通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


授業体験レポート:2017秋【中国語編】第4回 「基本だよ、ワトソン君!」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第4回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第7回 中日翻訳

 

今回の中日翻訳のテーマは「様々な文体の訳し分け」でした。

 

出された課題は短文でしたが、まずは先生の訳例にビックリ。1つの原文に複数の訳がついています。確かに課題文は、企業紹介や宣伝文など、解釈1つでいろいろな訳が可能なものでした。

 

初回の授業ですでに指摘を受けていたのですが、たとえば“我喜歓狗。”という同じ文でもシチュエーションや目的によって、「私は犬が好きです」「ワンちゃんが好き」「あたしイヌ派」等々、訳し分ける必要があります。

 

さらに大事なことは、1行だけを見るのではなく、訳文全体の文体や方向性を統一すること。先生はいつもおっしゃるのですが、洋服と同じように、文章もTPOやコーディネートを意識しなければなりません。カジュアルなら全身カジュアル、エレガントなら全身エレガント。シャネルスーツに地下足袋では、いったい何に変装するつもりか分かりません。

 

全体を見ずにちまちまと中国語から日本語への移し替え作業を進めると、何の目的で誰に向けて書いたのか判別不能な怪文書が出来上がってしまいます。

 

そしてもちろん、原文あっての翻訳ですから、遣われている言葉を手掛かりに、原文が伝えたかった内容を的確にあぶり出さなければなりません。

 

…ということは良く分かっているはずなのですが、実際に翻訳していると、自分の思い込みや言葉遣いのおかしなところには気づきにくいものです。一般向けの文章に専門用語を使ってしまったり、イメージ重視の宣伝文に注をつけてしまったり…。

 

洋服なら鏡を見ればいいのですが、文章だとそうもいかないので、自分やクラスメートへの添削指導や解説を参考にできるのは本当にありがたいです。

 

丸第8回 中日翻訳

 

原文が何を言いたいかをつかむ、というのは日本語から中国語に翻訳するときも大切ですが、原文が日本語の場合、考察というより「推理」(下手をすると「判じ物」)の次元に突入していると思うことがしばしばあります。

 

今回の課題文では靴に関する話題が扱われていましたが、先生の最初の質問は、ここでの靴は女性用か、男性用か、でした。そんなこと、原文のどこにも書いていないんですけど……と困惑する日本語ネイティブ受講生をよそに、中国語ネイティブのクラスメートは的確にこたえることができました。

 

決め手は文中に使われている、「お気に入り」「大キライ」といった言葉。なるほど、男性向けなら、もう少し違った表現になるでしょうね。

 

「靴ベラを使うなど、丁寧に履くことも長持ちのコツ」の「こと」はイコール「習慣」だ、といった隠れた情報を探しだすのは、一読、原文に特に疑問を感じない日本語ネイティブにとっては難しい作業です。

 

他にも、たとえば日本語には「こんにゃくは太らない」のように、頭としっぽがあって胴体のない、ホラーな文型があります。この手の文を「こんにゃく文」と呼び、本来なら「こんにゃくは(カロリーが低いから食べても)太らない」とすべきところ、( )の中が省略されているのだそうです。

 

そもそも、「こんにゃく文」を最初に見たとき、省略されている箇所があるということすら気づかなかった私ですが、いまだ胴体探しに四苦八苦しているようでは、名探偵どころかワトソン君への道もまだまだ遠いようです。もっと観察眼と推理力を磨かなければ…。

| 授業ルポ | 09:05 |
『中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)』 第27回 「ビジネス中国語に欠かせないユーモア ― 巧に文字や言葉を操ること」

 

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。

すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。

 今回は、「ビジネス中国語に欠かせないユーモア ― 巧に文字や言葉を操ること」です。

どうぞお楽しみください。

-------------------------------------------------------------------

 

中国語のユーモアには文字の遊び、言葉の遊びが欠かせません。

 

前の,鉢△任款匆陲靴燭茲Δ法◆嵜后⇔咫¬據廚抜岨をばらしたり、「竹苞」を「个个草包」と読んだりして、違う意味を引き出すことが出来ます。

 

また、同音異義を利用し、違う意味を読み取るケースもたくさんあります。

 

例えば、宋の時代の文学家、書家の蘇東坡と佛印和尚との話はその一つです。

 

