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授業体験レポート:2017秋【中国語編】第8回 「それを言っちゃあ お終いよ」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第8回をお楽しみください。

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丸第15回 中日翻訳
 
今回の課題は若手俳優を紹介する記事の翻訳です。(ほぼ)映画とドラマで中国語を学習してきたミーハーな自分には、うってつけ!
…と思ったら案の定、世の中そんなに甘くありませんでした。

 

訳出に大きな間違いはないにも関わらず、翻訳としては全然ダメ。講師の先生の訳文を拝見した瞬間にそれを悟り、思わず血の気が引きました。

何がダメかを逐一解説していただいた120分の授業は、先生の穏やかな口調とは裏腹に、針のムシロというかゾンビ犇〈ひし〉めくダンジョンというか、ともかく恐怖の連続でした。思い出すのも辛いですが、何とか振り返ってみますと……。

 

・登場人物の個性や記事の方向性を正しく捉え、それを踏まえた表現にできたか


人を紹介する文なのですから、その人がどんなキャラクターか考えずに翻訳するのは無謀という他ありません。訳語選びをミスったせいで、シャイな好青年が、上から目線のエラそうな若造に早変わり。ファンの皆様、本当にごめんなさい、翻訳がそのまま記事になるのに、読者に喜んでもらえる方向に訳せていなければダメですよね。
「誰を演じてもキムラさんらしさを感じる」と「誰を演じてもキムラさんに見える」では与える印象が真逆。ファンに後者を投げつけるなんて、翻訳者というより勇者かと…。

 

・全部を直訳するのではなく、目的に沿って取捨選択したか


原文もタレントのイメージを良くする方向で書かれているはずですが、逐一直訳するとニュアンスが変わってしまうことがあります。「身長があるので」と訳せば謙遜しているのに、「僕は背が高いので」だと自慢げに聞こえてしまうのです。不思議ですね……。わずかな違いも全体の印象を左右するので、おろそかにできません。

 

・話がうまくつながるように工夫しているか


日本語から中国語に訳すときは、情報を補うようにとしょっちゅう注意されますが、中国語から訳すときも、何か言葉を足さないと日本語として座りが悪いことがあるというのは意外な指摘でした。「ただし」「そのあと」「ようやく」といったつなぎの言葉や、ちょっとした付け足し(作品名の前に「出世作となった」と加えるなど)があるだけで、文章のなめらかさ、分かりやすさが全然違ってきます。

読み手の存在がハッキリ見える今回の課題を通じて、中文和訳と翻訳との大きな差を、一段と強く感じ取れたように思います。

 

 

丸第16回 日中翻訳

 

今回の課題は2つあり、1つは短文、1つは企業から消費者へのお詫びの手紙でした。

 

短文の方は、雑誌名の由来を説明した文章です。雑誌名に採用された単語(外国語)が、現地でどういう背景を持つか紹介することで、それとなく雑誌の趣旨も読者に伝えている……のですが、「それとなく」では中国語ネイティブは納得しないらしく、ここはハッキリ、「〜という考えに共鳴して××を誌名としました」等々と補う方がいいらしい。

 

そんなの原文に書いてないし、ちょっと考えれば分かるじゃないですか。皆まで言ったら雰囲気ぶち壊しでしょ、と思う間もなく、では雑誌の趣旨は何ですか、と講師の先生に突っ込まれ、雑誌名=趣旨ではなかったため、途端にしどろもどろに。

 

そうです、よくよく考えてみれば、この文章が本当に伝えたかったのは、誌名の由来になった言葉の説明というよりは、明示はされていない、雑誌の趣旨の方。

 

日本語は、相手が分かるだろうと思うことは文章からどんどん間引いてしまう上に雰囲気重視なので、本当に言いたいことや足すべき情報が何かを考え始めると、結構大変です。

 

2つめの課題であるお詫びの手紙にも同様の問題がありました。事故品を返送してきた消費者に、謝罪のうえ、お詫びの品を送る、という内容なのですが、先生は、直訳しただけでは火に油を注ぐ結果になるかもしれないと仰るのです。

 

先生曰く、返送された製品については代品を送るはずだが、そのことは手紙のどこにも書かれていない。そこに触れずにおまけのことだけ書くと、代品はさておき弊社の新製品をお試しください、という宣伝と解釈されるかもしれませんよ、とのこと。

