに甘くなり、華やかになりますよね。そうした状況から生まれたフレーズです。the frosting on the cakeとも言います。

 

cakeを使った表現は他にも沢山あります。たとえばa piece of cakeは「たやすい仕事」、take the cakeは「1位を占める」です。シェイクスピアが作品の中で用いたMy cake is doughtは「計画は失敗した」という意味で、これは「練り粉のまま菓子になりそこねた」という状況から来ています。

 

以上、今月は「甘いもの」関連の表現をご紹介しました。Happy Valentine’s Day!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 127回 「始まり」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

新しい年が始まるとそれだけでワクワクしますよね。「目標は何にしよう?」「今年はどんな新しいことにチャレンジしようかな?」など、考えるだけで気分も前向きになります。新年というのは何かを始める上でもとても良いきっかけですよね。

 

今月は「始まり」をキーワードにした英語表現を見てみましょう。

 

 

1 charity begins at home 愛はまず身内から

 

Don’t be selfish in front of your family.  People say “Charity begins at home. (家族の前でわがままになってはいけないよ。「愛はまず身内から」と言うでしょ。)

 

Charity begins at homeは諺です。意味は「愛はまず身内から、慈愛は家庭に始まる」ということです。まずは身内を大切にしましょうというニュアンスが含まれています。ここで使われているbeginは「始まる」という意味でおなじみですよね。一方、charityはラテン語のcaritus (尊敬、愛情) から来た単語で、「慈善、施し」といった意味があります。

 

ところで本稿を執筆するにあたり、charityを電子辞書で引いたところ、興味深い語に出会いました。The Charitiesという表現です。これは西オーストラリア州政府が始めた宝くじのことだそうです!

 

 


start the ball rolling 始める

 

OK, since we are all here, let’s start the ball rolling.  (よし、みんな揃ったところで始めよう。)

 

活動や会議などを「始める」は英語のフレーズでstart the ball rollingといいます。getsetstartの代わりに使っても構いません。「ボールを転がし始める」から転じた表現ですので、わかりやすいですよね。

 

ところでみなさんは日ごろの学習で英英辞典はお使いですか?オックスフォード新英英辞典でballを引くと”a solid or hollow spherical or egg-shaped object that is kicked, thrown, or hit in a game”とありました。「球形または卵型」としているあたり、さすがラグビー発祥国だなあと個人的に感じた次第です。

 

 


3 open doors チャンスを与える

 

Getting into the university has opened doors for him in life. (大学に入ったことにより、彼は人生においてチャンスを与えられました。)

 

「チャンスを与える」を英語でopen doorsと言います。「扉」をdoorsと複数形にしているのが興味深いですよね。ちなみに「扉を閉める」はclose the doorまたはshut the doorです。shutの方がcloseよりインフォーマルです。ほかにもdoorを使ったフレーズではopen-door policy(開放政策)、closed-door hearing(非公開喚問)などがあります。

 

なお、「チャンス、機会」は英語でchanceopportunityという語があります。chanceは「運よく偶然に起こる状況」であるのに対して、opportunityは「やるべきことができるようになる状況、好機」というニュアンスです。学習者向けの英和辞典にはこのような微妙な違いも解説されています。ぜひジーニアスやウィズダム、オーレックスといった学習者向け辞典も活用してみてください。

 

 


4 launch into … 熱心に話し始める

 

We were stuck in the shop for an hour.  The salesperson launched into a 60-minute sales talk!  (お店に1時間缶詰め状態になったよ。販売員が60分のセールストークを熱心に始めたので。)

 

launch into … は「熱心に話し始める」ということです。上記の英文では「お店に入ったところ、60分もつかまってしまった」という様子が表されています。launch自体は「始める、着手する」というほかにも宇宙用語で「ロケットを打ち上げる、ミサイルを発射する」といった語義があります。日本語でロケットの「発射装置」を「ランチャー」と言いますが、これはlauncherのことです。

 

