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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 126回 straightを使った英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

紅茶が好きで、カフェに出かけてもよく紅茶を注文しています。「ストレート、ミルク、レモン、いかがなさいますか?」と聞かれるとたいてい「ストレートで」と答えます。くたびれている時はミルクの甘みも好きなのですが、紅茶葉そのものを味わう上では何も足していない方が香りを楽しめるのですね。

 

紅茶やコーヒー用語として定着した日本語の「ストレート」。英語ではstraightと書きます。中学生の頃、「なぜ発音しないghが?」と思ったのも今では懐かしい思い出です。と言うわけで、今回はstraightを用いた英語表現を見てみましょう。

 

1 play it straight 真面目にやる

 

Don’t be shy.  Play it straight to make it convincing.  (恥ずかしがらないで。説得力を持たせるためにも真面目にやって。)

 

「真面目にやる」を英語でplay it straightと言います。「誠実に対応する」というニュアンスもあります。straightには線などが「まっすぐな、一直線の」という意味だけではなく、「言葉が回りくどくない、率直な」や「行動などが正直な」という語義もあります。

 

ところでplayitを使った表現は他にもあります。たとえばplay it by earは「暗譜で演奏する、即興演奏する」、play it safeは「安全第一でいく」、play it smartは「気を利かせる」です。一方、子どもの遊びで”Let’s play it.”と言った場合、これは「鬼ごっこしよう」という意味になります。

 

 

the straight and narrow path まっとうな生き方

 

Sam made up his mind to follow the straight and narrow path.  (サムはまっとうな生き方をしようと決めました。)

 

「まっとうな生き方」「堅気な生活」を英語でthe straight and narrow pathと言います。「まっすぐで狭い道」というのが面白いですよね。pathの代わりにwayを使うこともあります。

 

ところで私は語彙力強化を図る上で、類語や反対語を常に意識するようにしています。よってnarrowが出てくれば「反対語はbroadwide」「類語はslimthin」という具合に考えるのです。すぐに頭に浮かべば良いのですが、そうでないときは電子辞書の英英辞典や類語辞典をこまめに引くようにしています。こうして表現をストックしておくと、日英通訳の時に特に役立ちます。

 

 

3 get straight A’s オールAをとる

 

Janet worked really hard.  She got straight A’s on her report card.  (ジャネットは本当によく頑張りました。通知表はオールAでした。)

 

英語圏では採点や成績付けの際、A、B、Cとアルファベットを使います。上記の表現は特にアメリカでよく使われるようです。考えてみれば私が小学生の頃は「オール5」というフレーズがありました。今は日本の学校も成績の付け方にバリエーションが出てきていますよね。

 

ところで私が小中学校時代を過ごしたイギリスの学校は、通知表が独特でした。ランク付けをするのではなく、科目ごとに先生の所見がびっしりと書かれているカードが配られたのです。多くの生徒を指導する中、一人一人にこうした感想を書く先生の労力は大変だったことでしょう。けれどもきめ細やかに見てくださったことに今でも感謝しています。

 

 

4 straight out 率直に

 

Do tell me straight out what you think about the issue.  (その問題についてどうぞ率直にお話しください。)

 

「率直に、正直に」を英語の口語表現ではstraight outと言います。一方、「単刀直入に(人)に尋ねる」であればask (someone) straight outとなります。一方、straight out of … となった場合は「〜からそのまま、〜をまねたような」という意味になります。たとえばstraight out of a movieであれば「まるで映画から出てきたような」ということです。少し紛らわしいですよね。

 

なお、straightという語は14世紀初頭に誕生したそうです。中英語のstrecchen(引き伸ばす)の過去分詞です。つまりstraightstretchは元の語源が一緒だったのですね。興味深いところです。

 

今月はstraightを用いた表現を4つご紹介しました。ちなみに冒頭でご紹介した「ストレートティー」ですが、これは和製英語です。英語で正しくはblack teaないしtea with no milk or sugartea without milk or sugarと言います。これからは寒い季節。皆さんも紅茶片手に英語学習を楽しんでくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 125回 数字を含む英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳現場で一番目立つのは「数字」。数字を間違えてしまうと大変なことになります。と言いますのは、お客様の多くが、たとえ英語が不得手でも数字だけはきちんと聞き取れるというケースが少なくないからです。数自体はもちろんのこと、円とドルなどの単位も正確に訳出せねばなりません。特にややこしいのがmillionbillionなどです。同時通訳をメモ無しでしていても、数字が出てきた際にはなるべくメモをとり、落ち着いて訳出するよう心掛けています(なかなか大変ではあるのですが)。

 

今月は数字が出てくる英語表現を見てみましょう。

 

1 two of a kind よく似ている

 

He and his elder brother are two of a kind. (彼は兄とよく似ています。)

 

「よく似ている」は英語でtwo of a kindと言います。twoの他にthreefourを使った表現もあり、four of a kindはトランプ用語の「フォーカード」です。

 

英語のtwoの語源は古英語のtwa(2の)という語で、twintwiceも同じ語源を持ちます。「2」を表す語は他にもdoubledualがありますよね。最近はニュースの中でbinaryという語もよく出てきます。たとえばmake a binary choiceは「どちらか一方を選ぶ」という意味です。binaryがあるのでtrinaryは?ハイ、あります。

 


up to the nines (完全に、最高に)

