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授業体験レポート:2019秋【英語編】第5回 「継続する力」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は英語通訳者養成コース 本科2クラスのYさんのレポートをお届けします。

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こんにちは、Yです。年が明け、いよいよ関東にも雪が降ってきました。そんな中でも授業は着々と進み、日々課題に追われています。

 

夏と冬を比べてみると、どちらが勉強に適した季節かといえば、私は断然夏だと思うのです。何故なら、冬は寒い外から家に帰って来て、暖房で温まってそのまま眠りに落ちてしまうことが多々あるからです。ポッカポカの床暖の魔力には抗いきれません。猫と一緒に床に崩れ落ち、授業のノートを大事に抱えながら睡眠学習です。(効果は全くありませんが・・)
そんなこんなで、いよいよ中間テストの結果が返ってきました!悲喜こもごもの授業レポートをお届けします。

 

第9回目 日英授業 12月21日

 

中間テストでは、復習教材(「世界の水資源」)と初見教材(「18歳の選挙権」)が出題され、どちらも≪コンテンツ≫・≪訳出表現≫・≪プレゼンテーション≫の3つの項目について、点数が付けられました。≪コンテンツ≫は、スピーカーが話した内容や言いたいことがきちんと含まれているか、≪訳出表現≫では、表現力が問われます。そして≪プレゼンテーション≫ではデリバリーが採点されるのです。

 

A⁺〜Dの評価が下されますが、進級の目安はB⁻以上ということで、(ガーン・・)引き続き努力を重ねなければいけないと感じた結果となりました。先生には、「今のテストの結果はあまり気にしなくて良い、野球の練習と一緒、スポーツトレーニングのように何度も何度も繰り返し練習して、スッと出るようになれば良い」と仰っていただきました。

 

とは言え、繰り返しの地道な努力、これは私の最も苦手とすることなのです。「継続する力」はどのようにすれば手に入るものなのでしょうか。粘り強さ、やり抜く力、英語で言う「Grit」。もともとIQが高い人よりも、Gritがある人の方が躍進し、成功を収められると聞きます。いま私に必要なのは、正にこれです。秋期の授業がスタートして3か月目、停滞期を乗り切ることが喫緊の課題です。

 

第10回目 英日授業 1月11日

 

英日の中間テストは、復習教材が2題(挨拶のスピーチ・持続可能な開発の内容)と初見教材(「Mobile phones and driving」)が出題されました。テストの個人評価表が配布され、復習、初見ともに先生の丁寧なコメントが入っていました。初見については、1文1文それぞれに細やかなコメントを記載してくださるため、自分の間違いのポイントに詳細に気づくことができます。また、総合評価の欄もあり、自分の弱いところ、良くなってきているところなどを教えてくださいます。さらに、この個人表を元に一人一人と短い面談をしてくださいました。非常に丁寧にしてくださるので、チューター制のような気もしてくるのです。

 

訳を沢山落としてしまった私は、「先生、山が外れました・・」と言い訳をすると、「Yさんは、自信を持って話せているところがとても良い」、と仰っていただけました。「プロになったとしても、聴衆に安心感を与えることができます」と。それがとてもとても嬉しく、これまでずっと落ちこぼれの烙印を自らに押してしまっていただけに、とても勇気をもらえました。自分でも、訳出は力不足でもデリバリーを磨くことならすぐにできる、と思い、気を付けてきたところです。後は中身をきちんと訳せるように、先生からいただいた勉強法についてまとめられたものを参考に、日々精進していきたいと思います。

 

やっぱり私は褒められて伸びるタイプです。Grit! Grit!!今日も睡魔に負けないように、設定温度低めで頑張ります。それでは!

 

 

| 授業体験レポート | 09:00 |
授業体験レポート:2019秋【中国語編】第6回 「新春伊始、我已經覺得不妙了耶(新年早々、やばい気がするぜ)!!!」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は中国語翻訳者養成コース基礎科1クラスの香蕉皮さんのレポートをお届けします。

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皆さま〜!新年快樂(明けましておめでとうございます)〜!
新年一発目のレポートは、福袋よろしく、いつもより多めに具体的な学習内容に触れております〜!
それでは早速、行ってみましょ〜!

 

【十一回目】
日本語ネイティブの講師による和訳課題の振り返り等
今は亡き、中国のとある温泉施設のパンフレットが課題でした!「水上樂園(ウォーターパーク)」や「熱海造浪(温水ウェーブプール)」など、アミューズメント感満載の単語が並ぶので、THE ひきこもり型人間の私には、文字が光り輝いて見えます…ま、眩しい…。

 

襲い来るムーの恐怖
皆さまは、「ムー」という中国独自の単位を見聞きした事はあるでしょうか…?
簡体字で「亩」と表記し、1ムーは666.7平方メートルほどの広さを指すそうですが、これを繁体字や日本漢字の「畝」と訳した場合、なんと別の単位になってしまう…かなりの曲者!日本語での「一畝(せ)」は99平方メートルほどの広さ…みたい…です…(昏倒)。
結論として、100ムーは100ムーとして訳すのが安全です!ちなみに、お金の単位で出てくる中国元も日本元に直さずそのままでOK!

 

原文を疑え!再び/違和感テスト
今回も、クラスメートからの質問で初めて気付いたのですが、原文に「拧摩(擰摩)」とあったのは誤植で、正しくは「按摩(按摩)」=「マッサージ」でした。他にも、「体检(體檢)」=「健康診断」と訳すべきところを「体验(體驗)」=「体験、トライアル」にしてしまったり…。以前にも、ついつい見慣れた単語に自動で脳内変換されてしまい、違和感すら覚えませんでした…。
そこで!こういった凡ミスを防ぎ、気付き力(?)を鍛えるため、先生が抜き打ちテストを用意してくださいました!
簡体字の「芸」は繁体字にすると、何か?……答えは「藝」ではなく「沺廖えっ、なにそれ!
非っ常〜〜にややこしいのですが、「藝」を日本漢字にすると「芸」、簡体字では「艺」と書くのです。もちろん、全く気付きませんでした。私の目は完全に節穴です。恐ろしいですね…(今更)。