ある日、佛印和尚がお魚料理を作り、ちょうど出来上がった頃に、蘇東坡が尋ねに来ました。すると、和尚さんはお経を唱える時に使う罄を裏返しにして魚を覆い、蘇東坡を出迎えました。


二人がお茶を飲みながら話をすると、魚料理のいい匂いがしてきました。蘇東坡はすぐに魚を覆っている罄に気づき、わざと誰でも知っている対聯(対になっている文)の上文「向阳门第春常在(陽に向かう家には永年に春の陽気がある)」を読み、下文は忘れたので、教えてほしいと言いました。罠とは知らない和尚さんは「積善人家慶(qing)有餘(yu)(善を積む家には金運がいい)」と読み上げると、蘇東坡は笑って、「和尚さんは(qing)に(yu)が有るというのですか。それでは有難く、頂きますよ。」と言ったそうです。

 

つまりここでは、「」と「」(qing)また「」と「」(yu)が同じ発音ということを利用し、巧妙に相手の隠したいことをばらすことができました。

 

このように、上句を読んで下句を求める遊びは、古代から伝わってきている中国伝統文化の一つで、「対聯」と言います。今でも、民家やビルなどの門の両脇に、左右の文字数や、動詞、名詞、形容詞がきちんと対になって揃えられている文が貼られている光景を、都会から山村までの至る所で見かけます。特に、春節を祝う「対聯」のことを「春聯」といって、とても盛んです。

 

この対聯を作るには基本のルールがあるので、少し知っておけば、中国語はもっと楽しくなり、相手の話にもうまく受け答えることが出来るでしょう。

 

例えば、
雲対雨雪対風茶対酒声対色河対海横対竪閉対開
来鴻対去燕碧草対青苔桃枝対桂葉晩照対晴空など。


簡単に言えば、上聯に「」がでたら、下聯に「」で受けることです。


また、対聯詩詞などはもっともリズミカルで、洗練された文なので、唐詩、宋詞などを日々読んでいくうちに、中国語の文章力も高められるに違いありません。

 

格調高いビジネスの挨拶文や、祝辞などを書くための基礎でもあります。

 

 

マル今月の中国語新語

「场景金融シナリオに基づいた融資のこと。資金調達の需要とシナリオと結びつけ、より正確にリスクを評価し、コントロールし易いように、資金の流れを透明化します。

 

■例文:钱站消费贷提供无担保、无抵押、无场景的信用贷款产品。(「钱站」(ネット消費者金融)が提供しているローンは無担保、無抵当、シナリオを問わないものです。)

 

-------------------------------------------------------------------

張 意意
証券会社、コンサルティング会社で通訳・翻訳者として活動するとともに、アイ・エス・エス・インスティテュートで「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。

-------------------------------------------------------------------

丸中国語ビジネスコミュニケーションコース丸

 
 四葉のクローバーコース案内動画はこちら
 ※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!

 

-------------------------------------------------------------------

 

| 「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」 | 09:00 |
ISS人材サービスサイトでの通訳コラム/翻訳コラム [2017年]第12回を掲載

 

ISS人材サービスサイトでの通訳者・翻訳者コラムでは、2017年1月より現役通訳者の徳久圭先生が担当しています。

 

通訳者・翻訳者をめざされている方、すでに通訳者・翻訳者として活躍されている方にも、役立つ情報がたくさん詰まったコラムです。どうぞお楽しみください四葉のクローバー

 

残念ながら徳久先生のコラムは今回で最終回を迎えますが、来年からはまた新しいシリーズが始まりますので、ご期待ください!

 

丸 徳久圭先生のコラム『中国語通訳の現場から』
 第12回:『能否夢見電子羊──機械通訳は実現するのか』(最終回)

 

 

| ISS人材サービスサイトコラム | 09:00 |
ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第20回 : 近藤はる香先生(中国語通訳)

 

ライブラリー画像近藤先生.PNG

 

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、中国語通訳者養成コース講師、近藤はる香先生ご紹介の『新樹の言葉』(太宰治著、『ろまん灯籠』角川書店、1955年初版)です。

 

-------------------------------------------------------------------

 

「君たちは、幸福だ。大勝利だ。そうして、もっと、もっと仕合せになれる。私は大きく腕組みして、それでも、やはりぶるぶる震えながら、こっそり力こぶいれていたのである。」

 