 

唖然とする私たちに追い打ちをかけるように、先生は、台湾で映画化された『桃太郎』の話をしてくださいました。

 

その映画では、なぜ桃太郎が桃の中にいたのか、どうして鬼が島のことを知ったのか、といった根本的な疑問から、大きな桃をどうやって家まで持ち帰ったのか、島へはどうやって行ったのか等々等々の小さな疑問まで、きっちり補足されているらしいのです。

 

そんなディテール、要りますか?! おとぎ話じゃなくなるし、野暮ってもんよ! とつい思ってしまう、こちとら江戸っ子受講生をよそに、中国語ネイティブのクラスメートは映画に興味津々の様子。いやさ、中国語に入れば中国語のルールに従わなければ……。

 

決意を新たにしたところで、本科2の通常の授業は最終回。授業末に配られた期末テストは、自宅で翻訳して締め切りまでにメールで提出します。

 

次回の授業はテストの解説。どんな恐ろしいことになりますやら、はぁ、幾つになってもテストはつらいよ…。

 

| 授業ルポ | 09:00 |
『紅い海』
評価:
高倉 やえ
KADOKAWA
¥ 1,728
(2017-12-01)

会議通訳者でISSインスティテュート講師の田村安子先生(「林芙美子文学賞」受賞。ペンネーム:高倉やえ)の著作です。

 

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(書籍の帯より)

 

女たちは何を想い、どう生きるのか。

 

文明の衝突が引き起こした息子の無残な死…

奈落の底から、それでも生きることを選んだ妻と夫の祈りの日々。

衝撃の表題作!

 

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最新短篇小説集では、喪失と再生を描く3作品を収録。

 

息子を喪った妻と夫の苦悩と祈りを描く表題作「紅い海」、二人の女の墓碑をめぐる物語「行方」、自立を選んだ母と娘の歳月を綴った「夢の先の色」。


ぜひ一度、お手にとってご覧ください。

 

| おすすめ書籍のご案内 | 14:00 |
授業体験レポート:2017秋【英語編】第7回 「訛りに悩む」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、英語の授業ルポ第7回をお楽しみください。

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丸第13回目 英日授業

 

今回は復習教材を使って訳出する際、初めてペアワークをしました。同時通訳の仕事は通常複数名で行います。一緒に仕事をする通訳者と気持ちよく仕事をするため、タイムキープやメモ取り、ブース内での振る舞い等、通訳技能以外にも重要なことがあるそうです。普段はヘッドホンをつけて自分の訳だけに集中しているのですが、ペアワークは同時通訳ではよく行われる訓練法ということで、まだ逐次通訳訓練中の基礎科ですが、今回は二人一組になり交互に通訳練習をしました。

 

訳し終えたらマイクを上げ、自分の番になったらマイクを口元まで下げることなど、単純なことでも初めてなのでつい忘れてしまいそうでした。ペアワークではクラスメイトの訳出やメモ取りなどをすぐ隣で見ることで、違う緊張感がありました。

 

そして「企業の国際化」という本日の教材に移ります。ライブ教材なのですが、これまでにはなかったほど、訛りが強い!あまりに手ごわいので、今回は特別に音声を先にもらい、予習してくることになっていたのですが、皆さんかなり苦戦したようです。ニュージーランドの訛りでは?という声が多かったのですが、話者の出身地は正確には分かりませんでした。

 

通訳者が耳にするのは、アメリカやイギリスなどのいわゆる標準的英語だけではありません。IT関連の通訳にはインド英語はつきものと聞きますし、実際は英語を母語としない人たちの英語を訳すことの方が多いかもしれません。「訛りが強くて聞き取れませんでしたなんて、通訳者は決して言ってはいけません。」という講師の言葉に、うなずきながらも、「もう少し、分かりやすくしゃべってくれ〜!」と心の中で叫ぶのでした・・・。

 


丸第14回目 日英授業

 

単語テストは政治関連でした。政務官、事務次官、地方交付税などニュースでよく耳にする単語も英語がなかなか出てきません。大統領の一般教書演説など馴染みのある単語も、「ラッキー、覚えてる!」と思って書いたら定冠詞抜けや大文字になってないなど、思わぬ落とし穴(?)が。