 

「奇特」「奇妙」って?
それぞれを日本語の辞書で引くと、奇特は「‘段未僕イ譴討い襪気沺行いが感心なさま。D舛靴い気沺」、奇妙は「…舛靴い気沺不思議なさま。I変わりなさま。」とありました。
さて、皆さんはどの注釈が一番しっくりくるでしょうか?
中国語の感覚では、文脈によってかなり変化があるようで、今回の原文「水幕電影也很奇特(=ウォータースクリーンも幻想的です)」は、不思議かつ優れているといったニュアンスが模範解答。
個人的にはかなりびっくりしたのですが、「奇特」は珍しい様子を指すとは限らないそうです。
また、台湾留学時代に「妙だな…」という意味で「奇妙」を連発していた経験のある自分からすると、中国語の「奇妙」に「素晴らしい」などの意味が含まれている事にも衝撃です。
ついでに、中国語で「妙」だけだと「すごい、絶妙」、「不妙」だと「(状況が)まずい、やばい」になるところも、おさらいしました。

 

【十二回目】
中国語ネイティブの講師による中訳課題の振り返り等
課題内容は「臓器提供の意思表示カードについて」。自身が脳死または心臓停止状態と認められた場合、移植手術を望む患者さんのために、臓器を提供するかどうか?を事前に書き込み携帯しておくカードです。個人的にとても関心の深いテーマだったのですが、中訳文法の基礎や類義語でつまずく結果に…(毎度毎度同じ事を書いていてすみません)。

 

タイトルを短く!/固有名詞の扱い
今回はお手紙方式の原文ではないため、「誰宛か」や「日付」を明記する必要がありません。
段落ごとに全角2マス空けるのはいつも通りなので安〜心……と、思いきや!タイトルの原文を長ったらしく「關於臟器提供意思表示卡(=臓器提供意思表示カードについて)」などと訳してしまったので、先生のチェックが入りました。
原文は大変シンプルに「意思表示カード」でしたが、この固有名詞は既に中国語表記として「臟器提供意思表示卡」が正式名称と思っていた私は、文字を省略するべきではないと判断。しかしよくよく考えれば、中国語は簡潔明瞭が基本。本文でカードの名称や詳細に触れているため、タイトルは極力短く!「○○について」も不要!正式名称を勝手に略すのも可!が正解なのでした。

 

類語の沼、略称の謎
ネットで臓器提供に関する中国ニュースを調べていると、「捐獻」「捐贈」など、一見似ている語句が同様に扱われているのを目にします。
それぞれを単体で検索にかけても同様の話題がヒットするので、いずれも「臓器提供」という意味の「器官捐獻(捐贈)」の略称として通用していると踏んだのですが…違いました(笑)。
「捐獻」については、日本語で「献上する」「無償で(自らの物を)捧げる」の意味合いです。財産など自らの所有している物を無償で…といった部分がポイント。
「捐贈」のニュアンスは、価値ある物の「寄贈」や「寄付」に近く、例えば、新設された図書館に記念として書籍を贈るであるとか、被災地に支援金や物資を贈るであるとか、先に何かきっかけになる事象が発生している場合が多いようです。
いつもながら先生の細かな解説に感動ですが、これを質問してくれたクラスメートにも感謝!

 

・類語は続くよどこまでも
「同意」「認同」「認可」「贊同」の違いにも注目です。
「まだ国民的コンセンサスが得られていない」という原文で「コンセンサス」に相当する語句はどれでしょうか?!
実は、先生の模範解答では「共識」(合意)となっており、ネット辞書の北辞郎でも「コンセンサス」とあります。「国民」は大勢の人々を指すため、「共」(複数の対象に使われる漢字)が使われているのも納得です。
では、あえてこちらを省いた上で、代用できそうな語句とは……?「認可」(=許可する、承認する)です。
「同意」(=同意する、同感である)、「認同」(=同意する、共感する)、「贊同」(=同意する、賛成する)、これら3つの語句は意味が非常に似通っており、「合意」や「承認」とも読み取れそうなのですが、いずれも、同意しま〜す!といった個人の感情的なニュアンスが含まれてしまいます。そのため、客観的事実のみを述べたい時は「認可」が比較的好ましいのです。

 

【印象総まとめ】
さてさて、いかがでしたか?
これまでのレポートでは、教室内の空気感を重点的にお伝えしたいというスタンスゆえ、課題内容を深く掘り下げないようにしていましたが……え?いつもと変わらない?ごちゃごちゃして読みづらい?
文字数が段々減っているような?そ、そんな!気のせいですよ!
何はともあれ、授業期間もすっかり折り返し地点を過ぎました。私はいつまで凡ミスを繰り返してしまうのか。自分でも呆れつつ、皆さまにも、もうちょっとだけお付き合いいただきますようお願い致します!
それでは、本年もより良い学習ライフをお送りください!
| 授業体験レポート | 09:16 |
授業体験レポート:2019秋【英語編】第4回 「中間テスト」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は英語通訳者養成コース 本科2クラスのYさんのレポートをお届けします。

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新年、明けましておめでとうございます。
皆さま、清々しいお正月をお迎えのことと思います。今年の抱負はもう掲げましたでしょうか。

 

私の2020年の抱負は、「一つ一つ、心を込めてやる」です。
何事も、心を込めてやると、良いものができますよね。そしてそれが人に伝わったときに、良い効果が生まれると思っています。
逆に、忙しいからといって雑にやってしまうと、ミスが起き、後々その後始末で却って 時間と労力が取られてしまうことがありますので、今年は一つ一つのことに心を込めてやっていきたいと思っています。
ですがそのために、自分がいっぱいいっぱい になってしまわないように、できないことは省略したり、人の手を借りながら、できる範囲のことに集中したいと思います。

 

さて、授業レポートです。今回、「日→英」「英→日」それぞれの授業の中間テストが無事に終わりました。実際は全く無事ではなく、もう傷だらけですが、果敢に挑んできました!その出来は赤面するほどのクオリティーでしたが、今の自分の実力を見つめる良い機会となりました

 

第7回 日英中間テスト「18歳の選挙権」 12月7日

 