中学の時、夢中になって読んだ本に『モンテクリスト伯』(岩波文庫)があります。『巌窟王』とも呼ばれる作品です。非現実的な展開と超人的な主人公の能力に、思春期の私はどこか冷ややかで、可愛げのない読者でしたが、そんな私が「夢中になって読んだ」理由は、主人公の監獄での超人的な執着と結末の虚しさでした。


驚く方もいるかもしれませんが、実は私は「競争」が非常に苦手で、甲乙をつけられるのも、甲乙をつけるのも大嫌い、恐怖さえ感じます。しかし高校受験を控えたあの頃は、そんなきれいごとも言っていられず、「『競争心』が欲しい」、「せめて『○○高校に絶対受かりたい』という気持ちが欲しい」と悩み、『モンテクリスト伯』を読みながら、「すばらしい!恨みでも復讐心でも何でもいいから、死に物狂いになれる原動力が欲しい」と思ったものでした。そして、最後まで読み進めて襲われた空虚感。もやもやとしつつも、「不純な動機で得たものは、ただ空しいだけ」とスッキリしたのを覚えています。


冒頭に掲げたのは『モンテクリスト伯』の一節ではありません。太宰治の短編『新樹の言葉』の結びの言葉です。没落した良家の若い兄妹二人が、元々自分たちの住んでいた屋敷が火事で燃えるのを「二階にも火が回ったね」などと淡々と話しながら眺めているのを見て、主人公が心の中で叫んだ言葉です。恨みや妬みだけではなく、感傷さえもない兄妹。まさに無欲そのもの。そして、無欲だからこそ仕合せそうでした。この短編を読み、二人に憧れ、「何かを得ることが幸せなのではない。欲を捨てることが幸せなのだ」と、それ以来「こだわると生きづらい」を座右の銘に、欲を捨てる修練を人生としています。


幸い平和で豊かな時代に生まれ、復讐や恨みに苛まれることは少なく、「所有欲」や「競争心」という、扱いようによっては「向上心」に繋がるものが今の世の中の大多数の人の「欲」でしょう。しかし、私はそれも捨てたいと思っています。


きれいごとを言うようですが、学業も通訳・翻訳の仕事も、いい評価がほしい、もっとうまくなりたい、認められたい…などと思って取り組んだことはありません。気持ちと体がいつの間にか自然とそちらに向いていたから、ただ流れに乗ってやってきただけです。勿論「認められたい」「負けたくない」という気持ちが一切起こらなかったわけではありませんが、全く持続しませんでした。また、そういう気持ちで取り組むと結果も非常に悪く、意識して振り払うようにしていたのも事実です。


「通訳は黒子」です。ビジネスや文化交流、外交など非常に重要な場面で、要となる仕事をするにも関わらず、私たち通訳は永遠にその主体とはなりえません。自己顕示欲や競争心は絶対にタブーです。「黒子」――「無欲」になることが通訳としての私の追求です。


人間「欲」があるのが自然で、恐らくそれをうまくコントロールできれば問題ないのだと思います。自信ややる気に繋がるならば、「自己顕示欲」や「競争心」も否定はできません。ただ『新樹の言葉』を読んだ時の、あのスカッとした気持ち、天から光が差したような感覚は「無欲」も一つの力、何かを成し遂げるのに道は一つではないと教えてくれるような気がします。学業、仕事、人生において「無欲」になろうとすることが、私の力になっています。

 

-------------------------------------------------------------------

 

近藤 はる香(こんどう はるか)

横浜市立大学国際文化学部卒業。10年の中国留学を経て、帰国後フリーランス通訳者、翻訳者として稼働中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは中国語通訳者養成コース基礎科1を担当。

 

-------------------------------------------------------------------

 

 

| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 09:00 |
『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 102回 内臓器官に関連した英語フレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

みなさんにとって「どうしても覚えづらい単語」はありますか?私の場合、associationscの数が混同したり、Philippineslpの数がゴチャゴチャになったりします。一方、意味で苦戦するのがstrategytacticsliverkidneyです。「戦略(せんりゃく)」には「ラ行の『り』があるからstrategyrと同じ」とゴリ押しで覚えて、ようやく「戦術」と区別できるようになりました。けれども腎臓と肝臓は未だにヒヤヒヤしながら訳しています。しかもニュースではよく出てくるのですよね。

 

今回は内臓器官を使った表現を見てみましょう。

 


1. a person of the same kidney 同じようなタイプの人

 

