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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 108回 体の部位とハイフンを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

春先からストレッチ系のスタジオプログラムに出ています。あまりにも自分の体が硬いため、何とかしようと思い立ったからです。ヨガやピラティスなどを日常生活に取り込むことでストレッチ効果も出ています。おかげで夜もぐっすり眠れるようになりました。やはり体はきちんとメンテナンスすることが一番ですね。

 

さて、今月は体の部位とハイフンを使った英語フレーズのご紹介です。


head-scratching (困惑するような)

 

He made some head-scratching comments so we were totally puzzled.  (彼は困惑するようなコメントをしたため、私たちは完全に途方にくれましたね。)

 

headは「頭」、scratchは「掻く」、つまり「頭を掻くような」という意味からhead-scratchingという表現が生まれました。ちなみにscratchには「引っ掻く」の他に「計画をやめにする」「何とか成し遂げる」などの意味もあります。アメリカ政治では「候補者名を名簿から消す」という状況も表します。

ところでドラマやアニメなどの「照れるシーン」で頭を掻く光景が描かれていますよね。でも実際の日常生活において同じニュアンスで頭を掻く人をあまり見ないような気がします。ボディランゲージも時代の流れなのでしょうか。興味深いところです。

 


soul-searching 内省

 

She had to do a lot of soul-searching to analyse her defeat. (敗北を分析するために、彼女はたくさん内省せねばなりませんでした。)

 

soul-searchingは「内省」です。「魂を探す」という意味からできた表現です。「内省」の他にも「自己省察、反省」などの語義があります。なお、soulは肉体に対する「魂、霊」のことで、spiritよりも宗教的なニュアンスが濃くなります。死後も存在するという意味合いでsoulが用いられます。また、「精神、心」という意味もあり、たとえばWalking is good for the soul.は「ウォーキングは精神に良い」ということです。

2016年の大統領選で敗れたヒラリー・クリントン候補も、敗北後のインタビューで「たくさんのsoul-searchingをした」と答えています。

 


hand-wringing (絶望的な)

 

We are seeing a lot of hand-wringing articles about refugees fleeing their country. (祖国を逃れた難民たちの絶望的ともいえる記事をたくさん目にしています。)

 

hand-wringingwringは「ねじる、締める」という意味です。水などを切るために「絞る」という意味もあります。hand-wringingは苦しみや悲しみのあまりに「手をもみ絞る」という様子から生まれた表現です。辞書によってはhandwringingと一語で表すものもあります。また、人を表すhandwringerという名詞も辞書には出ています。

handは中学で学ぶ基本単語ですが、実に多くの意味がありますよね。「手」以外にも「手伝い、参加、勝負」などの語義もあれば、「婚約、誓約」もhandと言います。a safe pair of handsは「頼りになる人」、hand over fistは「どんどん、あっという間に」です。ぜひ皆さんも辞書でhandを引いてみてください。

 


foot-dragging (引き延ばし)

 

Because of administrative foot-dragging, the plan was delayed for a year. (事務的な引き延ばしのせいでその計画は1年遅れてしまいました。)

 

取り組みなどが遅くて引き延ばされてしまうことを英語でfoot-draggingと言います。dragは「足を引きずる」という意味ですが、他にも「わざとぐずぐずする」という語義もあります。そういえば国会審議などで票決を引き延ばす戦術に「牛歩戦術」というのがありますよね。のっそり歩く様子をfoot-draggingから連想してしまいました。ちなみに英語で牛歩戦術はfilibusteringと言います。

「ぐずぐずする」は英語で他にもprocrastinateという動詞があります。これはpro(前への意)という接頭辞にラテン語のcrastinus(明日に属するもの)という語がついたものです。英語のことわざにNever put off till tomorrow what you can do today(今日できることを明日に延ばすな)やTomorrow never comes(明日という日は決して来ない)があります。英語学習もしかり、ですよね!

 


今月は体の部位の後にハイフンをつけたフレーズを取り上げました。体のパーツも文化によって意味合いが異なります。異文化コミュニケーションを学ぶ上でぜひ色々な言語における部位の解釈を調べてみてください。きっと発見があるはずです。

 

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 107回 鳥関連の語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

2月の半ばにイギリスへ出かけました。閑散期とばかり思いきや、ロンドンは旅行客や学生、ビジネスパーソンなどであふれかえっていましたね。しかも数年ぶりの大雪でした。宿泊先はミニキッチン付きの学生寮でしたので、スーパーで買い出しをして簡単な自炊もできました。スーパーの棚にはターキーやラム肉など珍しい食材があり、見ているだけで楽しかったです。

 

今月は七面鳥や鶏などの語を使った英語表現を見ていきましょう。

 


1. talk turkey (率直に話し合う)

 

The mother and her son talked turkey about mobile phone use.  (母親と息子は携帯電話の使用について率直に話し合いました。)

 

「率直に話し合う、ざっくばらんに話す」はtalk turkeyと言います。特にアメリカで使われる口語表現です。語源には諸説あるようですが、アメリカで先住民と白人が共に狩りをした際、白人側が先住民よりも多く取ろうとして抗議されたことから誕生したとされています。

 

なお、cold turkeyは「ぶっきらぼうな行動、よそよそしい人」という意味です。turkey一語でも「気取り屋、尊大な人」という語義があります。turkey(七面鳥)はアフリカのホロホロチョウがトルコ経由で輸入されたため、turkeyと呼ばれるようになりました。