まず、試験のTopicは事前に与えられ、それに関する内容や単語を事前に調べてきます。自分の調べてきたものは持ち込みが許されています。
私は選挙に関する単語をひたすら調べました。例えば「公職選挙法改正案」だったり、「衆議院」や「参議院」など。
この分野には非常に疎く苦手意識をもっていたのですが、リサーチしてみるとなるほどと思えることが多く、意外とそこまで苦手じゃないなと思えたことが良かったです。

 

テストでは、「18歳選挙権」に関する日本語の文章が流れ、3〜4文ずつ英語にしていきます。自分の調べが足りなかったことは、「総務省」の英語を知らなかったことです。(総務省:Ministry of Internal Affairs and Communications)

講師の先生は、一連の省庁の名前は覚えていた方が良い、とアドバイスしてくださいます。特に、「厚生労働省」や「国土交通省」などは、省庁再編の際にいくつかの省庁が統合したため名称が非常に長く覚えにくいそうですが、文脈に合わせてその一部のみを言うのでも良いそうです。例えば、厚生労働省は「Ministry of Health, Labor and Welfare」ですが、医療の話に出てくる際は「Ministry of Health」 にしてしまうなどです。省庁は、授業でも度々でてきますので、自分でもリスト化して覚えようと思います。

 

一方で、単語が分かっていたとしても、文章にする難しさ、これはやる気だけではどうにもなりません。今回私はスピーカーの話す内容の幹を捉えることに失敗してしまったのですが、何を伝えようとしているのか、それをきちんと掴むことが最も重要なのだと再認識させられました。Source Languageが日本語であるにも関わらず、話の幹を掴めないこともあるという苦い経験をしました。

 

実際の通訳現場では、ロジカルでなく、冗長的で非常に分かりにくい話し方をするスピーカーも沢山いると、先生は教えてくださいます。そんな時に言葉通りにしか訳せない通訳では通用しないということです。そのような場面でもフレキシブルに対応できるようになるために、話の本筋を取り、それを違う言葉でもきちんと意味に沿った形で表現できるように普段から英語のバリエーションを試すのが重要と繰り返し仰います。

 

私もその姿勢を念頭に置きつつ、授業でやったことをやりっぱなしにせず、きちんと身に付けていきたいと思います。

 

第8回 英日中間テスト「Mobile phones and driving」 12月14日

 

英日の中間テストは、1週間前に3つのTopicsが発表されます。各々がそれらについて調べてきて、そのうちの1つが出題されます。Topicsはここ3か月以内の時事ですので、とてもフレッシュな題材です。今回の内容は、改正されたばかりの道路交通法についての記事でした。毎回その時々のニュースで試験問題を作ってくださるというのは、非常に現実味がありまるで実際の通訳の現場に入ったような感覚でした。

 

Topicが発表された後、試験直前に3分間リサーチする時間が与えられます。その時に私は、日本語で書かれたニュースを検索しました。その問題についての知識があることが一番の助けになると教わったからです。1週間前に3つのTopicsが与えられていたときには、これ(Mobile phones and driving )は絶対に無いだろうな、と高を括ってほとんど準備していませんでしたので、もうそれこそ必死な3分間でした。

 

今回の題材の中で、肝となった単語は「Text:(携帯電話で)メールを打つ」でした。日常会話でよく使われていながらも、実際に外国人と話す機会がないとあまり耳にしないText。私もここでつまずいてしまいました。ただ試験中は、いったん始まると後には引き返せません。普段の授業の「えーっと、もう一度お願いします!」は無しです。分からない単語が出てきて焦ってしまっても、そこに引きずられないように、トリプルアクセルで転倒しても演技を続ける不屈の精神が大切なのだと切に感じました。自分では踏ん張ったつもりですが、テストが返ってくるのがものすごく怖いです…。不屈の精神は、むしろテスト返却時に必要なのかもしれません。

 

試験が終わり通常授業に戻りますと、「見本市通訳」という仕事についての紹介がありました。企業が自社製品を展示し、新たな販路を見つける商談の場での通訳の仕事です。どのような人が稼働できるのか、日程や現場の様子、報酬まで教えてくださいました。これは実際に先生も昔やっていらしたそうで、現場での様子に加えて、その当時に起きたハプニングなど、面白く聞かせていただきました。

 

授業を受けていて 、先生方の実際の通訳現場でのこぼれ話を聞けるのが、ものすごくラッキーだなと思います。現場での失敗談や困ったスピーカーの苦労話など、いつも興味深く聞かせていただいています。また、これまでどのように通訳の仕事と子育てを両立してきたかなどの苦労話を聞けることで、長い目で見た時に、プロの先生方が遠い昔に一度は通った点に自分もいるのだな、と想像します。勉強をしているとさまざまなつまずきがあったりしますが、それを経験して自分なりの努力を続けていらしたからこそ、プロとして今ご活躍されているのだなと思います。

 

自分がどこまでできるのか分かりませんが、高い目標よりも昨日のテストの復習、これをきちんとこなせることを目標に、2020年も頑張っていきたいと思います。

 

皆さんの学習が、今年も実りあるものとなりますように。

 

| 授業体験レポート | 09:44 |
中国マンガを翻訳してみて考えること【第3回(最終回)】マンガ翻訳で気をつけていること その2

 

 

中国語翻訳者の串山と申します。ISSには十数年前に翻訳者養成コースの基礎科一番下のクラスから本科2まで通っていました。このたび中国マンガの翻訳について、この場をお借りして書かせていただくことになりました。何か皆様のご参考になる部分があれば幸いです。

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 前回と同様、『如夢令(じょぼうれい)』和訳の具体例などからマンガの翻訳について考えてみます。

 

■ルビについて

 

 前回も書きましたが、この『如夢令』の翻訳には「すべての漢字にルビを振る」という制約がありました。スマホの画面で見ることを考えると細かな文字はなるべく少ない方が読みやすいはずですが、編集方針なのでしかたがありません。そこで、そのルビのスペースを表現の場としても活用することを考えました。

 

