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授業体験レポート:2016秋【中国語編】第4回 「自分の言葉で表現することの難しさ」

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、11シーズンめを迎えました!

2016年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第4回をお楽しみください。

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授業体験レポートをご覧の皆さん、こんにちは。第4回のレポートをお届けします。今回は講義の7回目(中日翻訳)8回目(日中翻訳)のレポートです。

 

今回の中日翻訳の課題は、中国での外国人を対象とした漢字教育に関する雑誌記事でした。やや長い文章で、内容が少し難しかったため、原文の読み込みにかなり時間がかかりました。自分の知識の範囲内で、何を意味しているのかはある程度判断できるのですが、いざそれを日本語に置き換えようとすると、どう表現すればよいか悩んでしまい、訳出にもとても時間がかかりました。

 

先生の訳文を読んでみると、それが「訳されたもの」であることを少しも感じさせないような、とても自然な文章で書かれています。しかもとても分かりやすく、専門的な知識がなくてもすらすらと読んでいけるような文章になっています。

 

そこで改めて私の文章を見てみると、どうしてもすらすらと読むことができません。恥ずかしながら、読み直さないと意味が分からないような文もありました。これが先生がいつも授業でおっしゃっている「原文に引きずられた訳」なのだと思います。

 

例えば、課題の中にこのような一文があります。

 

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实践证明,依照汉字的理据性去教学,特别是利用汉字中大量的形声字义、音提示去认知、理解、记忆汉字,是一个有效的途径。

 

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訳例:漢字の規則性に基づいて、特に漢字の中でも多くを占める形声文字の意味や音を認知、理解、記憶へと促すことが効果的なことは既に証明されている。

 

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私の訳:実例で証明されるように、漢字の成り立ちの根拠に基づいた学習、特に、漢字に多く含まれる形声文字の意味や音を利用して漢字を知り、理解し、そして覚えることは効果的な学習方法です。

 

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実際に授業の中でも先生からご指摘がありましたが、私は「実例で証明される」の部分を、原文のように文頭に置いていますが、文末に置くことでより日本語らしい文になります。また私の文は、冗長でポイントが分かりにくい書き方になっています。原文に忠実に訳すことは大切ですが、読者の存在を意識して、読者が読んで分かりやすいような文章を心がけていきたいと思います。

 

また日中翻訳の授業では、中国語の「補語」*を使った表現を中心に勉強しました。課題は、フローリングと襖の修理方法についての文章で、原文には例えば「塗る」、「貼る」、「(表面を)ならす」、「削る」、「はがす」といった様々な動詞が使われており、これらの動詞を的確に訳しつつ、中国語の「補語」を用いてさらに中国語らしい表現の文章にするというものでした。

*動詞や形容詞などの後について補足説明をする成分

 

例えば、「テープを貼る」は「防护胶带」、「テープをはがす」は「防护胶带」というように、動詞の後ろに補語を付けるのですが、中国語ネイティブでない私たちにとっては、使いこなすのがなかなか難しい用法です。文法をもう一度復習したいと思います。

 

また、動詞の訳し方もとても勉強になりました。上述のように、今回の課題はいろいろな動作の表現があり、それらを中国語でどの動詞を用いて訳すか、という点がなかなか難しかったです。

 

例えば、原文に「破れたふすま紙の裏にのりを付けて、軽くなでながら元通りに貼ります。」という一文があります。


私はこの文の「のりを付ける」を「塗上糨糊」、「軽くなでながら」を「用手輕輕地推平」と訳しました。


先生の解説では、(ここでは液体のりではなく、襖や障子に使う糊を指します)を付ける場合の動詞は「」を使う方がよいとのことでした。「」の漢字にはサンズイがあるので、例えば「塗膠水(ゴムのり、液体のりを付ける)」という表現に使うということでした。


また、「推平」の「」という動詞は、「力を入れて押す」という意味があるので、「軽くなでる」という表現には適さないということでした。

 

このように動詞一つをとっても本当に奥が深く、普段何気なく使っている漢字の持つ意味の重さに改めて気づかされました。これからは動詞の使い方にもより注意をしながら課題に取り組んでいきたいと思います。

 

| 授業ルポ | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第4回: 石黒弓美子先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「勉強は自分への投資」 〜言葉によって生かされてきた通訳人生〜

         石黒弓美子先生(英語通訳者養成コース)

 

 

「『言葉は神なり。よろずのものこれによりてなり、これによりてならざるものなし』とは、聖書の教え。一方日本語でも、『神』は、『示す偏』に『申す』と書く。いずれも言葉を意味するもの。言葉は人を生かしもするし、殺しもする。『ペンは剣よりも強し』の諺にもある通り。剣による傷はいずれは癒えても、言葉による心の傷は、剣による傷が癒えた後も、何年もの間、癒しがたい。だから言葉を大切に」というのが、母の教えでした。