ところで上記のlaunch into … のように「動詞+前置詞」からできたフレーズを「句動詞」と言います。launch outは「新しい仕事を始める」、launch forthは「長々と話をする」ということです。なお、日本語で「長々としゃべり続けること」を「長広舌(ちょうこうぜつ)」と言いますよね。これは「長舌」(口数が多いこと、舌が長いこと)と「広舌」(大きなことを無責任に言うこと)が組み合わさった語です。

 


今月は新しい年にちなんで「始まる」という言葉に関連した表現を見てみました。みなさんにとって2020年も幸せに満ちた一年となりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:11 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 126回 straightを使った英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

紅茶が好きで、カフェに出かけてもよく紅茶を注文しています。「ストレート、ミルク、レモン、いかがなさいますか?」と聞かれるとたいてい「ストレートで」と答えます。くたびれている時はミルクの甘みも好きなのですが、紅茶葉そのものを味わう上では何も足していない方が香りを楽しめるのですね。

 

紅茶やコーヒー用語として定着した日本語の「ストレート」。英語ではstraightと書きます。中学生の頃、「なぜ発音しないghが?」と思ったのも今では懐かしい思い出です。と言うわけで、今回はstraightを用いた英語表現を見てみましょう。

 

1 play it straight 真面目にやる

 

Don’t be shy.  Play it straight to make it convincing.  (恥ずかしがらないで。説得力を持たせるためにも真面目にやって。)

 

「真面目にやる」を英語でplay it straightと言います。「誠実に対応する」というニュアンスもあります。straightには線などが「まっすぐな、一直線の」という意味だけではなく、「言葉が回りくどくない、率直な」や「行動などが正直な」という語義もあります。

 

ところでplayitを使った表現は他にもあります。たとえばplay it by earは「暗譜で演奏する、即興演奏する」、play it safeは「安全第一でいく」、play it smartは「気を利かせる」です。一方、子どもの遊びで”Let’s play it.”と言った場合、これは「鬼ごっこしよう」という意味になります。

 

 

the straight and narrow path まっとうな生き方

 

Sam made up his mind to follow the straight and narrow path.  (サムはまっとうな生き方をしようと決めました。)

 

「まっとうな生き方」「堅気な生活」を英語でthe straight and narrow pathと言います。「まっすぐで狭い道」というのが面白いですよね。pathの代わりにwayを使うこともあります。

 

ところで私は語彙力強化を図る上で、類語や反対語を常に意識するようにしています。よってnarrowが出てくれば「反対語はbroadwide」「類語はslimthin」という具合に考えるのです。すぐに頭に浮かべば良いのですが、そうでないときは電子辞書の英英辞典や類語辞典をこまめに引くようにしています。こうして表現をストックしておくと、日英通訳の時に特に役立ちます。

 

 

3 get straight A’s オールAをとる

 

Janet worked really hard.  She got straight A’s on her report card.  (ジャネットは本当によく頑張りました。通知表はオールAでした。)

 

英語圏では採点や成績付けの際、A、B、Cとアルファベットを使います。上記の表現は特にアメリカでよく使われるようです。考えてみれば私が小学生の頃は「オール5」というフレーズがありました。今は日本の学校も成績の付け方にバリエーションが出てきていますよね。

 

ところで私が小中学校時代を過ごしたイギリスの学校は、通知表が独特でした。ランク付けをするのではなく、科目ごとに先生の所見がびっしりと書かれているカードが配られたのです。多くの生徒を指導する中、一人一人にこうした感想を書く先生の労力は大変だったことでしょう。けれどもきめ細やかに見てくださったことに今でも感謝しています。

 

 

4 straight out 率直に

 

Do tell me straight out what you think about the issue.  (その問題についてどうぞ率直にお話しください。)

 

「率直に、正直に」を英語の口語表現ではstraight outと言います。一方、「単刀直入に(人)に尋ねる」であればask (someone) straight outとなります。一方、straight out of … となった場合は「〜からそのまま、〜をまねたような」という意味になります。たとえばstraight out of a movieであれば「まるで映画から出てきたような」ということです。少し紛らわしいですよね。

 

なお、straightという語は14世紀初頭に誕生したそうです。中英語のstrecchen(引き伸ばす)の過去分詞です。つまりstraightstretchは元の語源が一緒だったのですね。興味深いところです。

