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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 93回 「スプレッド」関連の単語を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

先日テレビのグルメ番組を見ていたところ、パン店が紹介されていました。パンは本来海外から伝わったものですが、日本独自の発展を遂げてきましたよね。カレーパンや焼きそばパン、メロンパンなどは日本ならではの商品です。最近はメーカー側もご当地パンや期間限定パンなどを販売し、多くの人を魅了しています。かく言う私もパンが大好きで、自宅ではホームベーカリーを用いて様々なパンを焼いています。

 

そこで今月はパンに塗る「スプレッド」系の単語に注目してみましょう。

 

 

1. jam tomorrow バラ色の未来

 

I’m sorry but I can’t settle for a promise of jam tomorrow. (ごめんなさいね。でもバラ色の未来のような約束をすることはできないのよ。)

 

jam tomorrowルイス・キャロル「鏡の国のアリス」に出てきた表現です。もとは“The rule is, jam tomorrow and jam yesterday – but never jam to-day.”と記されており、「いつも約束だけに終わる明日の楽しみ」という意味で用いられています。

 

ちなみに学習者向け英和辞典を引くとjamは果肉が入っているタイプで、「果肉なしジャム」はjellyと英語で言います。一方、confiture(コンフィチュール)はもともとフランス語で「ジャム」を意味します。compote(コンポート)はシロップなどで果物を煮たタイプ、confit(コンフィ)は長時間煮て付け込んだものだそうです。いずれも似たような感じですが、元の言語の違いや、調理法の微妙な差などにより、色々な表現があるようです。

 


2. honeyed お世辞の、(言葉が)甘い

 

Don’t be fooled by honeyed words.  Otherwise, you might end up buying an expensive product! 甘い言葉に騙されてはだめよ。さもないと高い商品を買わされるかもしれないから!)

 

honeyedは「(言葉が)甘い、お世辞の」という意味です。他にも「はちみつのように甘い、はちみつ色の」という文字通りの語義もあります。ちなみにイギリスのコッツウォルズ地方はhoney-coloured(はちみつ色)の石を使った家々が有名です。

 

ところでhoneycomb(ハチの巣)は「(反芻類の)第二胃」という意味もあるのだそうです。画像検索で調べてみると、確かにハチの巣状の形をしていることがわかります。専門用語で「第二胃」はreticulumと言います。retiはラテン語のrete (網状組織)のことです。

 


3. butter-fingered そそっかしい

 

I don’t know why I keep dropping things today.  I am so butter-fingered! (今日はどうしてこんなに物をよく落とすのかしら。ホントにそそっかしいわ!)

 

butter-fingeredは「そそっかしい、よく物を落とす、不器用な」という意味です。ちなみにイギリスのスポーツ、クリケットの世界では「よくポロリと落球する」という語義があります。この言葉が初めてお目見えしたのは今から数百年前のようですが、文字通り「指にバターが付いた状態」を想像すれば、物を落としてしまうのもわかりますよね。

 

なお、butterは名詞としても動詞としても使えます。I buttered my bread(私はパンにバターを塗った)という具合です。ちなみに「リンゴジャム」は英語でapple butterとも言います。興味深いですよね。

 


4. Hard cheese! それはお気の毒さま!

 

You couldn’t do well in the exam?  Hard cheese!  You should have studied harder, though. (試験でうまくいかなかったんですって?それはお気の毒さま!でももっと勉強すべきだったのよね。)

 

hard cheeseは「それはお気の毒さま」という意味で、どちらかと言うと、皮肉交じりに使う表現です。うわべだけの同情が表れているのがわかります。イギリスでよく使われるフレーズで、アメリカではStiff cheese!と言います。

 

ところで辞書でcheeseを引くと、green cheeseという単語がありました。こちらは「できたての未熟なチーズ」という意味です。日本語では未熟さを表す際「青」を使いますよね。たとえば「青二才」などがそうです。一方、英語で「未熟さ」は「緑」を用います。greenは他にも「活気のある若さ」や「嫉妬深さ」などを暗示します。色も言語によってニュアンスが異なることがわかります。

 

季節は間もなく春。おいしい食材が並ぶ時期です。食べ物関連の英語フレーズにもぜひ注目なさってくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 92回 「風邪」関連の単語を用いた英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

2月は1年で一番寒い時期と言われます。特に今の季節、気になるのが体調です。「風邪は万病の元」ということばをよく耳にしますよね。ちなみに私はダウンすることが滅多にないものの、数年に1度は寝込むぐらいの体調不良に陥ることがあります。数年分の疲労がたまってしまうのかもしれません。日々の睡眠・栄養・運動が最善の予防策と考え、この冬を乗り切りたいと思います。

 

今回は「風邪」に関連した英語表現をご紹介しましょう。

 

 

1. be not to be sneezed at あなどれない

 

During the post war period, 1,000 yen was not a sum to be sneezed at. (戦後、1000円はあなどれない額でした。)

 

「あなどれない」は英語でbe not to be sneezed atと言います。主にイギリス英語ではこのように言いますが、アメリカではbe nothing to be sneezed atが使われ、いずれも口語表現です。「金額などがあなどれない」「申し出などが軽く考えられない」というニュアンスを伴います。