 


2. the chickens come home to roost (当然の報いを受ける)

 

She is always talking about him behind his back.  Someday, the chickens will come home to roost. (彼女はいつも彼の陰口を言っている。いつか当然の報いを受けることになるでしょう。)

 

この表現が誕生したいきさつは、「ニワトリが夜に寝るため小屋へ戻ってくること」が挙げられます。American Heritage Dictionary of Idioms(電子版)によれば、このフレーズが最初にお目見えしたのは1809年で、ロバート・サウジー(Robert Southey)の作品”The Curse of Kehama”に記されているそうです。

 

なお、例文前半の「陰口を言う」は英語でtalk about someone behind one’s backです。ちなみに日本語では「陰口を叩く」とも言いますよね。新明解国語辞典(三省堂)によると、これは「相手が音を上げるまで、連続的に何か激しいことをする」という意味から「叩く」が使われるのだそうです。

 


3. go off half-cocked (早まって行動する)

 

We must plan thoroughly.  It is better than going off half-cocked. (計画を徹底的に立てなければ。早まって行動するよりはましだよ。)

 

機が熟さぬうちに行動することを英語でgo off half-cockedと言います。half-cockは銃を「安静段」(撃鉄を半分引いた状態で引き金自体は引けない状態)にしていることを意味します。go off half-cockedは「撃鉄を十分上げないうちに発射する」ということで、それが転じて「早まって行動する」という意味でも使われるようになりました。

 

cockは「おんどり」で、反対語はhen(めんどり)です。cockは他にも「水道栓、撃鉄、風見鶏」などの意味もあります。私は最初、この表現を活字で見たとき、half-cooked(生煮え)と読み違えてしまいました。coに見えたのですね。

 


4. as rare as hen’s teeth (極めて稀な)

 

These are as rare as hen’s teeth.  It’s a real bargain! (このようなものは極めて稀ですよ。掘り出し物です!)

 

「極めて稀な」を英語でas rare as hen’s teethと言います。「めんどりの歯」と言われても確かにピンときませんよね。このフレーズが誕生したのは19世紀中ごろで、歯を持たないめんどりが珍しいがゆえに使われるようになったようです。主にアメリカで用いられる表現です。rareの代わりにscarceも使えます。

 

ところで「鶏」の字の「奚(ケイ)」は「つなぐ」という意味です。家畜としてつないでおくためこの漢字になりました。一方、英語のhenはドイツ語のHenneと同じ語源で、ラテン語のcanere(歌う)が元にあります。ニワトリは卵を産むと必ず鳴くためだそうです。


今回は鳥関連のフレーズをご紹介しました。ところで冬の終わりに我が家の近くではしっぽの長い黒白の鳥をよく見かけました。調べたところ、ハクセキレイ(白鶺鴒)という鳥だそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 106回 乗り物関連の語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

車で移動するときは在日米軍向けラジオ局AFN (American Forces Network)を聞いています。聞きながらシャドーイングをしたり、好きな音楽に合わせて一人カラオケを楽しんだりしています。先日のこと、気分転換に別の民放ラジオをつけるとドライブレコーダーのラジオ通販番組が聞こえてきました。今はドライブレコーダー爆発的人気ですよね。ちなみに英語でドライブレコーダーはevent data recorderです。

 

さて、今回は乗り物関連の英語を使ったフレーズをご紹介します。

 

 

1. drive a wedge between … (〜の間を仲たがいさせる)

 

I had a terrible argument with my sister and it drove a wedge between us. (ひどい喧嘩を妹としてしまって、仲たがいになってしまいました。)

 

drive は「運転する」ですが、drive a wedge between … は誰かと誰かの間で仲たがいが生じる状況を表す表現です。この例文ではbetween usとなっていますが、between A and B としても使えます。

 

wedgeは「くさび、くさび状のもの」という意味の他に「不和を引き起こすもの」という語義もあります。ちなみにpotato wedgeという料理がありますが、こちらのwedgeは「くさび」の意味です。日本でもポテトウェッジとして知られていますが、ジャガイモの皮をむかずに切ってオーブンで焼いたり揚げたりした料理です。確かに写真で見るポテトウェッジはくさび型をしていますよね。

 


2. take … for a ride (〜を欺く)

 

The suspect took the lady for a ride.  She became a victim of a phone scam. (その容疑者は女性を欺きました。彼女は電話詐欺の被害者となりました。)

 

take … for a ride は「〜をドライブに連れていく」という意味の他に、「〜を欺く」という語義もあります。ride自体は「乗せること」です。この例文では「容疑者」とあるので「欺く」という訳語が出てきやすいのですが、「容疑者がその女性をドライブに連れて行った」と解釈してしまいそうですよね。全体像から文脈をとらえることが大事です。

 

ところでグリム童話の「赤ずきんちゃん」は英語でLittle Red Riding Hoodと言います。riding hoodは「乗馬用フード」「頭巾」のことで、辞書を引くと「乗馬または戸外用に夫人や子供が用いたかぶりもの」との説明が出ていました。

 


3. cycle of events (一連の出来事)

 

Let’s look back at the cycle of events and see what we can do in the future. 一連の出来事を振り返ってみて、将来何ができるか考えてみましょう。)