We seem to be getting on well.  She is a person of the same kidney. (私たちは相性が良いようです。彼女は同じようなタイプの人なのですね。)

 

kidneyは「腎臓」のことです。私はliver(肝臓)とkidneyがどうしても混同してしまうのですが、ようやくこうしたフレーズを機に覚えられそうです。ちなみにkidneyの語源は中期英語(12世紀から16世紀ごろ)と考えられています。腎臓という意味の他に、「気質(temperament)」や「型、種類」などの語義があり、上記例文はその一例です。「同じ腎臓」と言われても今一つピンと来ませんよね。a man of the right kidneyは「性格の良い人」という意味です。

 

ところでイギリスではsteak and kidney pieがパブ料理として有名です。これは牛肉や子羊などの腎臓とマッシュルームなどを詰めたパイです。旅行でイギリスへ行くと、野菜不足になるのは覚悟の上で懐かしさのあまり、つい食べてしまう一品です。

 


2. gut reaction 直感的な反応、直感

 

My gut reaction is that we should go ahead with the plan. (私の直感としては、計画を押し進めるべきでしょう。)

 

gut reactionは「直感、直感的な反応」という意味です。gut自体は「腸、胃、消化管、内臓」を指します。「直感、本能」は口語的な語義になります。

 

gutには他にも意味があり、複数形のgutsは「内容、核心」のことで、have no gutsは「中身がない」という意味です。また、日本語の「ガッツ」に相当する「根性」もgutsです。have the guts to … は「〜する根性がある」になります。ちなみにイギリス英語の口語表現では「斜め読みする、速読する」という意味もあります。少し話題はそれますが、ミュージカル映画“My Fair Lady”でヒギンズ教授が初めてエライザを見た際、a prisoner of the gutterと評しています。gutter(どん底の生活)はgutとは別語源です。

 


3. spleen 不機嫌

 

The father vented his spleen on his son. (父親は不機嫌を息子にまき散らしました。)

 

spleenは「脾臓」のことです。脾臓には色々な感情、とりわけ憂鬱さや不機嫌が宿っているとかつて言われていました。vent one’s spleen on … で「〜に不機嫌をまき散らす、当り散らす」という意味になります。「腹立ちまぎれに」はin a fit of spleenです。

 

ところで「膵」の漢字の「萃」は「集まる、より集う」という意味です。かつて「ばっすい」は「抜萃」と記していましたが、現代表記では「抜粋」となっています。よく見ると「くさかんむり」に「卒」なのですよね。漢字も分析してみると興味深いものです。

 


4. vein 調子

 

The president spoke in a serious vein about the future of our company. (社長はわが社の未来について真面目な調子で話しました。)

 

veinは「静脈」の他に「調子、特質」などの意味を有します。be in the vein(絶好調である)、a vein of humor(ユーモア味)といった表現もあります。なお、「静脈」の反対語「動脈」はarteryです。

 

ところで「大理石などの筋」も英語ではveinと言います。ロンドンの大英博物館にはElgin marbles (エルギン・マーブル)という大理石彫刻コレクションがあります。これは19世紀にイギリスの外交官エルギン伯がギリシャのパルテノン神殿から削り取り、持ち帰ったものです。ギリシャ政府が返還請求をしたことを機に、文化財は誰のものかを巡る議論が続いています。


今月は内臓器官の用語を用いたフレーズをご紹介しました。liverkidneyを混同してしまう私にとって、本稿を書くことでようやく自信を持って訳せそうです。みなさんもややこしい単語などは語源を調べたり例文にあたったりすることで、身近なものにしてみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |
授業体験レポート:2017秋【英語編】第3回 「言葉へのこだわりと話者への敬意」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、英語の授業ルポ第3回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第5回目 英日授業

 

いつものように、|姥譽謄好函↓復習してきた前回教材の訳出録音、この日の初見教材の訳出、の順で進められました。

 

初見教材は “イエメンの紛争について” 。前回まではネイティブが教材用に読み上げた音声を使って訓練していましたが、今回からライブになり、演説など生の素材が使われます。その分、スピードも速く、臨場感があり、音源も少々聞きづらくなります。入門科ではライブ素材はなかったので、なかなか手ごわいです。

 

初めに、内容理解だけを目的にメモ取なしで通して聞きます。その後、各自手元のLL機材を操作してヘッドフォンから聞きなおし、知らない単語は訳語を調べるなど準備する時間が与えられました。