 例えば「府(やしき)」のようにルビを振れば「府は邸宅を意味する」という注釈の代わりになります。「長兄(あにうえ)」とすれば「ちょうけい」と読むよりもニュアンスがやわらかくなり、かつ長男であることが明示されます。「東宮」には文脈に応じて「とうぐう」「あにうえ」というルビを使い、その能力を評した「東宮(むのう)」というルビも登場する予定です。「大哥(おおにい)」「二哥(ちいにい)」「三哥(さんにい)」という処理は、「哥」の文字を使うこと自体を含めて賛否の分かれるところかもしれません。「端木大臣(あやつ)」は、読み方をセリフとして自然にしつつ「大臣」であることを読者に説明しています。「敷布(シーツ)」は、時代物としての雰囲気と意味の分かりやすさを両立させるための処理で、二回目に出てくるときは「敷布(しきふ)」としています。

 

■登場人物の表記

 

 翻訳に限らず、中国物では登場人物の表記をどうするのかという問題があります。漢字にするのかカタカナにするのか。漢字にした場合の読みは日本語読みか、中国語読みか……。今回の翻訳では、基本的には「漢字表記、日本語音読み」とし、一部の呼び名などに限って「中国語風」のカタカナ読みを使っています。

 

 具体的には、フルネームは「扶良(ふ・りょう)」としていても、呼び名の場合は「良(リャン)」とするなど使い分けています。「軒児(シェンル)」については、例えば「シュエンル」とする方が中国語の発音に近づくのかもしれませんが、文字数が増えるし、日本語としてはちょっと読みにくい……。「読みやすいからこその呼び名だ」という考えに基づいて、原音の再現性には固執しない「中国語風」のカタカナ読みを採用しています。
 日本語の音読みは基本的に漢音ですが、場合によっては呉音(より古い音読み)も採用しています。例えば「赤羅刹(しゃくらせつ)」の「赤(漢音:セキ)」は仏教用語的に呉音としています。

 

■話しの終わり方

 

 中国のテレビドラマをご覧になる方は、CMに入るときや、その回の話が終わってエンディングテーマが流れるときに「ぶつ切れ感」を感じたことがないでしょうか? 映像編集のスタンスに何か違いがあるのだと思いますが、日本のドラマに慣れた目で見ると余韻が足りないように感じてしまいます。『如夢令』第九話の終わり方にも、やや似たような「ぶつ切れ感」があります。しかも、よりによって、これが単行本1巻の最終話になっているので、もう少し配慮すべきだったと反省しています。

 

 例えば、最終ページの刺客の後頭部に石が当たっている絵に、描き文字(効果音などの手描き文字)風に「!」という記号を加えるだけでも、かなり違う印象(余韻)になったかもしれません。一般文章の翻訳でもそうですが、なんとなく感じる「違和感」には、やはり何か原因があるのですね。

 

* * *

 

 中国マンガを輸入するという試みは、実はこれまでも行われていて、過去にはすでに日本でアニメ化された作品もあるようですが、一般的な認知度はまだ高くないように思われます。しかし、中国では本当にたくさんのWebマンガが配信されていて、そこからこれまで日本に存在しなかったような作品が発掘される可能性は、確実にあると思っています。そんな将来性にも期待しつつ、中国語のマンガをおもしろく翻訳する方法をこれからも模索していければと思っています。

 

 この連載は以上となります。効果音(描き文字)の処理や横書き作品を読みやすくする工夫など、まだまだ書きたいことはあるのですが分量に収まりませんでした……。このたびは中国マンガの翻訳について執筆の機会を与えていただきありがとうございました。皆様の参考になる部分が少しでもあれば幸いです。(串山)

 

 当該作品の中国語版、日本語版は下記サイトで配信されています。

 

中国語版:《如梦令》 腾讯动漫
https://ac.qq.com/Comic/comicInfo/id/550368

 

日本語版:『如夢令-偽りの花嫁-』 LINEマンガ(ジーンLINE)
https://manga.line.me/product/periodic?id=0000czbu

 

 『如夢令(じょぼうれい)』の作品内容などについては個人のブログにも情報があります。ご興味のある方は是非!

 

個人ブログ(『ほんやく修行』中国語):
https://kushiyama.exblog.jp/

 

 

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串山 大(くしやま・だい)
ISS中国語翻訳者養成コースで翻訳の基礎を学ぶ。フリーランスの翻訳者、チェッカーとして10年ほど活動した後、中国語専門の翻訳会社にて品質管理を担当。2017年に再びフリーとなり、以後、実務翻訳だけでなく、角川まんが科学シリーズ『どっちが強い!?』など漫画作品の翻訳も手がける。

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| 仕事ルポ | 13:35 |
私の一週間”勉強”スケジュール Case.14 maido-ookiniさん(中国語通訳・基礎科2)

「どれくらい勉強すればいいですか?」「どんな勉強がいいでしょうか」

受講生の皆さんから教務に多く寄せられるこれらのご質問にお答えするブログシリーズ「私の一週間"勉強"スケジュール」。当校の受講生の方々にご協力いただき、一週間の「勉強」スケジュールを公開していただきます。あわせて、勉強の内容についてもご紹介いただきます。勉強時間や生活リズムの組み立て方、勉強内容などについて、参考にしていただけましたら幸いです。

 

さて、第14回でご紹介するのは、中国語通訳者養成コース「基礎科2クラスを受講中のmaido-ookiniさんです。

 

<中国語通訳コース「基礎科2」クラス maido-ookiniさんの一週間”勉強”スケジュール>

 

★一週間の合計勉強時間 18.5時間(月・水・金・日:各1.5時間、火:5.5時間、木:5時間、土:2時間)

 ※ただし大成功した一週間の場合

 

 

<勉強に関するQA>

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Q1. 勉強の時間を確保するために気を付けていることを教えてください。

 

A1. 体調が良い状態で勉強に取り組める時間をどこで取るかに気を配っています。例えば、仕事で疲れてなかなか勉強する気になれない時は、次の日にやるべき家事などを済ませて早めに就寝し、すっきりとした体(頭)で朝からまとまった時間勉強にあてられるように工夫をしています。
 

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Q2. モチベーションを維持するために何かしていますか。また、落ち込んだ時の対処法などもありましたら教えてください。