 

ちょうど多感な頃でした。英語を勉強し始めて間もなくの頃、英語という言葉に対する興味から、「英語を使って人を活かす仕事に就く!」と心に決めました。そして望んだ仕事が通訳の仕事です。しかし、陳腐な台詞ですが、「人生は紆余曲折」。大学入試に失敗し、父の倒産でお先真っ暗という経験もしました。最初に習った通訳の先生には「他の就職先を紹介する」という形で見捨てられました。それでも、ずうずうしくも、一度も「通訳になるという夢」を捨てようと思ったこともなく、捨てなくてはならないかしらと疑ったこともありませんでした。むしろ、困難と挫折が留学の決意を固めさせてくれました。


「人より辛き言葉にてとがめられし時、天使来りて我を諭したもうと思うべし。悪しきいざないは甘き言葉より来たり、よき導きは苦き言葉より来る」という、受け売りでしょうが、母の勇気づけにより、見捨てた先生の厳しい「不合格宣言」も、「別の道もあるよ」というよき導きだと信じることができたのでした。


留学を果たしたのは24歳の時。アメリカの大学を卒業するのには、5年の歳月を費やしました。通訳の一年生になった時には、32歳になっていました。それでも「遅すぎた」と感じたことはありませんでした。「人生は長い」「勉強は自分への投資だ」という、これまた母の強い信念が私に乗り移って、背を押し続けていたからでした。


「捨てる神あれば、拾う神あり。」諺は、まさに言い古された言葉でありながら、だからこそ真理をついています。アメリカから帰国後、通訳の勉強を再開するにあたり、拾ってくれたのがISSでした。子持ちで、働くところもなく、お金もなかった時に、授業料半分の奨学金と勉強の機会を与えてくれたのでした。セカンドチャンスが与えられたのです。そこから本当の通訳のプロへの道が開かれたのでした。

 

今振り返ってみれば、母の口癖通り「悪いことは一つもない」だったのです。こうして見ると私のこれまでの人生は、ずっと、よき言葉によって導かれてきた半生でした。「英語という言葉を使って人を活かす仕事に就きたい」と切望しながら、母の叱咤激励の言葉の数々はもちろん、Never too late! Never give up! You are what you believe you are! などなど、私自身が言葉によって活かされてきたのでした。

 

通訳というのは、実に厳しく、つらい仕事です。一人前になるには、何年もかかります。プロになるにはかなりの金銭的な投資を伴う場合も少なくないでしょう。プロになったところで、緊張のあまり、肩こりや歯の痛みが伴うこともある苦しい勉強が終わるわけでもありません。むしろ、そこがスタートです。仕事を頂くたびに、山のような準備の勉強が待っています。その準備次第で、次の仕事が頂けるかどうかが決まります。一回一回が真剣勝負。限られた時間と能力を駆使して準備をします。私は、通訳の仕事は「準備8割、本番2割」と考えています。体力と気力と知力の勝負です。

 

通訳は人の言葉を、また別の人に伝える仲立ちをするコミュニケーターであり、よく「黒子」だと言われます。確かにある意味では黒子ですが、実は「黒子」であって「黒子でない」。通訳には通訳者の全人格がどうしても現れます。通訳はinterpretation、「通訳者の解釈」であり、通訳には、通訳者の人間理解力と洞察力、そして豊かな表現力が現れるからです。日本語通訳の美しさではこの人の右に出る人はいないと言われ、ISSで最初にご指導くださった先生のお一人、田中祥子さんは、特に人前に出て行う逐次通訳については、ごまかしがきかない、通訳者としてすべてを試される、まるで「丸裸で人前に出るような思いがする」と表現されています。


しかし、同時に通訳という仕事は、準備が活きた時には、この上もなく楽しく、やりがいのある仕事です。知的刺激の大きい仕事です。学びの多い仕事です。息の長い仕事で、それまでの人生のあらゆる経験が活きる仕事です。人生経験がプラスに働く仕事なのです。つまり、若い人はもちろん、人生経験を積んだ人にとっても、挑戦し甲斐のある仕事だと思うのです。

 

こうしたことが言えるのは、通訳という職業に就いてから30数年を経た今だからですが、今この道を進みつつある方々に、また、これからこの道を歩もうという方々に、大いなるエールを送ります。

<禁無断転載>

 

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<石黒弓美子先生のプロフィール>
英語会議通訳・NHK放送通訳者。東京外国語大学他で非常勤講師。NHKG-Media国際研修室講師。近共著:「英語スピーキングクリニック」「最強の英語リスニング実践ドリル」(研究社)など。
1974-1975年、USC南カリフォルニア大学・英語音声学特別コース修了。
1980年、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校・言語学科卒業。
1982年、アイ・エス・エス・インスティテュート同時通訳科修了。
1985年-2000年、アイ・エス・エス・インスティテュート通訳科・同時通訳科レベル担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第8回 : 椙田雅美先生(中国語翻訳)