 

イエメンでの紛争がテーマなので、deprivation, food security, famine, preventable disease, poverty, basic necessities, humanitarians 等々、関連単語が満載です。ひたすら音源に集中し、聞き取れないところは何度も聞き直し、とにかく必死。あっという間にタイムアウトでした(汗)

 

訳出する際、講師がよく口にするのが、「自分の訳出に商品価値があるか」を意識すること。単なる言葉の切り貼りではなく、正確かつ自然に耳に入ってくる日本語になっているかということです。講師の言葉へのこだわりは受講生にとって厳しいものですが、基礎固めの時期に身につけておくべき姿勢なのでしょう。「今の訳は、大学生の訳としては良いが、プロ通訳者として聴衆に聞かせられるものかどうか」という言葉に正直、私の訳にお金を払う人はいないだろうなと思ったのでした・・・。

 


丸第6回 日英授業

 

日英の授業も同じく紛争地での人道支援関係に関する教材ですが、こちらはイラクでの医療支援がテーマでした。事前に配られていた参考資料を基に、重要だと思われる単語の日英対訳表を作っておきました。授業中は参考資料を広げる時間も余裕もないので、A4一枚の対訳表だけが頼りです。事前準備もなかなか時間がかかりますが、しっかり準備をしてこないと話者のメッセージを正しく理解することができず、思うようなパフォーマンスができないので、できるだけ背景知識は頭にいれておきます。(それでも全然足りませんでしたが・・・)


今回の教材は、イラクで赤十字国際委員会の医療活動に参加した日本人医師たちが、帰国報告をしているライブ音声です。日→日のコンテクストシャドーイング(※) をした後、逐次通訳に入ります。化学兵器とみられる爆弾で負傷した家族の治療経緯が中心です。事前にYouTubeで観た映像には負傷して泣き叫ぶ子供の姿もあり、子を持つ親として心が痛くなりました。

 

授業の目標は、「話者が一番伝えたい情報=要点」をつかむことであり、 そしてそれをきちんと訳すことが、「話者に対する通訳者の敬意」という講師の言葉に身が引き締まりました。つい、自分の訳はどう評価されるだろうか・・・と、自分にばかり焦点を当てがちですが、どれだけ話者の思いを正確に伝えられるかが問われるのですね。

 

そして、来週はついに中間試験です(汗)。
かなり緊張しますが、クラスメイトたちと励ましあいながら頑張ります!


※) 全体の話の流れ(コンテクスト)をしっかりつかむことを意識して音を追いかけること

 

 

 

| 授業ルポ | 09:00 |
授業体験レポート:2017秋【中国語編】第3回 「B面の冬」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第3回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第5回 中日翻訳

 

授業では、課題と講師の訳例、そしてクラスメート全員の訳文を綴じた冊子が配られます。訳文は講師による添削済みなので、ページを開くときは毎回とても緊張します。

 

訳例解説の後、全員の訳を見ていくのですが、インターネット受講生を含めた8名が同じ文章を訳しているにもかかわらず、同じ答えは1つとしてないのが面白いところ。自分では絶対に思いつかなかった表現に出会えるのも、スクールならではの楽しみです。

 

一方、つまずく箇所は皆さん大体同じ。先生からも集中的に説明があります。

 

今回の課題は、とあるIT企業の創立者に関するエピソード。エッセイなので、文章の読みやすさを最優先に考えなければなりません。とりわけ会話文には注意が必要です。

 

…前から女の子がやってきた。「あ、いとこのAちゃん、久しぶり」
日本語でこんな会話、あり得ませんよね(ギャク漫画なら別ですが)。
…前から女の子がやってきた。いとこのAちゃんだ。「あ、久しぶり」
こうすれば自然。原文通りではありませんが、でもニュアンスは同等に伝わります。

 

会話文次第でキャラが変わってしまう点も要注意です。仕事の完成まであと何か月かかるか、の答えが――「半年」「半年です」「半年ですね」「半年かかります」「半年はみてください」――たったこれだけの違いで、まるで別人です。

 

他にも、中国語特有の時系列(「発生順」「原因→結果」)、対立する表現などは、そのまま日本語に移し替えると不自然なため、ぼかす必要があります。「私は上野から夜行列車に乗って一晩過ごし700キロ離れた青森駅に朝、到着した。青森駅周辺には雪が…」では、演歌じゃなくて絵日記です。