 

今月はstraightを用いた表現を4つご紹介しました。ちなみに冒頭でご紹介した「ストレートティー」ですが、これは和製英語です。英語で正しくはblack teaないしtea with no milk or sugartea without milk or sugarと言います。これからは寒い季節。皆さんも紅茶片手に英語学習を楽しんでくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 125回 数字を含む英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳現場で一番目立つのは「数字」。数字を間違えてしまうと大変なことになります。と言いますのは、お客様の多くが、たとえ英語が不得手でも数字だけはきちんと聞き取れるというケースが少なくないからです。数自体はもちろんのこと、円とドルなどの単位も正確に訳出せねばなりません。特にややこしいのがmillionbillionなどです。同時通訳をメモ無しでしていても、数字が出てきた際にはなるべくメモをとり、落ち着いて訳出するよう心掛けています(なかなか大変ではあるのですが)。

 

今月は数字が出てくる英語表現を見てみましょう。

 

1 two of a kind よく似ている

 

He and his elder brother are two of a kind. (彼は兄とよく似ています。)

 

「よく似ている」は英語でtwo of a kindと言います。twoの他にthreefourを使った表現もあり、four of a kindはトランプ用語の「フォーカード」です。

 

英語のtwoの語源は古英語のtwa(2の)という語で、twintwiceも同じ語源を持ちます。「2」を表す語は他にもdoubledualがありますよね。最近はニュースの中でbinaryという語もよく出てきます。たとえばmake a binary choiceは「どちらか一方を選ぶ」という意味です。binaryがあるのでtrinaryは?ハイ、あります。

 


up to the nines (完全に、最高に)

 

For our Halloween party, we dressed up to the nines. (ハロウィーンパーティーのために私たちは完全に着飾ってみました。)

 

話し言葉でup to the ninesと言った場合、「完全に、完璧に、最高に」という意味になります。主にイギリスではup to the nines、それ以外ではto the ninesと言います。語源は「99.999 …が限りなく100に近いこと」から来ています。

 

ところで日本の警察の電話番号は「110番」ですが、イギリスは「999」です。こちらにかけると消防署、救急車、警察すべてに通じます。発音はnine-nine-nineです。一方、アメリカの緊急電話番号は「911」、読み方はnine-one-oneです。考えてみれば、「110番」も「ひゃくじゅうばん」「いち・いち・ぜろばん」とは言わず、「ひゃくとおばん」ですよね。当たり前の数字も正しい読み方を押さえておく。通訳者にとっては必須です。

 


3 take (a) five (一息つく、息抜きする)

 

We’ve worked so hard.  Shall we take five? (ずいぶん頑張ったね。一息つこうか?)

 

「一息つく」は英語でtake fiveと言います。fiveの前にaを入れても構いません。また、似たような表現にtake tenがあり、こちらも「一休み、10分休み」という意味です。

 

ところで私は学生時代にファーストフード店でアルバイトをしたことがあります。その際、お手洗いは「10番」でした。「ちょっとカウンターを外れてお手洗いに行ってきます」は「10番入りま〜す」と言っていましたね。

 


4 by (in) twos and threes (三々五々)

 

The guests arrived in twos and threes. (お客様は三々五々到着しました。)

 

by (in) twos and threesは「三々五々」という意味です。「同時に2,3人ずつ(2,3個ずつ)、少人数で」というニュアンスを表す表現です。ちなみによくよく考えてみたら、twoという数字自体が複数形になる、というのも不思議ですよね。

 

ではones and twosはあるのでしょうか?調べたところ、in ones and twos(ごく少数)というフレーズが見つかりました。英語学習の際、こうして発展的に疑問を抱き、調べてみることも楽しい作業です。

 

なお、上記は数字の2と3ですが日本語では「三々五々」で3と5です。これは中国の詩人・李白の詩から来ています。「三三五五映垂楊(さんさんごごすいようにえいず)」(三人五人がしだれ柳の影に見え隠れしている)が元にあります。