 

単語テストの後は、復習訳出を一斉録音し、講師から一人ひとりにフィードバックが与えられました。「よくできたところを聞いていてほしい」とつい思ってしまいますが、現場では、初めから最後までお客様が聞いているわけで、「ここは難しかったらできなかったのよね」という言い訳は通りません(汗)。

 

初見教材は「日本とEUのEPA合意」でした。講師から出された本日の目標は「事実確認を確実にする!」。交渉が妥結してから発効までどれくらいかかる予定なのか、通訳者が事実を把握していないと、すでに発効したかのように誤訳する危険性があります。特に日本語は主語や時制があいまいなので要注意です。

 

今日も盛りだくさんで、授業後はゾンビのようでした(笑)。特に初見の不出来さにかなり落ち込んだのですが、授業後クラスメイトたちとランチに行って回復しました。

 

通訳者になるための訓練は、個人差はありますが、一般的に専門的訓練に数年かかる長い道のりです。その間、通訳学校に通い続ける人もいるし、仕事や家庭の事情で途中休んで復帰する人もいます。通訳学校で得られることの一つに、志の高い仲間に出会えることがあります。クラスメイトの頑張る姿に刺激を受けるだけでなく、モチベーションが上がらない時には個性豊かな仲間たちと励まし合える環境は大きな利点だと思います。

 

来週はとうとう期末試験!気合を入れてがんばります。

 

| 授業ルポ | 09:00 |
『沈黙の遺伝子』
評価:
黄 序
浙江出版集団東京
¥ 2,700
(2018-01-17)


書籍の帯より:
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それは英雄か、独裁者か……

人類の運命を左右する、ある恐るべき人物の遺伝子が浮かび上がる!

「夢の再生、記憶の書き換え」という最新の脳科学技術を駆使して

解き明かされる真相とは?

新世代の中国人SF作家(分子生物学博士)によるサイエンスフィクション!
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アイ・エス・エス・インスティテュート中国語翻訳者養成コース講師の望月暢子先生が翻訳された作品です。

 

現在出版社でご活躍中の中国語翻訳者養成コース修了生とのコラボレーションにより出版されました。

続編となる『沈黙の細胞』も2018年4月に出版予定です。

 

ぜひお手にとってみてください。


<関連記事>
講師紹介: 望月暢子先生(中国語翻訳者養成コース)

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| おすすめ書籍のご案内 | 14:04 |
『中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)』 第29回 「ビジネス中国語に欠かせないユーモア ― ゥ罅璽皀△分かるための勉強」

 

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。

すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。

 今回は、「ビジネス中国語に欠かせないユーモア ― ゥ罅璽皀△分かるための勉強​」です。

どうぞお楽しみください。

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一緒にいる中国人仲間たちが大笑いをしているのに、自分だけが何があったのか分からない時、少しがっかりしますよね。そういう場合は

 

1.你们在笑什么呢?(何を笑っていますか?)
2.有什么好笑的呀?(どこが可笑しいですか?)
3.给我解释一下你们在笑什么好吗?(笑う理由を教えてくれませんか?)


など、引っ込まずに聞いてみて、いい勉強のチャンスにしましょう。
繰り返すことによって、きっとツボがつかめるようになります。

 

それに、中国語には四字熟語と慣用句、俗語があり、それぞれ、その背景に物語があって、少ない文字数で、想像を膨らませる味わい深い言葉です。特に俗語自身も、ユーモアたっぷりと言えます。

 

例えば、


1) お客さんや友人に「金を貸してくれ」と頼まれた時、なかなかはっきりと「NO」は言えないものですよね。そんな時には、


我现在也是泥菩萨过河呀。(こちらも危ないところです。)
泥菩萨过河,自身难保。(泥で作った菩薩が河を渡る→自分でも壊れてしまう意味。)


などを例として、自分も難しい境地にあることを伝え、婉曲に断ることができます。


2) 素晴らしいプロジェクトチームが出来た時の例えとして、


我们这支队伍有各种各样的人才,真是八仙过海各显神通。
(このチームは多種多様な人材が揃って、それぞれ自分の得意分野をもっています。)