 

cycle of events は「一連の出来事」という意味です。cycleはイギリス英語の場合「自転車」や「オートバイ」を指しますが、他にも「周期、循環、サイクル」という語義があります。cycleはギリシャ語が語源で、kyklos(円、輪)から来ています。cycloneも同じ語源です。

 

ところで「周期」と言えば理科の授業で「周期表」を学んだことがあります。元素の周期表は英語でperiodic tableと言います。「水平リーベ 僕の船」と覚えた方もいらっしゃるのではと思います。「水平リーベ 僕の船」はH He Li Be B C N O F Neですよね。では英語圏ではどう暗記するのでしょうか?気になったので調べたところ、たとえばHow He Lives Beggars Belief, Constantly Nicking Old Foreign Necklacesといったものがありました。語呂合わせは日本語の方がシンプルなのではと個人的には感じます。

 


4. drive up (価格などを吊り上げる)

 

We shouldn’t drive up the price.  Otherwise, we will lose our customers. (価格を吊り上げてはいけないよ。さもないとお客様を失ってしまう。)

 

drive upは句動詞で、価格などを「吊り上げる」という意味があります。driveを辞書で引くと「運転する」という意味の他に「追いやる」「駆り立てる」「打ち込む」といった語義も出ています。中学校で習う基礎単語ですが、多くの意味があり、口語表現では句動詞がたくさん出てきますので、その都度辞書で確認すると良いでしょう。

 

ちなみにdrivewayは辞書に「私道」とありますが、家や車庫から道路までの私設道路を指します。車寄せのような感じですよね。アメリカには大邸宅が多く、玄関からポストまでも長いdrivewayが続くため、郵便物を取りに行くためだけに車を出す人もいるのだそうです。

 

以上、今月は乗り物関連の英語フレーズを見てみました。ちなみに日本では「交通安全運動」がありますが、これは英語でtraffic safety campaignと言います。毎年春と秋に行われています。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 105回 ゲーム関連の語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今の時代、「ゲーム」と言えば誰もがスマートフォンで楽しめるゲームを思い描くと思います。一方、私が幼少期のころはボードゲームが主流でした。寒い時期、こたつに家族が集まり、色々なボードゲームを楽しんだことが懐かしく思い出されます。こたつの上にはもちろん「みかん」がありました。ちなみに「こたつ」は日本特有のものらしく、辞書にもそのままkotatsuと出ていました!

 

今回はゲームに関連した言葉を使ったフレーズを見ていきましょう。

 

1.   a house of cards  砂上の楼閣

 

It’s my fault.  I didn’t plan thoroughly.  That is why the schedule collapsed like a house of cards. (私のせいです。ちゃんと計画しなかったんですね。だから計画は砂上の楼閣のごとく崩壊したんです。)

 

a house of cardsは「砂上の楼閣、不安定な計画」という意味です。cardはトランプのカードのことで、まるでトランプで作った家のごとく、あっさり崩れてしまう様子から生まれた表現です。

 

日本語では「トランプ」と言いますが、英語ではplaying cardsと言います。trumpは「切り札」のことなのですね。なお、英語で「トランプの札を切る」はcut the cardsと言います。ちなみに「切り札」やトランプを「切る」の日本語の語源は諸説あるようで、ゲームのキリとなる「限り札(きりふだ)」という説、他の強い札を「切り絶つ」という説などがあるようです。

 


2.   play a/the waiting game   チャンスをうかがう

 

We should play a waiting game.  It will surely take some time so be patient. チャンスをうかがうべきですよ。時間はかかるのですから辛抱強く待ちましょう。)

 

play a/the waiting gamegameは「試合」のことです。冠詞はa およびtheどちらも使えます。Merriam-Websterという伝統ある辞書のサイトを調べると、初出は1850年と出ています。スポーツ用語でも「持久戦に出る」という意味でこの表現は使われることがあります。

 

ところでwaitingと言えば、「女官」を英語でlady-in-waiting(複数形はladies-in-waiting)と表現します。私は最初にこの語を見たとき、「王子様の婚約相手」というイメージを抱いてしまいました!

 


3.   have an ace in the hole   奥の手がある

 

She thought that she had won the match, but the opponent had her ace in the hole. (彼女は試合に勝ったと思っていましたが、対戦相手には奥の手がありました。)

 

an ace in the holeはもともとポーカーの用語ですが、日常会話でも「奥の手、最後の切り札」という意味で使われます。aceはラテン語のas(ひとつ)という語から来た単語です。テニスのサービスエースもaceですよね。なお、an ace up your sleeveもやはり「とっておきの決め手」という意味、hold all the acesは「優勢を得る」です。また、within an ace of …ingは「もう少しで〜しそうになる」という意味です。

 


4.   Monopoly money   得体の知れない金、現実には価値のない金

 

The news reported that the business school was built with Monopoly money. (ニュースによると、そのビジネススクールは得体の知れない金で作られたとのことです。)

 

Monopoly moneyの「モノポリー」とはサイコロを振って土地を独占していくボードゲームです。そこで使われるお金をMonopoly moneyと言います。上記の例文は、モノポリーのお金のごとく現実には価値がなく得体の知れないお金という様子を表しています。インフォーマルな場面で主に使われる言葉です。

 