 

小公女-1.jpg

    

ポプラ社 (1964/2/5)

ISBN-10: 4591002810 / ISBN-13: 978-4591002810

 

 

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、中国語翻訳者養成コース講師、椙田雅美先生ご紹介の「小公女」(フランシス・ホジソン・バーネット作、山主敏子編著)です。

 

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いまや「昭和時代」と言われることも珍しくないほど、昭和は昔のことになりました。一応昭和生まれの私も、昭和の記憶は定かではありませんが、昭和の雑貨、昭和の歌謡曲、昭和の料理…と、「昭和感」の漂うものに魅力を感じます。なかでも私が大好きな「昭和の児童書」について、今回ご紹介させていただきます。


児童書とは0歳から12歳くらいまでのこどもを対象に書かれた文学作品で、広義には絵本や、親に読んでもらうことを前提とした本も含まれますが、一般的なイメージとしては小学生が読む本でしょう。定義はさておき、日本で小学生の数が一番多かった時代は、戦後の第1次ベビーブーム世代(団塊世代)が小学生だった昭和30年代初めから、第2次ベビーブーム世代が小学生だった昭和50年代の半ばまでです。子どもの数は児童書の発行部数に直結しますから、同じ時期が児童書の全盛期だったと言えるでしょう。その後は少子化によって子どもが減少する一方で、昭和37年(1952年)のピーク時には1337万人いた小学生は今年、平成28年(2016年)には639万人と、半分以下になってしまいました。


私が子どもの頃、毎月一回駅前の大きな書店で、帰宅する父と待ち合わせ、本を一冊だけ買ってもらっていました。まだネット書店など存在せず、どこの駅前にも書店がありました。店頭のスタンド棚には『小学1年生』から『小学6年生』まで学習雑誌が陳列、平積みされ、店内の本棚には『世界こども名作全集』、『少年少女ものがたり百科』など、名作文学や知識・教養を児童向けに書き改めたものがずらりと並び、『少年探偵シリーズ』、『怪盗ルパンシリーズ』など、特定作品のシリーズだけでも何十冊とありました。


「字の本」であれば値段は問わないが、買ってもらえるのは一冊だけでした。お財布の都合もあるでしょうが、本を選ぶという経験を積ませたかったのでしょう。たくさんの本の中から「今月の一冊」を選ぶため、待ち合わせ時間よりずっと早く書店へ行って、あれこれ見比べたものです。それでもいざ読み始めると難しかったり、つまらなかったりして、途中で放り出すこともありましたが、最後まできちんと読んだことを確認するまで、父は次の本を買ってくれませんでした。


子どもの頃大切に読んだ本は、誰もが大人になっても覚えているものです。1枚1枚わくわくしながらページをめくり、1文字1文字しっかりと字を追った記憶、忘れられない主人公の言葉、そして挿絵…。近年、思い出深い本を図書館で借りたり、古書店やネットオークションで入手したりして読み直すのが楽しみになりました。


仕事柄、世界名作の翻訳、改編ものに興味が有りますが、再び読んでみてまず驚いたことは、昭和の児童書に書かれた日本語の美しさです。子ども向けにわかりやすく平易な文章構成ですが、ひとつひとつの文は格調高く、ひらがなが多いほかは大人が読む文章と変わりません。多くは、高名な文学者、大人が読む翻訳書も多数手がけている翻訳家の筆によるものです。挿絵も美しく、画才のない私は上手く表現できませんが、作家の個性を前面に押し出すような絵ではありません。むしろ中庸で、あえてイメージを固定しないような透明感のある絵なのです。だからこそ子どもも想像をめぐらせ、自分なりに小公女セーラが住む屋根裏部屋や、マルコが歩くアンデス高原を思い描き、胸に焼き付けることが出来るのでしょう。自分で思い描いた絵に優る挿絵はありません。


ISSの友人で、出版社に勤務する人に聞くところでは、一昔前の児童書はまさにドル箱で、シリーズ化された作品の関係者はその仕事だけで家が建ったとか。良い仕事をするためにはやはりお金と時間も必要です。子どもが多く、安定した売上げが約束されていればこそ、一冊の子ども向けの本に一流の作者、訳者が取り組み、スタッフもじっくり時間をかけて作品を完成させることが出来たのだと思います。でもお金と時間だけではこんなに美しい文章は生まれません。良い作品を子どもに届けたいという熱意が、古びた本から伝わってきます。


別の中国語仲間で、現在は校閲者をしている友人に娘さんがいるのですが、私は毎年クリスマスに本をプレゼントしています。彼女が小学生になって、世界の名作を贈ろうと思ったのですが、書店に行ってまずは児童書の少なさに驚き、次に名作ものの挿絵のほとんどが、アニメやマンガ風になっていることに驚きました。絵の個性が強すぎて、子どもが想像を膨らませる余地がなさそうです。読んでみると文章もマンガのセリフかケータイ小説のように、会話文、擬音が多用され、ブツブツと途切れた文章が目立ちます。