 

For our Halloween party, we dressed up to the nines. (ハロウィーンパーティーのために私たちは完全に着飾ってみました。)

 

話し言葉でup to the ninesと言った場合、「完全に、完璧に、最高に」という意味になります。主にイギリスではup to the nines、それ以外ではto the ninesと言います。語源は「99.999 …が限りなく100に近いこと」から来ています。

 

ところで日本の警察の電話番号は「110番」ですが、イギリスは「999」です。こちらにかけると消防署、救急車、警察すべてに通じます。発音はnine-nine-nineです。一方、アメリカの緊急電話番号は「911」、読み方はnine-one-oneです。考えてみれば、「110番」も「ひゃくじゅうばん」「いち・いち・ぜろばん」とは言わず、「ひゃくとおばん」ですよね。当たり前の数字も正しい読み方を押さえておく。通訳者にとっては必須です。

 


3 take (a) five (一息つく、息抜きする)

 

We’ve worked so hard.  Shall we take five? (ずいぶん頑張ったね。一息つこうか?)

 

「一息つく」は英語でtake fiveと言います。fiveの前にaを入れても構いません。また、似たような表現にtake tenがあり、こちらも「一休み、10分休み」という意味です。

 

ところで私は学生時代にファーストフード店でアルバイトをしたことがあります。その際、お手洗いは「10番」でした。「ちょっとカウンターを外れてお手洗いに行ってきます」は「10番入りま〜す」と言っていましたね。

 


4 by (in) twos and threes (三々五々)

 

The guests arrived in twos and threes. (お客様は三々五々到着しました。)

 

by (in) twos and threesは「三々五々」という意味です。「同時に2,3人ずつ(2,3個ずつ)、少人数で」というニュアンスを表す表現です。ちなみによくよく考えてみたら、twoという数字自体が複数形になる、というのも不思議ですよね。

 

ではones and twosはあるのでしょうか?調べたところ、in ones and twos(ごく少数)というフレーズが見つかりました。英語学習の際、こうして発展的に疑問を抱き、調べてみることも楽しい作業です。

 

なお、上記は数字の2と3ですが日本語では「三々五々」で3と5です。これは中国の詩人・李白の詩から来ています。「三三五五映垂楊(さんさんごごすいようにえいず)」(三人五人がしだれ柳の影に見え隠れしている)が元にあります。

今月は数字を使った英語表現をご紹介しました。なお、「ゼロ」を発見したのはインド人と言われています。インドの小学生は掛け算の九九を19X19まで習うとか。私はイギリスの小学校時代に12X12まで学習しましたが、ついていくだけで必死でした。おそらくイギリスの場合、12進法がまだ当時は健在だったからでしょう。もっとも現在でもコインの2p(2ペンス)、20p、£2などがあります。旅行の際は大きなお財布が必要です。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 124回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

我が家の日めくりカレンダーには記念日が記されています。「耳の日」「七五三」「国際平和デー」など、国民の祝日以外にも様々な記念日や記念週間がありますよね。ちなみに9月20日から26日までは動物愛護週間。こちらは動物愛護管理法で定められています。これにちなんで各地では関連行事も行われます。

 

今月は動物に関する英語フレーズを見てみましょう。

 

1 beaver away せっせと取り組む、せっせと働く

 

Kate has been beavering away at her assignment for days. (ケイトは何日にもわたり、課題にせっせと取り組んでいます。)

 

物事にせっせと取り組む様子を英語でbeaver awayと言います。後ろには前置詞のatが続きます。主にイギリスでよく耳にする口語表現です。beaverは動物の「ビーバー」ですが、このように動詞として使うこともできるのですね。

 

ところでbeaverという動物は働き者で知られています。beaver自体には他にもいくつか語義がありますが、大文字のBeaverと言えばアメリカオレゴン州のこと。ニックネームがBeaver Stateなのです。一方、ボーイスカウトの最年少組の少年をBeaverとも言います。

 

そう言えば、某家電メーカーのエアコンが「ビーバー」でしたね。こちらは「働き者のエアコン」という意味が込められているそうです。

 


2 a whale of a … (素晴らしい)

 

The party was great! We had a whale of a good time. (パーティーは良かった!私たちは素晴らしいときを過ごしました。)

 

whaleは「クジラ」のことですが、その大きさから派生してa whale of a … という表現が生まれました。くだけた表現で「すごく大きな〜」「すばらしい〜」という意味です。

 

ところでクジラ観察のことを最近はカタカナで「ホエール・ウォッチング」と言いますよね。ただ、whale自体の発音はあえてカタカナにすれば「ウェール」「フウェール」となります。既知の英単語もぜひ今一度、発音チェックされることをお勧めします。

 


3 elephant city 巨大都市

 

Tokyo is an elephant city.  There are so many people! (東京は巨大都市ですよ。たくさんの人がいます!)