今月は数字を使った英語表現をご紹介しました。なお、「ゼロ」を発見したのはインド人と言われています。インドの小学生は掛け算の九九を19X19まで習うとか。私はイギリスの小学校時代に12X12まで学習しましたが、ついていくだけで必死でした。おそらくイギリスの場合、12進法がまだ当時は健在だったからでしょう。もっとも現在でもコインの2p(2ペンス)、20p、£2などがあります。旅行の際は大きなお財布が必要です。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 124回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

我が家の日めくりカレンダーには記念日が記されています。「耳の日」「七五三」「国際平和デー」など、国民の祝日以外にも様々な記念日や記念週間がありますよね。ちなみに9月20日から26日までは動物愛護週間。こちらは動物愛護管理法で定められています。これにちなんで各地では関連行事も行われます。

 

今月は動物に関する英語フレーズを見てみましょう。

 

1 beaver away せっせと取り組む、せっせと働く

 

Kate has been beavering away at her assignment for days. (ケイトは何日にもわたり、課題にせっせと取り組んでいます。)

 

物事にせっせと取り組む様子を英語でbeaver awayと言います。後ろには前置詞のatが続きます。主にイギリスでよく耳にする口語表現です。beaverは動物の「ビーバー」ですが、このように動詞として使うこともできるのですね。

 

ところでbeaverという動物は働き者で知られています。beaver自体には他にもいくつか語義がありますが、大文字のBeaverと言えばアメリカオレゴン州のこと。ニックネームがBeaver Stateなのです。一方、ボーイスカウトの最年少組の少年をBeaverとも言います。

 

そう言えば、某家電メーカーのエアコンが「ビーバー」でしたね。こちらは「働き者のエアコン」という意味が込められているそうです。

 


2 a whale of a … (素晴らしい)

 

The party was great! We had a whale of a good time. (パーティーは良かった!私たちは素晴らしいときを過ごしました。)

 

whaleは「クジラ」のことですが、その大きさから派生してa whale of a … という表現が生まれました。くだけた表現で「すごく大きな〜」「すばらしい〜」という意味です。

 

ところでクジラ観察のことを最近はカタカナで「ホエール・ウォッチング」と言いますよね。ただ、whale自体の発音はあえてカタカナにすれば「ウェール」「フウェール」となります。既知の英単語もぜひ今一度、発音チェックされることをお勧めします。

 


3 elephant city 巨大都市

 

Tokyo is an elephant city.  There are so many people! (東京は巨大都市ですよ。たくさんの人がいます!)

 

「巨大都市」を英語でelephant cityと言います。elephantは「ゾウ」だけでなく、「巨大なもの、巨大な人」という意味もあるのですね。ちなみにゾウの「鼻」はtrunkです。アメリカ共和党(Republican party)の象徴は「ゾウ」で、シンボルとして描かれています。大統領選挙のニュースもこれからますます入ってくることでしょう。画像をぜひチェックしてみてください。

 


4 duck かわす

 

The President ducked questions about his personal finances.  (大統領は自らの財務状況についての質問をかわしました。)

 

duckは「アヒル」のことですが、動詞では「ひょいと身をかわす、避ける」という意味があります。また、アヒルなどがちょっと水にもぐることもduckと言います。

 

ところでlame duckという表現はご存知ですか?これは選挙後に後任が就任するまでの間の大統領や議員などを指します。日本のメディアでも「レイムダック」とカタカナ表記しています。lameには「下手な、役に立たない」などの意味があり、要は任期満了直前になると、政治家自身、大きな政策実行などもせず、引退を待つばかりとなります。そうした状況を描いた表現です。


いかがでしたか?今回は動物が出てくる英語表現を4つご紹介しました。ところで英和辞典で色々な動物を調べてみると、それぞれの動物が抽象的にどういった意味を持つのかも説明されています。たとえば日本で「ウサギ」というと可愛いイメージですが、英和辞典には「臆病さを連想させる」とあります。一方、fox(狡猾な人)、dove(平和、温順の表象)、mouse(乱雑の象徴)など、調べただけでも色々と出てきました。

 