ところでゲームのモノポリーは1930年代にアメリカで誕生しており、日本には60年代に入ってきました。この原稿を執筆するにあたり、「まさか」と思いつつも検索したところ、やはりありました!トランプ大統領がネタになっているモノポリーです。さらに探してみると出てくる出てくる!”Trump the Game” というボードゲームまでありましたね。興味がある方は画像検索するとすぐにヒットします。

 

いかがでしたか?今月はゲーム関連の用語をきっかけに色々と見てみました。ところで「遊び」で思い出したことがあります。海外に暮らしていた幼少期、イギリス人の友達に受けたのは折り紙とあやとりだったのです。私はスポーツが全くダメでしたが、折り鶴を追ってあげたり、七変化するあやとりの作品を披露したりすることでずいぶん友達に喜んでもらうことができました。何か一つでも得意なことを携えて海外に行けば怖いものなしと思ったものです。言葉が通じなくても、こうしたちょっとしたことがコミュニケーションにとって助けになるのですね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 104回 食材をandで結んだ英語フレーズ

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

昨年の終わりごろ、偶然ケーブルテレビでイギリスの料理番組を見つけました。BBCなどで放送されたもので、2か国語放送や字幕付きで放映されています。著名シェフのJamie OliverNigel Slaterなどが出ており、おいしそうなレシピが毎回紹介されます。

 

私はもともと料理が得手ではないのですが、この番組を機にフードプロセッサーまで新調し、以来楽しく料理ができるようになりました。

 

ちなみにどの番組でもパルメザンチーズをすりおろして振りかけている光景をよく見かけます。イギリス料理の特徴なのでしょうか。これを機にcheeseを使った英語表現を調べたところ、chalk and cheeseという語が出てきました。

 

今回は食材をandで結んだ表現のご紹介です。

 


1.   as different as chalk and cheese  外見は似ているものの中味は全く違う

 

Although both of them look similar, they are as different as chalk and cheese. (二人とも外見は似ているけれど、中身は全く違います。)

 

as different as chalk and cheeseは「外見は似ているものの中身は全く違う」という様子を表す表現です。確かにチョークとチーズはいずれも固形で白や黄色い色ですが、全然違いますよね。このフレーズは主にイギリスで使われる表現とされています。

 

ちなみにchalk(チョーク)の数え方はa piece of chalk(1本のチョーク)、two pieces of chalk(2本のチョーク)です。洋裁で布地に印をつけるチョークを日本語で「チャコ」と言いますが、これも元はchalkから来たものです。

 


2.   oil and vinegar  水と油

 

I just cannot get along with her. We are like oil and vinegar. (とにかく彼女とは合わないんです。水と油のようなものです。)

 

「水と油のように」は英語でlike oil and vinegarまたはlike oil and waterと言います。日本語ではあくまでも「水」と「油」ですが、英語では「酢」を使うのが興味深いですよね。前回ご紹介した「犬猿の仲(cat and dog)」と似た意味のフレーズです。

 

なお、oilを使った他の表現にpour oil on troubled watersがあります。これは「穏便に論争をおさめる」という意味です。一方、1970年にサイモン&ガーファンクルが発表したヒット曲、「明日に架ける橋」の原題名はBridge Over Troubled Waterです。

 


3.   meat and drink    何よりの楽しみ、大好きなもの 

 

Going out for a long walk is meat and drink to me. (長い散歩に出かけることは私にとって何よりの楽しみです。)

 

日本語には「三度の飯より好き」という言葉がありますが、これを英語ではmeat and drinkと言います。上記の例文はGoing out for a long walk is my meat and drink.と言うことも可能です。

 

ところでmeatは「肉」ですが、食用でない場合はfleshと言います。他にmeatを使った興味深い表現ではmeat and potatoes(物事の核心)、meaty(記事などが充実した)、the meat of the argument(議論の重要な点)などが挙げられます。

 


4.    peaches and cream    満足状況

 

We are all ready for the tournament Everything is peaches and cream. (私たちは全員、トーナメントに向けて準備万端です。全て満足できる状況ですよ。)

 

「万事オーライ」を英語ではpeaches and creamと言います。桃とクリームという組み合わせが面白いですよね。なお、peachを英英辞典で引くと具体的な説明があります。たとえばとある学習者向け英英辞典には“a round fruit with soft red and yellow skin,  yellow flesh and a large rough seed inside”とありました。ここでも果肉を表す際、先ほどご紹介したfleshが出ていますね。「粗い種」という部分から桃が連想できます。なお、漢字の「桃」は木へんに「兆」ですが、「兆」は「割れる」という意味があるそうです。二つにきれいに割れることを表しています。

 

ところでcreamにも脂肪分の割合がいろいろとありますが、イギリスに暮らしていた頃、スーパーでcreme fraicheという商品をよく見かけました。これは高脂肪の生クリームです。他にもクリームに乳酸菌を加えて発酵させたsour cream(サワークリーム)も料理でよく使われていました。スコーンに付けて食べる濃厚なクリームはclotted creamです。

 

今月は食材をandで結んだ英語フレーズをご紹介しました。冒頭でご紹介したレシピ番組は動画サイトでも見られます。イギリスのシェフたちの作り方を見ていると、日本のようにきっちりと材料を量ると言うよりも、むしろ豪快に調理するのが売りのようです。たとえばJamie Oliverなど、レモンを絞る際、二つに割ったらそのまま手でぎゅーっと握り絞っているのですね。こうした自由な方法を知ると、気楽に料理ができそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 103回 イヌに関連した英語フレーズ