 

「巨大都市」を英語でelephant cityと言います。elephantは「ゾウ」だけでなく、「巨大なもの、巨大な人」という意味もあるのですね。ちなみにゾウの「鼻」はtrunkです。アメリカ共和党(Republican party)の象徴は「ゾウ」で、シンボルとして描かれています。大統領選挙のニュースもこれからますます入ってくることでしょう。画像をぜひチェックしてみてください。

 


4 duck かわす

 

The President ducked questions about his personal finances.  (大統領は自らの財務状況についての質問をかわしました。)

 

duckは「アヒル」のことですが、動詞では「ひょいと身をかわす、避ける」という意味があります。また、アヒルなどがちょっと水にもぐることもduckと言います。

 

ところでlame duckという表現はご存知ですか?これは選挙後に後任が就任するまでの間の大統領や議員などを指します。日本のメディアでも「レイムダック」とカタカナ表記しています。lameには「下手な、役に立たない」などの意味があり、要は任期満了直前になると、政治家自身、大きな政策実行などもせず、引退を待つばかりとなります。そうした状況を描いた表現です。


いかがでしたか?今回は動物が出てくる英語表現を4つご紹介しました。ところで英和辞典で色々な動物を調べてみると、それぞれの動物が抽象的にどういった意味を持つのかも説明されています。たとえば日本で「ウサギ」というと可愛いイメージですが、英和辞典には「臆病さを連想させる」とあります。一方、fox(狡猾な人)、dove(平和、温順の表象)、mouse(乱雑の象徴)など、調べただけでも色々と出てきました。

 

季節は秋真っ盛り。皆さんも楽しみながら英語学習を続けてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:01 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 123回 魚が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

 


1 a red herring 人の気をそらすもの

 

The President dismissed the information as a red herring.  (大統領はその情報について人の気をそらすものだとして片づけました。)

 

「人の気をそらすもの」は英語でa red herringと言います。他にも「おとり」という語義もあります。herring自体はニシンのこと。red herringはもともと狩猟に出てくる用語です。猟犬の訓練をする際、燻製ニシンをあえて道にこすりつけ、嗅ぎ分けられるようにさせていました。そこから「おとり、気をそらすもの」という意味になったのですね。なお、ニシンの幼魚は英語でsardinesです。次の例文でsardinesは取り上げます。

 

ところで日本語の「おとり」は漢字で「囮」「媒鳥」と書きます。「囮」は音読みで「カ」「ガ」、訓読みが「おとり」です。「口(くにがまえ)」は囲いのことで、「化」は「かわる」という意味です。囲いの中に野生の鳥獣を入れて慣らし変えていくことからこのような漢字になったそうです。

 


2 be packed like sardines すし詰めになっている

 

The train was packed like sardines. (電車はすし詰め状態でした。)

 

「非常に混んでいる、すし詰め状態である」を英語でbe packed like sardinesと言います。sardineは「欧州産イワシの幼魚」のことで、缶詰め用として使われます。語源はラテン語のsardaで、地中海のサルディニア島(Sardinia)も同じ語源です。

 

なお、アメリカには子どもの遊びでSardinesというものがあります。これはかくれんぼの一種なのですが、一人が隠れて残りの子どもたちが探し出し、見つけると皆で集まっていくというものです。詳しくはこちらに出ています:

https://www.wikihow.com/Play-Sardines

 


3 a sprat to catch a mackerel 海老で鯛を釣る

 

Their marketing strategy is like a sprat to catch a mackerel. (彼らのマーケティング戦略は、まるで海老で鯛を釣るようなものだ。)

 

この表現が誕生したのは19世紀始めだそうです。spratとは「ニシン科の小魚、スプラットイワシ」のことで、大西洋東部で獲れます。魚の意味の他に「取るに足らないもの」という語義もあります。一方、mackerelは北大西洋産のサバの一種です。日本語では「エビ」と「タイ」が出てきますが、英語では「ニシン」と「サバ」というのも興味深いですよね。

 

なお、「海老で鯛を釣る」は他にもcatch a bream with a shrimpと言います。breamは「タイ科の魚」です。一方、英語で「エビ」はいくつか単語があり、shrimpは「小エビ」、prawnは「クルマエビ」の一種で、shrimpよりは大きいサイズ。一番大きいのがlobsterです。

 


4 like a fish out of water 場違いな

 

Among many professionals, I felt like a fish out of water (多くのプロの中に混じった私は、場違いな場所にいると感じました。)

 

このフレーズはそのまま訳すと「まるで水から出た魚のような」となります。そこから転じて「場違いな」という意味になりました。「場違いな所でドギマギしている人」をa fish out of waterと言います。

 

英語にはfishを使った表現が色々とあります。たとえばa big fish in a little pondは「お山の大将」、fish in troubled watersは「火事場泥棒を働く」、fish or cut bait(するかしないかはっきりさせる)などはその一例です。

 

 

いかがでしたか?今月は魚をテーマにした英語表現をご紹介しました。

 

ところで私は通訳者デビューして間もないころ、とあるレセプション通訳を担当したことがあります。場所はホテルの宴会場。外国のお客様をもてなすべく、たくさんの日本料理がふるまわれていました。お寿司やお刺身など、海外ゲストにとっては珍しい魚が並んでいましたね。早速お客様からは魚の名前の英訳を尋ねられたのですが、さあ、大変!「タコ」や「イカ」「鮭」などは訳せたのですが、「スズキ」「カンパチ」「カワハギ」あたりになると、私の通訳力はおろか、そもそもの日本語でもわからないという状況になりました!冷や汗をかきながらの通訳でしたね。

 

季節は間もなく秋。みなさんも秋が旬のお魚を味わってくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:08 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 122回 舞台用語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