 

sneezeは「くしゃみ、くしゃみの音」のことです。また、Don’t make a big sound when you sneeze.(くしゃみの時は大きな音を立てないで)など、動詞としても使えます。一方、似たような単語でsnoozeがありますが、こちらは「居眠りする」「うたたね、居眠り」のことです。目覚まし時計で「スヌーズ機能」がありますよね。

 

ところで私が愛用する「ジーニアス英和辞典」(紙版)を眺めると、sneezeの説明にくしゃみ音について書かれていました。日本語では「ハクション」ですが、英語はa(h)choo, atchoo, atishoo, kerchooと言います。幼少期に海外にいたころ、この音が「ティシュー」と私には聞こえ、「くしゃみをしてティッシュがいるからなのかなあ」と思ったものでした!

 


2. cough up 渋々出す

 

At last, he coughed up the money he owed me.(ようやく彼は私から借りたお金を渋々出してくれました。)


cough upも略式表現です。「お金を渋々出す」「情報を渋々と吐き出す」という意味を持ちます。cough自体は「咳」「咳をする」ですよね。ジーニアス英和辞典coughの見出しには「発音注意」マークが付いています。throughthoughなど、一部が同じスペルでも発音が異なることがわかります。

 

ところでイギリスの小学校時代、私が咳をしていると友人がWould you like some cough drops?と尋ねてきました。cough dropsはのど飴のことだったのです。日本の学校ではアメなどの持ち込みが禁止されているそうですが、当時私が通った小学校は休み時間に家から持参したお菓子を食べて良いとされていました。チョコレートやポテトチップス、リンゴやバナナなど、皆それぞれ持ってきていましたね。

 


3. take pains with … 〜に気を遣う

 

She took pains with her appearance since it was her first time to go to an official party. (公的なパーティーに参加するのは初めてだったため、彼女は身なりに気を遣っていました。)

 

take pains with … は「〜に気を遣う、〜に精を出す」です。painは元々「刑罰」のことで、それが転じて「苦しみ」になりました。語源はpenaltyと同じです。ちなみにpainはけがや病気による一時的な苦しみや心の苦痛を指しますが、acheは継続的に体の一部に生じる鈍い痛みを意味します。

 

No pains, no gainsは「骨折りなくして利得なし」ということわざです。「苦は楽の種」とも言います。苦労を厭わず前進したいと思います。

 


4.send shivers down my spine ぞっとする

 

Thinking about that sends shivers down my spine. (そのことを考えるとぞっとする。)

 

「ぞっとする」の英語は直訳すると「脊柱に震えを送り込む」となります。状況を想像するとまさに最適な表現ですよね。shiverは寒さや恐怖、興奮などで震える様子を表します。1970年代にヒットしたクイーンBohemian Rhapsodyの歌詞にもsends shivers down my spineが出てきます。なお、「震え」は他にもshake, tremble, quake, quiverなどがあります。興味のある方はぜひ英英辞典で引き比べてみて下さい。

 


春の訪れまであとわずか。みなさんも風邪に負けず、これからも楽しく英語を学んでいきましょう!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 91回 「髪」関連用語を使った英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

バラエティ番組などで芸能界の方々の過去が映像で流れることがあります。バブルの頃の写真や動画を見てみると、今と髪型が大幅に異なることがわかりますよね。当時私自身もそうしたヘアスタイルにあこがれを抱いていたのですが、今の時代に見てみるとやはり「年代物」のように映ってしまいます。ということは、今大いにはやっている髪型など、30年後に見てみると同様に感じられるのでしょうね。むしろその頃には80年代ルックスがリバイバルとなっているかもしれません。

 

今月は「髪」関連用語を用いたフレーズを見ていきましょう。

 

 

1. a bad hair day 何をやってもうまくいかない日

 

I’m having a bad hair day.  Maybe tomorrow might be better! 何をやってもうまくいかない日だなあ。明日はもしかしたら良くなるかもね!)

 

a bad hair dayは「起床時の寝癖によりヘアスタイルがうまくいかない日」という意味です。これが転じて口語表現では比ゆ的に用いられ、「何をやってもうまくいかない日」という状況を表します。誰にとっても寝癖というのは始末に困りますよね。

 

さて、hairの付く単語で思いつくのが「白髪」。これは英語ではwhiteではなくgreyを用いてgrey hairと言います。ちなみにイギリス英語でKeep your hair on.と言うと「カッカするな」という意味になります。怒りモードになるとマンガでは髪の毛が逆立った感じで描かれますよね。「まあ、落ち着いて」というニュアンスが込められている表現です。

 


2. have a brush with … 〜と言い合いをする

 

I had a nasty brush with my boss today. (今日、上司と嫌な言い合いをしました。)

 

have a brush with … は「〜と言い合いをする」という意味です。brushはヘアブラシという意味のほかに、もめる様子も表します。なお、have a brush with the lawは「法に触れる」という意味です。

 

ところでa toothbrush moustacheという表現をご存知ですか?「歯ブラシのひげ」とは、「(歯ブラシのように)短く堅い口ひげ」のことです。歯ブラシと一言付くだけで、その堅さがイメージできますよね。なお、ヒゲにはmoustachebeardなど色々あります。学習者向け英和辞典の画像やインターネットの画像検索などでぜひ確認してみて下さい。