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

大学1年生の時、先輩からこう言われました。「高校時代ってあっという間だったでしょ?でも大学1年生より2年生、という具合でどんどん早くなるからね。」確かにその通りでした。年齢を重ねるにつれて毎日が瞬く間に過ぎていくのです。気が付けば2017年も終わり、「はて、今年の干支は何だったかしら?」と思う間もなく2018年到来です。

 

今年は戌年ですので、今回はイヌにちなんだ表現を見ていきましょう。

 

 

1.  Why keep a dog and bark yourself?  人にやらせるべきことまで、なぜ自分でやってしまうの?

 

Why keep a dog and bark yourself? Since you are now the team leader, let others do the task.  (人にやらせるべきことまで、なぜ自分でやってしまうの?チームリーダーなのだから、他の人に課題をやらせたら良いのに。)

 

日本人は完璧主義(perfectionist)だとよく言われます。幼いころから何事も「きちんとやる」ということが美徳とされてきたからなのでしょう。とても貴重な価値観ではある反面、何もかも自分で頑張ろうとしてしまい、燃え尽きてしまうことがあります。人にお願いできることは勇気を持って割り振るのも大事なのでしょうね。この例文に出てくるWhy keep a dog and bark yourself?はまさにそのような状況を表しています。

 

この表現の語源は、「番犬を飼っているのに吠えるようにしつけず、人間である自分が吠えてしまう」という様子を意味します。

 

ところで「吠える」と言えば、日本語には「ワンワン」と「キャンキャン」がありますよね。英語で「犬がキャンキャンと鳴いていた」はThe dog was yelping.です。yelpは人間でも動物でも使え、「高音」で鳴いたり吠えたりする時に用いる表現です。

 


2.     like a dog with a bone  どうしてもやめようとしない

 

My mum was really cross and she kept on telling me off. She was like a dog with a bone. (母は本当に怒っていて、ずっと私を叱っていました。どうしてもやめようとしなかったんです。)


「どうしてもやめようとしない」はlike a dog with a boneと言います。くわえた骨を離さない犬がこの単語からは思い浮かびますよね。上記以外にも「根気強い」という意味があります。You are like a dog with a bone. は「君は根気強い」です。

 

ところでdog chewという商品があることを今回の執筆で初めて知りました。「犬用おやつ」のことだったのですね。骨と似たような硬さがあり、犬が長いことなめたりかじったりできるタイプだそうです。

 


3.     The tail is wagging the dog  主客転倒している

 

They used to be a small company but now, they are ruling the industry.  The tail is wagging the dog. (小さな会社だったのが今や業界を支配していますよ。主客転倒していますね。)

 

「立場が逆転している」という様子を表す際に使えるのが上記のフレーズです。「犬が尻尾を振っているのではなく、尻尾が犬を振らせている」という文字通りの様子を想像すると、つい可笑しくなってしまいます。

 

ちなみにtailは「尻尾」以外に「後部、尾部、後ろ」などの意味もあります。日本語では「目尻」と言いますが、英語ではtail of one’s eyeです。一方、「目頭」は英語の場合、inner corner of one’s eye。一言で表さず、説明的になっていますよね。

 


4.      cat and dog  犬猿の仲

 

When we were children, my brother and I fought like cat and dog. (子どもの頃、弟と私は犬猿の仲のごとく、喧嘩しましたね。)

 

日本語で仲が悪い際に登場するのは「イヌ」と「サル」ですが、英語の場合は「イヌ」と「ネコ」です。ちなみにIt’s raining cats and dogs.は「土砂降り」という意味になります。最近の動画サイトを見てみると、イヌとネコが仲睦まじくしている光景もアップされていますが、もともと両者は仲が悪いという習性があったようです。

 

ところで「宿題忘れました」という子どもの言い訳表現にThe dog ate my homework.があります。「ウチのわんちゃんが宿題のプリントを食べちゃったんです。だからできませんでした」と、子どもなりの健気な(?)言い訳なのですね。このフレーズが誕生したのは20世紀初めごろのようです。

 

今回はイヌに関連した表現を見てきました。最後に植物の話題を。「ハナミズキの実」はdogberry、キョウチクトウ科の「バシクルモン」はdogbaneと言うそうです。画像検索をかけると美しい写真がヒットします。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 102回 内臓器官に関連した英語フレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

みなさんにとって「どうしても覚えづらい単語」はありますか?私の場合、associationscの数が混同したり、Philippineslpの数がゴチャゴチャになったりします。一方、意味で苦戦するのがstrategytacticsliverkidneyです。「戦略(せんりゃく)」には「ラ行の『り』があるからstrategyrと同じ」とゴリ押しで覚えて、ようやく「戦術」と区別できるようになりました。けれども腎臓と肝臓は未だにヒヤヒヤしながら訳しています。しかもニュースではよく出てくるのですよね。

 

今回は内臓器官を使った表現を見てみましょう。

 


1. a person of the same kidney 同じようなタイプの人

 

We seem to be getting on well.  She is a person of the same kidney. (私たちは相性が良いようです。彼女は同じようなタイプの人なのですね。)