通訳者になって以来、生の舞台を鑑賞するようになりました。役者さんたちの演技や発声法など、自分の仕事に役立つことが満載だからです。好きな俳優さんの出る舞台はこまめにチェックしています。観客が一体となり、舞台上の展開を観られるのは、映画やテレビドラマとは違った緊迫感がありますよね。

 

今月は舞台用語を使ったフレーズをご紹介します。

 


1 masquerade ふりをする

 

He masqueraded as a reliable lawyer. (彼は信頼できる弁護士のふりをしました。)

 

masqueradeは名詞の場合「仮面舞踏会、みせかけ」という意味を有します。一方、動詞では「仮面舞踏会に参加する、ふりをする」という語義になります。例文は動詞としての用法です。masqueradeはフランス語が語源ですが、もとはイタリア語から来たそうです。英語mask(仮面)と同じ語源になります。なお、「仮面舞踏会の参加者」はmasqueraderです。

 

ところでクラシック音楽では「仮面舞踏会」と名の付く作品が結構あります。最近特に有名なのはハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」。2008年にフィギュアスケートの浅田真央選手が用いています。

 


2 prop up (支持する)

 

The students have said that they will prop up democracy.  (学生たちは民主主義を支持すると言っています。)

 

propは「支柱、小道具」という意味ですが、動詞の場合、「つっかえ棒をする、支えておく」です。また、prop upと句動詞になると「支える、支持する」という意味になります。

 

ところで演劇の世界でpropsと言った場合、property handler(小道具方)を指します。かつてはproperty manあるいはproperty masterと言われていました。今は男女平等への配慮からhandlerとなっています。「会長」のchairmanchairpersonと言いますよね。それと同じニュアンスです。

 


3 backstage (秘密の)

 

I do not want to sign any backstage deal.  (私は秘密の取り決めにサインしたくありません。)

 

「舞台裏」は英語でbackstageですが、これには「秘密の」という意味もあります。もともとbackstageという語が誕生したのは比較的新しく、研究社「新英和辞典」によれば1898年だそうです。最近は色々な劇場で「バックステージ・ツアー」が行われていますよね。英語も同じくbackstage tourです。

 

ちなみに私の場合、英語で新しいフレーズに出会うと、つい関連表現に意識が行きます。「backstageがあるならfrontstageは?sidestageなどあるのかしら?」と気になるのですね。調べたところ、front stage(一語ではなく2語)はやはり「表舞台」でした。side stageも「舞台脇」と辞書にはありましたね。

 

「舞台」でもう一つ。日本語の「上手(かみて)」は英語でthe left stage / the stage left / the right of the stage from the audience’s viewpointなどと言います。「下手(しもて)」はstage right / the right of the stage / the left of the stage as seen from the audienceなどとなります。私は昔から「かみて」「しもて」がごちゃごちゃになっています。調べたところ、この「大混乱」は私だけではないようで、ネット上では色々な覚え方が出ていました。一番傑作だったのは、「卒業式の舞台上にあるピアノは、客席から見て左側にある→ピアノ=ピアニッシモ→ピアニッ下(しも)→『下手』と覚える」というものでした!

 


4 musical chairs (無意味な変更)

 

That company played musical chairs with their sales team.  (あの会社は販売部門で無意味な変更を加えていました。)

 

musical chairsは「椅子取りゲーム」のことです。musicalは「ミュージカル」という名詞だけでなく、「音楽の、音楽的な」という形容詞としても使えます。なお、musical chairschairが複数形になっていますが、この2語で使うと単数扱いです。

 

ところでmusical glassesをご存知ですか?これは水を入れたコップの縁をこすり音を出す楽器のことです。日本では「グラスハープ」の方が呼び方としては一般的でしょう。グラスハープは他にもangelic organ(天使のオルガン)とも言われます。

 

いかがでしたか?夏休みに海外へいらっしゃる方もおられることでしょう。現地で演劇やミュージカルを鑑賞するのも思い出になると思います。どうぞ良い休暇を!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:07 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 121回 口に関連した英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

疲れがたまると人間というのは体の一番弱い部分にそれが表れるそうです。私の場合、口内炎と片頭痛に見舞われることが多いですね。自分ではたっぷり睡眠をとっているつもりなのですが、それまでの蓄積疲労があるからなのでしょう。口内炎は通訳という仕事柄、頭痛よりもしんどく思えます。何しろ話すたびに舌や歯が口の中のできものに当たってしまうからです。梅雨時というのは新年度の疲れがたまりやすい時期でもあります。みなさまもどうかご自愛くださいね。

 

というわけで今回は口内炎を機に「口」に関連した英語表現を学んでみましょう。

 


1 full-throated 大声の

 

The crowd gave a full-throated roar. (群衆が大声でどなりました。)

 

throatは「のど」であり、医学的に見るとlarynx(喉頭)とpharynx(咽頭)を含みます。語源は古英語のthrote(のど)で、「のどぼとけ」が原義です。名詞としての「のど」の他に、動詞では「低い声で言う」、また、建築用語では「〜に溝をつける」などといったものもあります。また、テニスラケットのハンドルとヘッドの間の部分も「スロート」と言います。既知の単語も調べ直すと新たな意味を知ることができて楽しいですよね。ちなみに「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」は英語でOnce on shore, we pray no more.と言います。

 

もう一つ。形容詞「大声の」はstentorianとも言います。語源はギリシャ神話の「ステント―ル(Stentor)」。50人に匹敵する大声を持つ伝令です。

 


2 have a busy tongue (おしゃべりである)

 

My daughter has a busy tongue.  She is always talking! (うちの娘はおしゃべりなんです。いつも話しているんですよ!)