八仙过海,各显神通(中国の民間に広く伝えてきた鉄拐李、漢鐘離、張果老、呂洞賓、何仙姑、藍采和、韓湘子、曹国舅と8人の特技を持っている仙人のことです。彼らが海を渡る時、それぞれの特技をみせる意味。)

 

もちろん、言葉そのもの以上に、中国人のロジック、思考回路を把握することが重要です。コミュニケーションは相手と交流が出来ることが目的です。日頃さまざまな文章を読み、自分のロジックと違うことを感じたら、メモを取りながら理解してください。中国語の読解力だけでなく、中国人とのやりとりがよりスムーズにできるに違いありません。また身近のことをよく観察しましょう。中国人と同じロジックとバックグラウンドを共有し、共感を味わうことも有効でしょう。

 

ただ、何千年も儒教に縛られた中国人には、「輩分(先輩後輩、上級下級、世代間の関係)」を大事にしていますので、なかなか英語のように先輩や上司、お客さんに気楽にジョークを言えないかもしれません。ちょうどいいタイミングでジョーク(笑话)を言うこと、場に合ったユーモア(风趣)がある言葉使いをすることは中国人にとっても難しいことです。

 

また、ユーモアと低俗な笑いを区別しなければなりません。低俗な言葉で笑わせることは、ビジネスには不向きです。

 

紙面が限られているので、ユーモアについては、これで一段落にしますが、今後機会がありましたら、また一緒にお勉強しましょう。

 

次回からは、口語をレベルアップする勉強法について考えたいと思います。ご期待ください。

 

 

マル今月の中国語新語:

日活:DA(daily active)、使用頻度の意味。日活设备(稼働設備)、日活量(稼働量)、低日活(稼働が低い)、高日活(稼働が高い)などで使われています。

 

例:小米IoT平台联网设备已经超过8500万,日活设备超过1000万,成为全球最大的智能硬件IoT平台。(小米のIoT設備プラットフォームネットワークはすでに8500万台を超え、稼働量は毎日1000万台以上、世界最大となっています。)

 

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張 意意
証券会社、コンサルティング会社で通訳・翻訳者として活動するとともに、アイ・エス・エス・インスティテュートで「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。

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丸中国語ビジネスコミュニケーションコース丸

 
 四葉のクローバーコース案内動画はこちら
 ※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!

 

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| 「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」 | 09:00 |
ISS人材サービスサイトでの通訳コラム/翻訳コラム [2018年]第2回を掲載

 

ISS人材サービスサイトでの通訳者・翻訳者コラムでは、2018年1月より現役通訳者の藏持未紗先生、そして、現役翻訳者の豊田実紗先生が担当しています。

 

通訳者・翻訳者をめざされている方、すでに通訳者・翻訳者として活躍されている方にも、役立つ情報がたくさん詰まったコラムです。どうぞお楽しみください!

 

 

丸藏持未紗先生のコラム『流れに身を任せて
 第2回:『
通訳者は接客業

 

丸豊田実紗先生のコラム『一歩ずつ、丁寧に
 第2回:『
運命的な出会い

 

 

| ISS人材サービスサイトコラム | 09:00 |
ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第21回 : 和田泰治先生(英語通訳)

 

ライブラリー和田先生.PNG

 

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、和田泰治先生ご紹介の『ビートルズ詩集(1)(2)』(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー著、片岡義男訳、角川文庫、1973年)です。

 

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私が洋楽を聴き始めたのは中学校に入学してからなので1973年ということになる。ビートルズが解散したのが1970年で、それから3年が経過していたが、音楽の中心はまだビートルズだった。10歳年上の兄が友人からビートルズのシングル盤(当時のOdeonレーベル盤)をたくさん借りてきていて家のボロボロのオーディオで毎日聴いたり、レコードに合わせて歌ったりしていた。

 

当時は中学一年生で英語もろくにわからなかった。"Please Please Me"は「お願い、お願い」だとずっと思っていた。「それにしても何でMeがついてんだ。自分にお願いしてんのか!?」と不思議だった。「抱きしめたい」を聴いた時には "I can't hide" が「アゲハ」にしか聞こえなかった。何で日本語で歌ってるんだと真剣に思っていた。(因みにボブ・ディランは同じフレーズをずっと "I get high"だと思っていたらしい)。

 