季節は秋真っ盛り。皆さんも楽しみながら英語学習を続けてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:01 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 123回 魚が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

 


1 a red herring 人の気をそらすもの

 

The President dismissed the information as a red herring.  (大統領はその情報について人の気をそらすものだとして片づけました。)

 

「人の気をそらすもの」は英語でa red herringと言います。他にも「おとり」という語義もあります。herring自体はニシンのこと。red herringはもともと狩猟に出てくる用語です。猟犬の訓練をする際、燻製ニシンをあえて道にこすりつけ、嗅ぎ分けられるようにさせていました。そこから「おとり、気をそらすもの」という意味になったのですね。なお、ニシンの幼魚は英語でsardinesです。次の例文でsardinesは取り上げます。

 

ところで日本語の「おとり」は漢字で「囮」「媒鳥」と書きます。「囮」は音読みで「カ」「ガ」、訓読みが「おとり」です。「口(くにがまえ)」は囲いのことで、「化」は「かわる」という意味です。囲いの中に野生の鳥獣を入れて慣らし変えていくことからこのような漢字になったそうです。

 


2 be packed like sardines すし詰めになっている

 

The train was packed like sardines. (電車はすし詰め状態でした。)

 

「非常に混んでいる、すし詰め状態である」を英語でbe packed like sardinesと言います。sardineは「欧州産イワシの幼魚」のことで、缶詰め用として使われます。語源はラテン語のsardaで、地中海のサルディニア島(Sardinia)も同じ語源です。

 

なお、アメリカには子どもの遊びでSardinesというものがあります。これはかくれんぼの一種なのですが、一人が隠れて残りの子どもたちが探し出し、見つけると皆で集まっていくというものです。詳しくはこちらに出ています:

https://www.wikihow.com/Play-Sardines

 


3 a sprat to catch a mackerel 海老で鯛を釣る

 

Their marketing strategy is like a sprat to catch a mackerel. (彼らのマーケティング戦略は、まるで海老で鯛を釣るようなものだ。)

 

この表現が誕生したのは19世紀始めだそうです。spratとは「ニシン科の小魚、スプラットイワシ」のことで、大西洋東部で獲れます。魚の意味の他に「取るに足らないもの」という語義もあります。一方、mackerelは北大西洋産のサバの一種です。日本語では「エビ」と「タイ」が出てきますが、英語では「ニシン」と「サバ」というのも興味深いですよね。

 

なお、「海老で鯛を釣る」は他にもcatch a bream with a shrimpと言います。breamは「タイ科の魚」です。一方、英語で「エビ」はいくつか単語があり、shrimpは「小エビ」、prawnは「クルマエビ」の一種で、shrimpよりは大きいサイズ。一番大きいのがlobsterです。

 


4 like a fish out of water 場違いな

 

Among many professionals, I felt like a fish out of water (多くのプロの中に混じった私は、場違いな場所にいると感じました。)

 

このフレーズはそのまま訳すと「まるで水から出た魚のような」となります。そこから転じて「場違いな」という意味になりました。「場違いな所でドギマギしている人」をa fish out of waterと言います。

 

英語にはfishを使った表現が色々とあります。たとえばa big fish in a little pondは「お山の大将」、fish in troubled watersは「火事場泥棒を働く」、fish or cut bait(するかしないかはっきりさせる)などはその一例です。

 

 

いかがでしたか?今月は魚をテーマにした英語表現をご紹介しました。

 

ところで私は通訳者デビューして間もないころ、とあるレセプション通訳を担当したことがあります。場所はホテルの宴会場。外国のお客様をもてなすべく、たくさんの日本料理がふるまわれていました。お寿司やお刺身など、海外ゲストにとっては珍しい魚が並んでいましたね。早速お客様からは魚の名前の英訳を尋ねられたのですが、さあ、大変!「タコ」や「イカ」「鮭」などは訳せたのですが、「スズキ」「カンパチ」「カワハギ」あたりになると、私の通訳力はおろか、そもそもの日本語でもわからないという状況になりました!冷や汗をかきながらの通訳でしたね。

 