 

原文の意図を整理して訳すこと、中国語をシャッフルし自然な日本語に圧縮すること…あれ? どこかで聞いた注意点ですね…。要は前回、第4回の日中翻訳での留意点を反対サイドから見ているということ。だから、中日翻訳、日中翻訳両方を学ぶ必要があるのでしょうね。


丸第6回 日中翻訳

 

こちらの授業も緊張の連続ですが、先生の繰り出す表現例がユーモアたっぷりで、毎回、頭と腹筋が鍛えられております。

まずは短文のリライト。いかにも日本人学習者が書きそうな訳文を、正しい表現に直します。短いなら簡単だろうと思うのは早計で、かなり手こずりました。

 

・事故の原因になるので、ながら運転はやめましょう。
×因为事故的原因,所以请不要一边做别的事情一边开车。

 

つい、「ながら運転」そのものを訳そうと悪戦苦闘する私たちに先生はひと言。「車を運転しながらする他のことって何だろう。別に鍋するわけじゃないよね」。

 

つまり「他のことをしながら運転しないで」ではなく、“专心开车,切勿一心二用”(集中して運転し、気を散らさないように)と言えばいいわけです。と了解しつつも、鍋をしながら運転するドライバーの姿が目の前にチラついて、しばし集中できませんでした…。

 

日本語は受け取り手が当たり前と思うことは言わないので、翻訳するときは、文章全体が何を語っているか、塊として使われている表現の内訳は何か、常に意識しなければなりません。たとえば、日本語では「招き猫」が招くのは何か、実は読む人が自分で補っています。中国語なら“招财猫”“招福猫”“招客猫”と書き手が絞るのです。

 

ただ、「書かれていないことがある」ということすら気づかないときも結構あります。「『瞳をとじて』って歌あるよね。でも、言われてもできないでしょ? 『目』を閉じるんだよね? じゃあなぜ『瞳』なの?」えーっと、それは…。「ここでの『瞳』は『あなたの』目、美しい目、特別な、好きな人の目だということを強調しているんですよ」

 

なーるーほーどー。つまり中国語なら「瞳」の前に「あなたの」「美しい」とかを補う必要があるんでしょうね。まさに『津軽海峡冬景色』な中日翻訳とは逆のパターン、レコードでいえばB面なのですね…って感想は、歳がバレるから言わないでおこうっと。

| 授業ルポ | 09:00 |
ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」 第27回: 加藤早和子先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、株式会社アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

 

                      

 

 

 

 

 

           

-------------------------------------------------------------------

 

「価値観同士が接する最前線」

         加藤早和子先生(英語通訳者養成コース)

 

 

海外留学経験者でもなく、帰国子女でもない自分が何故この道に関心を持ったか、今振り返ってみると、自分が一貫して異文化との接点に関心があったのだと認識しています。媒介となる言語は英語であっても、相手は英語が母国語でない方々も多く、20年余の経験からも、ネイティブでない方々からの需要は以前より増えているように思います。英語を使っての対話の中にも、言葉の選び方、論理の組み立て方、アプローチの仕方を注意深く観察すると、相手が属する文化が持つ価値観が感じられます。もちろん、自分は日本の価値観を背後に持って対応していることも分かります。人間同士、共通する部分もありますが、文化は相対的なものです。

 

また、ネイティブならではの表現の仕方、英語という言語の柔軟さ、奥深さ、時には言語としての美しさ、難しさ、価値観といったものを体験する面白さもあります。

 

とはいえ、道具として役立てる機能が、実際の仕事の場面では重要です。まずは、対象としている概念を正しく理解して表現しなければならないですから。特に専門的な内容の場合は、理解力は肝要ですし、知識は重要です。自分が苦手だと思っていた分野でも、勉強してある程度の理解を得る必要があります。思いがけず、新しい興味の対象が見つかることもあります。普段からアンテナを張りめぐらして、様々な出来事に関心を持って研究する姿勢が役立ちます。興味、好奇心だって十分な動機になります。相手のパーソナリティーを感じ取る懐も、一つの要素です。

 

通訳という職業には、多面的な感性が関わっているのです。それを味わうことができれば、おそらく長く、この仕事を続けることもできると思います。

 