その程度ではあったけれども、間違いなく、生まれて初めて教科書以外の生の英語に触れたのはビートルズだった。この原体験がなければ自分と英語との関係は今とは全く違ったものになっていただろう。

 

しばらくして学校のビートルズマニアの友人から中古のLPレコードを500円で譲ってもらった。「ステレオ!これがビートルズVol.1」というデビューアルバムの日本独自編集盤だったが、生まれて初めて自分の小遣いで手に入れたビートルズのアルバムだった。今のようにオンラインで簡単に動画が見られる時代ではなく、LPレコードも高価で、お年玉を貯めて一年に一枚か二枚しか買えない時代だった。


その年のクリスマスにデパートで輸入盤のバーゲンセールをやっていて、ここで母がビートルズのベスト赤盤、青盤を両方買ってくれた時は飛び上がるほど嬉しかった。それぞれ二枚組みで、ビートルズの全樂曲のうちのごく一部ではあるけれどデビューから中期、解散期までの代表曲を一気に聴くことができた。

 

この時初めてビートルズの後期の歌を聴いたのだが衝撃的だったのは歌詞である。それまで初期のストレートなラブソングばかりを聴ていたのに、ビートルズ後期のベスト盤である青盤の1曲目がいきなり"Strawberry Fields Forever"だった。

 

それ以外にも "I Am The Walrus" とか "Lucy In The Sky With Diamonds"など、前期のビートルズとは全く違う歌の世界に心の底から驚き、ビートルズの凄さにさらにのめり込んだ。そしてそれに合わせて英語の歌詞への興味もこれまで以上に膨らんだ。ビートルズの歌詞の世界をもっと極めたいと思った。

 

そんな時、件のビートルズマニアの友人が「ビートルズファンだったらこれは絶対買わなきゃだめだ!」と言って教えてくれたのが、その年に刊行された片岡義男氏の翻訳による「ビートルズ詩集」だった。楽曲のタイトル自体も翻訳されていて、これまではっきり意味のわからなかった歌詞も理解できるよになり本当に勉強になった。

 

今あらためて読み返してみても訳者の独りよがりなレトリックなどが無く、ジョン・レノンやポール・マッカートニーの詩の世界をストレートに伝えてくれる好著だと思う。

 

この本を読んでからまたあらためて原語に戻って歌を聴き、意味を理解しながらレコードに合わせて英語を声に出して歌ってみたり、自分ならこんな風に翻訳しようなどと思いを巡らせたりしたこともある。

 

中学生の時にビートルズに傾注したことが自分の英語の礎になっているのは間違いないと思う。そして何よりそんな多感な時代に言葉を知る楽しさを教えてくれたのがビートルズだった。

 

「ビートルズ詩集」には今もそんな若かりし自分自身が宿っている。

 

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和田 泰治(わだ やすじ)
明治大学文学部卒業後、旅行会社、マーケティングリサーチ会社、広告会社での勤務を経て1995年よりプロ通訳者として稼働開始。スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者として勤務後、現在はフリーランスの通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に入門科・基礎科レベルを担当。
 

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| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 10:00 |
授業体験レポート:2017秋【中国語編】第7回 「ラブストーリーは、突然に...?」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第7回をお楽しみください。

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丸第13回 中日翻訳

 

授業は毎回2時間ですが、その合間に5分程度の休憩時間があります。クラスメートと情報交換をする貴重な機会になっているほか、職場や学校から駆けつける忙しい人の中には、この間に食事を済ませる猛者もいます。

今回の休憩時間には、講師の先生が上海旅行のお土産“大白兔”(昔からあるソフトキャンディの名前です)を配ってくださり、現地の楽しい話題で盛り上がりました。

 

しかし、授業に入ると和やかな雰囲気は一転、教室にはピリッとした緊張感が漂います。「前の授業を踏まえて訳しましたか?」という先生のお言葉に、思わず冷や汗が出ました。

 

前回(第11回)の課題も今回同様、テーマは旅行に関するもので、訳出する上での落とし穴を、前回の授業ですでに懇切丁寧に解説していただいていたのです。年をまたいで、また同じ落とし穴に落ちるとは…。

落ちた穴を再点検してみますと…。

 