 


3.wig out 人を逆上させる

 

I didn’t mean to wig him out.  I was only joking. (彼を逆上させるつもりはなかったんだ。単なる冗談だったんだよ。)

 

wig outは「人を逆上させる」という意味です。wigはカツラのことですが、wig自体、17世紀から18世紀に見られたperiwig(男性用の白い巻き毛カツラ)から来ています。そう、バッハやモーツァルトなどの肖像画に見られる、あのカツラです。

 

wig outは口語表現で「酔っぱらう」という意味もあります。また、「パーティーなどで楽しいひとときを過ごす」という語義もあり、いずれもくだけた場面で使われるフレーズです。

 


4. comb through 徹底的に探す

 

She had to comb through piles of papers to find the document. (彼女はその書類を見つけるため、書類の山を徹底的に探さねばなりませんでした。)

 

comb throughは「徹底的に探す」という意味です。もともとcomb自体はドイツ語から来た単語です。英語はラテン語やギリシャ語、ドイツ語やフランス語などと密接に関わり合っています。研究社の「リーダーズ英和辞典」には語源も載っていますので、辞書を引くたびにことばの源をたどるのも楽しい作業です。

 

ちなみにイギリスにはcombeの付く地名が少なくありません。こちらは「険しく深い谷」という意味で、発音はcomb同様「クーム」と言います。なお、「地下墓地」は英語でcatacombです。そういえばイギリスの教会には地下室(crypt)があり、そこがカフェやレストランになっています。ロンドンに住んでいたころ、そうしたカフェで私が気に入っていたのが、トラファルガー広場にあるSt Martin-in-the-FieldsCafé in the Cryptでした。留学時代、勉強に疲れると息抜きと称して(?)このカフェまで歩き、ラテとスコーンを味わうのが私にとっての楽しみでした。

 


以上、今月のキーワードは「髪」でした。ちなみに京都には頭と髪の「御髪(みかみ)神社」があるそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 90回 「粉を使った食材」の英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

流行というのはおもしろいですよね。スイーツの世界に限ってみてみると、近年ではポップコーンやグラノーラ、パンケーキやワッフルなどがはやっています。私は行列がニガテなので、話題のスイーツを食べたいと思いつつ、お店に並ぶ勇気がありません。下火になったころに出かけたいと考えています。

 

英語表現には食べ物を使ったフレーズがたくさんあります。以前このコラムでもスイーツ関連の表現をご紹介しました。今回のキーワードは「粉を使った食材」の英語フレーズです。早速見てみましょう。

 


1. take the biscuit あきれる

 

You say the dog smashed your computer?  That takes the biscuit!(犬がコンピュータを壊したって?まったくあきれるよ。)

 

take the biscuitは「あきれる」という意味で、口語でよく使われるフレーズです。biscuitを用いるのはイギリス、一方、アメリカではtake the cakeと言います。ちなみにtake the bunも同じ意味です。

 

研究社「リーダーズ英和辞典」には各見出し語に語源が出ています。biscuitはラテン語のbiscoctusという語から成り立っていると書かれています。coctuscoquo、つまりto cookという単語なのですね。一方、大修館書店「ジーニアス英和辞典」biscuitを引くと米語の意味として「(パサパサで甘みがなく楕円形の)薄焼きパン」とも出ていました。ちょっとした解説があるのも学習者向け英和辞典のありがたいところです。

 


2.dollars to donuts 十中八九・・・で、ほとんど確かに・・・で

 

It is dollars to donuts that he will win the title. (彼がタイトルを獲得するのは十中八九、確かでしょう。)

 

dollars to donuts(あるいはdoughnuts)はアメリカの口語表現です。ドルとドーナツのdの頭韻を踏んでいるのも特徴です。日本語の「十中八九」は数字ですので、こうした違いもおもしろいですよね。

 

doughnutは「タイヤ」「(車の)スピン」という意味もあり、do doughnutsは雪の積もった駐車場などで車をスピンさせる様子を表します。もう一つ、doughnutの語義で興味深かったのは「リーダーズ英和辞典」に出ていた動詞としての用法です。イギリスの国会で議員が演説者を盛り立てるためにテレビカメラに撮られている人を取り囲むことをdoughnutと言うそうです。

 


3.cast one’s bread upon the waters (報酬を当てにしないで善行をする)

 

She is always putting others first.  She casts her bread upon the waters. (彼女はいつも他人を第一に考えてくれます。報酬を当てにしないで善行をするのですよね。)

 

cast one’s bread upon the watersは旧約聖書「伝道の書」に出てきます。英語表現の多くが聖書を由来としていますので、英語学習に励むみなさんもぜひ一度、聖書を通読してみて下さい。もっとも、「長すぎて大変!」というのであれば子ども向け絵本やダイジェスト版などもあります。概要をざっくりつかむのでも構いません。聖書の世界から生まれた英語表現にぜひ意識を向けてみて下さい。

 

聖書に出てくるbreadは大事なキーワードです。the bread of life, fish and bread, give somebody a stone for breadなど英語のフレーズもたくさんあります。

 