 

「おしゃべりである」を英語でhave a busy tongueと表現します。ちなみに「おしゃべりな人」はchatterboxです。busy-tonguedは形容詞で「おしゃべりな」という意味です。tongueを使った表現では他にもtonguelessがあります。これはシェイクスピア「冬物語」が初出で、「褒められない」という意味です。

 

なお、のどの検査で舌を押さえる板がありますよね。あれはtongue depressorと言います。tongueを用いた他の表現にはtongue-in-cheek(ふまじめな)、stick one’s tongue out at … (〜にあかんべえをする)などがあります。日本語の「あかんべえ」は「赤目」から来ていますが、英語圏では目の代わりに舌を出して表現するのが興味深いですよね。

 


3 keep a stiff upper lip (動じない)

 

Even under stressful circumstances, he always keeps a stiff upper lip (どれほどストレス溢れる状況下でも、彼はいつも動じません。)

 

lipの語源は古英語のlippaで「くちびる」という意味です。lipには他にも「でしゃばり」という意味があります。また、形容詞では「口先だけの」という語義もあり、たとえばlip serviceなどがそれにあたります。用法はpay lip service to … またはgive lip service to …です。

 

ところで洋画の吹替えで、元の俳優さんの口の動きと日本語訳がぴったり合っていることがありますよね。あれはlip-syncと言います。正式にはlip-synchronizationです。「口パク」という意味もあります。

 


4 by the skin of one’s teeth (かろうじて)

 

I passed the exam by the skin of my teeth. (私はかろうじて試験に合格しました。)

 

「かろうじて」は英語でby(またはwiththe skin of one’s teethと言います。teethは名詞toothの複数形。teetheは「歯が生える」、teetherは「おしゃぶり」のことです。一方、「永久歯」はpermanent tooth、「八重歯」はa high canine(英語で「犬歯」はcanine)、「臼歯」はmolarと言います。

 

上記のby the skin of one’s teethは略式表現です。「かろうじて」は他にもnarrowlyjust aboutbarelyなどがあります。一つの単語を調べたら、ぜひ類語辞典で調べてみると単語力アップにつながります。


いかがでしたか?今月は「口」に関連した英語のフレーズを見てみました。梅雨が明ければ楽しい夏が待っています。「この夏は旅行に行く!」「夏こそダイエット!」など、楽しい計画が「口先だけ(be all mouth)」となりませんように・・・。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:19 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 <バックナンバー>

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

 

 

 

 

 

スクールブログで人気の連載コラム『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』。
おかげさまで2009年の連載開始から10年が経ち、連載も120回を迎えました。

皆さまが再読しやすいように、Indexを作成しましたので、再読の際にご活用ください。

 

毎月1回、初旬に新しいコラムをご紹介していますので、これからもどうぞお楽しみください!

 

 

 丸第1回: がんばってください!
 丸第2回: 訃報が届いたら?

 丸第3回:やんわりと断る

 丸第4回:自分の家族を褒める

 丸第5回:「とりあえず」を英語で言うと?

 丸第6回:頼み方あれこれ

 丸第7回:食事の好みを尋ねる

 丸第8回:詳しく説明してもらうには?

 丸第9回:意外とよく出る口語表現

 丸第10回:数字の読み方あれこれ

 

 丸第11回:「仕事」の表現いろいろ

 丸第12回:体の部位などを使った英語表現

 丸第13回:食事関連の言葉を使った英語表現

 丸第14回:食品単語を形容詞化した英語表現

 丸第15回:DIY関連語を用いた英語表現

 丸第16回:まっすぐなモノに関連した英語表現

 丸第17回:部屋にあるものを使った英語表現

 丸第18回:度量衡単位を使った英語表現

 丸第19回:入れ物に関連する英語表現

 丸第20回:スイーツ関連の英語表現

 

 丸第21回「体の部位+ing」表現

 丸第22回「帽子関連の英語表現」の英語表現

 丸第23回「枠にちなんだ」英語表現

 丸第24回「水にちなんだ」英語表現

 丸第25回「空に関連のある」英語表現

 丸第26回「乳製品関連」の英語表現

 丸第27回「武器用語」を使った英語表現

 丸第28回「氷関連」の英語表現

 丸第29回:「天候を表す」英語表現

 丸第30回:「鳥の種類が出てくる」英語表現

 

 丸第31回:「前後をハイフンで結んだ」英語表現

 丸第32回:「bootを使った」英語表現

 丸第33回:「家庭雑貨を使った」英語表現

 丸第34回:「飲み物を使った」英語表現

 丸第35回:「果物に関連した」英語表現

 丸第36回:「光る」「磨く」を使った英語表現

 丸第37回:「旗」を使った英語表現

 丸第38回:「帽子関連」の英語表現

 丸第39回:「文房具」を使った表現

 丸第40回: 土に関連した表現

 