現在でも複数の出版社から発行されている『小公女』を贈ろうと、何冊か立ち読みしてみましたが、いずれの本にも魅力を感じませんでした。


そこで、自分が読んだ『小公女』をネットで検索してみると、ポプラ社で昭和39年(1964年)から昭和62年(1987年)頃まで世界名作童話全集の24巻として発行されていたものだとわかりました。(現在は作者も挿絵も変わっています)まさに昭和の児童書全盛期に発売されていた本なので、この本で『小公女』を知った子どもも多かったのではないかと思います。幸い手の届く値段で状態の良い中古本が見つかりました。同シリーズの『小公子』も自分が読んだものだったので同時に入手し、古い本だけどぜひ読んで欲しいと手紙を添えて、ラッピングして娘さんに贈りました


幼児期からゲーム機を操るイマドキのお子さんに、昭和の児童書のいささか悠長なところもある文章を気に入ってもらえたかどうかは分かりませんが、母であり校閲者である友人からは読んだあと「昔の翻訳者はいい仕事してるよね!」とメールをもらいました。
中日翻訳の受講生の方からしばしば「日本語力を高めるにはどうしたらよいか」との質問を受けますが、まずは正しく美しい日本語にふれることだと思います。日本語の奥深さに埋もれてしまいそうになった時、良き時代の児童書を読んで、わかりやすく美しい日本語にふれてみるのも良いかも知れません。

 

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椙田 雅美(すぎた まさみ)
東京都出身、中央大学大学院総合政策研究科博士前期課程修了。専攻は人口政策。日中学院本科・研究科で2年間中国語を学ぶ。現在は中日翻訳者としての活動をメインに、ISSインスティテュート及び日中学院で講師を務める。ISSインスティテュートでは中国語翻訳者養成コース「本科2(中日翻訳)」クラス担当。訳書に「中国農民調査」(文藝春秋)、「発禁『中国農民調査』抹殺裁判」(朝日新聞出版)など。

 

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| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 11:00 |
ISS派遣サイトでの通訳コラム/翻訳コラム [2016年]第十二回を掲載

 

ISS派遣サイトでの通訳者・翻訳者コラムでは、2016年7月より現役通訳者辻直美先生が、そして、現役翻訳者のコラムは2016年1月より、西山より子先生担当しています。

 

通訳者・翻訳者をめざされている方、すでに通訳者・翻訳者として活躍されている方にも、役立つ情報がたくさん詰まったコラムです。どうぞお楽しみください四葉のクローバー

 

残念ながらお二人のコラムは今回で最終回を迎えますが、来年からはまた新しいシリーズが始まりますので、ご期待ください!

 

 

丸辻 直美先生のコラム『通訳サバイバル日記』
 第6回:『最終回によせて』

 

丸西山 より子先生のコラム『Baby Stepsではありますが』
 第12回:『終わりの言葉』

 

 

| ISS派遣サイトコラム | 09:00 |
授業体験レポート:2016秋【英語編】第3回 「通訳としての先生のお話」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、11シーズンめを迎えました!

2016年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、英語の授業ルポ第3回をお楽しみください。

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11月も半ばを過ぎ、なにかと慌ただしいときが近づきます。この準備科のご紹介も、早くも3回目となりました。今回は、授業の様子と私の勉強方法についてご紹介いたします。

 

丸クラスのご紹介


ISS英語通訳者養成コースの講師の先生は、現役で通訳を務められています。授業の際に、そんな先生方の通訳としての心構えやエピソードを伺えることもあり、通訳を目指していない私でも大変興味深いです。


過去に私が受講していた「通訳訓練を応用した英語力強化」クラス(Advanced Comprehension & Listening、以下ACL)の先生もよく通訳の現場でのお話を教えてくださり、通訳という職業の大変さや意識の高さから、女子高生が話す「ヤバイ」という言葉はどう訳すのが適切かなどの面白いエピソードまで、楽しくお話を伺っておりました。


準備科の授業で先生は、もし通訳をする事になった際、事前にブリーフィングの時間があったら担当者に何を質問しますかというお話をしてくださったことがありました。


「PAIL分析」という手法で、Purpose(どういう目的で今回の通訳が必要な場面が行われるのか)、Audience(どういった方が聴衆なのか)、Information(何を伝えたいのか)、Language(何語で話がされるのか)をポイントとして聞き、その他注意した方がよい点は何かなど、時間のある限り担当者に質問をされるとのお話でした。

 

ほかにも授業のなかで教えてくださる1つ1つのアドバイスが、通訳という職業のみならず英語を使うときに大変参考になるポイントでもあったりします。

 