4. tart oneself up (ごてごて飾り立てる)

 

Don’t tart yourself up because you are going for a job interview. (就職面接に行くのだから、ごてごて飾り立ててはだめですよ。)

 

tartはお菓子のタルトのことですが、動詞としての用法もあります。主にくだけた場面で使われており、意味は「ごてごて飾り立てる、けばけばしく着飾る」です。tart oneself upはget tarted upと表現することもできます。

 

なお、tartは形容詞としての意味もあります。こちらは「酸っぱい」という意味で、sourとほぼ同じです。たとえばa tart appleであれば「酸っぱいリンゴ」のことです。tartly(副詞)、tartness(名詞)という派生語もあります。


いかがでしたか?食べ物も文化の一種です。ことばにも密接に関わっていることがわかります。英語も多角的に学んでみると、みなさんの世界もグンと広がるはずです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 89回 建築用語を用いた英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

日本は世界の中でも有数の祝日大国と言われています。ハッピーマンデーの導入もあり、連休も増えましたよね。私は「記念日」に関心があり、毎朝目が覚めると今日は何の記念日かなと考えます。ちなみに11月11日は「公共建築の日」だそうです。国会議事堂が昭和11年11月に完成したこと、また、建築物が4本の柱からなっていることからこの日に制定されたそうです。

 

今月は建築関連用語を用いた英語フレーズを見ていきましょう。

 


1.burn one’s bridges 後戻りできない状況を作る

 

You should consider before you make a big decision.  You shouldn’t burn your bridges. (大きな決断をする前にじっくり考えた方が良いですよ。後戻りできない状況を作ってはならないのですから。)

 

burn one’s bridgesは「後戻りできない状況を作る」「これまでの関係を完全に絶つ」という意味で、略式表現として使われます。bridge自体には「橋」という意味がありますので、文字通り訳せば「自分の橋を燃やす」となり、そこから派生しました。

 

bridgeは中学で学ぶ基本単語で、原義は「梁、丸太」です。ドイツ語のBrückeも同じ語源から来ているそうです。なお、固有名詞としてbridgeを使う際には通例無冠詞となりますので、London BridgeManhattan Bridgeのように用いられます。一方、川(river)はthe Hudson Riverやthe River of Rhineのようにtheを付けます。

 

 

2.a pillar of strength 頼みの綱

 

When we were in a crisis, she was a pillar of strength. (私たちが危機に陥った際、彼女は頼みの綱でした。)

 

「頼みの綱」は英語でa pillar of strengthと言い、文字通り訳すと「強さの柱」です。類似表現にa pillar of supporta tower of strengthがあります。日本語では「綱」を使いますが、英語の場合「柱」や「塔」となるのが興味深いところですよね。ところで日本語では「柱」を「1本、2本」と数えますが、英語の場合、one pillartwo pillarsです。

 

pillarは「柱」以外にも「柱状のもの」「大黒柱」という意味があります。また、pillarboxは「円柱形の郵便ポスト」で、イギリスでよく見られる赤い郵便ポストを指します。ちなみにアメリカのmailboxは文字通り「箱」型になっていますので、こうした単語からもその形状を想像することができます。

 


3.proclaim O from the rooftops 〜を公にする、〜を声高に叫ぶ

 

I passed my entrance exam!  I want to proclaim that from the rooftops! (試験に合格した!そのことを声高に叫びたいです

 

proclaim O from the rooftopsは「〜を公にする」という意味で、proclaimのほかにshoutcrypublishなどが使えます。rooftopは「屋根」のことですが、ここではrooftopsと複数形なることにも注意しましょう。roofを使った表現にはほかにもgo through the roof(物価などが急高騰する)、hit the roof(ひどく腹を立てる)、under one’s roof(人の世話になって)などがあります。

 

roofの複数形はroofsですが、発音は「ルーヴス」とvの音になります。calf(子牛)の複数形はcalvesとスペルが変わりますし、proof(証拠)の複数形はそのままproofsとなり、発音もにごりません。こうした違いも調べてみるのも楽しいですよね。

 


4.go up the wall 腹を立てている

 

I shouldn’t be late or my mum will go up the wall. (ママが腹を立ててしまうから、遅刻してはいけないわ。)

 

go up the wallは「腹を立てている」という意味です。先ほどご紹介したhit the roofとほぼ同じ状況を指します。wallは「壁、塀、城壁、障壁」のことですが、「言葉の壁」「10秒の壁を破る」などの「壁」ではbarrierを使います。また、「ここだけの話」はwithin these four wallsです。あえてwallと具体的に表現するのですね。

 

ところで1979年にマイケル・ジャクソンが発表した5作目のアルバム・タイトルは“Off the Wall”。ジャケットカバーには壁の前でマイケルがポーズを取っている写真が掲げられています。まさにwall(壁)がそこにはあるわけですが、一方のoff the wallには「常軌を逸した、常識はずれの」というくだけた意味もあります。ちなみにマイケルの妹ジャネットは2016年10月に第一子の妊娠を発表しました。50歳でママになるということで話題になっています。


今月は建築関連のフレーズをご紹介しました。ちなみにインターネットの記念日関連サイトを調べたところ、「屋根の日」は8月8日、「橋の日」は8月4日だそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 88回 ひもや糸に関連した英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