 丸第41回: 火に関連した表現

 丸第42回: redを使った表現

 丸第43回: steamを使った表現

 丸第44回: breadを使った表現

 丸第45回: up toを使った句動詞

 丸第46回: waterを使った表現

 丸第47回: cardを使った表現

 丸第48回: 「流れ」に関連した表現

 丸第49回: ハトにちなんだ表現

 丸第50回: お腹関連の表現

 

 丸第51回: 乗り物を使った表現

 丸第52回: lineを使った表現

 丸第53回: 齧歯目が出てくる表現

 丸第54回: 人名を用いた表現

 丸第55回: 重複する単語

 丸第56回: 立つ、座る、横たわる、しゃがむ

 丸第57回: 色が意味するニュアンス

 丸第58回: 気象関連の言葉を使った英語表現

 丸第59回: 旗に関連した英語表現

 丸第60回: 「折る・曲げる」

 

 丸第61回: 「針」に関連した表現

 丸第62回: ラテン語由来の表現

 丸第63回: 方角を使った表現

 丸第64回: 秋の味覚を用いた表現

 丸第65回: 音楽用語を用いたフレーズ

 丸第66回: 光に関連する英語表現

 丸第67回: 羊に関連する英語表現

 丸第68回: 雪に関連する英語表現

 丸第69回: 単位に関連する英語表現

 丸第70回: 動物に関連する英語表現

 

 丸第71回: 料理に関連する英語表現

 丸第72回: 繰り返しの英語表現

 丸第73回: 機械関連用語を使ったフレーズ

 丸第74回: スイーツ関連の表現

 丸第75回: 昆虫関連の表現

 丸第76回: 繊維関連の表現

 丸第77回: 体の一部を使った表現

 丸第78回: 生きものが出てくるフレーズ

 丸第79回: 職業が出てくるフレーズ

 丸第80回: 宗教用語を用いた表現

 

 丸第81回: スポーツ関連の用語を用いた表現

 丸第82回: 布にちなんだ表現

 丸第83回: 水回り関連のフレーズ

 丸第84回: 花の名前を用いた英語表現

 丸第85回: 高さ関連の語を用いた英語表現

 丸第86回: スポーツ用語を使った英語フレーズ

 丸第87回: 記述記号を使った英語フレーズ

 丸第88回: ひもや糸に関連した英語表現

 丸第89回: 建築用語を用いた英語表現

 丸第90回:「粉を使った食材」の英語表現

 

 丸第91回:「髪」関連用語を使った英語表現

 丸第92回:「風邪」関連の単語を用いた英語表現

 丸第93回:「スプレッド」関連の単語を用いたフレーズ

 丸第94回:「食用肉」の語を用いたフレーズ

 丸第95回:「郵便関連」の語を用いたフレーズ

 丸第96回:「鳥」の語を用いたフレーズ

 丸第97回:「『海』関連の英語表現 」を用いたフレーズ

 丸第98回:「自転車用語」を用いたフレーズ

 丸第99回:「石」に関連する用語を使った英語表現

 丸第100回: 民話などを語源とする英語表現

 

 丸第101回:「木」に関連する英語表現

 丸第102回: 内臓器官に関連した英語フレーズ

 丸第103回: イヌに関連した英語フレーズ

 丸第104回: 食材をandで結んだ英語フレーズ

 丸第105回: ゲーム関連の語を使った英語表現

 丸第106回: 乗り物関連の語を使った英語表現

 丸第107回: 鳥関連の語を使った英語表現

 丸第108回: 体の部位とハイフンを使った英語表現

 丸第109回: foodとmealを使った英語表現

 丸第110回: 固有名詞を使った英語表現

 

 丸第111回: 体の動作にちなんだ英語表現

 丸第112回: 数字を使った英語表現

 丸第113回: 顔のパーツを使った英語表現

 丸第114回: 動物が出てくる英語表現

 丸第115回: 飲料が出てくる英語表現

 丸第116回: “Bohemian Rhapsody”歌詞内に出てくる単語を用いた英語表現

 丸第117回: orでつないだ英語表現

 丸第118回: tall/short/big/smallを使った英語表現

 丸第119回: 月や季節を使った英語表現

 丸第120回: 韻を踏みandで結ばれた英語表現

 

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柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 13:30 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 120回 韻を踏みandで結ばれた英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳現場で私は聞こえてくる新しい単語や表現を出来る限りメモするようにしています。愛用するB5ノートにひたすら書き連ね、仕事の合間を縫って辞書を引きます。意味を書きつつ、時間に余裕があれば英英辞典で調べたり、電子辞書の例文検索を使ったりすることもあります。ポイントは「忘れても良い」と言い聞かせて楽しみながら学ぶことです。今回ご紹介する表現も、ニュースで遭遇したもの。韻を踏みながらandで結ばれたフレーズです。早速見てみましょう。

 


1 name and shame 名前を公表する

 

John has decided to name and shame the people who engaged in conspiracy. (ジョンは、共謀に加担した人たちの名前を公表することに決めました。)

 

name and shame は不正などをした人物の「名前を公表する」という意味で、nameは「名指しする」、shameは「恥ずかしく思わせる」ということです。両方の単語の-ameで韻を踏んでいるのがわかります。naming and shamingと言うこともあります。

 

ちなみに「恥」はshame以外にもembarrassment(戸惑いなどによる恥ずかしさ)や、dishonor(不名誉。shameより堅い語)、disgrace(面目失墜の不名誉)などがあります。

 