 

kidneyは「腎臓」のことです。私はliver(肝臓)とkidneyがどうしても混同してしまうのですが、ようやくこうしたフレーズを機に覚えられそうです。ちなみにkidneyの語源は中期英語(12世紀から16世紀ごろ)と考えられています。腎臓という意味の他に、「気質(temperament)」や「型、種類」などの語義があり、上記例文はその一例です。「同じ腎臓」と言われても今一つピンと来ませんよね。a man of the right kidneyは「性格の良い人」という意味です。

 

ところでイギリスではsteak and kidney pieがパブ料理として有名です。これは牛肉や子羊などの腎臓とマッシュルームなどを詰めたパイです。旅行でイギリスへ行くと、野菜不足になるのは覚悟の上で懐かしさのあまり、つい食べてしまう一品です。

 


2. gut reaction 直感的な反応、直感

 

My gut reaction is that we should go ahead with the plan. (私の直感としては、計画を押し進めるべきでしょう。)

 

gut reactionは「直感、直感的な反応」という意味です。gut自体は「腸、胃、消化管、内臓」を指します。「直感、本能」は口語的な語義になります。

 

gutには他にも意味があり、複数形のgutsは「内容、核心」のことで、have no gutsは「中身がない」という意味です。また、日本語の「ガッツ」に相当する「根性」もgutsです。have the guts to … は「〜する根性がある」になります。ちなみにイギリス英語の口語表現では「斜め読みする、速読する」という意味もあります。少し話題はそれますが、ミュージカル映画“My Fair Lady”でヒギンズ教授が初めてエライザを見た際、a prisoner of the gutterと評しています。gutter(どん底の生活)はgutとは別語源です。

 


3. spleen 不機嫌

 

The father vented his spleen on his son. (父親は不機嫌を息子にまき散らしました。)

 

spleenは「脾臓」のことです。脾臓には色々な感情、とりわけ憂鬱さや不機嫌が宿っているとかつて言われていました。vent one’s spleen on … で「〜に不機嫌をまき散らす、当り散らす」という意味になります。「腹立ちまぎれに」はin a fit of spleenです。

 

ところで「膵」の漢字の「萃」は「集まる、より集う」という意味です。かつて「ばっすい」は「抜萃」と記していましたが、現代表記では「抜粋」となっています。よく見ると「くさかんむり」に「卒」なのですよね。漢字も分析してみると興味深いものです。

 


4. vein 調子

 

The president spoke in a serious vein about the future of our company. (社長はわが社の未来について真面目な調子で話しました。)

 

veinは「静脈」の他に「調子、特質」などの意味を有します。be in the vein(絶好調である)、a vein of humor(ユーモア味)といった表現もあります。なお、「静脈」の反対語「動脈」はarteryです。

 

ところで「大理石などの筋」も英語ではveinと言います。ロンドンの大英博物館にはElgin marbles (エルギン・マーブル)という大理石彫刻コレクションがあります。これは19世紀にイギリスの外交官エルギン伯がギリシャのパルテノン神殿から削り取り、持ち帰ったものです。ギリシャ政府が返還請求をしたことを機に、文化財は誰のものかを巡る議論が続いています。


今月は内臓器官の用語を用いたフレーズをご紹介しました。liverkidneyを混同してしまう私にとって、本稿を書くことでようやく自信を持って訳せそうです。みなさんもややこしい単語などは語源を調べたり例文にあたったりすることで、身近なものにしてみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 101回 「木」に関連する英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

小学校時代にオランダのアムステルダムで暮らしていました。当時通ったのはインターナショナル・スクールです。その頃は日本企業が海外へ進出し始めたころで、その学校もアメリカ人に次いで日本人の児童が大勢在籍していたのです。そのため、学校では日本語ばかり話してしまい、英語は全く上達しませんでしたね。けれどもその一方で外国人のクラスメートは日本に興味を抱いてくれたようで、漢字の「木」「林」「森」が絵に由来していると説明すると、とても感心されました。

 

今月は「木」に関連する英語表現のご紹介です。

 


1. take a leaf from one’s book 人を手本にする

 

Because he wanted to be successful, he took a leaf from a billionaire’s book. (彼は成功したかったので、とある大富豪を手本にしました。)

 

take a leaf from one’s booktake a leaf out of one’s bookと言い換えることもできます。意味は「人を手本にする」です。英単語ひとことで述べるならば、emulateということでしょう。

 

leafはドイツ語のLaub(葉)から生まれた単語です。「葉」という意味の他に、「花びら」という語義もあります。また、「(本の紙の)一枚」もleafです。loose-leaf notebook(ルーズリーフ式ノート)、flyleaf(遊び紙:本の巻頭・巻末の白紙)などもありますよね。また、動詞として使うこともでき、leaf through a bookは「本をざっとめくる」です。

 


2. root and branch 徹底的に

 

The army set out to destroy the militias root and branch. (軍は武装勢力を徹底的に破壊するため出撃しました。)

 

「徹底的に」はthoroughly and completelyなどと言えますが、root and branchも同じ意味を持ちます。この表現が誕生したのは19世紀初めで、イギリスの文献においてだったそうです。「根っこも枝も」と言われると、確かに「徹底的」という雰囲気が感じられますよね。

 