 

A2. 趣味で学んできた中国語を用いて、生活に密着した場面で通訳業務ができるようになる、が当面の目標です。目標達成に期限を設けず、独学で勉強してきたため、ISSに通い始めて、自分がどれだけ間違った勉強方法で続けてきたかを初めて気づくことができました。そういう意味でも、私にとってISSに通うことがモチベーション維持につながってます先生方の熱い指導に加え、自分より高いレベルのクラスメートが復習・予習をぬかりなくされてるのを見ると、自分も頑張らないと、と奮起します。が、一方で自分のレベルが追いついていかないことに落ち込むこともよくあります。そのような時は、他にやりたいことがあるのなら、我慢して苦行のごとく勉強しなくていいのだ、と自分に問い聞かせます。そして、これ以上に好きな趣味がないなら、ゆっくりでも続けていけば十分じゃないか、と今の自分を肯定してやる、コレの繰り返しです

 

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Q3. 重視している勉強内容を教えてください。

 

A3. NHK中国語ニュースの聴き取り、(時間があれば)書き取り

➁NHK日本語ニュースで、意味、単語の確認【※重視というより自分が楽しい、と思える学習です。】
 

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Q4. 授業の予習・復習にかける時間配分はどのようになっていますか。

 

A4. 予習1:復習5

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Q5. 授業以外の勉強リソースを教えてください。

 

A5. NHK中国語ニュース

➁Youtubeで中国の旅番組(「遠方の家」)

F本の読みやすい小説の中国語訳(東野圭吾他)

 

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Q6. 気分転換・リラックスタイム・趣味の時間などにしていることがありましたら教えてください。

 

A6. スポーツクラブで発散、美味しいワインで気分転換、着付けが趣味の一つです。【上記、中国の旅番組を見ることも、勉強というより趣味と言えるかもしれません。】
 

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maido-ookiniさん、ご協力いただき、ありがとうございました!

 

| 私の一週間"勉強"スケジュール | 09:11 |
『中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)』 第52回 「張家口」

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。

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今回は2022年北京冬季オリンピック(奥运会)・パラリンピック(残奥会)の開催地、「張家口」についてお話ししたいと思います。

 

初めて「張家口」で冬季五輪を開催すると聞いた時、正直、驚きました。自分の頭に浮ぶ「張家口」は、北京から万里の長城を越え(口外)、北風がピューピューと吹き寒さが厳しく木も花もない山地に、汚れた羊皮の上着(老羊皮袄)を着ている羊飼いのおじさんがいるだけで、近代スポーツとはとても結び付けることができなかったからです。

 

張家口は河北省の西北部にあり、北京、河北、山西省とモンゴル自治区の交差点で、古代から要所(关口)として重要視されてきました。遠い昔、張家口の外側(口外)に住んでいるのは遊牧民族、内側(口内)に住んでいるのは農耕民族でした。遊牧民族が入ってこないように「万里の長城」を造ったそうで、今でも、一番多く遺跡が残され、烽火台だけでも1000か所以上あります。漢民族のほかに、回族、満州族、モンゴル族が多く居住しています。

 

張家口あたりは改革開放後も長い間、中国全土でも五本の指に入るぐらいの極めて貧しいところの一つでした。が、今の張家口を調べてみると、目を疑うほどの国際的な一流スキーレジャー施設が揃い、全国からスキーの愛好家が集まり賑わっていて、なかなか予約が取れない状態です。

 

2000年以降、張家口はようやく開発されるようになり、崇礼地域にスキー場がつぎつぎと建設され、今は7つのスキー場を持つ中国最大のスキー場エリアとなりました。その中でも最大規模の萬竜スキー場は海抜2,110メートルに位置し、垂直落差は580メートルあり、毎年11月から翌年の4月前後まで営業しています。設備、ホテル、温泉・スパまで整い、コースは20余りあり、最も長いコースは4キロもあります。初心者コース(长龙道)からベテランのチャレンジコース(挑战道)まで整備され、ほとんどが自然雪ですが、人工の粉雪も一部使われ、スキーヤーを大いに満足させることができそうです。

 

今回、北京と張家口が一緒に冬季オリンピック・パラリンピックを開催することによって、張家口にあるスキー場と、北京にあるスケートリングが力を合わせ、輝かしい冬のオリンピックとパラリンピックを世界にお届けできると思います。楽しみですね。

 

では、次回は、中国の春節に合わせて、春節の習慣や挨拶を復習したいと思います。ご期待ください。

 

マル今月の中国語新語:

带节奏:网络词汇。故意煽动吃瓜群众跟风的意思。针对某个事件,有人故意发表一些比较具有煽动性和争议性的言论,来挑动吃瓜群众的跟风或者是争端。
「带节奏」はネット用語です。わざとフォロワーを煽る行為をいいます。ある事件について、故意に問題を引き起こす発言をし、フォロワーに火をつけ、フォロワーの発言及び論争を促すこと。

 

例:最近的新闻当中曾经出现有这样的表述。“美媒带节奏渲染中国大使为华为威胁国”。
昨今のニュースにある表現ですが、「アメリカのメディアは、中国大使がファーウェイのためにドイツを脅したと、悪意で煽る(带节奏)ような報道をしている」。

 

 

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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。

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四葉のクローバー​​【3月開講】短期集中コース

「通訳のための中国語ブラッシュアップ」
[東京校] 3/14・21・4/4・11(土)10:00〜12:00 (全4回)※3/28は休講

 

短期集中コースでは、入学金・レベルチェックテスト不要です
受講特典あり!
クラスの詳細、お申し込みはこちらから:

https://www.issnet.co.jp/courses/c_i_short.html#feature7
 

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丸中国語ビジネスコミュニケーションコース丸

 

四葉のクローバーコース案内動画はこちら
※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!