2 the be-all and the end-all (究極の目的)

 

It is important to study, but it is not the be-all and the end-all. (勉強することは大事ですが、究極の目的ではありません。)

 

「究極の目的、最重要事項」を英語でthe be-all and the end-allと言います。be-allは「最も重要なもの」、end-allは「究極の目的」です。この表現を生み出したのは、かのシェイクスピア。作品「マクベス」で使われました。1605年のことです。シェイクスピアは多くの英語表現を創作しており、今日でも沢山使われています。英語学習者がぜひ押さえておきたい作者の一人です。

 

「究極の目的」は他にもultimate purposesupreme goalultimate objectiveなどと言います。

 


3 done and dusted (無事終了する)

 

I thought the contract will be done and dusted by midday.  (お昼までに契約を無事終了するものと思っていました。)

 

done and dustedでは冒頭のdの文字が韻を踏んでいます。主にイギリスで使われる表現で、「無事終了する」という意味です。donedoの過去分詞形、dustedの原形dustは「埃を払う」です。

 

この表現がどのような由来なのか、インターネット上では今一つ見つかりませんでした。ある説では「昔は万年筆で書き物をしており、インクの乾きを早くするために上から埃をまいた」となっています。一方、「オックスフォード英語辞典での初出は20世紀とある。すでにボールペンの時代だ」ともありました。他にも「煙突掃除と関連があるのでは?」とも出ていましたね。語源が気になる表現です。

 


4 belt and braces (念には念を入れること)

 

In spite of belt and braces approach, our plan did not go well.  (念には念を入れたアプローチだったにもかかわらず、私たちの計画はうまくいきませんでした。)

 

「念には念を入れること、石橋を叩いて渡ること」を英語でbelt and bracesと言います。beltは「ベルト」、braceは「ズボン吊り」のことで、両方を共用することから「念には念を入れること」という意味になりました。ちなみに「ズボン吊り」を日本語で「サスペンダー」と言いますが、suspenderはアメリカ英語の「ズボン吊り」です。イギリス英語のsuspenderは「ストッキングのサスペンダー」を指します。

 

この表現はwear a belt and bracesのようにwearを付けることもできます。なお、日本語では「ベルトを『締める』」ですが、英語ではwearを使うのも興味深いですよね。

 

今回は韻を踏みながらandを使った英語表現を4つ見てみました。andは中学校で学ぶ基礎単語ですが、改めて辞書を引いてみると発音の規則が冒頭に出ており、勉強になります。ちなみに「&」マークは英語でampersand、「#」マークはpoundまたはhash、「*」はasterisk、「〜」はtilde、「※」はreference markです。知っているようで知らない記号の名称もこの際覚えてみましょう。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 119回 月や季節を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

子どもたちが小さかったころ、映画「となりのトトロ」を家族で観ました。今でも人気の作品ですよね。東京都三鷹市にはジブリ専門の美術館もあり、国内外から大勢が来館するそうです。その「トトロ」に出てくる主人公が二人の姉妹、「サツキ」と「メイ」です。どちらも「皐月=5月」「May=5月」ですよね。ちなみに英語の人名で月を冠したものとしてはAprilJune(いずれも女子)、August(男子)などがあります。

今月は月や季節を用いたフレーズを見てみましょう。

 


1 the May of my life 私の青春時代

 

Looking back, my college days were the May of my life. (振り返ってみると、大学時代が私の青春時代でしたね。)

 

Mayは「5月」だけでなく、「盛り、青春」という意味もあります。the May of my lifeは「私の青春時代」です。また、the Maysの場合はイギリス・ケンブリッジ大学の「5月試験」のことでもあります。さらに動詞として使うこともでき、小文字のmayと表記して「メーデーに参加する」という意味も有します。

 

Mayは元々ラテン語のMaiusで、これはMaiaという「春の女神」から来ています。増加や成長をもたらす女性という意味です。

 


2 an august presence (堂々たる存在の人)

 

The President tried to show the world that he is an august presence. (大統領は世界に対して、自分が堂々たる存在の人であることを示そうとしました。)

 

augustは月の場合August(8月)と大文字になり、アクセントもAuにかかります。一方、「威厳ある、堂々たる」という意味のaugustは小文字、強勢はguの上です。augustの語源はラテン語のaugustusvenerable(敬うべき、高徳の)という意味です。

 

Augustは最初の皇帝Augustus Caesar(アウグストゥス)から来ています。アウグストゥスはOctavianus(オクタビアヌス)という名前もあり、これは皇帝になる前の名前です。

 


3 in high summer (真夏に)

 

In high summer, the temperature can reach 40 degrees Centigrade. (真夏には気温が摂氏40度に達することもあります。)

 

「真夏に」は英語でhigh summerと言います。一方、「真冬」は英語でmidwinterです。考えてみれば夏と冬は「真」が付きますが、「真春・真秋」はありませんよね。

 

辞書でsummerを引くと、天文学的な解説が出ています。「ランダムハウス英和大辞典」によれば、「北半球では、夏至から秋分まで。南半球では冬至から春分まで」と解説されています。また、アメリカでは6月から8月を、イギリスでは5月中旬から8月中旬までがsummerと区分されるそうです。

 

summerには「最盛期、円熟期」の意味もあり、the summer of one’s lifeは「壮年期」です。

 


4 one’s autumn years (引退後の人生)