ところで数学に出てくる「根、ルート」も英語ではrootです。「√」という記号で表します。これは元々ラテン語のradix(根)のrの文字を変形させたと言われています。ちなみに円周率の「パイ」は「π」ですが、こちらはギリシャ文字です。電気抵抗の単位「オーム」の「Ω」や「ガンマ線」の「γ」もギリシャ文字から来ています。ギリシャ語やラテン語は英単語に派生しただけでなく、こうして理系分野でも大いに見られるのです。

 


3. branch off (話や考えが)それる

 

The girls’ conversation branched off into a talk about fashion. (女の子たちの会話はファッションの話題へとそれていきました。)

 

branch offは「話や考えがそれる」という意味の他に、鉄道や川などが「支線へ入る」という意味もあります。まさに枝分かれしている状態です。日本の鉄道用語に「盲腸線」ということばがありますが、これは鉄道ネットワークの中で行き止まりの路線になっているものを指します。たとえば東京であれば、東武大師線(大師駅)や地下鉄千代田線の支線(北綾瀬駅)などがそれに相当します。

 

ところでbranchの語源は「動物の前足」で、それが枝という意味になったそうです。同じ枝でも「大枝」はbough、「小枝」はtwigです。そういえば日本は「枝」や「きのこ」「たけのこ」などの名を冠したスナック菓子が人気ですよね。昔は「どんぐり」バージョンもありましたっけ。

 


4. lumber (やっかいなことを)押し付ける

 

He had been lumbered with all the difficult issues. (彼はあらゆる難しい課題を押し付けられてしまいました。)

 

lumberは「材木」のことで、log(丸太)を角材などにした状態のものをlumberと言います。「木を伐採する」という動詞でも使えます。

 

ところで放送通訳をしていると、男女差や職業観などに配慮してことばそのものが変わってきていることに気づかされます。たとえばchairmanとは言わず、chairpersonと言ったり、stewardesscabin attendantになったりしたのは有名ですよね。lumberjack(木材伐採人)もかつては使われていましたが、今はloggerlumber workerが使われます。lumberjackjackは「男」という意味です。


今回は「木」に関連する表現を見てみました。なお、「木を見て森を見ず」に近い英語フレーズにPenny wise, pound foolish (1ペニーを惜しんで1ポンドを失う。一文惜しみの百失い)があります。こちらは通貨が単位となっています。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 100回 民話などを語源とする英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

数年前、私はフランス語を学んでいました。イギリスに暮らしていた小中学生時代に少しかじったことがあり、その懐かしさから勉強しようと思い立ったのです。学校へ通うには時間的に難しかったため、私が選んだのは通信教育。教材には文学作品や文化関連のエッセイなど多様なトピックが選ばれていました。中でも印象的だったのが、シンデレラの話です。学習者向けに容易に書かれていたのですが、子ども時代以来、久しぶりに読むことで、改めてそのストーリーの奥深さに魅了されました。

 

そこで今月は、民話やおとぎ話などに出てくる言葉に注目してみましょう。

 


1. dwarfing the rest of … 残りの〜を小さく見せる

 

Our competitor is putting a lot of budget in their new project, dwarfing the rest of the rival companies. (わが社の競争相手は新規プロジェクトに多額の予算を投入しており、残りのライバル企業を小さく見せています。)

 

dwarf「ジーニアス英和辞典」(大修館書店)で引くと、「(童話などの)魔力を持つ醜い小びと」という語義が筆頭に掲載されています。ドイツの童話「白雪姫」には7人の小人が出てきますが、魔力を使って白雪姫を助けるのも小人たちでしたよね。

 

dwarfの語義を読み進めてみると、名詞以外にも形容詞や動詞などの用法があることに気づかされます。例文でご紹介したのは動詞で、dwarf単体であれば「〜を小さく見せる、〜を矮小化する、〜の発育を妨げる」などの意味を有します。さらに見てみると、「盆栽」はdwarfed treesとありました。なるほど、木の生育を止めてしまうという観点から見れば納得がいきますよね。宇宙のdwarf starは「矮星」です。

 


2. There is no magic wand 魔法のようにはいかないよ

 

You say you want to enter that prestigious university?  Well, there is no magic wandAll you have to do is study! (あの著名な大学に入りたいの?まあ、魔法のようにはいかないよ。勉強するしかないのだから!)
 
wandは「杖」、magic wandは「魔法の杖」です。There is no magic wandは「魔法の杖は無い」、つまり「魔法のようにはいかない」ということです。ちなみにwave a magic wandは「魔法の杖をひと振りする」「鮮やかに望みをかなえる」という意味です。

 

wandには他にも意味があります。口語表現であれば、指揮者の持つ「指揮棒、タクト」のことですし、職権の象徴である「職杖」もwandです。また、「細い棒状のもの」もwandであることから、「マスカラブラシ」をmascara wandと言うこともあります。

 

魔法と言えば、子どもの頃、ディズニーの映画Fantasiaを観たことがあります。そこに出てくる「魔法使いの弟子」が私は大好きで、曲を聴くたびにミッキーを思い出します。

 


3. an open sesame to … 〜への良い方法

 

Money is not necessarily an open sesame to happiness. (お金が幸せへの良い方法とは限りません。)

 

open sesame「アラビアンナイト」中の「アリババと40人の盗賊」に出てくる表現が元にあります。洞窟を開けようとした盗賊がOpen Sesameと唱えたのですね。日本語では「開けごま」です。今回ご紹介する表現an open sesame to … は「〜への良い方法」「願うままの結果をもたらす不思議な方法」という意味を持ちます。