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| 「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」 | 15:45 |
ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第43回:石原香里先生(英語通訳)

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先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。
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今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、石原香里先生ご紹介の「Prognosis: A Memoir of My Brain」(Sarah Vallance著, 2019年)です

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中学時代を過ごしたシドニーの現地校で、私に最初に話しかけてくれた女の子が2人いたのですが、その1人がこの本の著者、セーラ・ヴァレンス(あえて原語に近い表記にします)でした。州立音楽院付属のハイスクールでヴァイオリン専攻だったにもかかわらず「ジャーナリストになりたい」と言っていたセーラ。ピアノ専攻だった私は伴奏やレッスンを通じて彼女と仲良くなり、この本に登場する彼女の両親とも面識がありました。社会人になってからのことは州政府のキャリア官僚になり一時香港に住んでいた、というくらいしか知らなかったのですが、フェイスブックで「今度本を出す」というではありませんか!しかも、再起不能といわれた脳損傷からの回復の記録と聞いて2度びっくりしてしまいました。一体何があったというのでしょう!?

 

読んでみると、内容もまた衝撃的なものでした。脳損傷の原因になったのは20代の時の落馬事故で頭を強く打ったこと。事故後、冷蔵庫からランプが、冷凍庫からトースターが出てきても、本人は全く身に覚えがありません。博士論文の執筆中だったのに、読み書きも不自由になり、自分の書いたものが理解できず、仕事も解雇されてしまいます。「ホワイトカラーの仕事は無理」との宣告を受け、リハビリ施設で単純作業をしたりするのですが、そこから彼女は自らに鞭打って後遺症と戦いながら、毎日、記事の書き取りをしたり、音読を繰り返したりして言葉を再習得していくのです。その原動力になったのは厳格だった亡き父親の存在であり、最も辛い時期に彼女に寄り添ってくれたのは元保護犬たちでした。(犬たちとの「会話」が絶妙!)脳の奇跡的な回復と社会復帰がストーリーのタテ糸だとするならば、ヨコ糸となっているのが親子の愛憎、介護や尊厳死、恋愛(彼女はゲイです)、老いに対する不安などの普遍的あるいは今日的なテーマなので、一定以上の年齢の(?)読者なら大いに共感できると思います。

 

たとえ側にいても、人はなかなか心の奥底にあることを打ち明けたりはしないもの。シャイな彼女の赤裸々な告白を意外に思うと同時に、セーラにとって書くことが何よりの癒しになったのだろうと感じました。

 

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石原 香里(いしはら かおり)
桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院、ロンドンRoyal College of Music Postgraduate Courseに留学、修士課程修了。帰国後、音楽活動の傍ら通訳スクールで学び、米同時多発テロを契機に、NHKの報道・音楽番組の映像翻訳、インタビュー通訳に携わるようになる。現在はCNNj をはじめ民放各局でも首脳会談、記者会見等の同時通訳者として稼働中。

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| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 11:28 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 127回 「始まり」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

新しい年が始まるとそれだけでワクワクしますよね。「目標は何にしよう?」「今年はどんな新しいことにチャレンジしようかな?」など、考えるだけで気分も前向きになります。新年というのは何かを始める上でもとても良いきっかけですよね。

 

今月は「始まり」をキーワードにした英語表現を見てみましょう。

 

 

1 charity begins at home 愛はまず身内から

 

Don’t be selfish in front of your family.  People say “Charity begins at home. (家族の前でわがままになってはいけないよ。「愛はまず身内から」と言うでしょ。)

 

Charity begins at homeは諺です。意味は「愛はまず身内から、慈愛は家庭に始まる」ということです。まずは身内を大切にしましょうというニュアンスが含まれています。ここで使われているbeginは「始まる」という意味でおなじみですよね。一方、charityはラテン語のcaritus (尊敬、愛情) から来た単語で、「慈善、施し」といった意味があります。

 

ところで本稿を執筆するにあたり、charityを電子辞書で引いたところ、興味深い語に出会いました。The Charitiesという表現です。これは西オーストラリア州政府が始めた宝くじのことだそうです!

 

 


start the ball rolling 始める

 

OK, since we are all here, let’s start the ball rolling.  (よし、みんな揃ったところで始めよう。)

 

活動や会議などを「始める」は英語のフレーズでstart the ball rollingといいます。getsetstartの代わりに使っても構いません。「ボールを転がし始める」から転じた表現ですので、わかりやすいですよね。

 

ところでみなさんは日ごろの学習で英英辞典はお使いですか?オックスフォード新英英辞典でballを引くと”a solid or hollow spherical or egg-shaped object that is kicked, thrown, or hit in a game”とありました。「球形または卵型」としているあたり、さすがラグビー発祥国だなあと個人的に感じた次第です。

 

 


3 open doors チャンスを与える

 

Getting into the university has opened doors for him in life. (大学に入ったことにより、彼は人生においてチャンスを与えられました。)

 

「チャンスを与える」を英語でopen doorsと言います。「扉」をdoorsと複数形にしているのが興味深いですよね。ちなみに「扉を閉める」はclose the doorまたはshut the doorです。shutの方がcloseよりインフォーマルです。ほかにもdoorを使ったフレーズではopen-door policy(開放政策)、closed-door hearing(非公開喚問)などがあります。

 

なお、「チャンス、機会」は英語でchanceopportunityという語があります。chanceは「運よく偶然に起こる状況」であるのに対して、opportunityは「やるべきことができるようになる状況、好機」というニュアンスです。学習者向けの英和辞典にはこのような微妙な違いも解説されています。ぜひジーニアスやウィズダム、オーレックスといった学習者向け辞典も活用してみてください。

 

 


4 launch into … 熱心に話し始める

 

We were stuck in the shop for an hour.  The salesperson launched into a 60-minute sales talk!  (お店に1時間缶詰め状態になったよ。販売員が60分のセールストークを熱心に始めたので。)

 

launch into … は「熱心に話し始める」ということです。上記の英文では「お店に入ったところ、60分もつかまってしまった」という様子が表されています。launch自体は「始める、着手する」というほかにも宇宙用語で「ロケットを打ち上げる、ミサイルを発射する」といった語義があります。日本語でロケットの「発射装置」を「ランチャー」と言いますが、これはlauncherのことです。

 

ところで上記のlaunch into … のように「動詞+前置詞」からできたフレーズを「句動詞」と言います。launch outは「新しい仕事を始める」、launch forthは「長々と話をする」ということです。なお、日本語で「長々としゃべり続けること」を「長広舌(ちょうこうぜつ)」と言いますよね。これは「長舌」(口数が多いこと、舌が長いこと)と「広舌」(大きなことを無責任に言うこと)が組み合わさった語です。

 


今月は新しい年にちなんで「始まる」という言葉に関連した表現を見てみました。みなさんにとって2020年も幸せに満ちた一年となりますように!