たとえば、日→英の訳出の際「主語が長くなると文法が崩れやすくなる」ため無生物主語を使うことや、英→日訳出の際は何回か英文が聞けるなら1回目は集中して聞き、2回目にメモを取る事が良いといったアドバイスです。

 

準備科は通訳訓練といってもどのクラスよりも訳出すること自体が不慣れなクラスで、こういったプロの先生に、忍耐強くやさしく、ときに興味深いお話を交えながら教えていただけることに感謝だなと思います。

 

さて6回目の授業が「中間テスト」2週間前ということで、授業の冒頭に「中間テスト」についてのご説明がありました。「中間テスト」は以下の内容です。


1. 単語テスト

  これまで行った単語テストの範囲180題のなかから20題の筆記テスト
2. 構文テスト

  これまで行った構文テストの範囲120題のなかから20題の吹き込みテスト
3.   復習

  英日・日英既習教材(合計14)のなかから抜粋された文章の訳出吹き込みテスト
4. 初見

  英日・日英の各初見教材から5センテンスずつ抜粋された文章の吹き込みテスト

 

ありがたいことに6回目の授業は、中間テストの「初見」テストがイメージできるようにと、テストと同じように教材が進められましたが、緊張とプレッシャーでテストでなくても頭が真っ白です。ここから中間テストに向けても、勉強を積み重ねる日々となります。

 

丸私の勉強法(単語テスト編)


今回は私の単語テストへの取り組みをご紹介させていただきます。


単語テストは、最初の授業で「準備科 単語リスト」という冊子が配布され、毎回課せられた範囲の単語30題を覚えてきて、その中から20題、次の授業の冒頭で筆記にてテストが行われるものです。「単語リスト」は、環境、言語、ビジネスなど全部で15の分野があり、各分野は授業で扱う教材にテーマが近いものを実施します。このテストは日→英・英→日各10題ずつのテストですが、たとえば単語にカッコ書きされて略称があるなどの場合もきちんとリスト通りに覚えなければならず、漢字の書き間違いもNGです(ひらがなで書けば間違いにはなりません)。


1.  30題の単語を3つの付箋に分けて英語と日本語の単語を並べて書きます。
2.  単語を記入した付箋を移動の際の電車内など携帯電話の裏に貼りつけて持ち歩き、

     暇があったら見て覚えます。
3.  ある程度覚えたら日本語面が隠れるように付箋を折り、

     英語から日本語に単語を書くテストをします。
4.  日本語の単語を書いたものを見ながら、

     今度は日本語から英語で単語を書くテストをします。
5.  付箋1枚ずつ覚えて、最終的には付箋3枚とも書けるようになるまで繰り返します。


構文テストもそうですが、1週間という限られた時間で覚える為には、いかに「覚える為の環境づくり」と「覚えるだけの状況をいかに早く整えるか」が勝負だと思っています。そのため準備段階である1の付箋作りは、授業が終わった帰りの電車内でかならず座席を確保して次の単語テストの範囲分を作るようにしております。

 

次回は中間テストの様子についてもご紹介します。

 

| 授業ルポ | 09:00 |
『中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)』 第15回 「冠婚葬祭に関する言葉―お葬式で使う言葉」

 

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。

すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。

 今回は、「冠婚葬祭に関する言葉―お葬式で使う言葉」です。

どうぞお楽しみください。

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冠婚葬祭は中国語で「红白喜事」と言います。結婚は「红喜事」、「喜事」と、赤い飾りを飾るのに対し、お葬式(一般的には高齢者のお葬式)は「白喜事」、「喜丧」と言い、白と黒の配色です。


前回は結婚式に係る言葉をリストアップしましたが、今回はお葬式によく使われている言葉についてまとめてみたいと思います。

 

 

電報など、文章にする場合の文言は下記の通り(日本語「ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。」に該当):


1) 惊悉噩耗,不胜悲痛。
2) 惊悉xxx先生(女士)去世的消息,我们感到无比悲痛。
3) 惊闻xxx先生(女士)突然离世(辞世、去世),深感哀痛。
4) 惊闻xxx先生(女士)昨日辞世,深表哀悼。
5) xxx先生(女士)逝世十分震惊,请节哀并表达我的伤念之情。

 

 

口頭で伝える場合は以下の通り:


1) 事情太突然了。请节哀顺变。注意保重身体。

 (突然の悲しいお知らせに、本当に驚きました。謹んでお悔やみ申し上げます。

  お体にお気をつけください。)


2) 走得太早了。太可惜了。
 (あまりにも、早い別れです。)


3) 故人的恩情我们永远不会忘记。愿他老人家一路走好。
 (故人のご恩は忘れられません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。)


など。
決まり文句が出てこなくても、故人との思い出話などを静かに語って、追憶することもいいでしょう。

 

 

マル今月の中国語新語

「走一个」:日本語訳「乾杯」

中国東北地域の言い方が広く使われるようになった一語です。

 

■例文:

(宴席で、お酒を勧める時)

来来来,走一个(さあ、乾杯しましょう。)
「干杯」と比べて、よりフレンドリーで、形式ばらない席で使われます。

 

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張 意意
証券会社、コンサルティング会社で通訳・翻訳者として活動するとともに、アイ・エス・エス・インスティテュートで「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。

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丸中国語ビジネスコミュニケーションコース丸
 コース案内動画はこちら
 ※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!