同時通訳の仕事を終えた後の私はたいていボーっとしてしまいます。緊張感から解放されるからなのでしょうね。人間というのは機械ではありませんので、緊張の糸が張りつめたままでは生産性も落ちてしまいます。気分転換をして緩急をつけ、エネルギーを挽回して仕事に取り組みたいと常に考えています。

 

日本語では「緊張の糸」という具合に、抽象的に「糸」を用いますよね。そこで今回は「ひもや糸に関連した英語フレーズ」を見ていきましょう。

 

 

1.under one’s belt 完成して

 

With five books under my belt, I would like to publish more novels.(すでに5冊を出しているので、さらに小説を出版したいと思っています。)

 

under one’s beltは「完成して、経験を積んで」という意味です。ちなみにhave … under one’s beltであれば「(勝利など)を手中にしている」「(飲食物)を胃におさめる」という意味になります。

 

一方、beltには「地域、地帯」という意味もあり、「工業地帯」はindustrial beltです。最近のアメリカ大統領選挙ニュースでよく出てくるのはRust Belt(ラストベルト)ということば。アメリカ中西部などに広がる製造業地帯を指します。rustとは「さび」のことで、工業化時代を経て使われなくなった機材や工場などを象徴します。かつて製造業で栄えた工業地帯が今や失業に直面しており、大統領候補者たちはこうした地域でどのような政策を実施するのかが注目されているのです。

 

 

2.pick up the threads 立て直す

 

After the war, people tried to pick up the threads of their lives. (戦後、人々は人生を立て直すべく努力しました。)

 

pick up the threadsは「立て直す」という意味で、それまで取り組んでいた何かが中断した後に再度おこなうことを表します。threadは「糸、縫い糸」のことです。ちなみに「織り糸」はyarn、「刺繍糸」はembroidery threadと言います。

 

threadを用いた表現は他にもあります。たとえばhang by a thread(非常に危ない)、lose the thread of conversation(話の筋がわからなくなる)、thread vein(皮膚を通して見える非常に細い血管)などです。動詞としてはthread a needle(針に糸を通す)、thread an alley(裏道を縫うように通って行く)といった用法もあります。

 

 

3.show … the ropes 〜にコツを教える

 

I will show you the ropes so that you can deal with it immediately.(すぐに取り組めるよう、私がコツをお教えしましょう。)

 

show … the ropesは「〜にコツを教える」という略式表現で、give … a hintと同じです。ちなみに「ジーニアス英和辞典(第5版)」ropeを引くと、「thread, string, cord, rope, cableの順に太くなる」と出ています。こうした知識を得られるのも英語学習のだいご味ですよね。

 

show … the ropesの語源は、帆船のかじ取りロープから来ています。the ropesと複数形にすると「こつ、仕方、内情」「という意味を持ちますが、the ropeと単数形にした場合、「絞首刑」を指します。単数形・複数形で意味が異なるのです。ちなみに「縄状の」を表す形容詞のropy (ropey)は「ねばねばする」「品質の悪い」という意味です。

 


4.cut the umbilical cord 独り立ちをする

 

Since I will be going to a college, I’d better cut the umbilical cord! (大学に行くわけですので、もう独り立ちをせねば!)

 

umbilical cordは「へその緒」のことで、cut the umbilical cordは「独り立ちをする」という意味になります。cut the cordでも同じです。「へそ」はumbilicusまたはnavelと言い、「へその」という形容詞がumbilicalなのです。ちなみにumbilical cordは「へその緒」のほかに、宇宙飛行士や潜水士が用いる「命綱」でもあります。

 

ところで日本語の場合、「へそを曲げる」「日本列島のへそ」「へそで茶を沸かす」といった表現がありますよね。「アンパンのへそ」はアンパンの真ん中のくぼみを指します。「アンパンのへそ」を英語ではどう言うのか気になったので、和食の英文レシピを探したところ、作り方の説明としてmake a dent in the middleとありました。なるほど、「真ん中にくぼみをつける」ということなのですね。


ひもや糸などを用いたフレーズ、いかがでしたか?今回私がこのテーマを選んだのは、ある写真集の前書きで目にしたunder my beltという表現がきっかけです。気になるフレーズを見つけたら、みなさんもそれを出発点に辞書であれこれ調べてみてください。きっと世界が広がると思います。

 


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。


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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 87回 記述記号を使った英語フレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

英語にも日本語にも、文章を表す際には色々な記号や約束事がありますよね。たとえば原稿用紙に書くとき、新たな段落であれば一文字下げますし、原稿用紙の一番下のマスに点や丸を一緒に入れるといったルールがあります。ちなみに私が学生時代に苦労したのが英文のコロンとセミコロンの使い分けでした。どちらもよく似た形で混同していたのですが、先生から「コロンはイコールマークとほぼ同じ」と言われ、ずいぶん楽になったのを覚えています。

 

今回はこうした記号を用いた表現を見ていきましょう。なお、文章で用いるカッコや句読点、疑問符などの記述用語は「約物(やくもの)」と言います。

 

 

1.draw a blank 思い出せない

 

I knew her face but I’ve just drawn a blank on her name. (彼女の顔は知っていたのですが、名前が思い出せませんでした。)