中国語から日本語に直訳すると、なぜか短所めいて感じられる部分を補正する
 例:混雑していない→落ち着いている

 

・形式を整えるために加えられた修飾を外し、言いたいことを目立たせる
 例:港町神戸には西洋と日本の文化が融合し、西洋化された現代的な東京とは異なる風情が→港町神戸には西洋と日本の文化が融合し、現代的な東京とは異なる風情が

 

訳語の細かいニュアンスまで気を配る
 例:神戸での;のどかな時間[田園地帯っぽい]/のんびりした時間[都会らしくない]→ゆったりした時間[大人の余裕を感じる]

等々。

また、中国語によくある「行って切手買って貼って」式の時系列順の描写を、柔軟に表現する工夫も必要です。
 例:鉄板の余熱が終わったら、牛肉を鉄板の上に置いて調理し…→お肉を熱々に熱した鉄板にのせて焼き上げ…

ほんの小さな言葉もゆるがせにできないのは、日本語では暗黙の了解部分の情報がカットされ、全体の枠組みの定義を一語一語のイメージに負っているからでしょう。日中翻訳をしてみると、日本語ネイティブにもそのことが実感できるようです。

ということで、続けて日中翻訳のレポートもご覧いただきましょう。

 

 

丸第14回 日中翻訳

 

今回の中国語訳は、いつにもまして課題の日本語文が曖昧で、何について書かれた文章なのか、自力ではさっぱり解読できませんでした。不思議に思ったのは自分だけではなかったらしく、訳文の最後に「情報が足りなすぎて分からない」という感想を書いて提出した中国語ネイティブの受講生もいました。

しかし、そんな曖昧さこそ授業の狙いだったようで、講師の先生は、何について書かれたか分からない、すなわち「枠組みがつかみづらい」文章は日本語によくある、と涼しい顔でおっしゃいます。

例えば、歌のタイトル。
『ラブストーリーは突然に』と来れば、「始まる」のだと、みな了解しています。
テレビ番組のタイトルもそうです。
『世界の車窓から』を、サスペンスだとかホラーだとか思う人はまずいない。紀行番組だとすぐ分かります。それはなぜか。

 

「ラブストーリー」は恋の深まりを期待させ、「車窓」は風景を切り取るものという、言葉のイメージが共有されているからです。

 

講師の先生によれば、中国語と日本語の文章では、読者の設定からして違います。情報ゼロの人向けの中国語に対し、日本語は分かっている人向け。なぜ肝心なことを省く?! と中国語話者はフラストレーションが溜まるそうですが、日本語は大きな枠組みほど了解事項として省かれがち。文中の言葉をヒントに話の枠組みをつかむしかありません。

 

トイレの「備え付けのペーパー以外流さないでください」という注意書き、それって、他のものは流さないでお持ち帰りください、ってこと...?

 

「ひげ剃り後、ローションを手にとって叩いてください」って、まさか机を叩く・・・わけないですよね?

これらの文章を中国語訳する際には、順序を並べ替え、「ペーパーは備え付けのもの以外、流さないでください」としたり、情報を足して「ローションを5gほど手に取って、ひげ剃り後の部位に叩くようにつけてください」とするなど、日本語の編集作業が不可欠です。

 

そもそも、文章から情報が抜けているということ自体、日本語ネイティブには気づきづらいのですが、そこは修行を積んで補うしかなさそうです。

 

ラブストーリーは突然に「終了」ですか? と思われたら、イヤですものね...。

 

 

| 授業ルポ | 09:00 |
2018年春期_[中国語] 早わかりオープンスクール&体験レッスン活用ナビ

 

いよいよ[春期]4月レギュラーコースの募集が始まりました!