季節は間もなく秋。みなさんも秋が旬のお魚を味わってくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:08 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 122回 舞台用語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳者になって以来、生の舞台を鑑賞するようになりました。役者さんたちの演技や発声法など、自分の仕事に役立つことが満載だからです。好きな俳優さんの出る舞台はこまめにチェックしています。観客が一体となり、舞台上の展開を観られるのは、映画やテレビドラマとは違った緊迫感がありますよね。

 

今月は舞台用語を使ったフレーズをご紹介します。

 


1 masquerade ふりをする

 

He masqueraded as a reliable lawyer. (彼は信頼できる弁護士のふりをしました。)

 

masqueradeは名詞の場合「仮面舞踏会、みせかけ」という意味を有します。一方、動詞では「仮面舞踏会に参加する、ふりをする」という語義になります。例文は動詞としての用法です。masqueradeはフランス語が語源ですが、もとはイタリア語から来たそうです。英語mask(仮面)と同じ語源になります。なお、「仮面舞踏会の参加者」はmasqueraderです。

 

ところでクラシック音楽では「仮面舞踏会」と名の付く作品が結構あります。最近特に有名なのはハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」。2008年にフィギュアスケートの浅田真央選手が用いています。

 


2 prop up (支持する)

 

The students have said that they will prop up democracy.  (学生たちは民主主義を支持すると言っています。)

 

propは「支柱、小道具」という意味ですが、動詞の場合、「つっかえ棒をする、支えておく」です。また、prop upと句動詞になると「支える、支持する」という意味になります。

 

ところで演劇の世界でpropsと言った場合、property handler(小道具方)を指します。かつてはproperty manあるいはproperty masterと言われていました。今は男女平等への配慮からhandlerとなっています。「会長」のchairmanchairpersonと言いますよね。それと同じニュアンスです。

 


3 backstage (秘密の)

 

I do not want to sign any backstage deal.  (私は秘密の取り決めにサインしたくありません。)

 

「舞台裏」は英語でbackstageですが、これには「秘密の」という意味もあります。もともとbackstageという語が誕生したのは比較的新しく、研究社「新英和辞典」によれば1898年だそうです。最近は色々な劇場で「バックステージ・ツアー」が行われていますよね。英語も同じくbackstage tourです。

 

ちなみに私の場合、英語で新しいフレーズに出会うと、つい関連表現に意識が行きます。「backstageがあるならfrontstageは?sidestageなどあるのかしら?」と気になるのですね。調べたところ、front stage(一語ではなく2語)はやはり「表舞台」でした。side stageも「舞台脇」と辞書にはありましたね。

 

「舞台」でもう一つ。日本語の「上手(かみて)」は英語でthe left stage / the stage left / the right of the stage from the audience’s viewpointなどと言います。「下手(しもて)」はstage right / the right of the stage / the left of the stage as seen from the audienceなどとなります。私は昔から「かみて」「しもて」がごちゃごちゃになっています。調べたところ、この「大混乱」は私だけではないようで、ネット上では色々な覚え方が出ていました。一番傑作だったのは、「卒業式の舞台上にあるピアノは、客席から見て左側にある→ピアノ=ピアニッシモ→ピアニッ下(しも)→『下手』と覚える」というものでした!

 


4 musical chairs (無意味な変更)

 

That company played musical chairs with their sales team.  (あの会社は販売部門で無意味な変更を加えていました。)

 

musical chairsは「椅子取りゲーム」のことです。musicalは「ミュージカル」という名詞だけでなく、「音楽の、音楽的な」という形容詞としても使えます。なお、musical chairschairが複数形になっていますが、この2語で使うと単数扱いです。

 

ところでmusical glassesをご存知ですか?これは水を入れたコップの縁をこすり音を出す楽器のことです。日本では「グラスハープ」の方が呼び方としては一般的でしょう。グラスハープは他にもangelic organ(天使のオルガン)とも言われます。

 

いかがでしたか?夏休みに海外へいらっしゃる方もおられることでしょう。現地で演劇やミュージカルを鑑賞するのも思い出になると思います。どうぞ良い休暇を!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 121回 口に関連した英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