 

blankは「空欄、空所」ですが、他にも形容詞で「白紙の、無表情な」といった語義があります。draw a blankは「思い出せない」という意味です。また、The investigation has drawn a blank.(調査では結果を得られなかった)という用法でも使えます。

 

blankはフランス語の「白(blanc)」から来た単語で、blanketも同じ語源です。そういえば子どもの頃に過ごしたイギリスで、当時Blankety Blankというクイズ番組が大人気でした。あの頃はインターネットもなく、社会全般の情報量が少なかったため、誰もが同じ番組を見ては盛り上がっていたのです。

 


2.by way of parenthesis ついでに言えば

 

Please let me say, by way of parenthesis, that I have no idea about the latest gadgets.ついでに言えば、最新のガジェットに関して私は全く分からないということを言わせてください。)

 

by way of parenthesisは「ついでに言えば」という意味です。もともとparenthesisは「挿入語句」のことで、前後をコンマやダッシュで区切って入れる語句を指します。parenthesisはイギリス英語で、parenthesesがアメリカ式スペルです。一方、gadgetは「道具、仕掛け」のことで、この文章では「真新しいグッズはよくわからない」という様子を表しています。

 

ところでparenthesisを使った語にparenthesis-free notationがあります。日本語では「ポーランド表記法」と言い、演算関連の用語です。ポーランド人学者が考案したため、そう呼ばれるようになりました。

 


3.Period! 以上!

 

No, I’m not going to buy you a smartphone. Period! (だめ、スマートフォンは買いません。以上!)

 

periodは「終止符、ピリオド」のことですが、Period!とつづることで「以上!」という意味になります。話を打ち切る際に使う表現です。上記の例文では子どもにスマートフォンをねだられたものの、「買わない」という親の意思表示を表します。イギリス英語であれば、Full stop!と言うこともできます。

 

periodの語源はperi(ひと回りの)とod(道)です。それが「回路、周期」という意味になり、現在の「時期、期間、時代」となりました。ちなみに「周辺」のperipheryも同じ語源から来ています。「まわりくどく言う」はperiphraseです。

 


4.question mark 未知のこと

 

His future remains a question mark. (彼の将来はわかりません。)

 

「不確かなこと、未知のこと」を英語ではquestion markと言います。question mark自体は「疑問符」で、「?」と表しますよね。なぜ「?」の印になったかに関しては、ラテン語のquaestioqoが縦に並べられ、それが次第に形を変えたという説があります。

 

ちなみにスペイン語の場合、疑問文であれば最初に「?」をひっくり返した「¿」を付け、文末は「?」で締めくくります。最初から「あ、この文章は疑問文だ」と読解時に心構えができるので便利ですが、逆に最後まで読んで疑問文だったかを知る楽しみがなくなってしまうようにも個人的には思います。もっとも、日本語の縦書きの場合、「?」が付かないと、平叙文か疑問文かもわかりません。これはこれで難しいのでしょうね。


今回は「約物」を使ったフレーズを取り上げました。なお、英文を書く際、約物には細かいルールがあります。これを機に色々調べておくと良いでしょう。

 


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 86回 スポーツ用語を使った英語フレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 


イギリスに暮らしていたころの夏の風物詩の一つがテニスのウィンブルドン選手権でした。ロンドン郊外のウィンブルドンで行われる試合に全国民が熱狂していましたね。私は小学校時代にイギリスに暮らしていたのですが、決勝戦の日だけは先生が特別にテレビを教室でつけて下さり、皆で観戦をしたものでした。そしてウィンブルドンが終わると、スコットランドで行われるゴルフ「全英オープン」と続き、少しずつ秋の気配がイギリスでは見られるようになります。

 

数か月前にもスポーツ関連フレーズをご紹介しましたが、今年の夏はリオ五輪!せっかくですので、今月ももう少しスポーツ系の用語を見てみましょう。

 

 

1.plain sailing 順風満帆

 

Since we have made a difficult decision, please bear in mind that it will not be plain sailing in the days ahead. (難しい決断を下した以上、今後数日間は順風満帆でないことを覚えておいてください。)

 

plain sailingは「順風満帆」という意味です。海事用語では「平穏航海」と言います。また、「平面航法」という意味もあり、この場合のスペルはplane sailingともなります。「順風満帆」という意味で使われるようになったのは18世紀半ばのようです。ちなみに日本語の「順風満帆」の「順風」は「追い風」のことで、「満帆」は「帆をいっぱいに張ること」です。こうして英語と日本語を比べて語源までさかのぼってみると、微妙な違いが分かり、面白いですよね。

 

sailingに関連してもう一つ。sailorは「船員」のことですが、a good sailorは「船酔いしない人」、a bad sailorは「船酔いする人」という意味です。

 

 

2.skate over … 〜への言及を避ける

 

The politician answered the question at length but he skated over the details.(その政治家は質問に対して長々と答えましたが、詳細への言及は避けました。)

 

skate over … は「〜への言及を避ける」という意味です。スケート靴を履いて滑る際、スーッと滑ることになりますよね。その様子から生まれた表現で、比較的新しいフレーズです。

 