各コースの授業内容について、理解を深めることができる様々な無料イベントが開催されますが、ここではオープンスクールと体験レッスンを組み合わせ、1日でより多くのイベントにご参加いただける方法をご紹介いたします。


中国語コースのオープンスクールは特別セミナー、体験レッスン、レベルチェックテストの全てを無料、一日で体験できるイベントです。
*翻訳コースは試験問題を直接お渡し、在宅受験となります。


オープンスクール通訳(3/10)翻訳(3/4)ビジネスコミュニケーション(3/17)、の各コースについてそれぞれ1回開催されますが、同じ日に別コースの体験レッスンも実施していますので、オープンスクールと組み合わせて、一日で複数コースの体験レッスンに参加することができます。

例えば午前中翻訳、午後通訳、夕方ビジネスコミュニケーションという形で組んでありますので、どのコースを選択しようか迷っている方にはこのような参加方法もお勧めです。

時系列で並べると分かりやすいと思いますので、ご覧ください。


丸3/4(日) 翻訳コース オープンスクール(※)
 11:00-12:00 翻訳特別セミナー
  目的に合った訳語選択のポイントとは〜中文和訳を例に」(※)
 12:15-13:45 翻訳体験レッスン(※)
  
 そのあとに、
 14:30-16:00 通訳体験レッスン
 16:30-18:00 通訳レベルチェックテスト



丸3/10(土) 通訳コース オープンスクール(※)
 10:00-11:30 翻訳体験レッスン

 そのあとに、
 12:00-13:00 通訳特別セミナー
  通訳者に学ぶ日本語デリバリーの方法」(※)
 13:15-14:45 通訳体験レッスン(※)
 15:30-17:00 通訳レベルチェックテスト(※)


丸3/17(土) ビジネスコミュニケーション オープンスクール(※)
 10:30-12:00 通訳体験レッスン
 13:00-14:30 通訳レベルチェックテスト

   13:30-15:00 翻訳体験レッスン

 または、
 13:00-14:00 ビジネスコミュニケーション特別セミナー
  仕事でも使える中国語口語学習法(※)
 14:15-15:45 ビジネスコミュニケーション体験レッスン(※)
 15:50-16:50 ビジネスコミュニケーションレベルチェックテスト*(※)
  *ビジネスコミュニケーションのレベルチェックテストはお一人10分ずつです。


上記3日程のいずれかにご参加いただければ、入学金全額免除超早割引キャンペーン3/28までにお申込み、受講料の納入が必要です)に間に合います。

 

 

丸3/31(土)

オープンスクールではありませんが、通訳、翻訳、ビジネスコミュニケーションコースの体験レッスン、レベルチェックテストを実施します。

開講前最後のイベントです。


 10:30-12:00 通訳体験レッスン

 

 そのあとに、
 13:00-14:30 翻訳体験レッスン

 または、

   13:00-14:30 通訳レベルチェックテスト

 

 そのあとに、

 15:00-16:30 ビジネスコミュニケーション体験レッスン
 16:30-17:30 ビジネスコミュニケーションレベルチェックテスト

長時間になるため少し疲れると思いますが、半年に一回のチャンスですので、この機会を是非お見逃しなく!

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2018年[春期]4月開講コースの詳細情報・お申込みはこちら

 

中国語通訳者養成コースオープンスクールのお申し込みはこちら

中国語翻訳者養成コースオープンスクールのお申し込みはこちら

中国語ビジネスコミュニケーションコースオープンスクールのお申し込みはこちら


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| 【中国語通訳コース】 | 13:00 |
通信講座「翻訳入門」クラス(英語翻訳者養成コース)のご紹介


翻訳への第一歩は、まず英語の基礎力強化から
通信講座「翻訳入門」は、苦手とされやすい英文法を自由なペースで着実に身につけることができるよう開発されたクラスです。

 

講師と受講生の対話形式ですすむ授業をそのまま再現したテキスト、そして、受講生一人ひとりにあわせた丁寧な添削指導によって、理解力を高めながら英文法の用法と翻訳の基本を身につけることができます。課題をこなしてテキストを読み進めていくことで用法をマスターし、ステップアップしていきます。英語理解力と日本語の表現力の両方で実力アップがはかれます。「英語の基礎文法を着実に身につけながら、翻訳力をアップする」のがこの講座のゴールです!

 

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■通信講座「翻訳入門」で取り上げる文法項目

 【翻訳入門1】 不定詞/助動詞/動名詞/分詞
 【翻訳入門2】 関係詞/仮定法/比較/受動態
 【翻訳入門3】 時制/否定/Itの構文/特殊構文

 

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こんな方におすすめです!
・翻訳に興味があって、これから本格的に翻訳訓練を始めようと思っている方
・基礎からじっくり学んで、文法力・構文読解力を強化したい方
・TOEIC®や英検などのスコアアップをしたい方


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