継続は職業の重要な要素です。仕事が毎回満足のいくものとは限らない中で、それにも怯まずに続けること。そのためにはしっかりした動機を持って職業に臨む必要があるわけです。自分の軸足を意識して持つことは大切です。

 

もちろん、クライアントがあっての業務ですから、社会常識も欠かせない要素です。人間関係におけるスキルが役立つ場面も多くあります。通訳者の“キャラ”も仕事における要素になります。

 

通訳の訓練に関心がある受講者の皆様には、こういった言語の背景にある文化や思想にも思いをめぐらせて、経験が単なる経験に終わらないような、インタラクティブな文化の最前線を味わえるような感性を育むお手伝いをしたいと思います。

 

ダイナミックな職業に身を置くことに関心があるのであれば、通訳の勉強を始める動機は十分だと思います。

<禁無断転載>

 

-------------------------------------------------------------------


<加藤早和子先生のプロフィール>
南山大学卒業。特許文書翻訳、調査会社勤務を経て、アイ・エス・エス・インスティテュート同時通訳科で訓練。現在はフリーランスの会議通訳者として、医学・獣医学、薬学、バイオテクノロジー、自動車、情報通信、環境、知財、財務、デザインなど幅広い分野で活躍中。

-------------------------------------------------------------------

 

 

 

| ISSインスティテュート創立50周年記念 | 09:00 |
授業体験レポート:2017秋【英語編】第2回 「実は日本語がムズカシイ」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、英語の授業ルポ第2回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第3回目 英日授業

 

授業の冒頭にある単語テスト、今回の範囲は「国際政治」でした。英→日の授業なので、英語で出題され、日本語訳を書くわけですが、実はわたくし、これが苦手でして・・・。パソコンの弊害なのか、漢字が思い出せない!ということがよくあります。どうしようもなくて平仮名を羅列すると、そのうち講師からwarningを受けるそうでドキドキです。

 

18週間の学期中、単語テストはほぼ毎回行われます。法律、医療、安全保障、経済、金融、エネルギー、環境、政治など多岐にわたる分野が「トレンド 日米表現辞典」から平均して25〜30ページ分出題されます。

「自分の単語力が十分だと感じることは未だ一度もない」という講師の言葉に、この世界に存在する語彙たちとの出会いはエンドレスなのだと、軽くめまいがしました・・・。でも、いつの日か、単語のどれかが現場でのピンチを救ってくれることを信じてひたすら頭に叩き込みます。

 

その後は、前回の教材の復習訳出を録音してから、この日の教材の逐次通訳を一人ひとり行いました。事前に与えられたテーマから推測して、新聞などで背景知識を一通り調べ、主な単語の対訳表をエクセルで作っておいたので、「全く分からない!!」という事態は避けられました。しかし、瞬時に口から出すためには、訳出が日本語であっても何度も口慣らしが必要だと感じました。


丸第4回目 日英授業

 

日英の授業も二回目になると、すべてがサクサク進みます。

授業開始と同時に単語テストが配られ、30問を7分ほどで書き上げます。その後は復習してきた前回の教材を逐次通訳し、録音。その間、講師がパフォーマンスをヘッドフォンでモニターしていて、訳出終了後に短いフィードバックが与えられます。発音、語彙、文法、構文、発話のスムーズさなど、的確な指摘がもらえるので、それぞれ自分の課題を意識的に改善していけます。

 

そして本日の初見教材です。日本語の音声をまず日→日でシャドウイングします。シャドウイングについて講師から説明があり、今回行うのは単に音だけを追うシャドウイングではなく、「コンテクストシャドウイング」といい、話の展開をしっかり追いかけながら声を出すようにとのこと。話者の意味することを考えながらだと、ついていくのは意外と大変です。

それから逐次訳に入りますが、実は母語であっても、理解しているようでいざ訳すとなると「あれ、何だっけ?」ということになってしまいます。

 

今回、授業の目標として講師から挙げられたのは、「動詞を確実にとる!」。よくありがちなのが、一文の中に名詞や形容詞が列挙されると、それをメモ(もしくは記憶)するのに必死で、一番重要な動詞を落としてしまい、誤訳するパターン。

例えば、こういう文です。
「今回の大統領選挙では、比較的穏やかで和解的な北朝鮮政策を打ち出し、アメリカのトランプ大統領とは一線を画しました。」

日本語と英語は語順が逆であることが多いので、まず耳に入ってくる「穏やか」「和解的」「北朝鮮政策」などの訳語を考えていると、「打ち出し」(push forward, lay out, propose など)がすっぽり抜けてしまいます(涙)。動詞を確実に記憶すると共に、単語の羅列にもひるまず、瞬時に転換できるようになるよう、訓練あるのみですね。

 

それでは今回はこの辺で!