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

 

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四葉のクローバー​​柴原早苗先生が担当する【1月開講】短期集中コース


「おもてなし通訳ガイドに挑戦!」

東京校: 1/29(水)10:30〜16:30(休憩1時間・全1回)

 

短期集中コース【2020ウィンター】では、入学金・レベルチェックテストは不要です。
受講特典あり!クラスの詳細、お申し込みはこちらから:
https://www.issnet.co.jp/courses/e_i_short.html#feature1

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| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:11 |
授業体験レポート:2019秋【中国語編】第5回 「優等生にはなれなくても、授業は楽しい。ミスも楽しい。」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は中国語翻訳者養成コース基礎科1クラスの香蕉皮さんのレポートをお届けします。

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皆さん、ごきげんいかがですか。(普段使い慣れない日本語代表)
拙い文面にもかかわらず、ご覧になってくださる方々、ありがとうございます。
なかなか思うように進歩しない自分がもどかしい一方で、授業の楽しみが少しずつ変化してきたように思います。
今回は少し、短めの構成になっていますが、よろしければお付き合いください〜!

 

【九回目】
日本語ネイティブの講師による和訳課題の振り返り等
我ながら、これが…錬金術か…?!と目を疑うような珍解答を続々と生み出しております。外国語から母国語に訳す方が割とすんなりいくケースが多いそうですが、自分の場合は徐々に母国語を自由に駆使する事ができなくなっている気がします(笑)。

 

・一体何を調べていたのか
知識不足を自覚しているがゆえに、調べ物を始めると止まらなくなるのですが、途中で間違いに気づけず、完全にお門違いな訳をしてしまう事が多いです。LandRover(社名)とFreelander(商品名)を混同していたり、GNSS(中国独自の衛生測位システム)とGPS(アメリカ運営の衛生測位システム)を混同していたり。
もはや中国語の間違いですらないという酷い有様ですが、こうした自分の癖を更に自覚する事も大切だな…と次に活かす事を考えてます…。(無理矢理ポジティヴ)

 

・謎の喜び
「國輪國造」(中国船は中国の造船所で建造する事)という単語で、自分はなぜか「輪」を「輸」と記述しており(繁体字から簡体字へ変換した時のミス?)、やってしまったなーと思っていたら、なんともう一人同じ解答のクラスメートさんが!インターネット受講の方なので、反応を伺えないのが残念ですが、勝手に妙な仲間意識を抱いておりました。それにしても、また新たな間違いパターンを発見してしまい、落ち込むどころか楽しくなってきちゃいますね。い、いえ、やけくそじゃないですよ!

 

“ ”「」がある理由
この日、先生から教わった瞬間に一番悔しい思いをしたのは、“ ”「」の考察についてです。
”炒魷魚”を深く考えずに「リストラ」と訳した私は、高評価を得ていたクラスメートの答えを見ても、なぜ高評価なのか気付けませんでした。彼女の答えは「クビ切り」。既に長いこと使い古されてきた単語が、なぜわざわざ“ ”で囲ってあるのか?と考え、あえて見慣れない言葉に置き換えてみる。リストラと訳すのであれば「」は外すのがベター。…という解説を耳にした時、思わず、ああああ──────!!!と声を上げて壁にもたれましたね。ショックのあまり。違和感はあったのに、なぜそれをスルーして訳してしまったんだ…と。現場からは以上です。

 

先生がおっしゃるには、採点時に問題文の中でどこを間違えたら減点するか、重要ポイントを決めていたそうです。もしかして問題を解く時も、採点側の気持ちを想像しながら解くようにすれば、大事故を防げるのでは…?!
昔、学生時代の優等生が「先生の気持ちを察すれば勉強は簡単」みたいに言っていたのは、こういう事なのかも知れないな…と、今さらになって思うのでありました。

 


【十回目】
中国語ネイティブの講師による中訳課題の振り返り等
心なしか、いつもより多めに「その調子!」「とても良いですよ!」と、先生の嬉しそうな声を聞けたような気がします。課題自体も、動画を見て文字起こしをするという、今までとは違う方法で取り組むものもあり、新鮮でとても楽しめました!

 

・「お酒をお届けするまで」
今回のテーマは、日本酒の紹介にまつわるものでした。「お届けする」の重点は何かと言うと、「運ぶ」「移動させる」ではなく、「商品になるまでの製造過程」なのですが、こういった些細なところでも未だに悩んでしまう自分がいます…。うっかり、独自解釈で誤った訳になってしまうのでは…と、なかなか先に進めなかったりします。が、最近は不思議なもので、悩む時間も無駄にはならないんだ、と前向きに考えられるようになってきました。寛大な心で見守ってくださる先生方のお陰だと思います。

 

・新たな目標
プライベートでも仲の良いクラスメートが、前回と今回の日中訳で特に「パーフェクト!先生に近づいてきましたよ!」と称賛されていて、なぜか自分まで嬉しくなってしまいました。これまでの人生、あまり誰かを目標にするといった考え方をせず過ごしてきたのですが、初めて自分もそこにたどり着きたい!褒められたい!と強く思い始めています。協力して問題を解き合うような事はしませんが(プライド?)、普段から言語交換を気軽にできる仲間に出会えた事はラッキーです!授業中、中国語が下手な自分の代弁をしてくれる時もあり、助かります(笑)。

 

・お米の「張り込み」
張り込みと聞くと、探偵や記者が待ち伏せしているイメージですが、精米工場での張り込みとは、タンクや釜にお米を投入する事だそうです。どうやって訳すのが正解なのかなと思っていたら、「放進去(放り込む)」といった普段よく使う動詞でOKだったようです(笑)。

 