 

ところでロシアの作曲家リムスキー・コルサコフは「アラビアンナイト」を主題に曲を作りました。作品名はScheherazade(シェエラザード)です。実に美しいアラビア風のメロディが奏でられています。

 


4. olive branch 和平の申し出

 

The opposition party held out an olive branch to the ruling party. (野党は与党に対して和解の申し出をしました。)

 

olive branchは「ノアの箱舟」に出てくる「オリーブの枝」のことです。箱舟に乗ったノアが鳩を放ったところ、その鳩がオリーブの枝を持ってきたという故事から来ています。以来、オリーブの枝は平和の象徴でもあり、国連の旗やアメリカ国章にも描かれています。「国章(coat of arms)」は国旗とともに使われる国家の紋章で、アメリカの場合、中央に描かれている鷲が片方にオリーブの枝を、もう片方に13本の束ねられた矢を持っています。

 

「和平の申し出をする」は英語でhold out an olive branchと言います。hold outextendofferpresentで置き換えることもあります。ちなみにディケンズの作品にOliver Twistがありますが、名前のOliverもオリーブから来ているそうです。

いかがでしたか?童話や故事から誕生した英語表現もいろいろあるのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 99回 「石」に関連する用語を使った英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

我が家は夏になると主人の生まれ故郷の鳥取へ里帰りしています。鳥取は一時期、「スターバックスが無い県」でも有名でした。それをユーモアで切り返したのが現在の平井知事。「スタバはないけど砂場はある」のフレーズは流行しましたね。

 

今月は砂丘の話題から派生して、「石」関連の英語を使った表現のご紹介です。

 

 

1. cobble together 急いで仕上げる

 

The government had to cobble together an economic stimulus package.  (政府は景気刺激策を急いで仕上げなければなりませんでした。)

 

cobbleは略式表現で使う場合、「急いで仕上げる」「やっつけ仕事で仕上げる」などの意味があります。cobble自体は鉄道や道路で使う「丸石、玉石」のcobblestoneと同じです。動詞の場合、「道路に丸石を敷く」という意味のほかに「急造する」という語義もあります。

 

ところで「丸石」はpebbleとも言います。その違いを調べてみると、「大きさ」によりけりであることがわかります。pebblecobbleよりも小さいのだそうです。気になる方は両単語をグーグルで入力し、画像検索で絞り込んでみて下さい。具体的なサイズが出ています。

 


2. not the only pebble on the beach ほかにも代わりになる人はいる

 

It might be better for him to learn that he is not the only pebble on the beach. ほかにも代わりになる人はいるのだということを、彼もそろそろ知った方が良いでしょう。)
 
pebbleはセンテンス1でも触れましたが、「小石」という意味です。水の作用などで角のとれた石を指します。上記のフレーズ以外にも、There are lots of other pebbles on the beach(チャンスはいくらでもある)などの表現があります。

 

ところでpebblewareという陶器があるのをご存知ですか?これは日本語でも「ペブルウェア」と言い、まだら色に仕上げた陶器のことです。ほかにも「〜ware」という陶器の種類はないかと思い、電子辞書の「ワイルドカード検索」で調べてみたところ、Astburywarebamboo wareCanton wareChelsea-Derby wareJesuit wareなど実にたくさんの種類がありました。陶磁器の世界も奥深いことがわかります。

 


3. between a rock and a hard place 板挟みになって

 

I was caught between a rock and a hard place.  I couldn’t make up my mind.板挟みになってしまいました。決断できなかったのです。)

 

between a rock and a hard placeは「板挟みになる、二者択一を迫られる」という意味です。ほかにもbetween the devil and the deep seabetween the horns of a dilemmaなどのフレーズがあります。

 

この表現が初めて使われたのは20世紀初めの頃、場所はアメリカでした。「破産した」という意味を当初は有しており、アリゾナやカリフォルニアで使われたとイギリスのフレーズ専門サイトPhrase Finderでは説明しています。

 

ところでロック音楽の「ロック」もrockですが、こちらはrock’n’rollから来ています。ちなみにイギリスではthe new rock and rollという語があり、これは「新しい話題」という意味です。

 


4. The sands of time are running out もう時間はない

 

We’d better be quick.  The sands of time are running out. (急がなきゃ。もう時間はないのだから。)

 

the sands of timeは主に文語で用いられ、「残り少ない時間」という意味です。上記フレーズそのもので「もう時間はない」という様子を表します。ちなみにthe sands of lifeであれば「残り少ない余命」となります。

 

sandは「砂、砂浜」のほかに、the sandsと複数形にすることで「時刻、時間」という意味も有します。また、動詞でsandを使うこともでき、その場合、「砂で磨く」「砂をまく」という意味になります。なお、sand dollarは「タコノマクラ」というウニの一種です。sand trapはゴルフ用語で「バンカー」、sandglassは「砂時計(hourglass)」です。一方、「(少年たちが野球などをする)空き地」はsandlotと言います。sandだけでも色々な語があるのですね。

 


子どものころ暮らしていた横浜の家の庭には、よく蟻地獄ができました。どこから砂をとってきたのだろうと、子ども心に不思議でしたね。懐かしく思い出しています。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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