 

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| 「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 90回 「粉を使った食材」の英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

流行というのはおもしろいですよね。スイーツの世界に限ってみてみると、近年ではポップコーンやグラノーラ、パンケーキやワッフルなどがはやっています。私は行列がニガテなので、話題のスイーツを食べたいと思いつつ、お店に並ぶ勇気がありません。下火になったころに出かけたいと考えています。

 

英語表現には食べ物を使ったフレーズがたくさんあります。以前このコラムでもスイーツ関連の表現をご紹介しました。今回のキーワードは「粉を使った食材」の英語フレーズです。早速見てみましょう。

 


1. take the biscuit あきれる

 

You say the dog smashed your computer?  That takes the biscuit!(犬がコンピュータを壊したって?まったくあきれるよ。)

 

take the biscuitは「あきれる」という意味で、口語でよく使われるフレーズです。biscuitを用いるのはイギリス、一方、アメリカではtake the cakeと言います。ちなみにtake the bunも同じ意味です。

 

研究社「リーダーズ英和辞典」には各見出し語に語源が出ています。biscuitはラテン語のbiscoctusという語から成り立っていると書かれています。coctuscoquo、つまりto cookという単語なのですね。一方、大修館書店「ジーニアス英和辞典」biscuitを引くと米語の意味として「(パサパサで甘みがなく楕円形の)薄焼きパン」とも出ていました。ちょっとした解説があるのも学習者向け英和辞典のありがたいところです。

 


2.dollars to donuts 十中八九・・・で、ほとんど確かに・・・で

 

It is dollars to donuts that he will win the title. (彼がタイトルを獲得するのは十中八九、確かでしょう。)

 

dollars to donuts(あるいはdoughnuts)はアメリカの口語表現です。ドルとドーナツのdの頭韻を踏んでいるのも特徴です。日本語の「十中八九」は数字ですので、こうした違いもおもしろいですよね。

 

doughnutは「タイヤ」「(車の)スピン」という意味もあり、do doughnutsは雪の積もった駐車場などで車をスピンさせる様子を表します。もう一つ、doughnutの語義で興味深かったのは「リーダーズ英和辞典」に出ていた動詞としての用法です。イギリスの国会で議員が演説者を盛り立てるためにテレビカメラに撮られている人を取り囲むことをdoughnutと言うそうです。

 


3.cast one’s bread upon the waters (報酬を当てにしないで善行をする)

 

She is always putting others first.  She casts her bread upon the waters. (彼女はいつも他人を第一に考えてくれます。報酬を当てにしないで善行をするのですよね。)

 

cast one’s bread upon the watersは旧約聖書「伝道の書」に出てきます。英語表現の多くが聖書を由来としていますので、英語学習に励むみなさんもぜひ一度、聖書を通読してみて下さい。もっとも、「長すぎて大変!」というのであれば子ども向け絵本やダイジェスト版などもあります。概要をざっくりつかむのでも構いません。聖書の世界から生まれた英語表現にぜひ意識を向けてみて下さい。

 

聖書に出てくるbreadは大事なキーワードです。the bread of life, fish and bread, give somebody a stone for breadなど英語のフレーズもたくさんあります。

 


4. tart oneself up (ごてごて飾り立てる)

 

Don’t tart yourself up because you are going for a job interview. (就職面接に行くのだから、ごてごて飾り立ててはだめですよ。)

 

tartはお菓子のタルトのことですが、動詞としての用法もあります。主にくだけた場面で使われており、意味は「ごてごて飾り立てる、けばけばしく着飾る」です。tart oneself upはget tarted upと表現することもできます。

 

なお、tartは形容詞としての意味もあります。こちらは「酸っぱい」という意味で、sourとほぼ同じです。たとえばa tart appleであれば「酸っぱいリンゴ」のことです。tartly(副詞)、tartness(名詞)という派生語もあります。


いかがでしたか?食べ物も文化の一種です。ことばにも密接に関わっていることがわかります。英語も多角的に学んでみると、みなさんの世界もグンと広がるはずです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
JTF翻訳祭

 

本日、アルカディア市ヶ谷にて、第26回JTF翻訳祭が開催されました。

 

9:30からスタートしたセッション1の講演「訳出の共通点と相違点〜通訳と翻訳を比較して〜」にて、英語翻訳・通訳者養成コースの西山より子先生にご登壇いただきました。たくさんの方にご来場いただき、お部屋はほぼ満席状態でした。

 

○IMG_0369.jpg

 

1.翻訳・通訳とは(共通点)

2.翻訳と通訳の違い(通訳業務について)

3.翻訳と通訳の違い(訳出の相違)

4.翻訳と通訳の相乗効果

 

上記について、翻訳者であり通訳者である西山先生ならではの現場のエピソードを交えながら講演いただき、大盛況のうちに終了いたしました。

 

○IMG_0384.jpg

 

ご来場いただいた皆さま、西山先生、ありがとうございました!