ところでskateの原義は「竹馬」です。スポーツとしての「スケート」は英語でskatingと言います。よって、冬季五輪の競技名であればfigure skatingspeed skatingとなります。

 

skateを使った表現ではイギリス英語にput one’s skates onがあります。これは命令形で用いるフレーズで、「急ぐ」という意味です。

 


3.dance attendance on … 〜の機嫌をとる

 

The little boy expected his friend to dance attendance on him all the time so the other boy was quite annoyed.  (その小さな男の子は友達にいつも機嫌をとってもらいたいと期待していました。よって、友達はかなり腹を立てていましたね。)

 

attendanceは「出席、出席者、付き添い」という意味です。dance attendance on …シェイクスピアが「ヘンリー6世」の中で使った表現で、「〜の機嫌をとる」です。ちなみに英語では「ご機嫌取り」を意味する単語があります。たとえばapple-polisher, keep … sweet, curry favour with … などです。

 

ところでイギリスの小学校に通っていたころ、毎朝先生が出席をとっていたのですが、
この出欠確認をイギリスではregistrationと言っていました。「出席をとる」はtake the registerまたはdo the registerとなります。アメリカではtake attendanceです。

 


4.paddle one’s own canoe 自力でやっていく

 

Although help was available, she decided to paddle her own canoe. (助けはあったものの、彼女は自力でやっていこうと決めました。)

 

canoeはパドルでこぐ丸太船の総称で、「カヌー」のことです。日本語では「カ」にアクセントがありますが、英語の場合、「ヌー」を強く読みます。発音要注意の単語です。paddle one’s own canoeは「自力でやっていく、自立してやっていく」ということです。ちなみにカヌーと似たもので「カヤック(kayak)」がありますよね。この違いはパドルの形にあるのだそうです。


以上、今月はスポーツ関連の表現をご紹介しました。今年はサッカーのユーロ2016を始め、夏のリオ五輪と盛りだくさんですよね。スポーツ観戦を通じて英語表現も取り入れたいと思っています。

 


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 85回 高さ関連の語を用いた英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

2016年5月には日本で8年ぶりのサミットが行われました。G7伊勢志摩サミット、正式名称は「第42回先進国首脳会議」です。サミット (summit) とは英語で「頂上」のことで、首脳が集うことからサミットと名付けられました。ちなみに英語で「頂上」はpeakとも言いますが、オックスフォード現代英英辞典の図解説明を見ると、peakは「とがった山頂の1点」を指しているのがわかります。summitはどちらかというと、とがった部分を含む頂上全体という意味なのですね。いずれにせよ、非常に高い部分であることに変わりはありません。

そこで今月は「高さ」に関連した用語を使ったフレーズを取り上げていきます。


1.high-water mark 最高点、絶頂

His election win in 1985 was the high-water mark of his popularity. (1985年の選挙勝利が彼の人気の絶頂でした。)

high-water markは名詞で「最高点、最高水準」という意味です。この言葉を耳だけで聞くと、一瞬high watermarkとも思えますよね。watermarkは「水準、水位線」のことですが、今回ご紹介するのはhigh water(高潮、満潮)とmark(印)の合成です。

ちなみに「干潮」はlow waterで、「最悪状態、不振のどん底」はlow-water markとなります。新しい単語が出てきた際にはこうして反意語もついでに調べておくと、単語力のアップにつながります。


2. hit a plateau 停滞期に達する、壁にぶつかる

Though she studied hard, she hit a plateau and her grades did not improve. (彼女は一生懸命勉強しましたが停滞期に達してしまい、成績は向上しませんでした。)

plateauは元々フランス語から来た単語で、英語では「高原、台地」という意味です。複数形はplateausまたはplateauxと書きます。xで終わるあたりがまさにフランス語ですよね。

hit a plateauまたはreach a plateauは「停滞期に達する」ということです。ここでは名詞ですが、I have plateaued and I could not lose my weight anymore (停滞期に達してしまい、これ以上体重を落とせなかった)という具合に動詞としても使えます。

ところで「オーレックス英和辞典」(電子版)にはplateauのもう一つの意味として「飾り皿、頂部の平らな女性の帽子」という意味も出ています。気になったのでplateauplateを入力し画像検索するとなぜか骨のレントゲン写真が!実は「脛骨プラトー骨折」という症状があるのです。キッチン用品から医療分野に飛んだリサーチでした。


3. peaks and valleys 山あり谷あり、浮き沈み

Don’t worry about the past.  Life has its peaks and valleys. (過去を心配しないで。人生は山あり谷ありなのだから。)

peaks and valleys は文字通り訳すと「山頂と谷底」という意味です。それを比ゆ的な意味として用いるのが今回ご紹介するフレーズです。peaks and troughsと言うこともできます。

ところでpeakを使った単語は他にもいろいろあります。peak oilは「石油の最大産出時点」、peak seasonは「繁忙期、ハイシーズン」という意味です。一方、peak timeは主にイギリスで使われる言葉で、「ゴールデンアワー」のことです。アメリカではprime timeとなります。ゴールデンアワーは和製英語なのです。