たまに、クラスメートが調べた日本語を私に確認し、全く使ったことのない表現と知ると「この中日辞書ダメだわ」と言って笑っています。語学学習者あるあるですね。反面、現代のネット検索なら専門用語や新語も一発でわかるじゃん!という楽観視をするのも危険です。油断すると楽観死します(経験者は語る)。
先生方がいつも異口同音おっしゃっている、「ネイティヴの人が100%正解とは限らない」を救命胴衣にして、荒れ狂う誤字脱字の海を今後も漂わなければなりません。か、過酷…。

 


【印象総まとめ】
自分では、まだあまり自覚できていませんが、クラスメートたちの回答を見ると、回を追うごとに翻訳のクオリティーが上がってきているのがわかり、ライバル心を抱く隙もなく感動してしまいます
ほとんど先生に直されていない、完璧に近い訳文を読んでいると、「さすがだなぁ」と惚れ惚れし、どこか自分も励まされるような気持ちになります
対人関係で失敗してきているので、当初インターネット受講にするか迷いもありましたが、先生方の温かいお言葉を直にいただいたり、語学のマニアックな話で深夜まで語り合える友人ができた事は本当に救いです。結果的に来校する事にして良かった!と思います

 

なんだか感情論ばかりになってしまい申し訳ありませんが(いつも?)
今回の授業レポートはちょっぴりおセンチにお送りしてみました。
良いお年をお迎えください!
| 授業体験レポート | 09:06 |
授業体験レポート:2019秋【英語編】第3回 「記憶に残すテクニック」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は英語通訳者養成コース 本科2クラスのYさんのレポートをお届けします。

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こんにちは、Yです。授業も6回が過ぎ、中盤に差し掛かってきました。私はいつも以上に仕事に忙殺され慌ただしい時期を過ごしています。

 

皆さんも、仕事や子育てなど、さまざまなことと勉強を両立させているかと思います。プライベートでは冠婚葬祭など、時には勉強よりも優先されるイベントがありますよね。自分が立てたスケジュールよりも大分遅れてしまい、それがストレスになってしまうことも往々にしてあるかと思います。そんな時は、それはそれで腹をくくる、流れに身を任せるしかないと思っています。突発的なイベントも含めて勉強に取り組むということ、焦る状況でも逆に自分を追い込むことで成長につながるだろうと。
勉強中の身とはいえ、やっぱり結婚式には出席したいですし、おめでたい席ではシャンパンを飲んじゃいますし。その後どうリカバリーするか。それはもう、お尻をたたくしかないですね。

 

勉強を始めるといつも時間が足りないように思えますが、「ダラダラ勉強する3時間よりも、集中した1時間の方がずっと効果がある」という先生方のアドバイスから、疲れている時はまず休み、それから短くても集中して勉強する、といったスタイルで、自分なりのタイムマネージメントを探っています。
授業のあるこの4か月の間は、映画もスキーも温泉も我慢ですが、「今は英語に夢中☆」そういう時期なのです。
さて、それでは授業レポートをお届けします。

 

第5回 日英授業 11月16日

 

リテンションができない、という悩みについて」
これは、「言葉を記憶する」ことよりも、「内容を理解しているか」というところが大きいことを学びました。意味を理解していないものは、頭から消えてしまう。言葉の表面的な部分だけを留めるのではなく、文脈から何を言おうとしているのか、それをきちんと自分が理解すること、それによってリテンションは大きな差が出るということです。

 

また、そのためには通訳者自身がそのトピックの知識があることが非常に重要であり、通訳の現場に入る前には予習が必ず必要とされるそうです。多くの通訳者はトピックが毎回変わるため、いかなるトピックに対しても興味を持って調べられることが通訳者の素養である、ということを学びました。個人的にあまり興味がないことでも、興味を持つように自分を駆り立てることが重要であるということです。
これは苦手意識を持っていることに挑戦するということでしょうから、やはり壁は高く、けれど幅広く知識を持てることは、自分の見識を広げてくれる良いきっかけになると思いました。

 

次回の中間テストは選挙についてのトピックです。硬い内容で、日本語でも何を言っているのか分かりにくい、私の特に苦手とする分野ですが、こちらも腹を括って子ども新聞で知識を収集しようと思います。

 

第6回 英日授業 11月30日

 

前から訳す
文章の中で動詞を忘れないテクニックを教えていただきました。それは、主語、動詞を含む前の文を先に訳してしまうことです。先に動詞を処理することで、最後まで動詞を覚えておく必要がなくなる、という同時通訳でも使われている手法ということです。
前から訳すと、動詞や補語を頭にずっと置いておく必要がないので、その分負荷が掛からず、非常に大きい助けになると思いました。この素晴らしいテクニックは、私の頼りないリテンション力をカバーしてくれるので、早く身に付けていきたいと思います。

 

〜beforeは「その後」として訳す〜
「前から訳す」の派生ですが、beforeが出てきたときも、後ろから訳すのではなく、前から訳していきます。

長い文章になった時は、前から訳す恩恵を最大限に感じます。Beforeを「その後」や「そうして初めて」と訳し、後に繋げます。ですので、文章を訳す時はいつも前から。負荷はできるだけ少なく。これ、大事だと思いました。

 

頭の中に絵を描く
文章をリテンションするのに、頭の中でPicturize(絵を描く)することも有効とのことです。例えば、「多くの国」と出てきたら、地球儀のような絵を思い描く、といった具合です。絵は文字よりも長く記憶に残るので、なるべくPicturizeできるものはするのが良いそうです。
そういわれると、「カラーなのか白黒なのか」と、つい力が入ってしまいますが、しかしこれも慣れなのかな、と思います。
絵を描く、きちんと理解する、それは似ていることで、記憶に残ること。先生方のおっしゃることが少しずつ分かってきたように思います。毎回の授業で惜しみなく教えてくださる先生方には本当に感謝です。

 

さて、これを実践すべく、また迫りくる今週末の試験に向けて一心不乱に頑張りたいと思います。この季節、皆さまくれぐれも体調管理には十分お気を付けてお過ごしください。試験が無事に終わって、楽しいクリスマスを迎えられますように。それでは!
| 授業体験レポート | 11:27 |

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