 

 

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丸西山より子先生が担当される【12月開講】集中コースのご案内丸
 

 四葉のクローバー【12月開講】集中コース
 「はじめての通訳・翻訳訓練」
  [東京校] 12/4・11・18(日)10:30〜15:30(休憩1時間)
 

【12月開講】集中コースは、入学金・レベルチェックテストは不要です。
  受講特典あり!クラスの詳細、お申込みはこちらから:
  http://www.issnet.co.jp/fsc16/english/interpretation.html#ei_01

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| ISSインスティテュートからのご案内 | 15:17 |
授業体験レポート:2016秋【中国語編】第3回 「一歩ずつ焦らずに」

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、11シーズンめを迎えました!

2016年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第3回をお楽しみください。

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授業体験レポートをご覧の皆さん、こんにちは。今期の授業が始まり、早くも一か月が過ぎました。今回は講義の5回目(中日翻訳)6回目(日中翻訳)のレポートです。

 

私は前期の基礎科に引き続き、今期は本科1を受講していますが、基礎科とのレベルの違いをひしひしと感じています。基礎科では、基本的には原文の意味を取り違えずに、自然な表現で訳せていればよかったのですが、本科1になると、原文の単語一つ一つを丁寧に解析し、それがどういう意味を持つのか、またどのような意図で書かれたのかをできるだけ把握した上で、それに合った表現の訳文を作ることが求められます。更に、訳文の表現も、ただ訳せていればよいのではなく、どのような単語や表現を使えば、原文の意味により忠実になり、読者に伝わりやすくなるか、というレベルまで要求されます。とても難しいことですが、講義では先生方がとても細やかに説明をしてくださり、毎回本当にたくさんの事を学ぶことができます。先生方の解説を聞き、また他の受講生の皆さんの訳文を参考にしながら、少しずつレベルアップしていきたいと思っています。

 

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5回目(中日翻訳)の講義は、「旅行パンフレット」についての課題の見直しでした。旅行の案内ということで、内容としてはごく一般的なものですが、できるだけ読み手を意識し、旅行に行きたいと思わせるような書き方が求められます。

 

また、本科1は「トライアルに合格する訳文を作れるようになること」が目標なので、訳しにくい単語や表現があってもうやむやにせず、できるだけ訳出していく姿勢が必要です。

 

例えば、今回の課題の中に「经典自由行」という表現があり、先生からも事前にできるだけ適した訳を考えるようにとの指示がありました。この「经典」という単語(日本語では、「定番」「スタンダード」等の意味があります)は確かによく使われるのですが、使われる場面が様々で、その場面によってニュアンスが少し異なり、日本語訳の際はできるだけその場面に合った訳をつける工夫が求められます。

 

また、原文には日本語ネイティブにとって意味が分かりづらい表現もありますが、そういうものも曖昧にするのではなくて、できる限り訳出していかなければなりません。先生のお話では、そのために日頃から「ネイティブと同じ視線で、生きた中国語のニュアンスをつかむ」力を養うことが必要とのことでした。そして翻訳作業でも、自分なりに原文の意味を調べる方法を確立し、一つ一つ手間暇かけて訳していくことで、それが経験として蓄積され、どのような文でも訳すことのできる力が身に着いていくのです。

 

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6回目の講義(日中翻訳)は、課題が2種類あり、内容はおしぼりの使い方と、懐石料理店の紹介でした。この課題でもやはり、読者を意識し、読者に原文のニュアンスを忠実に伝えるための適切な表現を選ぶことが重要となります。

 

例えば、懐石料理店の紹介の文では、「格式の高い高級料理店」であるということがより読者へ伝わるようなキーワード(「烹制」「佳肴」など)を用いることで、より生き生きとした訳文になり、読者にとっても情景をイメージしやすくなると思いました。


この2回の講義は、もう一度自分の翻訳に対する姿勢を見直すきっかけになったと思います。今まではおそらく、「大体訳せていればよい」という気持ちがどこかにあり、原文の意味を細かく分析したり、訳文で使う言葉を注意深く吟味することがなかったと思います。これからは、日々の生活の中でも、身近な中国語について少し注意してその意味を考えたり、それらの言葉が使われる情景を意識して、より生きた中国語に触れる機会を作っていきたいと思います。

 