4. move heaven and earth あらゆる手を尽くす

I would move heaven and earth to help my children grow up in a peaceful world. (平和な社会で育つことができるよう、あらゆる手を尽くして子どもたちを助けたいと思います。)

move heaven and earthは「全力を尽くす、あらゆる手を尽くす」です。heavenは「天、天国」「この上ない幸福」「空」という意味があります。

私の愛用する電子辞書には「ワイルドカード検索」という機能があります。これは単語の後半だけがわかっている場合「〜heaven」のように入力すると、後ろにheavenが付く単語がヒットしてくるのです。これを使ったところ、seventh heaven(第七天[ユダヤ人が神と天使のいる所と考えた最上天])、Stairway to Heaven(レッド・ツェッペリンの曲「天国への階段」)、tea-of-heaven(ヤマアジサイ)などが出てきました。

いかがでしたか?今回は「高さ」に関する表現をご紹介しました。ちなみにpeanut heavenとは「劇場の最上階最後部席」だそうです。最後部席はピーナツしか提供されなかったことから生まれたフレーズです。舞台上の役者さんが「米粒みたいに小さい」「ピーナツぐらいの小ささ」という語源ではなかったのですね。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 84回 花の名前を用いた英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 


「通訳者にはどういった実力が必要ですか?」という質問を受けると、私は「語学力・知識力・体力」と答えています。英語と日本語の語彙変換力がどれだけ優れていても、背景知識を知らないと厳しいものがあるからです。と同時に、大変な集中力に瞬発力も必要ですので、体力作りも必須です。ですのでその一環として、私はこまめに運動をするようにしており、時間が許す限りたくさん歩くようにしています。

日本は四季が豊かですので、春夏秋冬それぞれの草木や花を眺めながらウォーキングすることは、私にとって心和む時間です。家の近所にも、よく見てみると美しい花が咲いているのですよね。

今月は花の名前を使ったフレーズをご紹介します。


1. as fresh as daisy 元気はつらつとした

Despite his busy schedule, he arrived at the meeting looking as fresh as a daisy. (彼は忙しいスケジュールであるにもかかわらず、会合には元気はつらつとした様子で到着しました。)

as fresh as a daisyは「元気はつらつとした」という意味です。同様の意味を持つフレーズはほかにもas fresh as paintas fresh as a roseがあります。このフレーズが生まれたのはおそらく18世紀から19世紀ごろです。なぜdaisyを用いるかと言いますと、ヒナギクは朝に花開き、夕方に閉じるからだそうです。

daisyは、やや古い略式表現では「第一級の人(物)」という意味があります。また、Daisy Stateはアメリカのノース・カロライナ州の愛称です。daisy wheelは印刷用語で「デージーホイール」を指し、これはヒナギクの花のように円形に並べてあるタイプライターなどの活字を意味します。


2. be not all roses 良いことばかりではない

My life has not been all roses but it was not that bad! (私の人生は良いことばかりではなかったけれど、さほど悪くもなかったですねえ!)

be not all rosesは「良いことばかりではない、楽なことばかりではない」ということです。日本語でも「バラ色の人生」という表現がありますよね。be not all roses またはbe not a bed of rosesと言います。

ところでroseで思い出すことがあります。小学校4年生の時、私はオランダからイギリスへ引っ越したのですが、そのときオランダのクラスメートが寄せ書きをしてくれました。その中にRoses are red, Violets are blue, Sugar is sweet, And so are you.という詩が書かれていたのです。これは16世紀のイギリス詩人エドマンド・スペンサー (Edmund Spenser)が作ったものとされています。この詩は今でもバレンタイン・デーや大切な人へのメッセージとしてよく使われているようです。


3. gild the lily (満足なものに)余計な手を加える

Don’t wear that scarf.  It would be gilding the lily. (そのスカーフはしない方がいいわよ。かえって余計だから。)

lilyは「ユリ」、gildは「金箔をかぶせる」という意味です。gild the lilyは、すでに満足いく状態のものに無駄な改良を加えてしまう様子を表します。一説によると、このフレーズの語源はシェイクスピアの作品「ジョン王」から来ているようです。シェイクスピアの文ではpaint the lilyとあり、今ではgild the lilypaint the lily両方が使われます。

ところでユリはフランス王家の紋です。日本の皇室のシンボルは菊、イングランドおよびアメリカの国花はバラ、オランダはチューリップ、スペインはカーネーションだそうです。一つのフレーズを機に国花まで調べてみると、新たな発見がありました。


4. a shrinking violet 恥ずかしがり屋

I used to be a shrinking violet when I was two years old.  I was always nervous. (2歳のとき、私は恥ずかしがり屋でした。いつも緊張していたんです。)

a shrinking violetまたはa modest violetは「恥ずかしがり屋」という意味です。violetはスミレのことで、英語では謙譲・貞節・薄命の象徴とされています。shrinkは「縮む」という意味で、これはスミレがほかの花に比べて小さくなっていくように見えるためだそうです。「恥ずかしがり屋」という意味になったのは19世紀初めでした。

ところで「虹」の色は日本語の場合、「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」と表します。英語ではred, orange, yellow, green, blue, indigo, violetの7色です。「紫」がpurpleではなくvioletなのも興味深いですよね。

今回は花関連の表現でした。これを機に花言葉も調べたいと私は思っています。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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