 

| 授業ルポ | 09:00 |
授業体験レポート:2017秋【中国語編】第2回 「人として....」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第2回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第3回 中日翻訳

 

いよいよ今回から通常運転の授業が始まりました。

翻訳クラスでは、まず自宅で翻訳の課題(宿題)を訳して事前に提出し、授業中は先生の模範訳例やクラスメートの訳文を見ながら、訳を吟味していく作業が中心になります。

 

課題はA4の紙1枚に収まる程度なのですが、毎回、締め切り時間ぎりぎりに提出するというトホホな有様です。でも、時間が限られているのは誰しも同じ。締め切りを意識するため、翻訳作業がだいぶ速くなりました(ような気がします)。

 

さて、このたびのお題は「創業記念パーティーでの挨拶文」。訳文は企業の広報誌に載せるという設定になっています。本科2のテーマは「仕事としての翻訳」なので、依頼者の意向や訳文の目的を意識することがとても大切なのです。

 

日ごろビジネス文書に縁がなく、苦手意識のある私。しか〜し!課題文を見ると、ところどころ業界用語は散りばめられているものの、かなりの部分が決まり文句ではありませんか。これはラッキー!

 

…と思ったら、本科2はやっぱり甘くありませんでした。何気なく訳した箇所に、とんでもない地雷が埋まっています。たとえば、原文の順番通り「社員の皆さん、来賓の皆樣」と訳したら大間違い。こういう場合は「お客様が先」が鉄則です。それに加えて今回は祝辞なので、通常「景気の後退」「業務の見直し」等とする表現もネガティブ感をぼかす方向に訳すなど、細かく気配りする必要があります。

 

そしてトドメは最終行。
原文に“最后”と書いてあるからって、創業記念の祝辞で「最後に」はいただけません!先生のご指摘通り、「結びに」等とすべきですよね。こんな基本もすっぽ抜けているとは、翻訳うんぬんより人として、社会人としていかがなものか(泣)。しかも「目的を意識する」「原文に引きずられない」と入学時から耳にタコができるほど注意されているというのに…。

 

次回はエッセイの訳ですが、どんな地雷が埋まっているか今から戦々恐々です。

 

丸第4回 日中翻訳

 

こちらの授業も基本は課題の訳例と受講生の訳文の分析が主ですが、テンポが速く、発問中心のスタイルなので一瞬たりとも気が抜けません。

 

今回は、インターネットクラスの受講生からの質問に答える形で、翻訳における「忠実さ」の話からスタートです。

 

翻訳は依頼業務のため、原文を忠実に訳すのが基本です。ただ、原文が日本語の場合、実は書きたいことと書いてあることにズレやねじれが生じていることがあります。たとえば、


「3日ほど旅行した」→旅行期間は ×約3日 〇ぴったり3日
「閉まるドアに注意」→閉まるドアに挟まれないよう注意


言われてみれば、そうですよね。閉まるドアより閉まらないドアの方が危ないってば。

 

語順も、比較的融通のきく日本語に対して中国語は厳格です。なので、中国語訳するときは日本語をシャッフルし、「発生順」「原因→結果」「大→小」など、決まった順序に並べ替える必要があります。たとえば日本語は「波風」ですが、風が立って波が起こるのですから中国語では“风波”。そりゃそうだ。

 

そういう訳で、原文と訳文の間では、言葉が消えたり増えたり順番が変わったりは日常茶飯事。原文が言いたかったことを整理して訳す必要も出てきます。そこで翻訳者には、忠実の義務に加えて「善管(善良なる管理者としての)義務」が発生する、と先生はおっしゃいました。自動翻訳もだいぶ精度が上がりましたが、善意の管理はまだまだ人間の領域のようです。

 

その辺に注意して次回の課題に取り組む所存ですが、それにしても長いです。AIなら淡々とこなすのでしょうが、思わずため息が出ちゃいます。だって、人間だもの…。

 

| 授業ルポ | 09:00 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
banner_shibahara.jpg

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

リンク

モバイル
qrcode