疲れがたまると人間というのは体の一番弱い部分にそれが表れるそうです。私の場合、口内炎と片頭痛に見舞われることが多いですね。自分ではたっぷり睡眠をとっているつもりなのですが、それまでの蓄積疲労があるからなのでしょう。口内炎は通訳という仕事柄、頭痛よりもしんどく思えます。何しろ話すたびに舌や歯が口の中のできものに当たってしまうからです。梅雨時というのは新年度の疲れがたまりやすい時期でもあります。みなさまもどうかご自愛くださいね。

 

というわけで今回は口内炎を機に「口」に関連した英語表現を学んでみましょう。

 


1 full-throated 大声の

 

The crowd gave a full-throated roar. (群衆が大声でどなりました。)

 

throatは「のど」であり、医学的に見るとlarynx(喉頭)とpharynx(咽頭)を含みます。語源は古英語のthrote(のど)で、「のどぼとけ」が原義です。名詞としての「のど」の他に、動詞では「低い声で言う」、また、建築用語では「〜に溝をつける」などといったものもあります。また、テニスラケットのハンドルとヘッドの間の部分も「スロート」と言います。既知の単語も調べ直すと新たな意味を知ることができて楽しいですよね。ちなみに「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」は英語でOnce on shore, we pray no more.と言います。

 

もう一つ。形容詞「大声の」はstentorianとも言います。語源はギリシャ神話の「ステント―ル(Stentor)」。50人に匹敵する大声を持つ伝令です。

 


2 have a busy tongue (おしゃべりである)

 

My daughter has a busy tongue.  She is always talking! (うちの娘はおしゃべりなんです。いつも話しているんですよ!)

 

「おしゃべりである」を英語でhave a busy tongueと表現します。ちなみに「おしゃべりな人」はchatterboxです。busy-tonguedは形容詞で「おしゃべりな」という意味です。tongueを使った表現では他にもtonguelessがあります。これはシェイクスピア「冬物語」が初出で、「褒められない」という意味です。

 

なお、のどの検査で舌を押さえる板がありますよね。あれはtongue depressorと言います。tongueを用いた他の表現にはtongue-in-cheek(ふまじめな)、stick one’s tongue out at … (〜にあかんべえをする)などがあります。日本語の「あかんべえ」は「赤目」から来ていますが、英語圏では目の代わりに舌を出して表現するのが興味深いですよね。

 


3 keep a stiff upper lip (動じない)

 

Even under stressful circumstances, he always keeps a stiff upper lip (どれほどストレス溢れる状況下でも、彼はいつも動じません。)

 

lipの語源は古英語のlippaで「くちびる」という意味です。lipには他にも「でしゃばり」という意味があります。また、形容詞では「口先だけの」という語義もあり、たとえばlip serviceなどがそれにあたります。用法はpay lip service to … またはgive lip service to …です。

 

ところで洋画の吹替えで、元の俳優さんの口の動きと日本語訳がぴったり合っていることがありますよね。あれはlip-syncと言います。正式にはlip-synchronizationです。「口パク」という意味もあります。

 


4 by the skin of one’s teeth (かろうじて)

 

I passed the exam by the skin of my teeth. (私はかろうじて試験に合格しました。)

 

「かろうじて」は英語でby(またはwiththe skin of one’s teethと言います。teethは名詞toothの複数形。teetheは「歯が生える」、teetherは「おしゃぶり」のことです。一方、「永久歯」はpermanent tooth、「八重歯」はa high canine(英語で「犬歯」はcanine)、「臼歯」はmolarと言います。

 

上記のby the skin of one’s teethは略式表現です。「かろうじて」は他にもnarrowlyjust aboutbarelyなどがあります。一つの単語を調べたら、ぜひ類語辞典で調べてみると単語力アップにつながります。


いかがでしたか?今月は「口」に関連した英語のフレーズを見てみました。梅雨が明ければ楽しい夏が待っています。「この夏は旅行に行く!」「夏こそダイエット!」など、楽しい計画が「口先だけ(be all mouth)」となりませんように・・・。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:19 |

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

リンク

モバイル
qrcode