 

| 授業ルポ | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第3回: 曽根和子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

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「壁を超えよう!」

         曽根和子先生(英語通訳者養成コース顧問)

 

 

私が最初にISSで学んだのは、もう30年以上前、高校の英語教師をしている時でした。英語が好きで、英語の教師になりましたが、英語教育以外の雑務に日々追われ、自分の職業選択はこれで本当に良かったのだろうか、と疑問に思っている頃でした。

 

ある日、「転職したいな、取りあえず求人広告でも見ようかな」とジャパン・タイムズを買いましたが、求人広告欄に行きつく前に、目にしたのがISS通訳コースの紹介でした。

 

通訳というのは、語学を使う専門職だし、私は教師をしていて人と接するのにも慣れている。「そうだ、通訳こそが、私のめざすべきキャリアなのだ!」などと浅はかに思いこみ、早速、ISSの入学試験を受け「基礎科2(現プロ通訳養成科1)」クラスに通い始めました。

 

しかし、「通訳になろう」などという私の大それた夢は、初回の授業で完全に叩きのめされました。私はそれまでに、別の語学学校で、英会話や英検のクラスを受講したことがありましたが、通訳のクラスは全然違う体験でした。もちろん英語力の問題もありましたが、人の話を理解し、分析し、別の言語で表現することは、英会話とは全然違うことなのだと思い知らされました。英語の読解力や文法には自信がありましたが、そんなレベルの話ではありませんでした。

 

授業は厳しく、毎回単語テストもあって、予習、復習は大変でした。また、授業以外にも、単語力のアップや背景知識の強化のための日々の勉強が必要でした。それでも、担当の先生には厳しく、かつ温かいご指導をいただきましたし、クラスメートの皆さんとは、授業前に勉強会をしたり授業後に反省会をしたりして、互いに切磋琢磨して努力しました。当時のクラスメートの方々とは今でも親交があり、通訳クラスに通っていて本当に良かったと思っています。

 

その後、私はオーストラリアの大学院に留学し、英日通訳・翻訳の修士号を取得して、帰国後に通訳者となりましたが、大学院の留学中に、ISSで学んでいたことが本当に役に立ちました。私が留学した大学院の英日通訳・翻訳の修士課程は、通訳と翻訳の能力を向上させることが目的のコースで、留学中は、大学院、下宿、図書館の3地点を結ぶ移動しかしなかったと言っても過言ではないぐらいハードな勉強をこなさなければなりませんでしたが、私はISSで厳しい授業にも慣れており、通訳の基礎的なスキルや勉強方法などを学んでいましたので、基礎に裏打ちされた、極めて効果的な学習ができました。留学中は、日本でISSに通っていて本当に良かったと思ったことが何度もありました。

 

帰国後もISSには、日本の市場で通訳者として稼働するにあたっての相談にのっていただいたり、実際に通訳のお仕事をご紹介いただいたりと、大変お世話になりました。また、留学前にISSに通学していたご縁もあって、講師を務めさせていただくことにもなり、現在に至っています。

 

かつては受講生として、また現在は通訳クラスの担当講師として、ISSと長期にわたり良い関係を築いてこられたことを、私は大変嬉しく思っています。

 

ISSの通訳クラスは、単に英語力を伸ばすクラスではなく、「英語と日本語を駆使する通訳者」としてのスキルを習得するクラスです。ですから、英会話のクラスや英語の資格試験用のクラスと異なり、英語の運用力だけでなく、日本語の運用力も向上させ、コミュニケーションのスペシャリストに必要な資質を伸ばすことが求められています。当然、授業は厳しく、日々の自主学習も大変です。しかし、それを乗り越えたところには、必ず、自分の新しい可能性が広がっています。

 

ISSで学んでいた頃、私が痛感したのは、英語のスペシャリストになるには、こういう授業を乗り越えて、実力をつけていかなければならないのだということでした。英語教師として、それなりの自信を持っていた私でしたが、ISSを受講している時は、目の前に高い壁ができたような思いで、何度も挫折感を味わい、打ちひしがれました。しかし、私はその一方で、こういう授業を乗り越えていけば、そこに英語のスペシャリストとしての新たなキャリアが開かれるだろうという希望も抱いていました。

 

「壁というのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている。」

 

これはイチロー選手の言葉です。

 

皆さんには、ぜひ、自分の目の前の壁を超え、新たな可能性を見出していただきたいと思います。

<禁無断転載>

 

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<曽根和子先生のプロフィール>
慶応義塾大学文学部卒業。神奈川県の英語教諭を経て、オーストラリア・クィーンズランド大学大学院にて英日通訳・翻訳の修士号を取得。帰国後フリーランスの通訳者となり、現在、NHK衛星放送の放送通訳、会議通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に上級クラスの指導に当たるとともに、複数の大学でも通訳・翻訳の講座を担当。

 

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| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |

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