 

I’ll be retiring in June.  I am looking forward to my autumn years. (6月に定年です。引退後の人生が楽しみですね。)

 

one’s autumn yearsは定年退職後の人生を表します。autumn自体は「秋」の他に「成熟期、熟年」との語義があるのです。一方、「晩年」はwinterです。in the winter of old ageは「老境を迎えて」という意味になります。

 

ところで「秋」はイギリス英語でautumn、アメリカ英語ではfallですよね。これはautumn自体がラテン語を源としており、「収穫期」を表す単語から来ています。一方のfallはまさに葉っぱが落ちる(fall)から生まれた単語です。

 

なお、日本では「読書の秋」「スポーツの秋」など「〜の秋」という表現があります。ただ、これを英語にする場合は説明的な訳の方が理解しやすいでしょう。“autumn, the time for reading” あるいはthe time for sportsという具合です。

さらにもう一つ。漢字の「秋」の旧字は「穐」。古代の占いでは、秋に捕獲した亀の甲に火を近づけて占っていたのだそうです。


今回は月や季節名を用いた英語表現をご紹介しました。気持ちの良い季節、ぜひ皆さんも楽しく英語を学んでくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:01 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 118回 tall/short/big/smallを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

英語学習に関するセミナーを実施した際、質疑応答でよく受ける質問があります。それは「どれぐらいの量の勉強をしたらよいですか?」というものです。「ここまで学習すれば通訳者になれる」「これだけ学べば検定試験のスコアを伸ばせる」という先入観が、どうやら学習者の間にはあるようなのですね。確かに私自身、デビュー前もそのように思っていました。けれども、むしろ大変なのは現場に出てからです。毎日が受験勉強のような感じで集中してひたすら学び続けます。未知の分野であれば基本書から読み、わからない英単語があればその都度辞書を引きます。通訳業というのはその繰り返しなのですね。

 

今回ご紹介するフレーズは、いずれも中学校で学ぶ形容詞を用いたものです。私自身、放送通訳現場でこれらが出てきた際、いずれも意味が分からず訳語に詰まったという苦い経験があります。だからこそ頑張って学ぼうと逆に思えるのです。では早速見てみましょう。

 

1 tall order (無理難題)

 

It’s a tall order.  We can’t increase the sales in just a month. (それは無理難題です。たった1か月で売り上げを伸ばすことはできません。)

 

「難しい注文、無理難題」を英語でtall orderと言い、通常は不定冠詞のaを付けて使います。「tall(背が高い)+order(注文)」が文字通りの意味ですが、もともとtallには「大量の、大きなサイズの」との語義があります。tall order自体はアメリカで生まれた口語表現で、19世紀から使われているようです。

 

ちなみに私はこのようにフレーズに遭遇すると、反対語を使った表現はあるかと気になります。早速調べたところ、short order(アメリカ英語で「すぐできる料理」)なる語を辞書で見つけました!

 


2 short-handed (人手不足の)

 

Since we are short-handed, I will ask my boss if we can hire another employee. (人手不足なので、もう一人人材を雇えるかどうか上司に聞いてみます。)

 

「人手が足りない」を英語でshort-handedと言います。語源は「手がほとんどない」から来ており、18世紀末に誕生した表現です。名詞はshort-handednessです。なお、アイスホッケーの世界では「数の面で劣勢な状況」を表します。

 

shorthandには「速記」という意味もありますよね。ではlonghandはあるのでしょうか?実はあります。「タイプ打ちや速記ではない普通の手書き」という意味です。「速記」は他にもstenographと言います。stenoは「狭い」という意味で、「狭めて書く」というのが語源です。

 


3 big mouth (おしゃべりな人)

 

When I was a child, my mum always told me not to be a big mouth. (子どもの頃、母にはおしゃべりな人になるなといつも言われていました)。

 

big mouthは物理的に人の口が大きい様子を指すほか、「おしゃべりな人」という意味もあります。分別なくベラベラしゃべる人のことを表す表現です。口の軽い人、ほら吹きなど、日本語にも色々とありますよね。複数形はbigmouthsです。「おしゃべりの」という形容詞はbig-mouthedです。

 

ちなみにsmallmouth bassは「コクチバス」という魚で、オオクチバス同様、日本では通称「ブラックバス」と呼ばれています。オオクチバスは上あごの後ろの端が目の端より後ろ、コクチバスは目の端より前にあります。

 


4 small fortune (かなりの金額、大金)

 

Actually, that dress cost me small fortune.  (実はあのドレス、結構高かったのよ。)

 

「大金、かなりの金額」を英語ではsmall fortuneと言います。「小さな富」と文字通りの意味がなぜ「大金」なのでしょうか?英語の世界ではこのようにあえて反語的な表現を用いることがあるのですね。

 

ところでfortuneには他にも興味深い表現があります。たとえばsoldier of fortune(冒険家)、wheel of fortune(ルーレット盤)、bonne fortune(男が自慢したくなるような女性からの贈り物)などです。一方、Fortune 500 はアメリカの経済誌Fortuneが毎年掲載する売り上げ規模上位500社のことです。

 


いかがでしたか?今月は簡単な形容詞を用いた表現を見てみました。私にとって未知の表現を集めることは、スタンプラリーのような感じです。みなさんも楽しみながら学び続けてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:58 |

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